ヨーグルトの作り方。必要な物・作り方のコツや作業風景
健康食品として名高いヨーグルトですが、毎日食べていると意外とお金がかかります。
しかも販売されているヨーグルトは一食分の量が少なめの食べきりサイズが多く、物足りなさを感じる人もいるでしょう。
しかし必要な物を揃えれば、一般家庭でもたくさんのヨーグルトを低コストで自作することが可能です。
毎日ヨーグルトを食べていたり、一食分の量を増やしたい人は、この記事を読んで自作ヨーグルトを作ってみてください。
ヨーグルト作りに必要なもの
まずはヨーグルト作りをしたことが無い人のために、ヨーグルトを作るのに必要なものを紹介します。
・牛乳orスキムミルク
・ヨーグルトメーカー
この3種類あればヨーグルトは作れます。
ヨーグルトの素になる種菌
牛乳を発酵させるためには乳酸菌である「種菌」が必要になります。
この種菌は2つの方法で手に入れます。
市販のヨーグルトを使う
市販されているヨーグルトをそのまま種菌として使う方法です。
一番手軽かつ安く手に入りながら、後述するように専門で販売されている種菌が少ないので一般的に使う方法です。
しかしこれだと品質が安定せず、作り方によっては多少味や固まり方が悪かったりします。
種菌に使うヨーグルトの乳酸菌によっては嫌気性(酸素に触れると死んでしまう性質)のものもあるので、乳酸菌が足りなくて固まりにくいヨーグルトもあります。
あと使うタイプは「プレーン」か「加糖」のみにしてください。
果物や果汁が入っているヨーグルトだと、例えヨーグルトだけの部分を使っても固まらなかったり、最悪失敗してしまいます。
そして賞味期限が近いヨーグルトを使うのも控えましょう。
種菌として使えなくもないですが、乳酸菌が弱ったりしていて繁殖しにくくなっている場合があるので扱いには注意しましょう。
専用の種菌を使う
ヨーグルトによっては「ヨーグルトの素」のように、ヨーグルトを作る専用の種菌が販売されています。
カスピ海ヨーグルトとケフィアヨーグルトがこれに当てはまります。
こちら味などがある程度保証されているもので、市販のヨーグルトを種菌にするよりは品質が良くなるものが多いです。
特にケフィアヨーグルトは市販されていないので、自分で作ることでしか食べられません。
ただその分高かったり、市販されてる場所が限られてたりします。
よほど品数が充実した店でないと扱ってないか、1・2種類くらいしか置いてないことが多いです。
あとカスピ海ヨーグルトとケフィアヨーグルトは作り方が他のヨーグルトと少々違うので注意。
理由は作り方の部分で詳しく触れます。
安定して作るにはヨーグルトメーカーが必要
カスピ海ヨーグルトのような一部例外はあれど、ヨーグルトを安定して作るにはヨーグルトメーカーが必須になります。
ヨーグルトメーカーはヨーグルトなどの発酵食品を作るための器具です。
種類によってはヨーグルトの他に甘酒・納豆といったものも作れる高性能な製品もあります。
ヨーグルト作りの最中で一番大切なのは温度設定。
乳酸菌は適切な温度でないと繁殖できず、牛乳を発酵してヨーグルトにしてくれません。
そして、その温度を一定のまま長時間保たないといけないので、メーカー無しでのヨーグルト作りは困難です。
ヨーグルトメーカーにも利便性別に種類があるので、いくつか製品を見て自分に合ったメーカーを選びましょう。
材料は牛乳かスキムミルクで
メインとなる材料は牛乳か、スキムミルクを溶かした水を使います。
ヨーグルトはタンパク質が乳酸菌によって固まってできるものです。
そのため、タンパク質が多いほど濃厚なヨーグルトができやすいです。
ただスキムミルクを使う際は、ダマにならないようしっかりとかき混ぜて溶かしてください。
あと脂肪分が多いと固まりやすくなったり、味が濃くなる傾向があります。
ヨーグルトの味わいや濃厚さを高めたいなら、牛乳+スキムミルクといった組み合わせもアリです。
逆にタンパク質や脂肪といった成分が薄いと、「飲むヨーグルト」くらいの固さにしかなりません。
パッケージに書いてある「3.6」といった数値は脂肪分の割合を表しているため、普通のヨーグルトくらいの固さが欲しいなら3%以上のものを選びましょう。
絶対に注意すべきこと
実際の作り方でも触れますが、ヨーグルト作りでは絶対に注意すべきポイントがあります。
それが雑菌の殺菌・消毒です。
