肥料の与えすぎで起きる花や野菜への影響と、その予防法・解消法

2021年3月27日園芸知識園芸,土づくり,家庭菜園,肥料

花や、特に野菜を育てると大量に必要になってくるのが肥料です。

が、ついつい与えすぎてしまったことはありませんか?

肥料は植物に必要不可欠ですが、与えすぎるとかえって生育を邪魔してしまうことがあります。

もし「肥料をあげすぎた!」なんてことになったとき、どんな悪影響が植物に出るのか?

その対処法も併せて紹介します。

肥料の与えすぎによる影響

植物、特に作物に重要な3大栄養素「チッソ」「カリウム」「リン酸」

これらは生育や収穫量にダイレクトに響くため、大量に必要な栄養素になります。

しかし大事なあまり、過剰に与える可能性が高い栄養素でもあります。

与えた量が多すぎると出てくる症状と原因の栄養素を解説します。

葉が青緑色に変色する

葉っぱが青緑色に変色するなら、「チッソ」の与えすぎが原因です。

チッソは植物の葉や茎の生育に必要な栄養です。

が、与えすぎると逆に葉や茎を弱くして病気にかかりやすくしてしまいます。

食べ過ぎて食あたりを起こした感じですかね?

勝手なイメージですが…。

人の状態で例えるなら炭水化物を摂りすぎによる糖尿病のようなものでしょうか?

