ミミズ専用コンポストを購入。たい肥づくりに配慮された機能と使い心地
以前、自作でミミズコンポストをつくってみました。
が、いかんせん出る生ゴミの量のほうが多いのが悩みどころでした。
おまけに自作では排水性やミミズの分離などの機能性にも限界があるため、どうしても機能に難が。
そこで思い切って国内産のミミズ専用コンポストを購入したので、その組み立て方や使い方を紹介します。
国内産ミミズコンポスト
ミミズ専用コンポストをネットで調べると数種類あったので、お試しもかねて国内産を購入。
それがこの「金子みみずちゃんの家」という国内産ミミズ専用コンポスト。
できる堆肥の量や機能性をしっかり備えたものになってます。
メリットや機能を紹介していくので、購入を検討している人や興味のある人は参考にしてください。
値段
「金子みみずちゃんの家」は海外含めて、販売されているミミズコンポストの中ではかなり安い部類に入ります。
ミミズコンポストにもいくつか種類はあります。
が、そのほとんどが軒並み30000~50000円とかなり高めなのがほとんどです。
対してこのミミズコンポストは16000円ほど(送料は別)。
他のミミズコンポストよりかなり安い値段で購入できます。
詳しくは後述しますが、このミミズコンポストは補助金制度の対象となっています。
市役所に補助金申請をすると3000円ほど戻ってくるので、実質これより安いことに。
いきなり高いミミズコンポストを購入するのに躊躇しているならおすすめの製品です。
補助金制度
ミミズコンポストで生ゴミ処理すると、「環境に配慮している」として国から補助金がもらえます。
通常、生ゴミをゴミ箱に捨てるとそれは自然と焼却炉行きです。
その分焼却炉に使用するお金・時間や二酸化炭素が発生して、環境にも影響が出ます。
しかし自宅で生ゴミ処理すればそれらの削減ができるため、使用・購入促進のためいくらか補助金が出ます。
その額は3000円とこのコンポストなら全体の2割近い負担となるため無視できない金額。
注意点は市町村の中には補助金の対象になっていない地域もあります。
自分の住んでいる地区が対象になっているか確かめましょう。
私は販売元のホームページで直接注文したためか、市役所に郵送する資料・書類も同梱してくれました。
他のミミズコンポストだと領収書のみだけだったり、そもそも申請できなかったりする場合もあります。
こうしたことかが、補助金申請の手間がかなり増えるかと。
しかしこのミミズコンポストなら資料込み、書類に名前と申請する値段だけ書くだけなのでかなりラクです。
補助金の対象となっている地区も(PDFファイルで)載っているので確認もできます。
ただ補助金は継続的に出るわけではなく、購入時の1回限りなので注意。
ミミズコンポスト(金子みみずちゃんの家)販売 – 農業経営研究所
このページの一番下に購入画面があります。
ミミズ付き
ミミズコンポストに適したシマミミズ500g(1000匹以上)が付属されています。
別口で購入する必要がなく、初めての人でも大丈夫です。
これだけいれば製品が届いた当日からすぐに生ゴミ処理を始められます。
シマミミズには以下の特徴があります。
・率先して生ゴミを食べに行く
・2~3か月で繁殖できるほど成長する
このようにミミズコンポストのためにいるかのようなミミズです。
日本のミミズより小さいですが、その性質が相まって生ゴミ処理能力はかなり上です。
シマミミズは釣具店でも少量販売されています。
が、本当にシマミミズかの保証がされていないため確実性に欠けます。
コンポスト込みならしっかりしたシマミミズが付属する、自分で探す手間も省けます。
日本で主に生息しているミミズは「フトミミズ」。
こちらは引きこもりタイプのミミズで土をかき回す能力が低い・繁殖力が低いとあまりコンポストに適していません。
そのため、庭先で捕まえたミミズを使うのはオススメしません。
