ブラック企業の特徴と見分け方。こんなところがあったら要注意

2021年5月12日仕事・会社仕事

入社して心配になるのが「うちの会社ってブラック企業…?」という考え。

よほどのことが無ければ、入社前にブラック企業かどうか判別するのは至難の業。

しかし本当にブラック企業なら、求人や面接ではわからなくても実際に入社するとほぼ確実に感じてくるでしょう。

そんなブラック企業かどうかの判断基準をいくつか紹介していきます。

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ブラック企業:レッドゾーン

まずは、ほぼ確実にブラック企業と見なされるであろう特徴を紹介します。

もしこの中に一つでも当てはまるものがあるなら、自分の会社はブラック企業の疑いが出ます。

基本的に法律違反なものが多いのでわかりやすいです。

・大量の残業時間
・基本労働時間オーバー
・休みが無い
・サービス残業
・最低賃金以下
・就労契約違反

かなり分かりやすく、かつ悪質と言えるものがこれらです。

残業時間の上限オーバー

1か月の総残業時間が45時間オーバーならブラック企業の可能性があります。

2019年4月に労働基準法の残業時間について改正され、残業時間の上限は「月45時間、年720時間以内」と明記されました。

つまり日常的に1日の残業が2~3時間以上ある会社の場合はここに引っかかる可能性が出てきます。

ただ繁忙期など、やむを得ず残業しないといけない業種もあります。

そのため、条件付きである程度の緩和策も用意されています。

それがこちら。

・休日出勤を含めた時間外労働の総時間が720時間以内
・休日出勤を含めた時間外労働が月100時間未満
・休日出勤を含めた時間外労働の「2か月~6か月平均」が月80時間以内

