乾電池の正しい使い方。電池の特性や使用に適した機器

その他・雑学その他

一般的に販売されている乾電池。

大別して「アルカリ」「マンガン」「ニッケル水素」の3種類がメジャーでしょう。

他に毛色の違う乾電池はあるものの、基本的にはこれらのどれかを使っていると思います。

ですが乾電池ごとに性能の違いがあり、適した機器で使っていないと電池の寿命が激減することがあります。

この記事はそれぞれの乾電池の違いを主に解説していきます。

アルカリ乾電池

アルカリ乾電池の正式名称は「アルカリマンガン乾電池」。

後述する「マンガン乾電池」との区別のため「アルカリ」でのみ呼ばれています。

アルカリ乾電池は「一次電池」という、放電のみを目的とした電池の分類に入ります。

アルカリ乾電池に限らず、市販されている乾電池はほとんどがこの一次電池です。

アルカリ乾電池は乾電池の中でも高めの電流を持っており、パワーがある電池といえます。

電力を消費する・馬力が必要な機器に向いている電池です。

そのためミニ四駆のようなモーターを使った機器ではアルカリ乾電池が向いています。

電力を使い切るまでの寿命も乾電池の中でもトップクラス。

すべての乾電池の中でも使い勝手は良いものになっています。

アルカリ乾電池は一度の放電量や内包する電気量が多いです。

そのため継続的に電気を消費する機器の使用に向いています。

ライト・ラジオ・多機能デジタル時計・モーターを使用する機器・プレーヤー。

こうした機器は一度に多くの電気を消費するため、パワーのあるアルカリ乾電池の使用が適しています。

他にも日時・気温といった別のものも表示しているデジタル時計。

こうした多機能な機器だと電気の消費が多くなるため、アルカリ乾電池のほうが向いています。

暗くなると点灯する「夜行・センサーライト」も意外と消費が激しいです。

一時的に電気を消費するものでも、光量などを増やしたいならパワーのあるアルカリ乾電池を使いましょう。

マンガン乾電池

マンガン乾電池はアルカリ乾電池より歴史が古いです。

それはアルカリ乾電池の60年ほど前、1880年代に開発されてます。

そのため市販されている乾電池としては最も古いタイプの一次電池になります。

見た目のカラーバリエーションは黒・青・緑・赤と多種多少な外装。

イメージしやすいのは黒い外装の乾電池でしょう。

この色は電池の性能を表しています。

…標準
黒…高性能
…高出力
…高容量

マンガン乾電池は「(アルカリ乾電池に比べ)電気量が少ない」「使っていないと電圧が回復する」という特徴があります。

詳しい説明は省きますが、電気は電池内で金属と電解液の化学反応で生まれます。

しかし電気が生まれると反応済みの金属(電気を生み出せない部分)も増えます。

それが電気が流れる(生まれる)のを邪魔してしまいます。

この邪魔な部分は順次どかされていくのですが、アルカリ乾電池のように多くの電気を流すと間に合わなくなります。

これが電圧・電流が下がる原因です。

マンガン乾電池は一度に生み出す電気量が少ないため、この邪魔な物質の除去が早く進みます。

そのため少しでも通電するのをやめると電圧が元に戻るというわけです。

しかし総電力量などではアルカリ乾電池が完全に上位互換となってしまっています。

そのためマンガン乾電池の国内での流通量はかなり減ってきている状態。

今でこそ金属製ですが、初期のマンガン乾電池は紙を巻いた乾電池だったこともあるそうです。

これは材料の「塩化亜鉛」がアルカリ乾電池の「水酸化カリウム」よりも扱いが楽だったから。

「塩化亜鉛」は弱酸性で、金属との化学反応のしやすさはアルカリ乾電池に使われる「水酸化カリウム」より低いです。

扱いやすい電解質として使用され、化学反応も低かったため外装も紙や段ボールを使っていたというわけです。

マンガン電池はあまり電気を使わず、断続的に使う機器が使用に向いています。

これは「電気量が少ない」「少しでも通電しないと電圧が元に戻る」という特性のため。

時計・リモコン・ガスコンロやストーブの点火etc…。

このように必要な電気が少ない・通電するのが一瞬な機器だと長持ちします。

価格もアルカリ乾電池に比べると安いです。

1年に何回も電池切れを起こさないような機器に使いましょう。

EVOLTA(エボルタ)

