【アクアリウム】水槽に二酸化炭素(CO2)を供給する方法
アクアリウムをやっていると、水草を植える人が多いでしょう。
その水草を育てるには日光やライトが必要ですが、それとセットで覚えたいのが二酸化炭素(CO2)。
二酸化炭素は水草のエサといえるもので、ある意味肥料よりも重要なものです。
大抵の水草は、液肥などの肥料よりも二酸化炭素を与えた方が成長が良くなります。
特に大量の酸素を泡を出したいなら二酸化炭素は必須です。
では二酸化炭素を水中に供給する方法はどれだけあるのか?
アクアリウムの規模や、手間やコスト面も含めて紹介していきます。
CO2ジェネレーター
アクアリウムにおいて、どんな人でもしている・おすすめできるのが「CO2ジェネレーター」です。
CO2ジェネレーターとは、設備を使って二酸化炭素を作り出す方法になります。
この方法の利点は長期的な供給と、維持コストが安い点です。
CO2ジェネレーターは主に2種類あり、水槽の大きさによって使い分ける人が多いです。
一つ目は、即効性があり高濃度の二酸化炭素を供給できる「化学式」。
二つ目は、最も安価かつ自作も簡単な「発酵式」があります。
化学式
化学式のCO2ジェネレーターは「クエン酸」と「重曹」を使って高濃度の二酸化炭素を発生させます。
詳しい原理は置いておき、この2つを混ぜると化学反応で二酸化炭素が発生します。
この二酸化炭素は非常に高濃度なので、水に溶けやすく量も多いです。
そのため大型のアクアリウムでは化学式CO2ジェネレーターを使う人も多いです。
60センチ水槽の場合、クエン酸・重曹を各200グラムずつ使って約1か月ほど二酸化炭素を供給し続けられます。
クエン酸と重曹は100円ショップでかなりの量を確保できるので、維持コストもかなり安いです。
100円ショップの場合、クエン酸は200グラム前後、重曹が500グラム前後の値段で販売されてます。
なので、設備さえ用意してしまえば維持費は1年約1700円ほどと低コスト。
大型の設備だとかなり値段が張りますが、化学式CO2ジェネレーターはペットボトルで自作可能です。
作成キットも3000円ほどで販売されているので、設備を導入する敷居もかなり低いです。
個人的には工作スキルが無いと空気漏れなどが起きやすいので、不安ならキットの方を使ってみましょう。
よほど大型な設備でもなければ安価に抑えられるので、そこまでデメリットがありません。
こうしたこと化学式CO2ジェネレーターを使っている人は多いかと。
ただ自作の化学式CO2ジェネレーターの注意点として、必ず二酸化炭素の発生をしっかり制御できる作りにしましょう。
自作の化学式CO2ジェネレーターだと、化学物質を自分で反応させて二酸化炭素を作るわけですが、その初期調整がかなり難しいです。
反応のさせ過ぎで過剰に二酸化炭素が発生すると、容器が破裂してしまう可能性があります。
自作しようとした人は、ここでつまずいて諦める人もいるくらいには難しいそうです。
発酵式
発酵式CO2ジェネレーターは数ある方法の中で一番低コストで用意・維持できる方法です。
発酵式では「イースト菌」と「砂糖」を使って二酸化炭素を発生させます。
イースト菌を砂糖水に入れると発酵が始まり、イースト菌が二酸化炭素を排出します。
砂糖100グラム:イースト菌1グラムの比率なら、軽く1か月は二酸化炭素を供給し続けるほど維持性も高め。
基本的に砂糖さえ追加し続ければ二酸化炭素が発生するので、砂糖1キログラム(200円)ほどで1年間持つ計算です。
イースト菌の値段込みでも年間コストは500円ほどに収まるほど低コストで維持できます。
設備も簡素なペットボトル式でOKで、ちょっとした工作スキルがあれば1時間もせずに作成可能なほど。
こうした理由からCO2ジェネレーターを初めて使う人の入門用としても優れています。
キットも販売されているので自作ができない人でも問題なし。
欠点は二酸化炭素の濃度が少し低い点と、量が不安定な点。
イースト菌という生物頼りな方法なため、濃度や量を自分で制御するのは難しいです。
冬場は発酵が進まず、逆に夏場だと発酵が進み過ぎてすぐにカラになったりと、二酸化炭素の量の調整が面倒です。
発生する量も化学式と比べると少なめなので、大型のアクアリウムだと二酸化炭素の供給が追い付けなくなっていきます。
逆にいえば、一度の発生量が少ないので容器が破裂するような危険性はありません。
60センチ以下の水槽なら充分に二酸化炭素を供給し続けられます。
「二酸化炭素の供給でお金をかけたくない」「安全が一番」なんて人には是非おすすめの方法です。
液体式