これらのどれにも違反しなければ、このように時間外労働の上限が割り増しになる場合もあります。

ただし残業が月45時間を超えられるのは1年に6か月間のみです。

どんな事情や言い訳があろうと、1年の内半年以上月々の残業が45時間を超えるとアウト。

ブラック企業認定です。

1週間の基本労働時間は「40時間以内」

残業時間を短くする(残業代を払わないようにする)ために「1日9時間労働にすればいいじゃん!」という悪質な企業。

これに対応するため、「1週間の基本的な労働時間は40時間以内」と定められています。

つまり労働時間は平均で1日8時間以内となり、これを超えると残業と見なされます。

明らかに1日の基本労働時間が8時間を超えているようなら、この部分に引っかかりブラック企業の可能性も。

最低でも週休1日

「雇い主(企業・会社)は労働者を1か月(4週)に4日は休ませないといけない」という項目があります。

つまり平均で1週間に1日は休日を設定しないと法律違反になります。

ただ「4週に4日」となっている通り、例え3週連続労働でも4週目の時点で4日分の休日があれば違反とはならないので(残念ですが)注意しましょう。

…まあこれはこれで精神的にキツイので、別の意味でブラック企業かと感じますが。

ちなみに休日関係で、「週休2日」と「完全週休2日」の違いはこちら。

週休2日…1週間の内2日は休日になることがある
完全週休2日…かならず週休2日になる

「年に1回でも週2日休日になる」ことが無いと、求人などに週休2日とは明記できません。

「完全」がつかないと毎週2日お休みにならないので、お間違えのないよう。

サービス残業

残業代が出ないのは給料を払わないのと同義で違法です。

先ほど「労働時間は40時間以内」と書きましたが、どう見繕っても40時間以上働けばその差分が残業となります。

しかし時折残業代を払うのをしぶるときの言い訳で有名な「みなし残業代」や「年俸制」。

みなし残業代も年俸も「残業代込みで給料を払っている」というもの。

これは営業やトラック運転手のように、実働時間がわかりにくい職種でよく見られる形態です。

しかしこれは「毎日〇時間働いたと想定しておき、その残業代を給料に含む」という意味。

これより働いていても残業代が増えないなら違法です。

このような特殊な給与形態だからといって、諦めて泣き寝入りするのは早いです。

※1:
未払いの残業代を請求できる時効は2年です。

せっかく稼いだお金が法的に無効になる前に請求しましょう。

※2:
残業代が発生する時間は会社によって少々違いがあります。

1時間単位だったり、短いと10分単位で残業代を支払ってくれる場合があります。

自分の会社ではどの程度の時間残業したら残業代が出るのか確認しておきましょう。

給料が最低賃金以下

働くことの意味の大部分を占める「給料」ですが、これが最低賃金以下だと完全なブラック企業といえます。

最低賃金とは「1時間あたりの賃金」になり、平たくいうと時給になります。

最低賃金は県ごとに少々違いがあります。

2019年10月に最低賃金の改定がなされ、最高なのは東京の1013円。

逆に最低なのは青森・鳥取・長崎・沖縄(以下複数県)の790円。

平均すると大体850円前後でしょうか。

最低賃金は都会になればなるほど高くなる傾向にあり、逆に物流などが盛んでない県…いいかたは悪いですが、少々田舎だと国が判断していると安くなる傾向があります。

まあ都会になればなるほど家賃などが高くなるので、それに対応しての判断でしょうが…。

普通の会社はこれより少し高めに設定しているもので、正社員であろうとアルバイトであろうと時給が最低賃金以下だと完全にブラックです。

「日当」で給料に換算されていても実働時間で割れば簡単に金額はわかります。

マトモな会社なら最低限の給与として、会社がある地区の家賃や食費・光熱費などを含めた月々の支出に合うように設定されているものです。

そうじゃないとマトモに生活できませんから。

一度自分の住んでいる県に設定されている最低賃金を調べて、きちんとそれ以上の給料を貰っているか確かめてみましょう。

業務が契約内容と違う

就職した(雇われ)たら、まず社員契約の書類を渡される(渡されないのは論外として)と思います。

しかしブラック企業では求人での業務内容とは明らかに内容が違ってる場合があります。

発覚するのは早ければ書類の確認時、遅くても実際に業務に働き始めればイヤでもわかります。

これは単純に契約違反になりますし、あるいは普通に求人しても誰も集まらないから、という理由でしょう。