大きさ
コンポスト自体の大きさも、40cm四方・高さが65cmほど。
普通の堆肥用コンポストより少し大きいくらいです。
3段構成になっており、1段に入る土もかなりの量(市販の土10Lの3~4割ほど)です。
一度につくれるたい肥も多くなります。
屋外でも屋内でも置けるので、自分にとって手近なところへ設置できます。
プラスチック製なので重さも気にならず扱いやすく、女性でも問題なく使えます。
機能性
機能で重要なのがミミズを選別する手間が省ける・液肥を集めやすい・水でビシャビシャになりにくい点です。
コンポストをする上での不快になりやすい問題点をかなり解決しています。
自作・普通のコンポストで代用していて、使いにくいと思っている人におすすめです。
ミミズの選別
ミミズコンポストで苦労するのが、できた堆肥とミミズの分別作業。
しかしミミズ専用コンポストでは自然とミミズが上の段へと上がっていく構造になっています。
できた堆肥のみを取り出すだけなので、かなり作業がラクになります。
手作業でミミズを選別しようと思うと、軽く2~3時間くらいかかります。
対してミミズ専用コンポストなら、その段を抜くだけなので数分で済みます。
ミミズも数十匹程度のロスで済むので、誤差の範囲といえます。
しいて言うなら卵が残ってしまう点ですが、これはどんなコンポストを使っても同じでしょうし。
おかげで気楽に大量に生ゴミを投入できるようになりました。
液肥・水分の取り出し
液肥も簡単に取り出せる(というか勝手に溜まっていく)ので、液肥のみを野菜に与えやすいです。
これも自作ミミズコンポストでは機能性を持たせるのに苦労する。
あるいは工作が苦手な人だとつくりづらい部分です。
また液肥が効率よく取り出せる = コンポスト内に水分が溜まるのを防ぐことにもつながります。
これのおかげてコンポストの中が水でビシャビシャになることを防げます。
雨の日のあとでも問題ありませんでした。
ミミズコンポストの地味に大事な部分として「ミミズが食べる分だけ随時生ゴミが腐っていく」ということがあります。
水分が多すぎると生ゴミが多く腐る・ミミズが死んでしまう原因にもなるので、地味に役に立ってます。
欠点
いろいろ利点はありますが、気になるのは小バエの侵入を防ぎきれないという点です。
ただこれはどんなコンポストでも難問となるほどのこと。
なので、このコンポストのみの問題ではありませんが…。
対処法としては、生ゴミを入れた段・あるいはコンポスト全体に不織布をかけて虫の侵入を防ぐ、くらいかと。
緩和策として、生ゴミの上に新聞紙などを被せて臭いが漏れにくくする。
あるいは市販の小バエ取りを使うことも挙げられます。
新聞紙のインクが気になるなら、新聞紙の端の白紙の部分のみを切り取って被せるといいです。
新聞紙は微生物が生ゴミを分解する炭素分の補給にもなるのでムダにはなりません。
むしろかなり重要な素材です。
つくり方
製品が届いたら取説がついてますが、参考にコンポストの組み立て過程を紹介。
そこまで複雑でもなく、精々段の部分を組み立てるだけです。
①部品の確認
ミミズ込みのセットを購入して製品が届くと、こんな感じで部品・道具が入ってます。
写真1の内訳
・段の底 × 2
・段の壁板 × 8
・コンポストの土台
・コンポストのフタ
・水抜き用のスポンジ × 1
・ヤシガラマット(ヤシの実からできた土) × 2
・ミミズ500g(数百匹)
・小さいスコップ
・液肥受けのカップ
・スプレー
写真2の内訳
※写真では1段組み立てたので2段写っています。
ミミズは土と一緒に入っているので数日は持ちます。
休日まで待って組み立てても十分間に合うかと。
組み立て~設置までは1時間は使うので予定を組んでおきましょう。
②段の組み立て
いきなりですが、これができればあとは完成したも同然です。
