水草ライトの選び方とおススメ。大切なのは「色」と「光量」
アクアリウムで必要になるライト。
ただ照らすだけならともかく、水草の生育も視野に入れると、ライト選びは重要になります。
ただここで慣れていない人がしがちな失敗が「光量が多いだけ」のライトを選んでしまうこと。
「光が強ければ良い」と言われたのは以前の話。
今は他にもライト選びで重視しておきたい点が他にもあります。
LEDライトを選ぶポイント
結論からいうと水草を育てるには「色」と「光量」重視しましょう。
植物が光合成するには特定の色の光が必要で、それが無いといくら光量が多くても意味がありません。
そしてLEDライトは蛍光灯のように単一で全ての色を発しているわけではなく、複数の色のライトを組み合わせて照らしています。
ただ色があっても強い光じゃないとエネルギーそのものが足りなくなるので、やっぱり光量も必要だったり。
そのため水草の光合成に必要な光が足りないライトもあったりします。
「色」は赤と青を含む
水草を育てるには「赤」と「青」の光が絶対に必要です。
植物は赤い光と青い光のエネルギーを使って光合成をしています。
そのため、赤と青のLEDライトを使っている水草ライトでないと水草がうまく育ちません。
蛍光灯やメタルハライドランプは多種多様な色の光を高照度で照らしているため、そのライト単品で効果が出ます。
しかしLEDライトでは単一の光のみを使っていることが多く、水草が光合成するには足りない場合も。
「読書用」といったLEDライトだとまず意味が無いので絶対使わないように。
LEDの水草ライトで重要なのは赤・青のLEDがいくつ混ざっているか、という点。
特に赤のライトが複数ついているかを確認しましょう。
現在の白色のLEDは青色のLEDを蛍光体に通して白色にするのが主流になってます。
そのため白の光があれば、まず青の光が不足することはありません。
しかし赤は不足しやすいので、赤のLEDが複数ついているライトの方が水草も成長しやすいです。
光量
上記の赤・青が混ざったライトで、かつ光量が強めのものを選びましょう。
どんな水草でも泡を出させたいなら、余裕を持って1000ルーメン(lm)くらいは欲しいです。
色も重要ですが、光が強くないと水槽の底まで光が届きません。
グリーンロタラのように水面まで育つ水草ならともかく、リシアのように水底で育てる水草には死活問題です。
そのため赤・青が混ざった色のライトで、かつ光量が強いのが望ましいです。
赤・青のLEDは白のLEDよりも1個あたりの光量が少ないため、複数個ついていないと光量は多くならないです。
必要になる光量は、水槽の高さ(深さ)によって違いが出ます。
水槽の高さ別に必要になる光量の大体の目安がこうなります。
水槽の高さ | 光量(lm) |
---|---|
20cm以下 | 500~ 1000 |
30cm | 800 ~ 1600 |
45cm | 1200 ~ 2000 |
60cm | 1800 ~ 3000 |
光量は、光が当たるまでの距離が長いと減衰して効果が低くなります。
そのため大きい水槽になるほど光量が強いライトが必要です。
アナカリスなど丈夫で光合成しやすい水草や、水面付近にある水草なら光量が少なめでも大丈夫です。
しかし強い光を必要とする水草はかなりの光量がないと充分な光合成ができません。
「リシア」といった水底に敷く水草も、水底に光が届くくらいの強いライトが必要になります。
500ルーメン以下のライトは、どんなに小さい水槽でも酸素の泡はできないのでやめるように。
実際400ルーメンほどのライトでリシアに10センチ以内で照らしてみましたが、一向に酸素の泡は出ませんでした。
光合成を全くしないわけではないのでしょうが、見栄えとしては精々「水槽を照らす」くらいに思っておきましょう。
ちなみにルクス(lx)表記だとライトの性能があてにならないので注意。
たまにルーメンではなくルクスだけの表記のライトがあります。
ルクスは「光が当たった場所の明るさ」を表示してますが、「どの程度の高さから」といったこと書かれてません。
そのため低い場所から照らした場合のルクス値の場合もあるので、水槽で使うには基準になりません。
しかしルーメンは「光の絶対数」といえるので、どんなライトでも共通した基準になります、
かならずルーメンでライトの光量を確認しましょう。
おすすめのライト
EAYHM 水槽 ライト
高さが20センチ以下といった、かなり小さい水槽でも使えるライトがこちら。
スタンド式と取り付け式なので場所を問わず設置でき、アームも自由に曲げられるようになってます。
光量は400ルーメンとかなり少ないですが、このサイズのライトでならかなり多い方になります。
