マスクで防げる・防げないもの。マスクの種類ごとの性能

2021年4月24日人体・病気病気

コロナウィルス蔓延で需要が急激に高まったマスク。

しかし、どんなマスクが、どの程度の感染予防ができるのか?

飛沫感染や空気感染といったものはマスクでどの程度防げるのか?

ウィルスの感染経路を調べていたらマスクについて調べる機会があったので、より詳しく調べてみました。

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マスクの本来の役割

そもそのマスクに求める役割とはなんなのか。

このあたりを覚えてからマスク選びをしてみましょう。

①ウィルスなどを吸い込みにくくする

「ウィルスを感染(うつ)されたくない人」にとっては、マスクをすることでウィルスを直接吸い込みにくくなります

マスクをすると口元が塞がれるので、息を吸い込むと急激に空気が入ってこなくなります。

そうなると空気中に漂うウィルスなどを吸い込む機会・量も減るので、感染を予防することができます。

しかし密室や1~2mくらいの近距離だと空気中のウィルスの濃度が上がるので、完全に予防するのは困難になります。

あくまで吸い込む量を制限するものだと思っておきましょう。

②ウィルスの拡散を防ぐ

こちらは「ウィルスを感染(うつ)したくない人」にとっての効果です。

飛沫感染などは咳やくしゃみ・息を吐く・喋るなどで唾液が飛沫となって空気中に拡散します。

咳など勢いがある場合は5mくらい、喋るだけでも1~2mは細かい飛沫(エアロゲル・マイクロ飛沫)が拡散します。

そのため、感染者がウィルスを拡散しないようにするのは困難です。

しかしマスクをすれば息や飛沫などがせき止められて勢いが無くなるため、マスクの外側に漏れるのを防ぎます。

ただウィルスや細かい飛沫はマスクの網目を通れるくらい小さく、時間が経てば経つほどマスクの外側へと徐々に漏れていきます。

やはりウィルスの拡散を防ぐには他者に接触しないのが一番の解決策でしょう。

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市販マスクで確実に防げるもの

いきなり残念なお知らせですが、一般的なマスクで確実に防げるといえるのは花粉やハウスダストくらいなものです。

まずマスクの網目の大きさは最小で5~10μm(マイクロメートル)ほど。

ですが、皆さんがマスクで防ぎたいと思うものはこれより小さいものがほどんどです。

※1μm = 0.001mm(マスクの網目 = 0.01mm)

図にするとこんな感じ。

このように花粉は30μmの大きさなので網目にひっかかります。

が、飛沫はギリギリ。

細菌や(図だと小さすぎてわかりにくいですが)ウィルスは普通に網目を素通りしてしまいます。

こうしたことから完全に防げるのは飛沫以上の大きさのものに限られます。

くしゃみなどでできる大きいの飛沫はマスクで防げますが、それ以外のエアロゲルという空気中を漂えるくらい小さい・軽い飛沫は完全には防げません。

そのため「予防率100%!」なんてマスクは存在しません。

マスクを厚くする・複数層構造にするなどしても、良くて90%ほどになります。

こうしたことから少しでも性能を高めるため「三重構造」とマスクの密度を高めて粒子を通さないようにしています。

※ちなみにPM2.5は2.5μm以下、タバコなどの煙は1μm以下、ガスなどは0.3μm以下だそうです。

ただマスクをすることにより「直接吸い込む空気の量」はかなり減るので、まったくの効果ナシというわけではありません。

…そしてインフルエンザウィルスなどはウィルス単体では感染せず、飛沫や体液に含まれた状態で体内に入ると感染するらしいので、マスクをつけることは無意味ではありません。