しかも見本となる完成した段があるので組み立てもしやすいかと。
まずは段の底の部分に壁板をくっつけていきます。
底の板に壁板を固定するでっぱりがついているので、そこにはめ込んでいきます。
底部分のでっぱり
壁板のへこみ
次にはめ込んだ壁板の端っこに、パズルのピースのような接続部があります。
これを別の壁板と組み合わせます。
これを繰り返せばコンポストの1段ができあがります。
同じものがもう1セットあるのでもう一度。
③土台にスポンジをはめる
段が出来上がったら、コンポストの組み立てに入ります。
まずは土台部分に付属されている四角形の大きいスポンジをはめ込みます。
これをしないとミミズが逃げ出す・底部分から虫が侵入する原因になるので、忘れないように。
④あとは組み立てるだけ
あとは土台の上にさっき組み立てた段を積み上げて、最後にフタをしてコンポスト自体は完成です。
隙間ができないようしっかりはめ込まれているか確認しましょう。
コンポストを設置する場所は日陰かつ雨をしのげる場所が最適です。
日差しが強いと夏場に温度が上がりすぎてミミズが死んでしまいます。
また、いくら排水機能があるといっても、水浸しは避けたいところ。
屋外に置くならそれなりに場所を厳選しましょう。
⑤液肥受けカップの設置
コンポストを設置したら、土台部分の液肥を出す穴が手前にあるか確認してください。
そしたら付属していた液肥受けのカップを必ず置いてください。
このカップを置き忘れると液肥が垂れ流しになってしまいます。
屋内だと床がビシャビシャになってしまうので、絶対に忘れないように。
⑥ミミズ投入
ようやくミミズを投入します。
ミミズがそれなりに映っているので多少モザイクかけてます。詳細に見たい人は写真クリックで見れるのでどうぞ。
土のう袋に土と一緒に入っているので、1段目に投入します。
取説通りだと、ミミズを入れたら付属しているヤシガラマットを入れる…んですが、別に入れなくても問題ないような気がします。
というのも、本来なら本格的にたい肥をつくるのは生ゴミを入れる2段目からになるのですが、それだと1段目がたい肥とはいいにくい出来だったからです。
そのため1段目から生ゴミを入れてしまって、そこからたい肥をつくってもらったほうがいいかと。
取説通りにするなら、1段目にミミズをヤシガラマットを入れるといっぱいになるので、2段目を積み重ねてから残った1袋のヤシガラマットを投入します。
⑦生ゴミを入れる
生ゴミを入れるときは「穴を掘って埋める」「土を被せる」のどちらかをしておきましょう。
こうするとミミズが生ゴミに食いつきやすくなります。
ある程度ですが、臭い漏れも防ぐので虫が寄ってくるのを緩和できます。
ただ入れる生ゴミで注意したいのが、切ったニンジン・大根のヘタ部分やタマネギの根、など。
こうした生ゴミは乾燥させるか、冷凍してから入れたほうがいいです。
ヘタや根の部分が新鮮なままだと成長してしい、ミミズが食べてくれません。
かなり刻むか、乾燥や冷凍をすると生ゴミが腐りやすくなるので、ミミズや微生物が食べてくれやすくなります。
⑧新聞紙を被せる
生ゴミを入れたら、どう入れたかに関わらず新聞紙を入れるといいです。
ミミズが生ゴミを食べるのは、ある程度微生物によって生ゴミが分解されて柔らかくなって(腐って)からです。
しかしそのためにはエネルギー源となる炭素が必要で、新聞紙はその炭素の補給に向いてます。
土表面の湿気の維持・水分量の調整・臭い漏れの防止など新聞紙はかなり有用。
余裕があるなら新聞紙を入れておきましょう。
インクが気になるなら、写真のように新聞紙の端の余白部分のみを切り取っていれておけば大丈夫です。
⑨次の段へ入れるタイミング
段がいっぱいになったら、次の段にヤシガラマット・生ゴミを入れます。
箱がいっぱいにならないと天井部分と密着せず、ミミズが上の段へと移動できないので注意しましょう。
