市販の果物の種をうまく発芽させる方法。りんごやアボカド・マンゴーを自家栽培する際の要点・注意点
りんごやアボカドなどとスーパーで多く販売されている果物ですが、自分で育ててみたいと思っても苗木が売ってなかったりしませんか?
特に南国育ちのマンゴーといった果物だとなおさらです。
それでも何とか育ててみたいという人に、その果物の種から育てる方法を紹介します。
果物の種を発芽させる(根が出る)条件
発芽といっても重要なのは種から根が生えることです。
根さえ生えてくれれば8割は成功したようなものなので、まずは根が生えやすい環境を整えます。
しっかり果肉を落とす
種についた果肉を洗ってカビが発生しないようにしましょう。
種についた果肉を放置して植えると、果肉を餌としてカビなどが繁殖してしまいます。
カビが発生すると倍々ゲームのように増えていき、種の内側まで浸食して種が腐ってしまいます。
カビは種植えの初期でダメになってしまう原因のひとつ。
カビが発生しないよう種をキレイにしましょう。
キレイな土・水を使う
発芽させるには土に植える方法と水耕栽培の2種類があります。
ただ発芽の確実性を上げたいなら、どんな種でもキレイな状態の土や水を使いましょう。
庭先から取ってきた土だと雑菌が大量にいるため、カビが発生する可能性が高いです。
水耕栽培でも同じで、数日水を変えないと水が腐ってくるため、発芽率が下がる原因になります。
そのため種を発芽させる媒体はできるだけ清潔な状態を保つ必要があります。
土に植える方法でおすすめは「赤玉土」や「バーミキュライト」。
これらの土は腐葉土などの有機性の土ではありません。
そのため微生物や雑菌というものがかなり少ないです。
特に赤玉土は保水性・排水性・清潔性と、種を発芽させる上で大切なものを多く持っています。
乾かないよう水を与える
当然ですが種にしっかり水を与えて乾かないようにしましょう。
一度植えてから乾燥してしまうと発芽率が急激に低くなります。
小さい種だと特に乾燥しやすいため、毎日確かめて水やりをしましょう。
しかし種を水に沈めるのはやめましょう。
種が発芽するには空気(酸素)も必要なため、水に沈んだ状態では呼吸できず窒息してしまいます。
水耕栽培をする場合は注意してください。
大きい種なら上半分くらいは空気に触れるように。
小さい種なら散水して湿らせるくらいにしましょう。
温度は最低でも20℃くらい
20℃以上あれば種が発芽しやすくなります。
これは室温でも気温でもかまいません。
果物の、特に苗木が日本国内で販売されていない・南国などで育つ種類は温暖な気候で育っています。
そのため夜間を通して20℃を保てる環境でしか安定して発芽しません。
出来れば春先から秋の初めくらいまでに発芽させるようにしましょう。
もし冬場などで発芽させたければ、ホットカーペットのようなものを使う手もあります。
発芽してある程度育ってしまえば、室温が10℃くらいでもギリギリ枯れずに育つものが多いです。
殻(カラ)を剥く
種のまわりに固い殻がある場合、まずは殻を剥いて根が出やすいようにします
マンゴーのような果物だと本実の種が固い殻に覆われています。
殻がある状態で植えたりしても、なかなか発芽しません。
マンゴーの果肉を落とすと、こういった固い殻が見えてきます。
この殻を除去すると、種の本実が出てきます。
この状態の種を植えて発芽させることになります。
ただアボカドの種のような厚さ0.1mm~1.0mmくらいの皮なら、剥かなくてもちゃんと根が出て発芽してくれるので大丈夫です。
むしろカビといったものの侵入を防いでくれるので、剥かないほうがいい場合が多いです。
根が出る部分を傷つけない
マンゴーやアボカドといった大きい種で注意したいのが、根が出てくる部分を傷つけないようにすることです。
大きい種だと、殻を剥いたりするため種にキズがつくことが多いです。
少しのキズなら問題ないですが、根が出る部分を傷つけてしまうと発芽しなくなります。
例えばマンゴーならこの部分。
少し根のようなものがあるのが分かると思います。
この部分が傷ついたり、腐って取れてしまうとその種は発芽しなくなります。
こうなるとどんな状態になっても発芽するのは絶望的なので注意してください。
りんごのような小さい種ならそのまま植えて大丈夫なので、こうした心配はありません。
ホコリに注意
室内で栽培する場合はホコリが種や土に積もらないようにしましょう。
ホコリは微細な量でも雑菌の塊といえるほど菌が住み着いています。
このため種や土・水にホコリが接触すると瞬く間に汚染されてしまいます。
屋外だと風があるためそこまでホコリは積もりません。
しかし室内だと積もったホコリが払われないので、かなりのスピードで雑菌が繁殖します。
対処法としては種周りにホコリが入らないようフタをしてしまうのが一番です。
マンゴーといった大きい種だと雑菌の汚染は致命的なので、室内で栽培するときは特に注意しましょう。
一度寒さを経験させる
特定の種類の果物の種は一度寒さを経験しないと発芽しない場合があります。
桃やサクランボなどの「バラ科」の果物に多いです。
最低でも1ヶ月くらいは冷蔵庫で保管。
そのあと暖かくなったら種植えをするケースが多いです。
ただ経験上、そういった処置をしなくても発芽した果物はいくつかあります。
りんごやビワの種がそうでした。
一度に種が多く手に入るなら、いくつか植えてみて残りは低温保存する、といった方法を取るのもいいでしょう。
