腐葉土の役割と簡単な作り方。落ち葉・雑草・収穫を終えた野菜を再利用
毎年落ち葉や収穫し終わった野菜の処分に困っている人もいると思います。
特にサツマイモなどの葉っぱや茎など。
そんな人は腐葉土として再利用してみると、処分の手間やコスト削減に繋がったりとメリットがあります。
園芸で使う腐葉土ですが、「野菜の土」のような市販の土を使っている人だと馴染みが無い土だと思います。
しかし腐葉土は土の基礎をつくる上で大切な役割も持っており、自宅でも簡単に作れます。
今回は腐葉土の役割と作り方をメインに紹介していきます。
腐葉土とは?
腐葉土とは読んで字のごとく「腐った葉でできた土」のことです。
朽ちた枝や茎も混じっているため「朽ちた植物」ともいえます。
「腐った」といっても、、日が経ってボロボロになる腐り方です。
なので虫が湧くようなキツイ臭いは無く、不快な感じはしません。
基本的に野菜クズなどの生ゴミは使わず、剪定や伐採・自然に落ちた木の葉・枝といったものを使います。
毎年どこでも出ているもので、材料が豊富。
そのためさほどコストはかからず、安価で販売されています。
腐葉土に適しているのはドングリの木でお馴染みのクヌギ・͡コナラといったブナ科の広葉樹の葉です。
広葉樹には常緑性と落葉性があり、広葉樹のある森林では植物が良く育ちます。
常緑性は1年中葉をつけるように成長すること。
落葉性は枯れた葉が頻繁に落ちるため腐葉土の材料になります。
広葉樹ではこの2つが合わさって常に大量の腐葉土ができる仕組みになっています。
また腐葉「土」ですが、葉や枝の原型を留めているものが多く、どちらかといえば「土になる一歩手前」な状態です。
この原型を留めていることが腐葉土の利点に大きく関係してくることになります。
腐葉土の役割
腐葉土は土のバランスを整える「土壌改良材」のひとつとして使えます。
土壌改良材とは栄養などが無い・土が硬いなどの植物の栽培に適さない土を、植物の育ちやすい土に戻す効果のあるもののことです。
土壌改良材を使う事で、ひとつの場所で何度でも作物を育てることが可能になります。
そのためプランター栽培だけでなく畑などを使って家庭菜園などをしている場合でも必要になります。
植物が育てる栄養のある土に戻す
地球上の植物は
↓
枯れる
↓
土(腐葉土)になる
↓
そこからまた植物が育つ
↓
以下ループ
こんなサイクルが繰り返されています。
つまり腐葉土は植物が育つために必要な栄養を最低限持っているということです。
それにより栄養の無くなった土を元に戻すことができます。
ただ腐葉土は堆肥の一種にも数えられますが、栄養を大量に含んでいる「家畜フン」や「生ゴミ堆肥」に比べると栄養量はいささか劣ります。
野菜や果樹の栽培では、腐葉土だけでは栄養不足になることがあるので注意しましょう。
土の水分の保水と排水ができる
腐葉土を混ぜ込んだ土は「保水性」と「排水性」を兼ね揃えた土になります。
植物は土の中の水分が足りないと枯れてしまい、多すぎると根腐れをおこしてしまいます。
そのため土に含まれる水分量を考えて散水しないといけないため、地味に面倒です。
腐葉土は適度な保水力を持ちながら、混ぜ込むことによって土の中に隙間をつくり排水性をよくします。
このような土なら水を与えすぎても、自動で余分な水を排水してくれるようになります。
こうすることにより、土の中の水分量を植物の生育に適した状態に維持してくれます。
根を張りやすい土に
腐葉土を混ぜ込むことで根を張りやすい土になってくれます。
根を張らなければ植物は育ちません。
しかし土が固すぎると根を張ることができません。
腐葉土を混ぜ込んでしまえば、例え固い土でも隙間ができて根を張るスペースができます。
混ぜ込む腐葉土の量を増やせばその分隙間もできるので、固い土を再利用したい場合は腐葉土を混ぜ込んで植物が根を張りやすい土につくりかえましょう。
腐葉土の作り方
では自宅でできる簡単な腐葉土の作り方を説明します。
材料
腐葉土の材料となるものですが、植物性のものならほとんどが材料になります。
・乾燥させた雑草
・収穫し終わった野菜の葉
このようなものを腐葉土の材料として再利用できます。
家庭菜園をしていると雑草や収穫し終わったあとの野菜などが必ず出てきます。
トマトやピーマンといった実をつける野菜だと、葉っぱや茎といった部分は用済みになります。
庭に樹が植えてあれば落ち葉も大量に出ると思います。
そういったものを捨てずに土にできれば、来年の土代をある程度削減できます。
毎年処分に困っているなら、いっそ腐葉土にして枯れ葉の処理の手間とコスト削減をしてみましょう。
落ち葉・枯れ草を集めて放置
腐葉土の作り方は簡単です。
②一か所にまとめる
これだけです。
あとはそのまま半年以上放置しておくだけで腐葉土ができあがります。