この場合その業務内容にふさわしい給与ならまだマシなほうで、最悪割に合わない給与になっていたりすることも。

似たような事例で「誰でも簡単に覚えられ、すぐにできるようになります」のみたいな謳い文句の求人で、実際は過酷な単純労働だったりする場合です。

たしかに「簡単に覚えられる」「すぐにできる」は合っていても、体力的な問題などで身体を壊しやすい業務をさせられる可能性も出てきます。

ウソや屁理屈で従業員を働かせるなんて、ロクな会社じゃないでしょう。

業務外の仕事

上記の「ウソの業務契約」と似ていますが「契約内容とは別の仕事がある」というのがあります。

実際にしている業務に直接的に関係することならともかく、全く別の仕事をやらされるのは雇用契約とは違うといえます。

まあ急に人手が足りなくなったりしたための、一時的な緊急措置なら仕方ない部分もありますが…。

しかし1日に精々十数分程度の時間ならともかく、毎日1時間以上雇用契約に書かれていない仕事をさせられるのはブラック染みてきます。

例としては、メインの契約は「単純な軽作業」なのに対し、1~2時間以上「面倒な重作業」をさせられる、といったものです。

本来の業務とは完全に別のことを長時間させられるのは契約違反ですし、最悪賃金に反映されない場合も多いです。

1時間以上しているなら普通に考えても「その業務に適した時給」が払われてもおかしくないでしょうし。

程度によりますが「割に合わない」と感じるならブラック企業の可能性も出てきます。

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ブラック企業:イエローゾーン

ここからは法律に違反していなくても体力的・心情的な面などでキツくなる会社の特徴です。

この中で突出して酷いものがあったり、複数当てはまるものがあるなら要注意です。

・精神論至上主義
・ワンマン経営
・平社員の離職率
・パワハラ系
・残業前提の仕事量
・少なすぎる社員
・作業効率の軽視
・作業マニュアルが無い

労働基準法などには抵触しなくとも、就労環境としては微妙なものがあります。

こういった会社でも、慢性的に社員が辞めていきやすい環境です。

酷いと月一で社員が辞めていくこともあります。

やたらと根性論を出す

よく耳にする「やる気が足りない」なんて精神論・根性論で仕事を回すような会社は現代に合っていません

どんなに頑張っても・集中してもそれが毎日続くわけがありません。

人間本当に集中して作業できるのは精々数分~十数分が関の山です。

しかし仕事が終わらないのを「やる気がない」だの「気合が足りない」で解決させようとしても、物理的にムリなものはムリです。

そもそも常に切羽詰まった状態で作業しないと終わらない仕事なんて、かならずどこかで失敗、あるいは大惨事を起こします

思考停止した精神論ではなく、まずは全体を見渡した上での理論を作るべきでしょう。

ワンマン経営

社長といった個人レベルで会社を回しているとあっという間にブラック企業に変わりかねません

ワンマン経営は完全に個人の判断で会社のあれこれを決めているため、いざというとき止められる人がいません。

そのため明らかに従業員に不利なことが決まってもそれが簡単に可決されてしまいます

ワンマン経営で有名なのが、スティーブ・ジョブズの「スマホを水に沈めて泡が出るなら、もっと薄くできるはずだ」なんてエピソードもあります。

こういった売り上げなどに直結するようなこだわりならともかく、気分で方針を決めるような経営者はかなりヤバいです。

ちょくちょくあるのが「昨日〇〇という経営論の本を読んだから、今日から取り入れる!」なんてミーハー精神で会社を回す経営者。

自分の会社に合っているかをよく考えもせず方針転換するようでは、労働者はたまったものじゃありません。

あるいは「社長より発言力が強い中間管理職」なんてのも厄介です

こういったケースでイメージしやすいのが「先代社長に拾ってもらった古参の社員」なんて場合です。

まだ新社長が会社を継いだばかりで、発言力が低く古参の社員に頼ることが多い場合。

その頼られた古参の社員が調子に乗って職権乱用するようになることがあります。

横暴ぶりを社長に直談判しても「随分世話になったし…」と心情的に注意ができない状態になることも。

こうると、延々と現場を荒らされるようになります。

本人がいなくなるくらいしか解決策が無くなることもあるため、非常に厄介です。

標準な地位の社員が次々辞めていく

入社してから1~2か月して、従業員が辞めていったりしたことがありませんか?