液体式の二酸化炭素の供給は、液肥などに二酸化炭素を作る微生物を混ぜたものになります。
効果はそこまで高くありませんが、魚のフンなどを分解してくれる働きもあるため、水質の改善の効果もあります。
液肥も配合…というかこちらがメインなので、水草が育ちやすい環境にしたい場合に特に役立ちます。
他の二酸化炭素の供給方法と違い、設備のコストがまったく無いのもポイント。
水槽の周りをあまりゴチャゴチャさせたくない人におすすめできます。
欠点としては液肥過多。
やりすぎは液肥過多となりコケの大繁殖などの弊害が出ます。
水草の量が少ないと処理しきれないため、立ち上げ初期の水槽だとたまにやるのがベスト。
大きめの水槽で水草も多く繁殖している場合に使うのが基本となります。
CO2レギュレーター(気体式)
エアーレーション(酸素を出すブクブク)の二酸化炭素バージョンで「CO2レギュレーター」とも呼ばれます。
見た目はCO2ジェネレーターと似ていますが、こちらは二酸化炭素を入れた専用のガスボンベを使います。
高濃度の二酸化炭素を供給し続けられるので、水に溶ける二酸化炭素の量は充分。
「高濃度の二酸化炭素」というと化学式のCO2ジェネレーターも同じですが、あちらは扱いが少々難しい部分もあります。
しかしガスボンベ式ならセットするだけでOKなので、容器の破裂といった心配は無用。
安全性などではこちらに軍配が上がります。
祭りの露店で見るような大型ボンベから、ガスコンロで使うような小型ボンベもあります。
…まあ大型ボンベが必要なアクアリウムが普通の家庭でできるとは思えないので、基本的には小型ボンベの方を使うことになると思いますが…。
「設備費をどうしてもおさえたい」という人は、水槽内に二酸化炭素が入った筒を設置する方法もあります。
こちらは二酸化炭素を入れた拡散筒を水槽内に入れ、徐々に二酸化炭素を溶け込ませるやり方になります。
ボンベから常時供給するやり方ではないため少々手間がかかりますが、設備コストが2000円ほどで、二酸化炭素量を調整しやすいメリットもあります。
小型の水槽ならこちらの方法で充分になります。
ただ欠点としては将来的なコストがかなり高くなること。
水槽のサイズや供給量にもよりますが、60センチ水槽だと小型ボンベ(60~70グラム)で1か月~2か月程で無くなります。
設備そのもののコストもそこそこあり、ボンベ代も含めてかなり値段が張ります。
小型ボンベ1本が500~800円ほどなので、1年使い続けると年間6000円以上はかかる計算に。
二酸化炭素があまり必要無い夜間や、水草の成長が鈍化してきたら使うなどの工夫をして消費量を抑えましょう。
それぞれの利点・欠点・コスト等
では、これまで紹介した二酸化炭素の供給方法のまとめ表です。
維持コストは、とりあえず60センチ水槽の1年間あたりで試算。
メリット | デメリット | コスト | |
---|---|---|---|
化学式 | 高濃度の二酸化炭素 持続性 維持費が安い 自作可能 | 設備コストが高い(自作除く) | 設備コスト:3000~15000円 維持コスト:2000円 |
発酵式 | 持続性 設備コストが安い 維持費がすごく安い 自作可能 | 二酸化炭素量が少なめ | 設備コスト:2000円 維持コスト:500円 |
液体式 | 液肥も添加 | 肥料過多になりやすい 二酸化炭素の量は微妙 | 設備コスト:無し 維持コスト:200円 |
気体式 | 高濃度の二酸化炭素 持続性 | 設備・維持コストが高い | 設備コスト:2000~14000円 維持コスト:6000円 |
「二酸化炭素を供給する」という目的で見れば、化学式のCO2ジェネレーターは目立った欠点もなく、メリットも大きいです。
次点で発酵式のCO2ジェネレーターといったところ。
アクアリウムをしている人は基本この2つで二酸化炭素を工面している場合が多いようです。
双方ともに自作が可能なので、設備コストも2000円ほどで抑えられます。
キットを購入するにしても3000円くらいなので、そこまで値段も張りません。
毎日安定して二酸化炭素を供給したいなら、この2つの方法のどちらかを選ぶことになるかと。
ちなみに、効率よく二酸化炭素を水に溶かしたいなら「CO2ディフューザー」を使いましょう。
CO2ディフューザーは気体をかなり細かい泡にして出してくれるので、より水に溶けやすくすることができます。
約1ミリほどの細かい泡を無数に出すようにしてくれるので、エアーストーンより二酸化炭素を無駄なく水に溶かせます。
これは「CO2ディフューザー」「CO2レギュレーター」、酸素を出す「エアーレーション」と、気体を出す全ての設備で使えるので重宝します。