EVOLTAはPanasonicがアルカリ乾電池の上位互換として開発した乾電池になります。

昔あった「ロープで山登り(ガチ)をするオモチャの乾電池」というCM。

それがこのEVOLTAです。

構造として乾電池の外装部分の強度を薄いまま強化。

これで電気を生み出す金属や電解液を多く入れることが可能に。

比例して発電量も増やした乾電池です。

このため使用時間・保存時間双方が大幅に上昇しています。

「世界一長持ちする単三乾電池」としてギネス入りするほどになりました。

また乾電池共通の「低温化では発電効率が落ちる」というネックを改善した乾電池でもあります。

普通の乾電池の適正温度は「5~45℃」になります。

しかしEVOLTAでは「-40~60℃」と氷点下~高温下でも本来の性能を発揮できるようになっています。

この乾電池はパナソニックのみが販売している新世代乾電池。

年々シェアも増やしているそうで、乾電池売り場で目にすることも多くなってきました。

アルカリ乾電池同様に、消費電力が多い機器に適した乾電池になります。

しかし持続時間はアルカリ乾電池より上。

アルカリ乾電池よりも長く機器を動作させることができます。

氷点下でも性能を損なわずに使用できるため、寒冷地や冬の屋外での使用も問題無しです。

アルカリ乾電池でも早くに電池切れになってしまうような機器なら、このEVOLTAを使ったほうが良いでしょう。

注意点

EVOLTAを使用する上でいくつか注意点があります。

EVOLTA(充電式)と間違えない

EVOLTAは普通の「使い切り」タイプと、何度でも「充電式」タイプの2種類あります。

ただ表記が両方とも「EVOLTA」で販売されています。

使い切りのタイプでは青いパッケージ。

充電式のタイプでは「充電式」という表記と緑のパッケージに入っています。

「充電式」を間違えて購入して、電池切れになってそのまま捨ててしまう…。

あるいは一次電池タイプを充電器に入れる、といった間違いに注意しましょう。

規格が合わない

稀に規格が合わない機器があるそうです。

規格が合わないと電池が入らなかったり、うまく通電せず動作しなくなります。

EVOLTAはPanasonic独自で製造されているため、こうなるケースがあるそうです。

…まあ公開されている情報ではほんの数種類なので、あまり気にすることは無いと思いますが。

一応対象機器の情報サイトのリンクを貼っておきます。

新アルカリ乾電池EVOLTA(エボルタ)のご使用にあたってのお知らせ

リチウム電池

リチウム電池(リチウムイオン電池)は非常に強いパワーを持った乾電池になります。

通常の単三乾電池の電気量は1000mAhちょっと。

それに対し、リチウム電池では3000mAh以上の電気量をつくれます。

電圧も一般規格の1.5Vのものや、強い電圧を必要とする機器用に3V以上のものがあります。

形状は「乾電池」と「ボタン電池」の2通り。

乾電池タイプでは充電式となり、「ボタン電池」では使い切りになります。

低温化でも使用でき、未使用での放電も少ないため様々な場所で使用ができるのも特徴です。

高出力・充電可能ということもあってか電池だけでなく、バッテリーとしても製造されています。

普通の乾電池では電圧や電気容量が足りない機器での使用が適しています。

特にボタン電池タイプでは小型の機器でも長時間動作させることが可能。

小型LEDライトや、警報機といった長時間放置している機器が適してます。

リチウム電池は乾電池の中では特に強いパワーを持っています。

乾電池で長時間動作させたい場合や、モーターといった消費電力の強い機器に使いましょう。

酸化銀電池

酸化銀電池はもっぱら「ボタン電池」として使われている電池になります。

特徴は、低温下でも使える・未使用での放電が少ない・電気容量が多い等。

リチウムタイプのボタン電池と似た特性を持っています。

こうした特性から小型の電池(ボタン電池)として使うのに適しいます。

1960年代には開発されており、それなりに古い電池といえます。

そのため元々「ボタン電池といえば酸化銀電池」といえるほど。

しかし「銀」という希少金属を使っているため銀市場の影響を受けやすいです。

原料の銀の価格が高騰すると、連鎖的に酸化銀電池の価格も高騰するという欠点を抱えています。

こうしたことから、アルカリやリチウムといった別の金属によってボタン電池が開発されたという経緯があります。

酸化銀電池では「電圧は必要ないけど、長時間動作してほしい」といった機器の使用に向いています。

腕時計などは動作するのにパワーは必要ありません。

しかし数年といった長期間動作し続けられる電池が好まれます。

そのためアルカリやリチウムタイプのボタン電池よりも、酸化銀のボタン電池を使ったほうが長続きします。

空気電池

空気電池の正式名称は「空気亜鉛電池」といいます。

こちらも酸化銀電池同様にボタン電池がメインで製造されている電池です。

