家庭菜園で余った種をスプラウトサラダに。野菜の種をムダなく有効活用する方法
家庭菜園の悩みの種の「余ってしまった野菜の種」の扱い。
よほど広い畑を持っていないと、必ずといっていいほど野菜の種は余ります。
大根や人参などの、そこまで一度に栽培する数が多くない野菜の種ほど余ってしまいがちです。
しかし市販されている野菜の種というのはその年でしかまともに発芽しません。
翌年に使いまわしてもうまく発芽してくれないことが多いです。
こうなるともったいなくても捨てるしかないですが、余った種を有効活用する方法があります。
それが「スプラウト」という野菜(栽培方法)になります。
スプラウトとは
適した野菜
スプラウトは野菜の種から発芽したての野菜のことを指します。
「もやし」や「豆苗」「かいわれ大根」が代表的なスプラウトでしょう。
もやしは大豆、豆苗はえんどう豆、かいわれ大根は大根の種から栽培できます。
ただどんな野菜でもいいわけではありません。
例えば人参では食べれなくもないですがスプラウトにするには適していません。
一般的にスプラウトに適している野菜は「アブラナ類」や「豆類」の野菜。
種類は以下のものがあります。
・カブ
・ブロッコリー
・大豆
・えんどう豆
etc
イマイチ覚えにくい人は「葉っぱが食べられる野菜」「豆類の野菜」が適していると覚えておきましょう。
これらの野菜は家庭菜園などでよく栽培される種類です。
種もそれなりに多く入っているため余りやすい傾向にあります。
そのため余った種を放置するか捨ててしまっている人ほど恩恵が高いといえるでしょう。
キャベツやレタスといった葉物野菜では食べれなくもないです。
…が、スプラウトとしてはかなり小さいため食用としては微妙なのでおすすめしません。
栄養価
スプラウトはいってしまえば「成長する前の野菜」といいかえることもできます。
しかし一部の栄養は成長した野菜より多い場合があります。
例えばスプラウトの一種の「かいわれ大根」と、その成長した「大根」の100gあたりの栄養価の比較。
かいわれ大根 | 大根 | |
---|---|---|
カロリー | 21 kcal | 18 kcal |
たんぱく質 | 2.1 g | 0.4 g |
脂質 | 0.5 g | 0.1 g |
炭水化物 | 3.3 g | 4.1 g |
ビタミンA | 160 μg | – |
ビタミンE | 2.1 mg | – |
ビタミンK | 200 μg | – |
ビタミンB1 | 0.08 mg | 0.02 mg |
ビタミンB2 | 0.13 mg | 0.01 mg |
ビタミンB6 | 0.23 mg | 0.05 mg |
ビタミンC | 47 mg | 11 mg |
葉酸 | 96 μg | 33 μg |
カリウム | 99 mg | 230 mg |
カルシウム | 54 mg | 23 mg |
マグネシウム | 33 mg | 10 mg |
鉄 | 0.5 mg | 0.2 mg |
亜鉛 | 0.3 mg | 0.1 mg |
マンガン | 0.35 mg | 0.04 mg |
モリブデン | 6 μg | 2 μg |
かいわれ大根のほうがかなりの栄養価で勝っています。
おまけにビタミンAなど大根には含まれない栄養価も持ってるという結果に。
同じ量なら、栄養価はスプラウトの方が高いといえるでしょう。
特殊な栽培方法
スプラウトは野菜の中でも珍しい栽培方法をしています。
・土を使わない
・水のみで栽培
このように普通の野菜とはかなり違った栽培方法をしています。
栽培スペースも取らないため、室内でもかなり簡単に栽培することが可能です。
こうした栽培方法から野菜の種さえあれば誰でも栽培できます。
なにより屋内で栽培できるため冬の間でもスプラウトの栽培が可能です。
そのため余った種を冬場に使って栽培するのにも不自由しません。
特にもやしはあの「南極基地」でも栽培されていたという記録まであるくらいです。
栽培方法
ではスプラウトの栽培方法を紹介していきます。
どんな野菜の種でも一貫してこの方法で栽培できます。
用意するもの
・容器のフタ(ラップ等でも可)
・キッチンペーパー
・※容器をいれる箱
最低でもスプラウトを栽培する容器とフタは必要になります。
