ろ過器の種類と作り方。ペットボトルろ過器からアクアリウム向けのろ過器まで

2021年4月6日工作・DIYDIY,ペット飼育

市販されているろ過器だと味気なかったり、性能的にも満足できない人もいると思います。

そんな人がたどり着くのがろ過器を自作してしまうというもの。

「ペットボトルろ過器」が有名でわかりやすいですが、他にも色々なデザインがあります。

ここでは単純な構造で簡単につくれるろ過器や、アクアリウムでも使えるようなろ過器の作り方を紹介します。

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ペットボトル型

誰でも簡単につくれるのがペットボトル製のろ過器。

ろ過器の中でも一番構造が単純で、ろ過器の仕組みを覚えるのには最適なタイプ。

作りも簡単で、ペットボトルの底を切るだけでろ過容器としては完成なので手間いらず。

少々手間はかかりますが、塩ビ管などを繋げて水槽用のろ過器にもできます。

たかがペットボトルと侮れず、2Lのペットボトルなら2Lの水をろ過できるということ。

意外にも期待できる性能は高いです。

ただどんなペットボトルでも良いわけではなく、できるなら炭酸飲料のペットボトルを使いましょう

お茶やスポーツドリンクのペットボトルでは凹凸が多いです。

そのため、ろ過材が満遍なく詰められずに大きな隙間ができてしまいます。

隙間が多くなるとろ過機能の低下にもつながります。

その点、炭酸飲料のペットボトルは凹凸が少なく、ろ過材を隙間なく入れられます。

炭酸の圧力に耐えるほど頑丈です。

こうした理由から、ペットボトルでろ過器を作るなら炭酸飲料のペットボトルを使うようにしましょう。

ちなみにペットボトルろ過器というと、逆さにしたペットボトルをイメージするでしょう。

しかし底部分に細かい穴を空けて使えば水槽内にも設置できるようになります。

逆さペットボトルが使えないときにおすすめです。

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植木鉢・プランター系

植木鉢やプランターを使い、ろ過材と一緒に観葉植物などを植えてしまうというものです。

ろ過材には植物の生育に適したものもあり、水のろ過をしながらでも植物は問題なく育ちます。

むしろ植物の根によってろ過機能が向上することが多いため、意外にろ過機能は持っています。

ろ過されてろ過器内に溜まった汚れはいずれ微生物に分解されます。

が、分解された成分はそのまま水槽内で循環してしまいます

ろ過器を使ったからといって、完全に水を浄化できるわけではありません。

そこで分解された成分を養分として吸収してくれる植物を植えます。

こうすれば溜まった汚れを除去しつつ、ろ過をし続けることができるようになります。

根が土の中に広がっていくタイプの植物だと満遍なく水のろ過をしてくれます。

「樹」といったタイプの植物よりも「草」といったタイプの植物の方が向いています。

イチゴといった食べられるものを植えておけば、水のろ過をしつつ家庭菜園も楽しめたりします。

注意点としてはろ過材に腐るものを使わない・植木鉢(植物の根)が水に浸かりすぎない

「腐葉土」といった有機性の土はいずれ腐ってしまい、水を汚すことが多いです。

また植物の根が水に浸かりすぎていると根腐れを起こしやすくなります。

植木鉢の高さの3分の1以上は水に浸からないようにしましょう。

循環型

循環型ろ過器とは、ろ過器の中で水を循環させてろ過機能を高めたものです。

U字を描くように水を循環させれば、縦長の容器を使わなくてもろ過能力を高くできます。

狭いスペースでも実用化しやすいため水槽内にも設置可能。

石や苔を容器につけることでアクアリウムでも似合うろ過器にもできます。

接着剤や配管は専用のものを使わないといけませんが、容器といった材料はすべて百円ショップで揃えられます。

いくつか試作したので紹介します。

単純構造のろ過器

これは循環型のろ過器の中でも最も簡素なもの。

大き目の容器の中にさらに容器を入れて、U字に水が循環するようにしています。

これが循環型の基本的な構造や機能。

容器を大きくするなどの改良をすればもっとろ過能力は高くなります。

容器を組み合わせるだけなので接着剤などを使わずに作ることができます

生体にも優しく作成難度もかなり低いです。

精々が容器に穴を空けるだけで済むので、自作ろ過器の入門としても役立ちます。

水が流れるろ過器

単純構造のろ過器を大型化させ、容器の側面に受け皿を取り付けて水が滝のように流れるようにしました。

接着剤が必要になるものの、こうして容器を大きくするとデザインにも幅が出ます。

使っている水槽に見合ったろ過器に仕上げることも可能です。

容器に石や苔・水棲植物を植え付ければ、よりアクアリウムに見合ったろ過器になります。

写真の容器に小さな石を石をくっつけてみたのがこちら。

石をくっつけるだけでかなり雰囲気が出ますし、苔などを植え付ける際の土台にもなります。

容器全体を石で覆えば、完全に自然と同化するようなろ過器にもできます。

苔などを植え付ければ水の浄化能力の向上も見込めます

ろ過器に性能とデザイン性を求めるならこうしたろ過器が一番です。

接続型

汚れた水を流し込むろ過容器を、外側に設置して配管で繋いだものです。

「ろ過器を各パーツに分けて組み合わせて使う」という考えを元に作成しました。

水を流し込む容器を中に入れると、何かあったときに取り出すのが非常に面倒だったことが理由。

それの改善案として、ろ過のメインとなる容器を外付けに。

手入れがしやすくなり、本体容器ろ過材を追加できたのでろ過機能が向上しました。

これは2つの容器をつないだだけですが、3つ4つと容器を繋げればさらに水が循環してろ過機能も高くなります。