これがただの偶然だったり何か突発的な事情なら仕方ありませんが、それが毎月のように続くなら要注意です

普通はアルバイトでも数か月単位は腰をすえて働くものです。

しかし頻繁に人が辞めていくなら何かしら会社側に問題があることが多いです。

「標準的な地位の社員」というのは、以下のような人。

・平社員
・アルバイト
・パート

こうした人達は最も人員が多く、現場で主力となっている人のことです。

しかし当然ながら地位は低く、上の意向には逆らえません。

そのため業務に問題があると真っ先にその影響を受けます。

特にヤバいのが正社員が次々辞めていくことです。

就活する苦労を知っているなら、その苦労の結果をムダにするようなことはしたくないはずです。

にもかかわらず辞めていく人がいるということは辞めたほうががマシと考えているということです。

入社したばかりでは少し変なところがあっても「ここはこういう場所なんだ」という心理が働き、自分の中に押し込めてしまいがち。

しかし辞めていく人は何か月かして「やっぱり変だな?」と感じたり、あるいは実害を体験して辞めていく人がほとんどでしょう。

小さなことでも職場に何かしら社員にストレスを与えるものがある、といえます。

~ハラスメント

退職理由でもトップランクに挙がるであろう「パワハラ」や「セクハラ」

こういったことをする社員を放置しているなら、その会社の上層部の倫理観に問題があります。

「~ハラスメント」といっていますが、要は「人の嫌がることをやめない人がいる」ということ。

こうしたことを会社側に告発すれば、大抵は当人に何らかの処置をします。

・口頭注意
・厳重注意
・減給
・解雇

しかしこういった処置が下されていない・改善されていないなら、問題を「どうでもいいこと」と判断している可能性があります。

人間的にも問題がありますし、労働力が減る理由をわざわざ放置しているということは経営論から見ても問題です。

同僚(同じ階級)の人がこうなら、まずは上司に相談。

もし上司がこうなら、さらに上の役職の人に相談するようにして、どういった判断を下すのか見てみましょう。

残業前提の仕事量

社員の人数に対して割り振られる仕事量が多いと、現場のことを上が把握してない可能性があります。

終業時間までに仕事が終わらないと「残業」となりますが、そもそもどうやっても時間までに終わらない仕事量があるのはおかしいです。

通常は終業時間には終わるように仕事を割り振るのが基本

「残業」とは突発的な理由で時間が取られたり、その日の仕事量が急に増えたりしたときに対応するためのものです。

しかし「残業前提」で仕事を割り振っていると、1人減っただけても残業しても終わらない可能性が高いです。

しかも翌日にも残業前提の仕事量があるため、延々と終わらない負のスパイラルが続いていきます。

こうなると仕事に嫌気がさして辞めていく人も出てくると思います。

仕事量に対する人員が少ない

ある意味先ほどの「残業前提の仕事量」にも関わりますが、仕事量に対して十分な人員がいないと残業代が出てもツライことになります。

起業したての会社ならともかく、長年業務をやっていれば1人あたりの仕事量の限界というものはわかってくるものです。

しかしいつまでたっても従業員が増員されないようでは、毎日定時で仕事が終わるようなことはありません。

そもそも1人雇うより残業させたほうが安くつく場合もあるため、あえて雇おうとしない会社もあったりします。

経営論としては正しいのでしょうが、あまり度を超すと逆効果になりやすいです。

あまりに仕事量が少ないときが多いならともかく、毎日同じような仕事量にも関わらず1人あたりの限界を超えた量を与えるのはおかしいことです。

もし1人雇うだけで会社が傾くようなら、そもそも先は長くない会社といえるでしょう。

人員がギリギリ

似たようなケースで「1人減ると過重労働になる」といった場合もあります。

1人が病欠で1日~数日休むなら仕方ありませんが、入院、悪いと退職などで人員が減るとあっという間に余裕がなくなることがあります。

こういった会社の場合はいつもギリギリの人員か、それ以下で会社を回しているということ。

こんなケースになれば2人いなくなるだけでも、毎日フルに残業しても仕事が終わるかどうかわからない状態になります。

突発的な出来事にも対応する余裕も無く、何か問題があっても改善する時間さえ取れないことも。

中小企業だったり上記の「仕事量に対する人員が足りない」も併用していることも多いので、すぐわかると思います。

作業効率を重視しない

明らかに改善できる箇所があるのに、それを放置しているのも問題です。

安全性などの問題でそうせざるを得ないなら仕方ありませんが、どうでもいいことで時間をかけるようなら労働時間をムダにしています

イメージしやすいであろうのが「昔からこうだからこうすればいい」という、ある意味で思考停止しているであろう考え。

頻繁に作業する項目の場合は、少しのムダでも無くせばかなりの時間短縮になります。

例えば1日に100回同じ作業をしないといけないとして、そこで1秒短縮できれば100秒(1分40秒)の短縮になります。

…これだけだと少ないでしょうが、工場勤務などだと数千~数万回同じ作業をするのも珍しくありません。

先ほどの例で、仮に1000回同じ作業をするなら1000秒(16分40秒)…かなり馬鹿にできない時間を短縮できます。

こうしたことを軽視して残業時間が増えるのも馬鹿らしいです。

せっかく仕事を効率化できるのに、理屈もないのに改善しないのは経営者・労働者として問題です。

それなのにいつまでたっても同じ状態なら「時代遅れ」や「ただ頑固なだけ」というレッテルを張られても仕方がないといえるでしょう。

作業の指導・マニュアルが存在しない

入社したあと業務内容の指導をしない・作業マニュアルがない会社は注意が必要です。

入社したての人は何をすればいいのかわからないのが普通です。

にも関わらず仕事を教えてくれないのは、問題です。

業種によって理由は分かれるかもしれませんが、厄介なのが以下の理由の場合です。

「すぐ辞めるから」と考えてる

通常はその部署でも仕事に慣れている・間違いが少ないであろうリーダー以上の人が教えてくれると思います。

よほど単純で間違えてもさほど問題がない作業なら先輩クラスの人が担当することもありますが、基本は業務内容を熟知している人が担当するのが普通です。

しかしこれが無く「見て覚えろ」というスタンスの場合、新人が早くに辞めていく・人員の入れ替わりが激しい可能性が出てきます。

簡単にいうと「教えてもすぐに辞めていくから意味がない」と上が考えていて、かつそういったことが多発している場合は職場に何らかの問題を抱えている可能性が高いです。

教えられる人がいない

上記の内容にも関係しますが「そもそも教えられるほど仕事を覚えている人がいない」という可能性です。

新人が辞めていくならまだしも、部署リーダークラスまでもが辞めていく場合、先輩・新たにリーダーになった人でも完全に仕事を理解しているとは限りません。

つまり肩書がリーダーでも知識は新人よりマシ程度なので確実な教育ができないということです。

こんな状態を長年続けている会社では、そもそも経営陣クラスの役職の人の考え自体がおかしい可能性があります。

しかも大体これとセットになるのが「特定以上の役職の人は辞めていかない」というもの。

例えば主任クラスまでは次々辞めていくのに、その上の課長以上の入れ替わりは全くないことです。

上の役職の無茶ぶりで社員が辞めていくと考えるのが普通でしょう。

ブラック企業の対応策

これでブラック企業にありがちな特徴の紹介を終わります。

業種によってはもっと細かい所もあるでしょうが、大抵の会社で共通するであろう部分を書いてみました。

もしブラック企業に入ってしまったら

・辞める
・自分のまわりだけでも改善する
・上司に直談判する
・労基(労働基準監督署)に駆け込む

といった対応を取ることになると思います。

もし自分の会社がブラック企業だと感じたら、どういった方向性であろうと身の振り方を考えるようにしましょう。

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