秋に落ち葉などを集めてまとめておけば、翌年の種まきの頃には出来上がっているということです。
まとめる方法は2つあります。
・ケースに入れておく
腐葉土用のコンポストといった専用のケースもありますが、代用品として使うならプランターが最適です。
このように大き目のプランターならかなりの量を入れることができます。
目いっぱいに落ち葉などを入れておけばそのプランターの容量分の腐葉土が出来上がります。
大容量・軽い・丈夫で、排水用の穴も空いているため管理もラクです。
あとは踏み固めたりして隙間をなくして微生物が活動しやすくし、ケースを直射日光や雨水が入らない場所に保管しておきましょう。
落ち葉の上にこうやって石などを置いておけば圧が掛かって固まっていきます。
1~2週間もすると押し固められてスペースができるため、また落ち葉などを入れていくことができます。
圧を掛ける関係で縦に長い植木鉢などを使うとうまく押し固められていきます。
発泡スチロールといった容器も使えますが、その場合はしっかり排水用の穴を開けましょう。
もし水が溜まってしまうと集めた落葉が「腐敗」してしまいます。
そこまで強い臭いはしませんが、小バエが寄ってくるようになります。
米ぬかなどで生成を促進
米ぬかなどを使えば落ち葉の分解・発酵が早くなります。
米ぬかの他にも「発酵促進剤」というトウモロコシの粉を原料とした専用の商品もあります。
ただこの方法は若干手間や面倒があります。
まず集めたものを 落ち葉→米ぬか→落ち葉→米ぬか の順に層になるようにすること。
そして米ぬかの量は薄くかけるようにすることです。
米ぬかをダマになるくらい入れてしまうと腐ってしまい、腐臭を放つようになってしまいます。
虫がたかるようになり非常に不快です。
量はふりかけをかける要領で薄く、落ち葉8~9:米ぬか1~2くらいでいいでしょう。
そして可能ならケースにフタをするようにしましょう。
フタをして臭い漏れを防ぎ、ハエが寄らないようにします。
雨水もふせげるので、水分過剰による腐敗も防げます。
フタがないのならシートなどで覆ってしまうのも手です。
圧縮するとさらに早くできる
集めた落ち葉を固めるように圧縮すると分解が早くなります。
落ち葉同時が密着していると微生物が活動しやすくなります。
ついでに微生物の活動の結果発生した温度がこもりやすくなります。
落ち葉ができる時期は自然と寒い時期なので温度が高いほど分解も早くなります。
米ぬかなどの発酵促進剤を使って入ればさらに早くなります。
落ち葉を集めたら上から踏みつけて固めたり、漬物と同じ要領で上に石を置いて落ち葉が密着するようにしましょう。
腐葉土を自宅でつくるメリット
土の費用の節約
園芸で使う土を自分でつくるわけですから、当然土にかけるお金も節約できます。
園芸でもっとも費用がかさむのが土の購入の代金です。
園芸をやっている人ならわかりますが、野菜などを育てる場合は毎年かなりの量の土が必要になります。
ある程度栄養が残っている畑などでは土壌改良材としてたい肥といった有機肥料を使いますが、かなりの量の土を購入することになります。
プランター栽培ならまるごと土を入れ替えることも多いです。
自分で腐葉土をつくれれば土のコスト削減になるので、それだけでもつくる意味はあると思います。
落ち葉の処理
庭木がある家で毎年しないといけないのが落ち葉の処理です。
放っておくと風で周辺に飛ばされてしまうため、秋ごろには掃除の作業をすることになると思います。
そこで出てくるのが「落ち葉を集めて捨てる」という部分。
我が家には庭木はもちろん柿の木といった果樹も植えてあるため、毎年大量の落ち葉が出ます。
それをイチイチ袋詰めにしていたらゴミ袋2~3袋は必要になります。
それをゴミ捨て場に持って行って処理するくらいなら、来年使う土として再利用したほうがいいです。
落ち葉より時間はかかりますが、枝といったものも集めておけば同じように腐葉土に変わります。
園芸をしている家かつ毎年落ち葉の処理に悩まされている人なら是非腐葉土をつくりましょう。
野菜の処理
落ち葉と同じように収穫し終わった野菜も腐葉土に変わります。
野菜の葉や茎は「土の栄養が変化したもの」ともいえます。
それをわざわざゴミとして捨ててしまうよりは腐葉土として再利用したほうがいいです。
サツマイモやゴーヤといったツタ系の植物だと葉が大量に出るため、こういった野菜ほど腐葉土の材料として使えます。
記事冒頭で書いたように自然の土は循環しています。
自分の畑から出た栄養をもう一度畑に戻すような感じで腐葉土をつくりましょう。
最後に
以上で腐葉土の解説を終わります。
腐葉土は土壌改良材としても、土そのものとしても用途が幅広く、土づくりに最適なものです。
つくるのに手間もあまりかからないので、余裕がある人は作ってみて土代を節約しましょう。