【アクアリウム】 キレイな緑の絨毯を作れる水草9選
アクアリウムで憧れる「緑の絨毯」。
水槽の底に水草を敷き詰めて絨毯状にするわけですが、適した水草にもいろいろあります。
こういった水草は専門の店舗でもないと扱っていないため、目にする機会が少ない人も多いでしょう。
では緑の絨毯になれる水草はどういったものがあるのか?
木や岩などにも付けられる水草も併せて紹介していきます。
キューバパールグラス
アクアリウムにおいて「緑の絨毯」の定番といえるのが、この「キューバパールグラス」。
普通のパールグラスと違って横に育っていくので、放っておいてもどんどん絨毯を形成してくれます。
ツタを伸ばすようにして生息域を広げていくので、一か所植えておけば勝手に水槽底がパールグラスで埋め尽くされるくらい。
2~3ミリと小さな葉が大量にあるため、キメ細かい絨毯を演出できます。
難点としては根が抜けやすいという点。
自分の浮力や、エビなどの生体に抜かれてしまったりと、しっかり根付かないと抜けてしまうことがあります。
「ミスト式」などで、水槽に入れる前にある程度活着させておけば抜けにくくなるので、なかなか根付かない人は試してみましょう。
ニューラージパールグラス
ニューラージパールグラスは、キューバパールグラスの大きいバージョン。
葉の大きさは5ミリ前後まで大きくなりますが、育ち方はキューバパールグラスのように横に伸びていきます。
キューバパールグラスと違って葉が大きいため、光合成をしやすく成長速度も速いです。
成長速度が速いため根付きも良く、大きいので浮力や生体の影響で抜けることも少ないです。
キューバパールグラスよりも難易度は低めといえるでしょう。
グロッソスティグマ
「憧れの緑の絨毯」といわれるほど人気なのが、この「グロッソスティグマ」。
キューバパールグラスのように土の上に茎を伸ばして増えていきます。
葉の大きさは5ミリ前後。
地中によく根付いて成長するので、抜けてしまう心配も少なめ。
根付くと葉の一本一本が独立して成長していき、かなり密集していく特徴があります。
こうしてキレイで密度の高い絨毯を形成していくわけです。
難点としては光量やCO2などにウルサイ、という点。
光量が弱かったり、CO2の添加量が少ないとうまく成長してくれません。
どんな水草でもこのあたりで失敗する人が多いそうなので、設備は万全にしておきましょう。
リシア
緑の絨毯もそうですが、酸素の泡の絨毯も見たいならリシアがおすすめ。
リシアは5~10ミリほどのY字状の水草が複雑に絡み合ったようになっており、それが密集して黄緑の絨毯を形成します。
成長していくとフンワリとした集合体にもなるので、景観のアクセントにもなります。
一番の特徴は活発な光合成で大量の酸素の泡を作り出すこと。
リシアは光量などの環境が良ければ光合成をしやすく、すさまじい量の酸素の泡を出してくれます。
その酸素の泡がリシアにとどまり続けるので、さながら「酸素の泡の絨毯」とも見えるようにも。
ネットショップの画像で泡まみれのリシアが表示されることが多いですが、実際にあれくらいの泡を簡単につけてくれます。
もう一つの特徴として繁殖がかなり簡単な点。
リシアはY字の葉の一つ一つが独立しているため、それだけで成長・繁殖してくれます。
少量のリシアでも1か月もすれば「森」といえるほどの量まで繁殖してくれます。
欠点としては浮力で浮き上がってしまいやすい点。
リシアは本来浮草なので土や岩などには活着せず、おまけに大量の泡をつけるため、浮力も段違いに高いです。
そのため浮き上がらないよう「リシアネット」で水底に沈めたり、テグスで岩などに縛り付けて設置します。
それでも生半可な設置方法だと浮き上がってしまうので注意が必要です。
ドワーフリシア
ドワーフリシアは上記のリシアの小さいバージョン。
葉の大きさは2~5ミリほどなので、よりきめ細かい絨毯を作りたい人におすすめできます。
リシアほどこんもりと成長はせず、低い背丈を維持してくれるので、より絨毯らしく見えます。
こちらも活発な光合成で酸素の泡を出してくれます。
リシアほど浮力も強くないので、そこまで浮き上がる心配も少ないのも特徴。
注意点はリシアに比べ少し成長が遅いので、うまく成長しないと藻が生えてしまうことも。
エビなどの藻を食べる生体を入れて対処しましょう。
人気の水草なのか売り切れ・在庫なしなんてことも多いため、もし見かけたら「買い」だと思いましょう。