何より消費電力が4ワットとかなり少なくてこの光量なので、あまり光熱費をかけたくない人にもおすすめです。
ただリシアといった多くの光量を必要とする水草では力不足感がします。
かなりピンポイントで照らすタイプなので、水槽全体に水草を植えてる場合は注意。
あくまで「20センチ以内の小さな水槽」くらいで使うライトになります。
※光量が300ルーメンのよく似た商品があるので、購入前には光量を要チェック。
GEX クリアLED POWERシリーズ
「水草ライトといえばコレ」といえるメジャーなライトが「GEX クリアLED POWER」シリーズ。
場所を取らない「SLIM」タイプと、基準となる「Ⅲ」タイプ、光量を増やした「X」タイプがあります。
各ライトの性能がこちら。
SLIMタイプ
名称 | lm | 消費電力(W) |
---|---|---|
450 | 750 | 13.5 |
600 | 1000 | 17 |
SLIMタイプはライトの幅が細くなっているため、さほど場所を取らずに済みます。
ただ設置できる水槽サイズが少なく、光量も他の同サイズのライトと変わりません。
Ⅲタイプ
名称 | lm | 消費電力(W) |
---|---|---|
300 | 500 | 9 |
450 | 750 | 12 |
600 | 1000 | 17.5 |
900 | 1500 | 23.5 |
1200 | 2000 | 35 |
Ⅲタイプが標準となります。
まあまあな光量ですが、強い光が必要な水草だと少々心もとない数値。
まあ水草を育てるには充分な光量ですが。
2台並列して設置して、光量を稼いでいる人もいるそうです。
Xタイプ
名称 | lm | 消費電力(W) |
---|---|---|
2030 | 300 | 5.5 |
4050 | 1000 | 14.5 |
600 | 1400 | 22 |
900 | 2100 | 29 |
Xタイプは光量を強めにしたタイプで、このタイプだけ20センチ水槽対応のライトがあります。
ただ2030の光量は少々少な目で、4050から光量が強くなっていきます。
1000ルーメンもあれば大抵の水草は光合成しやすくなるので、このあたりから使うのがおすすめ。
酸素の泡を見たいなら、このくらいの光量のライトから選びましょう。
コトブキ工芸 水槽 フラットLEDシリーズ
こちらはコトブキ工房から販売されている「コトブキ工芸 水槽 フラットLED」シリーズ。
「GEX クリアLED」シリーズ同様に赤・青の色をしっかりカバー。
こちらも水槽のサイズがプラス数センチは許容できる設計です。
このシリーズには「通常」タイプのライトから、「HL」タイプ・「ツイン」タイプのシリーズもあります。
「通常」タイプは一番サイズバリエーションが多く、20センチ水槽に対応したライトもあります。
「HL」タイプは照明パターンを6つに増やし、一部は光量も強くなってます。
「ツイン」タイプはライトの本数を増やし、光量をかなり増やしています。
通常タイプ
名称 | lm | 消費電力(W) |
---|---|---|
SS2032 | 190 | 4 |
SS3042 | 380 | 5 |
SS4052 | 590 | 10 |
SS600 | 810 | 13 |
SS900 | 1830 | 28 |
SS1200 | 2340 | 33 |
通常タイプは20~120センチの水槽に対応した各ライトがあり、どんな水槽でも設置できます。
ただ小さいタイプ(2032・3042)だと光量がかなり少ないので、光量が必要な水草の生育には微妙です。
HLタイプ(照明バリエーション6つ)
名称 | lm | 消費電力(W) |
---|---|---|
HL3042 | 550 | 10 |
HL4052 | 590 | 10 |
HL600 | 1130 | 14 |
HL900 | 1830 | 28 |
HL1200 | 2340 | 33 |
HLタイプは照明バリエーションを増やしており、「自然光」「ブルー」「レッド」「ホワイト+レッド」「ホワイト+ブルー」「レッド+ブルー」と、多彩な色彩で照らせます。
あとなぜか3042・600のタイプの光量が増えています。
30センチ・60センチ水槽で使うなら通常タイプより、こちらのHLタイプのライトを使いましょう。
ツインタイプ
名称 | lm | 消費電力(W) |
---|---|---|
ツイン3040 | 980 | 15 |
ツイン4050 | 1750 | 24 |
ツイン600 | 2550 | 34 |
ツイン900 | 3920 | 55 |
ツインタイプはライトを2本に増やしており、同じサイズのライトでも光量は倍以上に増えてます。
「なるべく光量を強くしたい」という人におすすめのタイプになります。