ヨーグルト作りでは、ヨーグルトメーカーの牛乳を入れるケースから、種菌のヨーグルトを掬うスプーンに至るまで、すべての器具の殺菌が必要になります。
ヨーグルトだけに限らず、発酵食品というものは雑菌が混入しないように厳重に管理して生産されています。
発酵食品は数時間かけて作られるため、雑菌が多く入り込むと食中毒のリスクも高まります。
しかし一般家庭では専門的な生産工場ほどの雑菌対策はできないので、できるだけ自分で注意する必要があります。
ヨーグルト作りの前に手を石鹸などで洗うのは当然のこと、器具などは最低でも1分は熱湯に浸けて消毒したいところです。
あとフタなしで牛乳やヨーグルトを放置するのもやめましょう。
空気中の埃が少しでも入ると、その分雑菌の混入の可能性も増えます。
牛乳やヨーグルトの種菌を入れるとき以外は、できるだけ容器のフタをした状態にしましょう。
実際の作業風景
では今回のヨーグルト作りの作業風景になります。
まず用意したものを詳しく羅列。
・ブルガリアヨーグルト
・脂肪分3.6%牛乳
・スプーン
・お湯
使ったヨーグルトメーカーは1.5リットル入る大きい容器と、150ミリリットルほど入る小さな容器で作れるタイプのヨーグルトメーカーになります。
大きい容器は一括で大量のヨーグルトを、小さい容器は冷蔵庫内がいっぱいだったり種菌ヨーグルトと別々に作りたいときに使っています。
ちなみに容器は陶器製。
陶器製だと熱伝導・保温能力が高いため、殺菌・保温がラクになるというメリットがあります。
ヨーグルト自体ができあがるのは8時間前後かかりますが、実際の準備時間は15~20分ほどでその大半はお湯を沸かすための時間になります。
今回種菌として使うヨーグルトはヨーグルトの代表格「明治ブルガリアヨーグルト」。
ヨーグルトといっても多くの種類があるので、できるだけ全国展開されてるものを使用しました。
牛乳は乳脂肪3%以上のものを使います。
乳脂肪が少なすぎるとヨーグルトが固まらなくなり、飲むヨーグルトになってしまいます。
逆に乳脂肪が4%を超える牛乳もありますが、味が濃くなる代わりに若干柔らかいヨーグルトができます。
個人主観ですが一番バランス良くできるのが乳脂肪3%ほどの牛乳だと思います。
では実際のヨーグルト作りの調理内容を書いていきます。
内容としては
・小分け容器
・別売り容器
の3パターンの調理方法を紹介します。
大筋は一緒ですが、温度設定などの細かい部分が違うので参考にしてください。
調理内容1:大容量の容器
まずは1リットルといった大容量の容器を使った際の作業になります。
ほとんどのヨーグルトメーカーではこの調理方法になるので、基本として覚えておきましょう。
①手洗い・器具の消毒
まずは絶対にするのは手洗いと使う器具の殺菌・消毒作業です。
最低限消毒したいのは以下のもの。
・容器
・スプーン
雑菌の混入を防ぐため手首の中ほどくらいまで洗っておきましょう。
容器・スプーンの消毒には沸騰したお湯を使うため、それなりの量のお湯が必要になります。
大きい容器では大体700ミリリットルくらいのお湯が必要になるのでそのくらいのお湯を沸かしましょう。
容器の消毒では最低でも半分くらいまでお湯を入れてフタをして数分待ちます。
フタを触ってみて熱く感じられるなら熱気で消毒できています。
余裕があるなら容器を少し振って満遍なく熱を通します。
ただ火傷には注意してください。
スプーンもコップなどに入れて持ち手部分の半分くらいまではお湯に浸らせます。
こうすれば種菌のヨーグルトに触れる部分のほとんどは殺菌できます。
②牛乳とヨーグルトを投入
容器などの消毒が済んだら、容器に牛乳と種菌のヨーグルトを入れます。
牛乳と種菌は新鮮なほど成功率が上がります。
開封してしばらく経ったものだと雑菌が混入している可能性があるため、開封後に数日経った牛乳や種菌のヨーグルトを使うのは控えたほうがいいです。
1Lリットル以上入る容器なら牛乳パック1本分全部を投入してしまいましょう。
終わったら種菌のヨーグルトを大匙2~3杯分は投入します。
種菌となるヨーグルトの量は、牛乳に対して1割程度の量(グラム)があればOK。
1リットルなら100gほどの種菌ですが、うまく発酵すればその半分でもヨーグルトはできます。
もちろん多ければ多いほどヨーグルトができるのが早く、成功率も高くなります。
③温度・時間設定
容器をヨーグルトメーカーにセットして温度と時間の設定をします。