ヘアーグラス
ヘアーグラスは「アクアリウムの芝生」といえるような景観になります。
芝生のような緑色の細い葉が1本ずつ上に伸びていくため、群生するとまさしく芝生といえる見た目になります。
…まあ5センチ以上の長さになるため、絨毯っぽさは薄れるかもしれませんが…。
アクアリウムに「芝生」「草原」を作りたい人に薦められる水草になります。
日本でも自生しているところもあるそうで、人によっては自然のヘアーグラスを見た人もいるかと。
繁殖能力が高く、地下茎を伸ばしてどんどん増えていきます。
環境適応能力も高いようで、水質が合わなくても一旦葉を溶かして、新しい葉を再形成するそうです。
2週間もすれば生え変わるそうなので、早とちりして抜いてしまわないように。
欠点…というか、上に書いた通り「背丈5センチ以上」となるので、小さ目の水槽だとかなり圧迫感があります。
大きいと10センチ近くまで伸びるそうで、こうなると「絨毯」どころじゃないかと。
景観の占有率が多いので、見栄えを気にする人は注意しましょう。
トリミングなどが面倒なら下記の「ショートヘアーグラス」を使ってみましょう。
ショートヘアーグラス
ショートヘアーグラスはヘアーグラスの小さいバージョンです。
「ヘアーグラス・ショート」とも。
大きさはヘアーグラスの3分の1くらいで、3センチ前後、大きくても5センチ前後。
「ヘアーグラスだと扱いにくい」「トリミングが面倒」なんて人におすすめ。
ただ藻が生えやすいそうで、1か月もすると葉に付着するように発生します。
対処法はトリミング。
結構短めに切ってしまっても、また新しい葉が生えてくるそうです。
環境適応能力や繁殖力はヘアーグラスと同じくらいといえます。
オーストラリアンクローバー
オーストラリアンクローバーは名前の通り、クローバーの見た目をした水草です。
「オーストラリアン・ノチドメ(クローバーの意)」と呼ばれることも。
あっさりした黄緑色をしており、三つ葉のクローバーに似た1センチほどの大きさの葉をつけます。
ただクローバーと同じなのは葉の見た目だけで、茎をツタのように伸ばしながら葉をつけていくタイプになります。
一か所で群生するのが基本ですが、いつのまにかツタを伸ばして遠くで育ってることも。
段差があってもツタを上向きに伸ばしていくので、岩や流木があってもお構いなしです。
またかなり頑丈な部類の水草の一種で、「ドブ川でも自生する」なんて言われるレベル。
それでいて見た目はキレイでやわらかい印象なので、初心者でも育てやすい水草になります。
ただ葡萄(折り重なったように群生)状態で育てるとなると、難易度が少し上がります。
葉に光が届かないと、隙間を空けるために上向きに育って行ったり、あるいは枯れてしまうことも。
群生しすぎだと感じたらある程度トリミングしていきましょう。
コケ類(ウィローモス他)
水草とは微妙に違いますが、ウィローモスを代表とするコケ類でも絨毯的なものは作れます。
結構地味なイメージがあるコケですが、同じコケ類でも見た目がかなり違うものもあります。
何より普通の水草のように強い光量を必要としないので、難易度もグッと下がるのもポイントです。
基本的に岩や流木に活着させて使いますが、リシアのようにマットを使って水底に群生させることもできます。
ウィローモス
まずはコケ代表といえるウィローモス。
メジャーな種類のコケ類で、いろんなところで販売されています。
国産・南米産が主に販売されています。
どちらも店頭だとかなり濃い緑をしていますが、成長途中のウィローモスは薄い黄緑色になります。
成長はかなりゆっくりですが、かなり頑丈でしっかり群生してくれます。
また、エビにとってウィローモスを初めとしたコケ類はかなり重要な要素です。
隠れ家になり、エサになり、繁殖の場となりと、エビにとって無くてはならないものとなります。
コケの入門用として役に立つので、初心者や自信が無い人でもどうぞ。
グリーンモス
グリーンモスはコケ類の中でも、かなり控えめな成長を見せます。
ウィローモスなどは5センチくらいは葉を伸ばしますが、グリーンモスは2~3センチほどに留まります。
そこまで葉を伸ばさずに群生してくれるので、コケの中でも絨毯らしさを出してくれます。
こちらも最初は濃い緑ですが、成長中はウィローモス同様に黄緑色となります。
コケによる景観の侵食を抑えたいならグリーンモスがおすすめとなります。