空気電池は電池の中でも珍しく電極として空気中の酸素を使って発電する電池になります。

通常電池が発電する際にはプラス極・マイナス極に別々の金属を使っています。

しかし空気電池ではプラス極が存在しません。

代わりに空気中の酸素を電池内に取り込んで化学反応を起こして発電します。

このため未使用時には発電しないように電池にテープやシールを貼って保存されています。

プラス極の金属が必要ない分、マイナス極や電解液を増やして電気量を多くし安価にしています。

また一定の電気量を供給し続けられるといった特徴もあります。

その反面空気の状態の影響をモロに受けます

酸素が少なかったり低温になると性能が低下するという欠点を抱えてます。

1900年代初頭には理論は完成していたそうです。

しかし当時の技術では大型化せざるをえず、電池サイズになったのは1970年代以降。

「プラス極が要らない分、大量の触媒を電池内に詰め込める」という特性。

このため充電式の空気電池を開発できれば「低コスト」「大容量」の電池になると期待されています。

発電量はリチウムタイプの電池よりも多いとされています。

開発が成功すれば電池界の勢力が変わる可能性も大いにあるでしょう。

発電できる電気量が多いため寿命も長く、かつ一定の量の電気を供給し続けられます。

そのため長時間動作し続けさせたい機器に向いています。

ただ似た特性の酸化銀電池と違い発電に空気が必要です。

そのため完全に密閉された環境では使用に不向きです。

そのため補聴器のように外気に触れている、かつ長時間使用し続ける機器で使われています。

ただ電圧などは低めのため、動作にパワーが必要な機器の使用には向いていません。

ニッケルカドミウム電池

ニッケルカドミウム電池はかなり歴史が古い充電池です。

1900年前には開発されたとされ、日本では1960年代に開発・販売されています。

「ニッカド電池」「̚カドニカ電池」で聞いたことがある人もいるかと思います。

ニッケルカドミウム電池はかなり頑丈な電池です。

過放電・長時間放置などをしても電池そのものの劣化が少ない特性があります。

低温下でも一定の性能を維持できるというのもあります。

その反面、電池の未使用時の自然放電が多く、そのため長時間動作させるような機器には向かないです。

電圧も1.2Vと他の電池(1.5V)に比べると少々低め。

そのため、たまにパワー不足で機器が正常に作動しないこともあるそうです。

電気量も少なめになる傾向にあるため、これも長時間の動作に向かない原因になっています。

おまけに使われている金属のカドミウムが、あの有名な公害「イタイイタイ病」の原因金属です

一般家庭で日常的に使われる乾電池ではちょっと敬遠されます。

それでも電池そのものの耐久性や低温化でも使えるということで、一定以上の需要がある電池になります。

はっきりいうと、あえてニッケルカドミウム電池を使うメリットは少ないです。

まず低電圧・少電量なため、一般で流通している機器では正常に動作しない可能性があります。

材料も先ほど書いたように「イタイイタイ病」の原因金属。

こうしたことから家庭内、特にお子さんがいると使うのは躊躇されます。

…まあどの電池の材料も相応の危険はありますが…。

一応乾電池として販売はされているものの、専用の機器のみで使うのが特徴となっています。

強いて挙げるなら「劣化が少ない」という点。

電動工具やコードレス電話・非常用照明などの機器に使われています。

ニッケル水素電池

ニッケル水素電池は二次電池という充電式乾電池の一種になります。

Panasonic製の「eneloop(エネループ)」と「充電式EVOLTA」が有名でしょう。

ニッケル水素電池は充電専門の乾電池で、使い切りの一次電池タイプのものはありません。

ニッケル水素電池は幅広い機器で問題なく使えることを売りにした充電式乾電池になります。

前述したニッケルカドミウム電池では一般家庭での使用に不向き。

そのためニッケル水素電池が販売されると普及し始めました。

当初は自然放電が多く、未使用で保管していても電池切れが早くなる欠点がありました。

しかし現在では改善されて一層扱いやすくなっています。

表記電圧は1.2Vと低めですが、使用中は機器に合わせて電圧が変化する特性があります。

そのため1.5V推奨の機器でも問題なく使えます。

ただ電気量は電池の製造会社ごとにかなり違いが出ます

できればPanasonic製のeneloop(電気量:1900mAh)がオススメです。

ただ近年はリチウム電池の登場で少々シェアが押されています。

それでも一般家庭用の充電乾電池としては優秀な部類です。

リチウムのように高価な材料でもなく。

カドミウムのように人体・環境に影響がある訳でもない。

製造しやすく扱いやすい電池といえます。

ただ温度が高くなると自然放電が多くなる傾向があります。

夏場だと電気が減りやすくなるというのが欠点といえば欠点になります。