ここでは温度41℃・7時間にセットします。
ここで注意したいのが牛乳の量が多いほど温度は高めにしたほうがいいです。
乳酸菌は温度が適温にならないとうまく活動しません。
そのため牛乳の量が多いとそのぶん温度が伝わりにくくなるので、容器内の水位が高いほど温度は高めのほうがいいです。
④待機
あとはヨーグルトができるまで待つだけです。
この待つ間にヨーグルトができているか確かめたい気持ちはあるでしょうが、容器を揺らすようなことはしないほうがいいです。
ヨーグルトが固まるには刺激を与えないようにする必要があり、むやむに容器を揺すったりするとヨーグルトが固まりにくくなります。
あとは作っている最中にフタを空けて確認するのもやめましょう。
僅かな時間でもフタを空けるとホコリなど雑菌が入る可能性があります。
失敗するリスクを少なくしたいなら、時間になるまでは放置しておきましょう。
⑤完成
時間になったらフタを開けてヨーグルトができているか確認します。
ヨーグルトになっていれば特有の酸っぱい匂いやプルプルと固まっています。
できていれば冷蔵庫で低温保存して終了です。
これは実際に容器から出したヨーグルト。
しっかり固まっていてヨーグルトっぽさが出ています。
調理内容2:小分け容器
私が使っているヨーグルトメーカーでは小分け用の小さい容器が付属しているので、そちらも書いていきます。
①手洗い・器具の消毒
ここでも同じくスプーンや容器の殺菌・消毒作業をします。
ただ小分け用の容器をいくつも使うので、それぞれ個別にしっかり消毒する必要があります。
消毒する個数が多いのでちょっと面倒です。
②牛乳とヨーグルトの投入
それぞれの容器に個別に牛乳と種菌を投入していきます。
大体容器の8割ほど入れます。
目いっぱい入れると種菌ヨーグルトを入れたときにこぼれたり、フタの裏につくことがあります。
小分け用の小さい容器なら小さじ1杯程度の種菌でも十分作れます。
個数が多いですが雑菌が入らないよう注意しながら作業しましょう。
③温度・時間設定
ヨーグルトメーカーにセットしたら温度設定です。
ここで注意したいのが容器内の牛乳の水位が高いなら、1L容器と同じような温度・時間設定にします。
小さい容器といっても温度が伝わるのは容器の下からだけなので、量が多いと上の方は低い温度になってしまいます。
あるいは隙間が多いと保温能力も低くなる傾向にあります。
例えばこの写真では4つほどセットしてますが、だいぶ隙間があるため同じように41℃・7時間設定にします。
ただこの手のタイプのヨーグルトメーカーだと足りない容器分は「水を入れた容器をセットしてください」なんて書かれていたりするので、心配なら説明書き通りにしましょう。
④待つ間~完成
1リットル容器と同じです。
完成したヨーグルトがこちら。
1リットル容器と同じように、しっかり表面まで固まっていれば成功です。
別売りの容器
ここから本来ヨーグルトメーカーに付属されていない、別種の容器を使った場合になります。
本来の容器と同じ大きさ・材質なら同じようにすればいいですが、私の場合規格がかなり違う容器を使ったので書いていきます。
①手洗い・器具の消毒
ここでは250mlのプラスチック容器を使ってヨーグルトを作ります。
同じように沸騰したお湯で殺菌・消毒しますが、この容器は耐熱性なのでレンジで加熱しての消毒もできます
多くお湯を沸かすのが面倒なら、容器内に高さ5mmくらい水を入れてフタをしてレンジで沸騰させてもOKです。
容器1つにつき40秒ほどやれば煮沸消毒できます。
②牛乳とヨーグルトの投入
小分け用の容器と同じ要領で牛乳とヨーグルトを投入します。
牛乳の量が200ミリリットルくらいまでなら小さじ1杯のヨーグルトでもOKです。
③容器をセット
容器をヨーグルトメーカーにセットしますが、規格が違うのでちょっと面倒です。
この250ml容器だとこのように2つしか入りません。
2段重ねにしてしまうと熱が伝わらずヨーグルトができないのでやめましょう。
④温度・時間設定
温度・時間設定ですが、ここでは36~37℃とかなり低く温度を設定します。
この容器だと小分け用容器より水位が浅いため、40℃だと温度が高くて乳酸菌が死んでしまいます。
このヨーグルトメーカーでは陶器製の容器を扱う前提の設計になっているため、プラスチック容器だと熱が伝わりやすくなってしまうのも原因かと。