最初に半分くらいヤシガラマットを入れ、それから生ゴミを投入していきます。
ヤシガラマットを使い切っても100円均一で販売しているので、必要な処理をしてから使いましょう。
ヤシガラマットはタンニン(お茶の苦み成分)を含んでいます。
下処理しないと植物の根の生育を阻害してしまいます。
処理をしないとたい肥にタンニンが含まれてしまい、せっかくのたい肥が植物の生育を妨げる原因になります。
下の記事にヤシガラマットの下処理の方法が書いてあるので、しっかり処理しておきましょう。
⑩堆肥を取り出すタイミング
いっぱいになった段は、上の段にミミズが移動してから取り出します。
まず上の段でミミズが移り始めたかを確認。
それから余裕を持って2~3週間後くらいしてからたい肥を取り出しましょう。
このミミズコンポストではシマミミズは生ゴミを求めて土の上へと移動していきます。
そのため生ゴミを投入していれば自然と上の段へと集まります。
少しはミミズが残ってしまいますが、全体の1割くらいのもの。
この際諦めてしまったほうが手間が少ないです。
入れる生ゴミで注意する点
生ゴミを大量に処理できるミミズ専用コンポストですが、通常のコンポスト同様に入れる生ゴミには注意しましょう。
化学製品
当然ですが土に還らないものをコンポストに入れてはいけません。
ビニール・プラスチックといった石油由来のもの・金属類は土に還らずそのまま残ります。
細かくなったとしても同じなので、人工的につくられたものはコンポストに入れないようにしましょう。
薬品・ワックス付きの生ゴミ
農薬やワックスがついている生ゴミではミミズに害があったり、できたたい肥にも問題が出る可能性があります。
特に海外から輸入された果物だと何がついているかわかりません。
人が問題なく食べられる部分の生ゴミを投入しましょう。
塩分の多いもの
塩分を多く使った料理の残りなどはコンポストに入れるのを控えましょう。
コンポスト内の塩分濃度が多くなりすぎると塩害の原因になります。
ミミズが死ぬ原因だけでなく、植物の生育にも適さない土になってしまいます。
塩といった調味料を多く使った後の生ゴミ・残飯などはあまり入れないのが無難です。
肉・魚類
肉や魚といった動物性の生ゴミの投入はやめたほうがいいです。
これらは腐ると強烈な臭いが出るので、虫が寄ってくる原因になります。
腐る(微生物が分解する)時間もかかるので、たい肥に変わる時間も増えます。
どうしても入れるなら穴深くに少量のみ、手のひらに乗るくらいの量にしておきましょう。
木の枝
木の枝といった固いものはミミズコンポストに向きません。
ミミズは歯が無いので、微生物の分解によって柔らかく半液状化したようなものしか食べられません。
そのため、できた堆肥に枝が残ったまま、といった状態になりやすいです。
同様にキャベツの芯といった固い部分も同じような結果になりやすいです。
ただ、野菜の芯などは冷凍するか加熱すれば分解しやすくなります。
小さい欠片になればなるほど分解も進みやすいです。
固く大きいものはできるだけ刻んでから入れましょう。
青々とした葉っぱ
新鮮すぎる葉っぱだと意外に分解が進みません。
微生物は基本的に生きているものだと分解しないことが多いです。
そのため新鮮な葉っぱは一晩乾燥させる・冷凍するなどして細胞の活動を停止させてからだと分解が早く進むようになります。
総評
やはり専用というだけあって気になる問題点は軒並み解決してます。
いくつか気になる点はありますが、やはり自作したミミズコンポストより粗は少なく機能性は高いです。
工作が苦手な人はこちらを購入したほうが失敗することもかなり少なくなるかと。
毎日大量に生ゴミが出る・園芸などをやっている家庭ならかなりの量のゴミを減らせます。
同時にたい肥も手に入り一石二鳥です。
ミミズコンポストで行き詰った人なら、思い切ってミミズ専用コンポストを使ってみましょう。