発芽させる方法
「条件」の紹介が終わったところで、実際に土植えなどで発芽させる方法の紹介に移ります。
種の大きさによって取れる方法もいくつかあるので、適した中から選びましょう。
水耕栽培
種を水のみで発芽させる方法が水耕栽培です。
小学生の頃にチューリップの球根をこの方法で育てた人もいるでしょう。
アボカドやマンゴーのような大きい種の発芽に使えます。
やり方はチューリップの球根のときと同じ。
種の下部分が水面に浸かるようにして固定し、早ければ1~2週間くらいで根が出始めます。
最も注意するのが水を清潔な状態で保つことです。
水が汚くなるとカビが生えたりヌルヌルした膜が種に張るようになります。
ホコリが入り込んでも同じで、むしろ汚れがひどくなります。
水が腐ってくると種も腐りやすくなります。
特にマンゴーの種のように皮も無く剥きだしの種ほど腐りやすいです。
毎日水の状態をチェックしましょう。
※アボカドのような大きい種なら、種を固定するために画像のようにつまようじを突き刺しても大丈夫です。
水耕栽培(スポンジ)
スポンジや濡れタオルを使って発芽させる方法です。
キウイのようにかなり小さい種向きの方法で、常時種を湿らせて発芽を促します。
小さい種だと通常の水耕栽培は難しく、土に撒いてもカビが発生しやすかったりと少々面倒なものが多いです。
水を含ませたタオルやスポンジの上に種を置いて、乾かず呼吸もしやすい状態に保って発芽しやすい状態にします。
注意点としてはタオルやスポンジが乾かないようにしてください。
水の量が少ないと乾くのも早くなるため、発芽が遅れたり、最悪発芽しなくなってしまいます。
あとカビが発生したらすぐに水やタオルを変えて対処してください。
種が小さい分カビの影響を受けやすいです。
カビが発生した直後なら影響も少なく、まだ発芽するチャンスはあるので毎日チェックしておきましょう。
土植え
小さい種から大きい種まで満遍なく使える手段が土に植える方法です。
利点としては温度が低くなりにくい・そのまま育てられることが挙げられます。
水耕栽培より発芽に必要な温度を維持しやすいため、少々気温が低くても発芽しやすくなります。
土植えの状態なので芽が出たあともそのまま栽培できるので手間も少ないです。
ただし土が汚いとカビの発生率も高く、発芽率も低くなりやすいです。
発芽率が土の状態に左右されやすいので、いかに清潔な土を用意できるかが重要になります。
キウイのような小さい種なら「バーミキュライト」や「パーライト」といった清潔な用土でつくった土を。
マンゴーのような大きい種なら「赤玉土」といった、ある程度清潔かつ保水性も持った土を使いましょう。
最低でも種の半分を土に植えておけば、水分を保ち保温もできるので発芽しやすくなります。
中くらいの種なら発芽率が高い
ミカンやビワといった1cm~2cmくらいの大きさの種なら割と発芽率が高いです。
それこそあまり衛生に気を使っていない土に植えても、結構発芽してくれました。
…ただビワの種は結構時間がかかり、忘れたころに発芽してましたが…。
基本固めの皮で覆われているためカビが発生しても種の内部に侵入しにくいです。
皮が破けるときは既に中で根が出ている場合が多いので、発芽を妨げる要素が少ないからじゃないかと。
水さえ与えて入れば充分発芽させることができます。
ミカンの種を8個ほど植えたら、6個ほど発芽しましたし。
果物の種から栽培したい人は、こういった中くらいの大きさの種が狙い目だと思います。
発芽~成長した果樹についての注意点
ここからは種そのものに問題がある場合の注意点になります。
条件を整えても発芽しない場合がある
発芽するための条件を整えても、種自体の発芽する機能が損なわれている可能性があります。
海外産の果物の場合は果物に紫外線を照射して殺菌していることがあります。
この紫外線の影響で発芽しない・うまく育たないなどの弊害が出る場合があります。
こればかりは商品を見ただではわかりません。
環境が良いのに異様に発芽率が低くかったり、変に育っているような場合は別の商品の果物の種を使うようにしましょう。
実が生らない場合がある
せっかく実が生るくらいまで育てても、実自体ができない場合があります。
ケースとしては少ないですが、稀に種から育てても実がならないようにされている場合があります。
その品種を盗まれないようにする商業上の目的か。
あるいは自然とそうなってしまったのかはわかりませんが、そういう場合もあると心得ておいてください。
しかしトマトやカボチャ・ゴーヤといった野菜類だと種が発芽~実が生るまで栽培しやすいです。
栽培の手間が少なそうなら調理の際に出た種を植えてみましょう。
品質が同じとは限らない
実が生っても、種を採った親と同じ味にならない果物があります。
そもそも種に親の遺伝情報が含まれないために品質が落ちる果物もあります。
プルーベリーなどはこの傾向があるようです。
そういった果物は挿し木などで同じ遺伝子の果樹を増すため、そもそも種から栽培していません。
同品質の実ができるかどうかは、その果物の栽培過程を調べて種から育てられそうか調べましょう。
まとめ
種を発芽させるための重要な部分は「水を与える」ことと「カビを防ぐ」ことです。
基本この2つさえどうにかできれば、どんな果物の種でも発芽させることができます。
苗木がなくて種から育てるしかない果物に興味を持っているなら、これらのことに気をつけて安全に種を発芽させましょう。