実際マスク着用者のほうが非着用者の2割ほどの感染率に下がるという実験結果もあるそうです。

それでもウィルスが大量にいる密室に長時間いる場合、マスクで確実に感染を防げるとはいえないでしょう。

マスクの種類

ではマスクの種類によって、ウィルスなどを防げるかどうか、その辺を紹介します。

一枚マスク:△

現在販売されているマスクの原型で、薄い布1枚でできた平型マスクです。

「原型」と書いたように現在このタイプは主流から外れ、ほとんど販売されていません

理由は布1枚でできていることから想像できる通り「予防効果がかなり低い」ことが挙げられます。

そのため現在は後述する「医療用マスク」が主流となっています。

医療用(不織布)マスク:○

別称「サージカル(手術)マスク」とも呼ばれており、病院などで医師・看護師の方が使っているタイプのマスクです。

1箱何十枚といった単位で市販されており、「3枚構造!」なんてかかれていると大抵はこれになります。

花粉・ウィルス・防塵・防寒と様々な用途に設定された、オールラウンドに対応できるマスクです。

特に「N95マスク」という、国際期間に合格したマスクがあります。

「N95マスク」は不織布の3層構造になっているものが多く、「0.3μmほどの微粒子を95%以上捕集できるマスク」という条件を満たしたマスクのこと。

飛沫感染などでも防げるようなマスクとして販売されています。

「0.3μm」は細菌レベル(0.5μm)の大きさよりも小さいので、使い捨てかつ性能を見れば相応の効果があります。

形状がいくつかあり

・折り込みも何もない「平型マスク」
・折り込みがあり顔に密着する「プリーツ型マスク」
・顔の形に固定化して隙間を無くす「立体型マスク」

この3種類があります。

ただウィルスレベルの大きさ(0.1μm)は完全には防げないので、マスクをつけている病院関係者が感染するのはこれが理由です。

ただそれでも一定の効果は得られるので、まったくのムダというわけではありません。

「買い物」や「通勤」といったときに使う分には充分かと。

布マスク:△

新型コロナによるマスク不足で「手づくりマスク」「布マスク」が使用され始めました。

一般家庭では加工が難しい不織布ではなく誰でも入手・加工しやすい布を使ったマスクとして注目され、マスク不足時から多く作られ始めました。

販売されているものは布を二重・三重にしてよりマスクの性能を高めています。

布を使っているため洗ったりして何度も使えるようになっているのが、マスク不足対策として有用性が出ました。

ただ布では不織布よりも網目が大きいため、ウィルスといった微小なものは完全に防げません

使っている布の品質によっても性能が上下しやすく、マスクの性能も不安定です。

そのため医療現場や人の密集地では感染のリスクが出てきます。

感染予防という観点では医療用マスクよりも低くなるので、あまり過信しないようにしましょう。

ウレタンマスク:△

ウレタンマスクもマスク不足に関係して注目され始めたマスクです。

ウレタンマスクは何度も洗って再利用できる・吸汗性・通気性と熱中症に対して有用なマスクになります。

しかし布マスク以上に網目が大きいものが多く、感染予防という点では不十分です。

ただ飛沫といった大きい分子まではなんとか防げるので、くしゃみによる感染などの予防にはなります。

布マスク同様に医療現場や3密になりやすい場所ではあまり使わないようにしましょう。

ぶ厚くしたものなら感染予防効果も高くなるので、できるだけ厚手のマスクを選びましょう。

ガスマスク ◎

最も優秀なマスクがガスマスク(防毒マスク)になります。

「ガス」という空気レベルのものを浄化するためのマスクなので、花粉はもちろんウィルスといった微小なモノも通しません。

ガスマスクは「吸収缶」という、口元についている特徴的な円盤型の缶で空気を浄化します。

この吸収缶は複雑に入り組んだろ過機能を持っており、火山ガスといった有毒ガスでも吸着して空気を浄化してくれます。

簡易型は吸収缶が1つ、より性能がいいのは2つ吸収缶がついています。

あるいは吸収缶のかわりに酸素缶がついているものがあり、こちらはそもそも外の空気を取り込まないのでウィルスなどを気にする必要はなくなります

ただこのように優秀なガスマスクですが、口だけでなく眼のあたりまで覆ってしまいます。

日常で使うにはかなり大仰・不便なマスクといえるでしょう。

防塵マスク ○

工場などの塵の舞う作業現場で使われるのが防塵マスクです。

通常のマスクよりもゴツく、ガスマスクに比べると簡素な見かけのマスクです。

こちらも「N95マスク」の規格で作られているため防塵効果は高く、粉塵が舞う作業場でも問題なく使えます。

「工場などで使う」という用途の関係上、ドラッグストアではなくホームセンターなどで販売しているので、購入の際は間違えないように。

タイプとしては2つあります。

通常マスクに似たタイプ

普通のマスクを固くしたような防塵マスクで、立体型マスクと同じ形状をしています。

基本使い切りタイプ。

ただ形が変わっただけだと思いますが、マスクの網目は通常マスクよりも細かいためキチンと機能します。

作業中に使うという関係上、口元に隙間を作って息苦しさを感じにくいよう立体型のマスクにしています。

ガスマスクに似たタイプ

こちらは少々大仰でガスマスクに似たような感じのマスクです。

ガスマスクのようにメカニカルフィルタ・エレクトリックフィルタという防塵用の吸収缶を使うタイプ

もう一つが繊維状のフィルタを使うタイプがあります。

メカニカルフィルタは多重構造で、エレクトリックフィルタは繊維に帯電させた静電気で塵などを捕集する仕組みになってます。

使い切りタイプと違い、こちらは吸収缶・フィルタのみを交換して使います。

また数回は問題なく使い続けられるものが多いです。

ただ感染予防する場合は何回も使わないほうが無難です。

マスク本体もプラスチック製でそこまで重くないので、使ってみてそこまで不便ではありません。

強いて言うならガスマスク同様ゴーグルのように頭の後ろに紐を通すため、取り外しが少々面倒なところ。

あとは口元に密着する部分が布タイプのものとゴムタイプのものがあるので、購入の際はよく見ておきましょう。

ただフィルタ1枚の単価が高くなるので、日常で使い続けるには費用がかさみます。

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総評

まとめると感染を完全に防げるのはガスマスクくらいしかないという残念な結果になりました。

しかし感染をほぼ確実に防げるガスマスクを日常で使い続けるなんて非合理的です。

かといってマスクをしないと感染のリスクは急激に上がるため、やはりつけたほうがいいのも事実。

「完全には防げないが一定の効果がある」というのがなんとももどかしいです。

コロナウィルス蔓延で非常事態宣言が出されましたが、人との接触を減らすのが一番確実です。

マスクをしていても必要以上に他者に近づくのはやめたほうが無難でしょう。

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