「油かす」や「魚かす」などの堆肥には特にチッソ分が多く含まれています

もしこのような症状が出たら、このような肥料を与えるのはやめましょう。

しばらく様子経っても改善されないなら、いくつかの対処をすることになります。

葉が黄色く変色する

特に症状が出やすいのが「葉が黄色に変色する」症状。

一目見てみると葉っぱが枯れたようにも見えます。

これは一つの栄養素が多いせいで他の栄養が吸収されない(欠乏する)のが原因です。

いくつかのパターンがあるので、それぞれ紹介します。

パターン1:カリウム過剰

まずは「カリウム」を与えすぎると「マグネシウム欠乏」になります。

古い葉や実の近くの葉が黄色く変色します。

カリウムは根の生育に必要になる大切な栄養分です。

しかしあまりにも多すぎると「リン酸」を運ぶ「マグネシウム」の吸収を阻害してしまいます

こうなると葉の中にあるマグネシウムを分解して補うため、葉の色素が薄くなり黄色く変色していきます。

マグネシウムが無くなってリン酸が運ばれなくなると、花や実の成りが悪くなります

特に野菜を育てているなら収穫量にも響くので、早く対処しましょう。

間違えやすいのがカリウムの不足による「カリウム欠乏」です。

ただ、こちらは主に葉の先端部分から黄色く変色し、枯れやすくなることです。

カリウムが不足すると根の張りが悪くなります。

やたら植物が倒れやすいならカリウム欠乏を疑いましょう。

パターン2:リン酸過剰

葉の全体に黄色い斑点模様が出てきたら、「リン酸」の与えすぎによる「リン酸過剰症」の疑いがあります。

花や果実の成長にはリン酸が必要なため、収穫量を増やすのによく与えます。

しかしリン酸は土壌に溜まりやすく、水で流れにくい性質を持ってます。

そのため過剰に与えると土壌に滞留しやすいです。

植物は栄養をできるだけ吸収するため、土に滞留しやすい栄養ほど多く吸収していきます。

しかしリン酸が多すぎると「鉄」「亜鉛」「マグネシウム」の吸収を阻害して、それぞれの栄養素の欠乏を引き起こします。

背が伸びない・落葉するなど、いくつもの症状が出ているならリン酸の与えすぎの可能性があります。

リン酸は一般的な肥料のほとんどに含まれているため、追肥をやめて様子を見ましょう。

パターン3:カルシウム過剰

肥料や追肥では与えすぎになりづらいカルシウム。

ただ、酸性の土を中和するときに大量に使ったりします。

もし石灰や草木灰などを多く撒いてしまったようなら、これも疑いましょう。

カルシウム過剰になると、リン酸過剰と同じく「マンガン」「鉄」「亜鉛」などの栄養の吸収を阻害します。

症状は葉が黄色くなる他、背が伸びない・葉が大きくならないなどが挙げられます。

土がアルカリになるほどこの症状が出やすいです。

石灰などを撒いたらしっかり土の酸性度を計るようにしましょう。

栄養多寡の解消法

では肥料を与えすぎてしまった土をどう改善するかの方法です。

植え替える

まだ苗といえる状態なら、ポットなどに植え替えましょう。

栄養多寡の影響は、苗の頃が特に受けやすいです。

苗はまだ栄養を大量に必要性では無く、根もまだ成長しきっていません。

大きめのポットに植え替えて栽培し、ある程度成長したらまた植え直します。

こうすれば栄養がたくさん必要な状態にできるので、栄養多寡とはいえなくなります。

大根などの根野菜ではできませんが、一番手軽な方法といえます。

追肥をやめる

当たり前ですが追肥による栄養の供給をストップします。

まずはこれ以上栄養過剰になるのを防ぎます。

まだ土の表面に肥料が残っているなら取り除きましょう

与えていた肥料の成分を見て、何が栄養多寡になっているのか確認します。

多寡になっている栄養素ごとに、下記の適した対処をしていきます。

水で栄養を流す

大抵の栄養分は水で流すことができます

特にカリウムやカルシウムといったミネラルは水に溶けやすいです。

プランター栽培なら簡単に水で流せます。

まあプランター栽培だと栄養「多寡」より栄養「不足」になりやすいですが。

畑の場合は根を傷つけない距離に溝を掘ってから散水しましょう。

水と一緒に栄養分が溝の部分に排出できるようになります。

畝(うね)を作れば栄養多寡を予防しやすいです。

畝には根の張りを良くする・根野菜の肥大化などの効果もあります。

畑などで栽培する際は畝を作ってから植えてみましょう。

ただリン酸のように土に滞留しやすい成分や、土の保肥性が高いと水では流せない場合があります。

この場合は次の「土を入れ替える」方法を取ります。

土を入れ替える

一番確実なのは栄養の少ない土と入れ替える・混ぜることです。

栄養の少ない土と混ぜれば、溜まった肥料を分散・平均化することができます。

できる限り根を傷つけない範囲で土を掘り起こして、土を入れ替えましょう。

また「掘り返した土をどうにか再利用したい…」と考える人もいるでしょう。

そんなときは「ヤシガラマット」を掘り返した土に混ぜて使いましょう

ヤシガラマットは俗にいう「水で膨らむ土」のことです。

通常は20cmくらいの板状に固められてます。

しかし水を含むとあっという間に7~8Lくらいの土に膨張します。

ヤシガラマットは栄養をほとんど含んでおらず、普段は土のかさ増しに使われます。

そのためヤシガラマットと栄養多寡の土を混ぜれば、栄養をある程度調整できます。

ヤシガラマット自体に保水性や排水性もあるので、新鮮な(?)腐葉土みたいに使えます。

ただヤシガラマットを使う際は絶対に一回は水を絞ってください

ヤシガラマットにはお茶にも含まれる苦み成分「タンニン」が含まれてます。

このタンニン、根の生育を阻害してしまいます

よく水を含ませてから絞って、水と一緒にタンニンも取り除きましょう。

「ベラボン」などと書かれた、袋入りのマットなら下処理がされていることもあります。

事前に確認しましょう。

吸収率の高い作物を植えてみる

逆の発想で、栄養を大量に必要にする作物を植えてしまうのも手です。

特に大玉の実をたくさんつけたりする作物は栄養の必要量が多いです。

トウモロコシや大玉トマト・ナスなどの作物が狙い目。

土壌に滞留しやすい「リン酸」を多く使ってくれます。

実をつけるのに栄養をたくさん使うので、一度畑の栄養を使い切ってもらいましょう。

ただ植えるときは植木鉢でしっかり成長させてから植えましょう

植物の種は発芽には自分の持っている栄養分のみを使います。

そのため土の栄養を使うことはありません。

根が出たあとに栄養がたくさんある土だと成長が阻害されてしまいます。

まずは小さめの鉢で背の丈が20~30cmくらいに成長させます。

根がしっかり張ってから植え替えましょう。

栄養多寡の予防法

こちらは栄養が多くなりすぎないようにする予防法の紹介です。

有機肥料を中心に使う

有機性の肥料なら栄養多寡になりすぎるのを予防しやすいです。

有機肥料は微生物が分解して、初めて栄養となります。

そのため一度に栄養が大量にできることは少なく、少しづつ・継続して栄養を供給できます。

牛フン堆肥など、分解が長期に渡って行われるものほど有用です。

家畜フン系の堆肥は栄養バランスも良いので、一部の栄養が多くなりすぎることも少ないです。

肥料としても優秀なので、栄養多寡の予防以前に率先して使いたいところでしょう。

化学肥料は控えめに

栄養多寡になりやすいのが化学肥料の使いすぎです。

化学肥料は各栄養素の含有率が高く、一か所に使いすぎると濃度が高くなりやすいです。

特にプランター栽培では影響が受けやすいです。

実をつける時期の野菜なら影響は少ないですが、苗の頃なら追肥の必要性は薄いです。

適量を守っていれば問題ありませんが、一気にドバっと与えると簡単に栄養多寡になります。

石灰系の溶けやすい肥料では、良くも悪くもが影響が早くに出ます。

一度に与えず、数回にわたって追肥するようにしましょう。

畝を作る

解消法でも触れましたが、畝を作れば余分な栄養を排出できます

水に溶けやすい栄養素なら、多い分は水に溶けて畝の側面から出ていきます。

また畝は作物の根の生育を良くする効果があります

大根などの根野菜では、特に効果を実感しやすいといえるほど。

土が平面だと、土の下で根が土に押されて外側に広がりにくいです。

しかし畝のように溝があると、根が成長した体積の分だけ土が外側に押し出されます。

このように根が成長する空間が自動で広がりやすくなっています。

根が成長すると植物全体も成長するので、栄養が多く必要になります。

これで土に栄養がありすぎる状態をある程度予防できます。

最後に

「とりあえず肥料いっぱい与えとけばいいか」なんて考え。

これはかえって生育を邪魔してしまう結果になりかねません。

土に必要なのは「栄養のバランス」です。

どれか一つが突出してしまうと、他の栄養の吸収を阻害してしまいます。

植物の成長に多量の栄養が必要なのは確かです。

が、追肥などは徐々に施して一気に与え過ぎないようにしましょう。