血液はどの程度で回復する? 回復する時間や早くする方法
人体にはおおよそ5リットルほどの血が流れており、1リットルほどの血液を失うと命に危険が及びます。
そのため大量の出血を伴うケガではまず止血が肝心です。
失った血液を手っ取り早く回復させるには輸血が有効ですが、そこまでのケガをするのは稀でしょう。
ただ「献血」といった、自発的に血液が少なくなることもあります。
そういった場合「どの程度で血液は元通りになるのか?」という疑問が出てきたので調べてみました。
1日約15ml程度
血液を作る能力は年齢によって増減しますが、大体体重1kgあたり約0.6mlほどとなっています。
つまり体重60kgの人が1日で作れる血液の量は38ml前後とかなり少なめ。
このことから「400mlの献血なら10日くらいで回復する」と思うでしょうが、実際はもっとかかります。
血液の寿命は約120日なので、毎日120日前に作られた血液(38ml)が失われている計算になります。
結局のところ、1日で作られる標準的な血液量は毎日失う血液分の補填にしかなっていません。
つまり「今日作られる血液」>「今日使えなくなる血液」となるように血液を増産しないと、血液の回復はできないことに。
血液で最も作るのに時間がかかるのが赤血球で、400mlの献血なら大体3~4週間(約1か月)かかる、とされています。
喪失分の血液量を計算に入れると、実際に作られている血液量は1日15~20ml前後、ということになります。
血液量は体重の約8%
血液は大雑把に4種類の成分に分けられています。
・白血球…ウィルスなどを攻撃する免疫細胞
・血小板…血管の傷を塞ぐ
・血漿…ビタミンなどの栄養を含んだ液体
血液の大部分を構成するのは「血漿」という液体で、そこに赤血球などが混ざった形になっています。
血液は体重の約8%前後流れており、体重60kgの人ならで約4800mlの血液がある計算になります。
このうち1000ml(1リットル)以上の血液を失うと命の危険が出始めます。
ただ、結局は血液の総量と比較しての出血量なので、体重が軽い人ほど上限値は少なくなります。
体重30kgぐらいの子供なら、数百ml失うだけでも命に関わってきます。
血液は「骨髄」で作られる
血液は「骨髄」という箇所で毎日、この瞬間も絶えず作られています。
骨髄は全身の骨の内部の中心部にあり、ここで作られた血液が骨の内部に走る血管によって運ばれています。
骨というと「カルシウム」「中は空洞」なんてイメージがあると思いますが、実は内部にもギッシリ組織が詰まっています。
骨の中心部は血液を作る組織である骨髄と血管が入っており、実際には柔らかい箇所です。
骨の断面図だと網目状になっている部分がありますが、そこに入っているのが骨髄といった組織。
骨髄には大きく分けて「赤色骨髄」「黄色骨髄」の2種類。
血液を作り出しているのは赤色骨髄。
黄色骨髄は赤色骨髄が造血能力を失って脂肪となった部分。
若い内には全身の骨に骨髄が存在しますが、年をとってくると手足といった小さい部分の骨の骨髄は黄色骨髄へと変化していきます。
ちなみにこの「若い内」というのは5歳までの間で、6歳以降から徐々に赤色骨髄が黄色骨髄へと変化していきます。
老齢になってくると、最終的に骨髄がある骨は頭蓋骨・胸骨・脊椎骨・肋骨・腸骨といった大きい骨にしかなくなっていきます。
血液を多く作るには
失った血液以上の血液を作るには、血液の素となる食べ物を食べる必要があります。
特に大事なのがたんぱく質と鉄分。
たんぱく質は血液だけでなく、あらゆる体組織の素になる成分で特に大事なもの。
鉄分は赤血球(ヘモグロビン)を作るのに最も必要な成分。
血液を多く作るには、これらを含んだ食品をよく食べることが大事です。
たんぱく質を多く含む食品は「肉類」「魚介類」「大豆製品」「乳製品」「卵類」が代表的。
鉄分は「煮干し」「レバー」「貝類」や、「ほうれん草」などの緑黄色野菜に多く含まれます。
ちなみに鉄分は動物性の食品に含まれる「ヘム鉄」と、野菜に含まれる「非ヘム鉄」の2種類あり、非ヘム鉄の方が吸収効率が良いです。
そしてこれらと一緒に摂りたいのがビタミン類。
ビタミンはたんぱく質といった栄養素を体内で合成(細胞を作る)するために使われています。
特にビタミンB6はたんぱく質、ビタミンCは鉄分の吸収に必要になります。
それぞれの1日の最低摂取量は、たんぱく質は60グラム(体重1kgあたり1g)、鉄分は10mg前後。
女性だと月経で血液が無くなりやすいので、期間中はこれより少し割り増しで摂取。
ただ鉄分は40mg以上摂り過ぎると悪影響が出始めるので、サプリメントなどを摂り過ぎるのは注意しましょう。