スプラウトとして育てるには暗い場所でないといけません。
そのため種が発芽してからある程度育つまで日光が当たらないようにする必要があります。
栽培し始めでは最低でも室内、それも日光に当たらないような工夫が必要です。
①種を一晩水に浸ける
まずは種を一晩ほど水につけて発芽に必要な水分を吸収させましょう。
写真は一晩浸けておいたものですが、既に発芽間際と思われる種も多いです。
こうすれば発芽率がかなり上がります。
スプラウトだけでなく普通の栽培方法でも使われる手法になります。
②容器にキッチンペーパーと種を入れる
種を水に浸け終わったら容器にキッチンペーパーと種を入れます。
まずはキッチンペーパーを容器の底に敷いて、その上に種を蒔いていきます。
特に蒔き方の指定は無く、それこそ積み重なるように種を入れていってもOKです。
水はペーパーに少し染み込むくらいの量を与えておけば充分足ります。
市販されているもやしなどは1m単位で種を詰められた巨大な容器の中で栽培されます。
少し種が重なったところで発芽・成長するのに問題はありません。
キッチンペーパーの代わりにスポンジなども使えます。
が、衛生面で考えるとあまりおすすめしません。
吸水する媒体の体積が多いと雑菌も繁殖しやすいです。
最低限の水分を溜め込めるものの方が衛生的です。
③暗所で保管
収穫の最終段階まではできるだけ暗所で保管しておきましょう。
要は日光に当たらなければいいです。
容器を新聞紙で包んだり箱の中に入れてしまっても構いません。
種に日光が当たらない状態ならば日の当たる場所に置いても構いません。
発芽率を上げるためにも暖かめの場所に置いておきましょう。
④翌日の様子
これは翌日に様子を見たときの種の状態です。
既に芽が出て伸びるくらいに成長しています。
植物の種の初期成長はかなり早いため、数日もあればスプラウトとして食べられるくらいに成長します。
⑤そこまで水は与えない
キッチンペーパーが湿っていれば水を与えなくても大丈夫です。
容器内の水分が足りなくなったら水を与えるくらい。
もし乾いてきたらスプレーで全体に散水しましょう。
…まあちゃんと密閉されていれば、栽培期間中は大丈夫でしたが。
⑥ある程度育ったら日に当てる
発芽してから葉っぱが出るほど芽が伸びてきたら日光に当てましょう。
これまでは日光に当てずに栽培してきたため、葉っぱなどが白かったりと色素が薄いと思います。
しかし日光に当てると緑色になっていき、市販されているスプラウトと同じような状態になります。
⑦収穫
充分育ったと思ったら収穫できます。
写真は種を容器に入れてから8日後のもの。
大抵7~10日後くらいには食べられるサイズまで成長します。
当然ですが収穫時と調理時にはしっかり洗うようにしましょう。
水のみを使って栽培しているとはいえ、雑菌などが入り込んでいる可能性は否めません。
スプライトはサラダなどの生食が多いです。
加熱しない料理なら充分な洗浄をしてから食べるように。
栽培中の注意点
ホコリに注意
容器にホコリなどが入らないようにしましょう。
ホコリは雑菌の塊で、少しでも入ると雑菌が容器内で繁殖してしまいます。
栽培中は容器にホコリが入らないようにフタをする。
あるいは容器そのものを別の箱に入れるなどして、できる限り雑菌の混入を防ぎましょう。
キッチンペーパーの使いまわし
キッチンペーパーは使いまわさないようにしましょう。
…余りそういう人がいるとは思えませんが…。
理由は上記の雑菌の混入を防ぐのと同じ。
キッチンペーパーを使い回すと雑菌もそのまま持ち越されます。
次回以降も問題なくスプライトを収穫したいなら、1回ごとに取り換えましょう。
最後に
家庭菜園をしていると、どうしても種が余って仕方ないです。
しかしスプライトにできれば余った種を無駄なく消費できますし、食費も若干ながら浮きます。
特に大根などの栽培数が少なめの野菜。
こういう野菜の種はどうしても余ってしまい、もったいないと感じます。
しかし翌年以降は発芽率が低く使い物にならないことも多いです。
どうしても年内に種を使い切りたいなら、スプライトは最適な使い道になります。
種が余って困っている人ほどスプラウト栽培は適しています。
そこまで面倒な栽培方法でもないので是非試してみてください。