しかし単純に連結しても場所を取ってしまうため、コの字型に連結するとスペースを取らずに済みます。

各ろ過器がパーツとして独立しているため、ろ過器を増やしたり減らしたりするのも簡単なのもポイント。

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コンテナ型

コンテナ型のろ過器は大量の水をろ過しつつ、メンテナンスもしやすくしたものになります。

イメージとしては「家庭でつくれる業務用ろ過器」といったところでしょうか。

材料費が他と比べて少々かかりますが、性能面などを見ると低コストで済みます。

スペースの関係上私は作る予定は無いですが、図で説明するとこうなります。

このように底に複数の穴をあけたコンテナを積み上げて、一番下のコンテナに溜まったろ過された水を水槽に戻します。

・構造が単純
・メンテナンスが楽
・増設が簡単
・大量の水でもろ過できる

コンテナ型のろ過器の構造はかなり単純。

数ミリの穴をたくさん空けたコンテナを積み上げるだけなので作成も簡単にできます。

コンテナごとに別のろ過材を入れれば交換も楽。

増設したくなったときでも別のコンテナを追加すればいいだけです。

コンテナの大きさでろ過できる水の量もかなり変わるため、水量に合わせて大きさの調節もしやすいです。

池など大量の水をろ過したい人はコンテナ型のろ過器を採用している場合も多いです。

ただ難点もいくつかあり、屋内では水漏れ対策が必須かつ水の汲み上げが必要ということです。

コンテナを重ねているだけなので、コンテナ同士の隙間から水漏れが起きることがあります。

新聞紙を敷くなど、床を濡らさないための工夫が必要です。

また大型化しやすいため水槽の中や上に置くことができません。

ろ過した水を水槽に戻すときは、一番下のコンテナに溜まった水を汲み上げる必要がああります。

そのため、水槽から水を汲み上げる装置・ろ過器から水を汲み上げる装置の2つが必要です。

ただ水槽から汲み上げるのは「サイフォンの定理」を利用すれば電気不要で汲み上げられます。

水槽が高所にあるならこちらを利用してみましょう。

ろ過器をつくる際の注意点

どのタイプのろ過器にせよ、共通して気を付けたい点はいくつかあります。

・生体に悪影響が無い
・水漏れしない

これらは重要なものなので、しっかり覚えておきましょう。

オーバーフロー対策

何らかの理由でろ過器から水が溢れてしまうことがあります。

これを「オーバーフロー」といいます。

・汲み上げる水の量が多すぎる
・ろ過容器が小さすぎる
・汚れで詰まってしまう

こうした理由でオーバーフローが起きます。

特に屋内で使う場合はオーバーフロー(水が溢れる)したときの対策をしましょう。

オーバーフロー対策の仕組みは溢れた水をもう一度水槽に戻すというのが一般的です。

容器の上部に穴を空けて配管やチューブを繋ぎ、その高さまで水が来たら自動的に水槽に戻せるようにします。

こうすれば気が付かない内に水が溢れるのを防げます。

やたらと汚れが溜まりやすかったり水の量が多い場合はオーバーフロー対策をしておきましょう。

ここで紹介した循環型の「単純構造」と「水が流れる」タイプでは水が溢れても下の容器に入るのでオーバーフローしても大丈夫です。

…まあろ過できないと意味が無いので、できる限りオーバーフローしない構造にしたほうがいいですが。

接着剤は無害なものを使う

接着剤は絶対に生体に影響の無いものを使いましょう。

一般的な瞬間接着剤には生体に害のある成分が含まれているものがほとんど。

なので、アクアリウム専用の接着剤を使う必要があります。

ただ塩ビ管やプラスチック容器同士を接着するには、使える接着剤は限られてきます。

アクアリウムでも問題なく使用できる接着剤の種類はこちらの記事にまとめてあります。

プラスチックでも接着できる接着剤7選。アクアリウムで使える、魚・水草に害のない接着剤を厳選

記事内でも紹介していますが、おすすめなのが「ヘルメチック ミラクル4」という接着剤。

この接着剤は家庭の水道周りでも問題なく使える接着剤です。

生体への悪影響をかなり抑えられます。

他の接着剤も使ってみましたが、プラスチックの接着という点ではこれが一番使いやすかったです。

量もかなりあるため、ろ過器の2つや3つ作成するくらいなら十分足ります。

側面への取り付けは厳重に

容器の側面に別の容器を取り付けるなら、かなり厳重に接着しましょう。

接着が甘いと水の重さで接着面が剥がれてしまうことがあります。

受け皿にした容器に入る水の量が多かったり、石や苔などをくっつけるとかなり重くなります。

・受け皿は軽いものを使う
・接着剤の量を多くする
・受け皿の下に支えを接着

こうしておけば剥がれるのを予防できます。

これは側面につけた容器の下部分に石を接着して支えにしているものです。

もちろん側面と底部分の両方に接着してます。

これだけでもかなり耐荷重量は変わるので、大きい容器を側面に接着した場合はやっておいたほうが無難です。

くっつける石でオススメなのが「鉢底石」や「軽石」といった多孔性(たくさんの穴が空いている)の石。

これを使えば軽量化ができます。

最後に

よくつくられている自作ろ過器は以上のものが多いです。

が、デザイン性という点ではつくる人の感性の分だけ存在します。

ろ過される仕組みさえしっかりしていれば、これ以外のオリジナリティ溢れたろ過器をつくるのも可能です。

例えば循環型のろ過器だけでも容器まわりを工夫すれば、

・滝のように水が流れるろ過器
・らせん状に水が流れるろ過器
・水が滴り落ちるようなろ過器

このようなデザインのろ過器をつくることもできます。

性能重視の構成のろ過器や、デザイン重視のろ過器など、自分に合ったろ過器を自作してみましょう。

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