フレイムモス
フレイムモスは上へと伸びていくコケです。
色は薄い緑ながら、まるで炎が立ち上るかのような成長を見せるので「フレイム」の由来となっています。
長いと10センチ近くまで成長します。
その様相から小さい水草のようにも見えるので、水草を使わずアクアリウムの景観をにぎやかにしたい人におすすめです。
ただ上方向に成長する性質のため、横への成長は控えめになります。
水底に群生させたいなら小分けにして植えていく方が効率が良いです。
バブルモス
バブルモスは条件付きですが、酸素の泡の絨毯を作れるコケになります。
見た目や色はウィローモスなどに似ていますが、強い光量を維持できれば大量の酸素の泡を出してくれます。
リシアと比べても遜色がないほどの泡を出すので、酸素の供給も兼ねたいなら是非とも使いたいコケといえます。
また酸素を出す(光合成をする)ということは、水中の余計な養分を吸収しているということ。
目に見えた水質浄化もできるコケと、水草と変わらない役割を期待できます。
オレゴンリバーモス
オレゴンリバーモスは、ウィローモスなどよりも葉の一枚一枚が大きいコケです。
2倍ほどの大きさになるので、成長すると小型の水草にも見えるように。
葉が大きいのも影響しているのか、こちらも酸素の泡を大量に付けます。
かなり鮮やかな黄色が強い緑になることもあるので、群生すればキレイな水草と遜色なくなります。
「コケは地味すぎてイヤだ」という人におすすめ。
モスファン
モスファンは、ウィローモスなどとはかなり見た目が違います。
葉全体が丸みを帯びて扇になっており、どこか多肉植物的な、あるいは海藻っぽさを感じます。
茎が見えないレベルで群生するため、ウィローモスなどのような瘦せたような・尖ったような感じはありません。
名前の通り柔らかさを感じる姿を見せてくれるので、ゆったりとした絨毯を作れます。
ただ「ヤワラゼニゴケ」というコケと混同されることがあるので、購入の際には注意しましょう。
※育てるには強い光と二酸化炭素
水草全般にいえることですが、水草の成長には「強い光」と「二酸化炭素」は必須になってきます。
特に「緑の絨毯」を作れる水草にはその影響が顕著に表れます。
「ライトだけだと成長しなかったのが、CO2添加で酸素の泡まみれになった」なんてザラです。
水草栽培でのネックは、種類にもよりますが藻が生えてきやすいという点。
藻は胞子で繁殖するため、完全に防ぐのはほぼ不可能と見た方が良いです。
しかし水草が活発に成長していれば話は別。
そのため水草が絶えず成長しやすい環境を用意すれば、藻の繁殖は抑えられます。
要は水草が水中の栄養を横取りできる環境にするわけです。
しかし絨毯を形成する水草は水底に敷くことになるため、強い光じゃないと充分な量が水草に届きません。
そして二酸化炭素は水草の「エサ」といえる重要な要素なので、絨毯といえるまで育てるにはやはり必要。
こうしたことから水槽を設置する場所によっては、強いライトやCO2ジェネレーターが必要になることも。
あるいは別途肥料が必要になる場合もあります。
いろいろと手間はかかりますが、緑の絨毯だけでなく、水草を繁殖させる手間は惜しまないほうが後々ラクです。
ライトはともかく、CO2ジェネレーターは格安で自作することもできます。
作成難度も低いので、うまく水草が育たない人は一度試してみてください。
複数種植えたいなら…
以上の水草の紹介で、複数の緑の絨毯を作ることができると分かったと思います。
しかしだからといって、対策もなしにたくさん水草を植えるのはやめましょう。
絨毯状になる水草は(コケ類は除き)環境が良ければ強い繁殖力を発揮します。
いい加減な植え方をすると互いに邪魔をしあって、アクアリウムの景観が悪くなる場合も。
複数の絨毯を作りたいなら水槽の底に石などで敷居を作って、互いの生息域を限定しておきましょう。
それでもパールグラスなどのツタを作る水草もあるので、その場合は「壁」といえるほど石を高く積み上げないといけません。
あるいは水底に高めの段差を作り、「上段」「下段」としてしまうこと。
「上段」にはヘアーグラスなど、横に伸びる力が弱い種類を。
「下段」にはラージパールグラスなど、ツタを使って繁殖する水草を植えましょう。
それでも小型の水槽では1~2種類、3種類以上の絨毯を作りたいなら大きい水槽じゃないといけません。
できるかぎり厳選してから植えていきましょう。