性能としてはアルカリ乾電池の上位互換になり、長時間の使用にも耐えられます。

アルカリ乾電池同様に、ライト・ラジオ・多機能デジタル時計・モーターを使用する機器。

こういった電気が多く必要な機器で使えます。

次いで充電すれば何百回と同様の性能で使えます

これで電池一本分のコストを大幅に下げることができます。

やたらと電池切れになりやすい機器を使っているなら、いっそニッケル水素電池に取り換えてしまいましょう。

水電池

かなり変わり種の乾電池ですが、水電池は電池の中に水を入れることで発電できる電池です。

もっぱら災害時用の電池として開発・使用されます。

少量の水を乾電池に入れれば普通の乾電池のように使えます。

用途の関係から乾電池が置いてあるコーナーには無く、災害コーナーに置いてあることが多いです。

水を入れて使用さえしなければ20年保管していても大丈夫だそうで、ほぼいつでも使用することができます。

水…というよりもH2Oという成分さえ含んでいれば良いらしいです。

雨水やジュース・コーヒー果ては唾液でも動作するそうです。

普通の乾電池のように電圧は1.5Vの設定。

ライト・ラジオといった災害時に使う機器でも問題ありません。

ただ分類としては一次電池になるため、電池切れでまた水を入れても再度発電することはありません。

環境を汚染させる成分を含んでいないらしく、使い切ったら一般ゴミとして出せるようです。

現在では日本協能電子株式会社が開発した「NOPOPO」しか開発・販売されていません。

ただ特殊かつ市場が小さいためか1本あたりの価格は約200円ほどとなります。

まあ長期保存が可能・災害時専用なので、いくつかは購入しておいて損は無いと思います。

…使う機会が無いに越したことはありませんが…。

さきほども書いたように、電圧が1.5V設定のため大抵の機器で使用が可能です。

ただ電気量はそこまで多くないそうです。

推奨されているのはLEDライトやリモコン・小型ラジオと、消費電力が少なめの機器になります。

しかし電気量は少なくとも、モバイル機器を充電するための乾電池を使った充電器も使えます。

電気が通っているかわからない災害時での需要は高いといえるでしょう。

ボタン電池

その形状から「ボタン電池」「マメ電池」などと呼ばれる電池。

さっきから各電池の項目でちょくちょく出てますが、実はかなりの種類がある電池になります。

「各電池の項目で」と書いた通り、形状は一緒でも種類ごとに中身は別物

この電池は例え形状が同じでも材料や適した用途が違うことが多いです。

電池の特性・適した機器は各種類に沿うので割愛。

ただ「小さい」電池のためか、材料・性能が良いものがほとんどです。

販売されている種類(材料)はこちら。

・アルカリ
・二酸化マンガンリチウム
・フッ化黒鉛リチウム
・酸化銅リチウム
・空気
・酸化銀
・水銀
・ニッケル水素

ボタン電池は補聴器や小型LEDライトなど、利便性のある小型機器に使われます。

電池の出力が高くなりやすい「リチウム」を使ってるものが多いです。

これは電池が小さいネック(電池量・電圧が低い)をクリアするため。

ただし希少金属のコストがかかるため、大きさのわりに割高な値段ばかりです。

また使い切ったからといって希少金属を捨ててしまうのはもったいないので、しっかりリサイクルする必要があります。

ホームセンターなどで専用の回収箱があるので、再購入の序でに入れておきましょう。

充電式ボタン電池

さっきの一覧で地味にあるのが「ニッケル水素」型。

そう、ボタン電池でも充電式のものがあります

かなり意外です。

「ボタン電池 充電」や「ボタン電池 ニッケル水素」と検索するとヒットします。

もちろん専用の充電器も販売されています。

もっぱらソーラー充電式の自転車ライトなどの電池として使われているそうです。

火災原因トップ

ボタン電池は火災の原因になりやすいです。

電池全体が電極なため、金属などと接触すると通電しやすいです。

そのため保管や捨てる際には、セロテープで覆うのが通例です。

ジャラジャラとひとまとめにして保管しないようにしましょう。

ボタン電池に関わらず、電池全体の取り扱いはこちらの記事で。

乾電池で火事? 間違った扱い方や保管方法

結局どの電池が良い?

ぶっちゃけ日用機器に使うなら、そこまで気にしなくても良いかと。

最近はアルカリ電池でもオールラウンドに対応できるようになってます。

そのためよほど特殊な機器でもなければこれで足ります。

私見ですが、充電式乾電池(ニッケル水素系)が万能といえます。

充電すればするほどコストが安くなり。

いちいち買いに行く必要もなく。

寝てる間に充電できる。

こんな感じで結構役に立ちます。

私は日用品の機器は大抵コレ(充電式)。

初期投資(電池の値段)こそ高いですが、利便性や最終的なコストは遥かに良いです。

電池全般の注意点として、電池切れが早い、動作不良があるとその電池が合ってない可能性があります。

適した電池を調べて組み合わせましょう。