何度かやった結果36~37℃あたりがちょうど良くなったので、このくらいの温度をセットします。
時間は同じくらいでかまわないです。
④待つ間~完成
待つ間~完成までの対応も同じです。
ただこちらは透明な容器なので状態を確認しやすいです。
小分け用容器の150mlが少なく感じなら250mlくらいの容器を使えば一食分としては十分な量になると思います。
種菌の保存
もし作ったヨーグルトから種菌を取りたいなら、新しく殺菌した容器に移しましょう。
1リットル容器などで大量にヨーグルトを作った場合は、食べ始める前の新鮮なヨーグルトを種菌として確保する必要があります。
「食べ残った最後の部分でいいや」なんて考えていると、乳酸菌があまりなかったり、最悪雑菌が混入してる可能性があります。
一口食べるごとにスプーンを殺菌・消毒してるなら話は別ですが。
種菌となるヨーグルトを取る場所は容器の真ん中の少し下の場所です。
上すぎるとホエイなどの水分が混じって薄くなってしまい、逆に下すぎると少し古い乳酸菌になります。
比較的新しくできた乳酸菌が図の位置あたりなので、できればそのくらいの位置のヨーグルトを種菌にしましょう。
小分け容器など、完成してから密封してある場合はこうした作業は必要ありません。
作業中の注意点など
とりあえずどんなヨーグルトメーカ-を使うにしろ、共通した注意点を書いていきます。
管理が杜撰だと食中毒の原因になるので、よく注意しておきましょう。
絶対に殺菌
何度か書いていますが容器・スプーンの殺菌・消毒はしっかりやりましょう。
ヨーグルトづくりでの失敗の理由の大半は雑菌の混入です。
特に容器内に雑菌が残っていると高確率で失敗します。
できるだけ無風で
風があるとホコリが舞うため、できるだけ無風状態で作業しましょう。
夏場での作業で扇風機やエアコンの風があるとホコリと共に雑菌が混入しかねません。
開けた窓の近くでの作業も同様です。
袖はまくる
長袖で作業する場合は袖をまくって作業しましょう。
袖についている微小な糸くずやホコリが容器に入らないようにするためです。
特に冬場だと長袖の服を着ることが多いので注意しましょう。
少し放置しても大丈夫
ヨーグルトが固まってから短時間なら放置してしまっても大丈夫です。
乳酸菌は適温の場合は活動し続けるので、1~2時間くらいなら取り出し忘れても大丈夫です。
ただ長時間乳酸菌が活動すると、その分ヨーグルトの酸味が増します。
酸味は雑菌の繁殖も抑えてくれますが、酸味が嫌いな人はできたヨーグルトは早めに冷蔵庫に入れてしまいましょう。
洗い残しに注意
ヨーグルトを食べ終わった容器は当然しっかり洗ってください。
ヨーグルトはけっこう容器にへばりつくので、容器の隅などに洗い残しが出たりします。
このように透明な容器ならまだわかりますが、白い容器だとかなりわかりにくいです。
洗い残すと次回のヨーグルトづくりの失敗の原因にもなるので、しっかり洗浄しておきましょう。
ヨーグルトを食べるとき
大きい容器からヨーグルトを少量だけ移すときはスプーンを消毒しましょう。
2~3日くらいで全部食べてしまうならあまり問題ありませんが、数日かけて少しづつ食べる場合は注意が必要です。
スプーンに雑菌が付着していると、それが残っているヨーグルトに混入してします。
種菌は3~4世代で交代
作ったヨーグルトを種菌にし続ける場合は3~4世代で新しいヨーグルトに変えましょう。
何回も世代を重ねて種菌にすると種菌そのものが弱ってきます。
種菌が弱るとヨーグルトが固まりづらくなったり、乳酸菌による殺菌作用も弱まります。
大体3~4世代あたりから予兆が出始めるので、ヨーグルトができにくくなってきたと感じたら新しいヨーグルトを購入しましょう。
慣れれば簡単
結構注意したいことが多いですが、慣れれば流れ作業でできるようになります。
もちろん注意して作業する必要はありますが、そこまで苦にはなりません。
一番気を使うのは、お湯を使っての消毒作業くらいでしょう。
私は2年以上ヨーグルトづくりをしていましが、ヨーグルトでお腹を壊したことはありません。
実質的な作業時間もお湯を沸かす時間と、消毒している時間くらいなもの。
あとは数時間放置しておくだけで作れます。
慣れればお湯を沸かす時間込みで30以内にできるようになるので、ヨーグルト作りに興味を持っている人は是非試してみてください。