ただその分消費電力も爆増しているため、光熱費も増える点には注意しましょう。
アクロ TRIANGLEシリーズ
こちらの「アクロ TRIANGLE」シリーズはとにかく強い光が欲しい、という人におすすめの水草ライトです。
このシリーズはどんな水草でも育てられるようなライトとして設計されています。
他のライトよりもかなりお値段が張りますが、同サイズのライトで比べると破格の光量を誇るのが最大の特徴。
「通常」と「PRO」がありますが、「通常」の時点でもかなりの光量になります。
それぞれ白色がメインの「BRIGHT」と、赤色を増やした「BROW」のライトがあります。
では各ライトのスペックがこちら。
通常(BRIFHT)
名称 | lm | 消費電力(W) |
---|---|---|
300 | 1950 | 14.5 |
450 | 2800 | 24.4 |
600 | 4200 | 36.6 |
900 | 7000 | 61 |
1200 | 8400 | 73.2 |
通常(GROW)
名称 | lm | 消費電力(W) |
---|---|---|
300 | 1000 | 9.8 |
450 | 2000 | 19.6 |
600 | 3000 | 29.4 |
900 | 5000 | 49 |
1200 | 6000 | 58.8 |
通常版の時点でも、一番小さいサイズのライトでも1000~2000ルーメン。
よほど光量を必要とする水草でもなければ、大抵の水草に対応した数値です。
消費電力は増えてしまいますが、それでも「コトブキ工芸」シリーズのツインタイプよりコスパは良いです。
PRO(BRIFHT)
名称 | lm | 消費電力(W) |
---|---|---|
300 | 5015 | 34.4 |
450 | 5015 | 34.4 |
600 | 10030 | 68.8 |
900 | 15045 | 103.2 |
1200 | 20060 | 137.6 |
PRO(GROW)
名称 | lm | 消費電力(W) |
---|---|---|
300 | 4450 | 33.3 |
450 | 4450 | 33.3 |
600 | 8900 | 66.6 |
900 | 13350 | 99.9 |
1200 | 17800 | 133.2 |
一番小さい水槽用の300ライトですら「PRO」になれば最低でも4000ルーメン以上と破格の光量に。
他社のライトの数倍以上の数値です。
流石「水草を育てるためのライト」と銘打ってるだけはあります。
これだけの光量ならどんな水草でも酸素の泡を見ることが可能になります。
ただその分消費電力もすさまじいことになっているので、光熱費が気になる人は要注意。
ちなみに、アクロ TRIANGLEは吊り下げるためのスタンドも付属しているので、「直置き」「吊り下げ」のどちらかで設置できます。
「赤・青」を強い光で
水草も育てることを視野に入れるなら赤色・青色をどれだけ強い光で照らせるかが重要です。
赤・青があっても光が弱ければ、光合成のための充分な光エネルギーは得られません。
しかしただ強いだけの光では(LEDライトでは)光合成そのものができません。
特にロタラやリシアといった強い水草を育てるなら、これらの要素はかなりの影響を与えます。
水草が酸素の泡を出すのを見たければ、最低でも「赤・青の色込み、1000ルーメン」くらいは欲しいかと。
20センチと小さい水槽でも、実際にライトで照らしてみると意外に光が底まで届いてないような感じがします。
その分90センチ・120センチと巨大な水槽になると、かなりの高性能なライトでないと満遍なく照らすことができません。
ライトを買うときは、そのライトで本当に水草が光合成できるのか熟考してからにしましょう。
ちなみに…
ここまでLEDライトの色・光量を説明してきましたが、「じゃあ日光はどうなの?」と思う人もいるでしょう。
日光のスペックがこちら。
光量(lm)…30000~100000ルーメン
太陽光はまず「光の三原色」の赤・青・緑、そしてそれらの色を混ぜるとできる橙・黄・紫が分かりやすい色として認識できます。
そしてなんといっても光量が最低でも3万ルーメン、多いと10万ルーメンと、膨大な量です。
厳密には、この数値は地表付近に降り注いだ段階での光量。
太陽そのものの光量は約43,000,000,000,000,000,000,000,000,000ルーメンと、わけのわからない数値になります。
季節によって増減はあるものの、太陽がどれだけ強い光を発しているかがわかるでしょう。
そりゃ水草もブクブクと酸素を出すわけです。
これだけの光を人工的なライトで再現するのはとてもムリなので、おとなしく効率に走りましょう。