「足がつる」と「肉離れ」の違い。ふくらはぎで起きる筋肉の異常

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誰でも経験があるであろう「こむら返り」、通称「足がつる」という症状。

かなりの激痛を伴い、あまりにも酷いと「筋肉が切れた」なんて感じる人もいるでしょう。

それと似たような症状の「肉離れ」という症状。

先日脚がつった時に今までにない激痛を感じて「筋肉が外れた?」なんて感じたので、両者の違いについて調べてみました。

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こむら返りとは

まずはどんな人でも経験しているだろう「こむら返り」。

私は寝転がっている時にふくらはぎ部分によく起き、ごく稀に足の指で起きることも。

慣れて(?)くると「どんな体勢なら起きやすい」なんて感覚も持ち始めてます。

主な症状

こむら返りが起きるタイミングは運動後や就寝前後が多く、主な症状は激痛とその部分の硬化でしょう。

痛みが走った部分を触ってみると、とんでもなく硬くなっています。

この激痛の硬化は筋肉の異常な収縮によって起きてきます。

こむら返りは「足がつる」というように、基本的に足のふくらはぎで起きます

ふくらはぎは複数の筋肉が集まってできている部位です。

・腓腹筋(内側)
・腓腹筋(外側)
・ヒラメ筋
・長指伸筋

もう少し細かい筋肉はありますが、メインは腓腹筋(ひふくきん)とヒラメ筋です。

このどちらかの筋肉に異常が出るとこむら返りが起きます。

ただ条件さえ揃えば筋肉があるすべての部位で起きる可能性があります。

足の指部分で起きた人もいるかと思います。

原因

こむら返りの筋肉の異常な収縮は「腱紡錘(けんぼうすい)」という、筋肉の緊張(収縮)を緩和する筋肉の異常で起きます。

普段の筋肉は、収縮しないようにする(筋肉を伸ばす)「腱紡錘」と、その逆の伸びすぎないようにする(筋肉を収縮させる)「筋紡錘」という筋肉でプラスマイナスゼロの状態で保たれてます。

腱紡錘は筋肉の付け根の腱の部分で、筋肉を伸ばす時に。

筋紡錘は筋肉の内部にあり、力を入れたりするときに使います。

腕立てで例えると、身体を下げるときに腱紡錘が、身体を上げるときに筋紡錘が作用します。

この腱紡錘の作用が低下すると筋紡錘によって収縮が起きてしまいます。

要は常に限界を超えて筋肉に力を込めている状態がこむら返りの原因といえます。

力むと筋肉が収縮して少し痛みを感じますが、筋肉を伸ばす腱紡錘によって最小限に抑えられています。

このように腱紡錘は筋肉の収縮度合いのリミッターの代わりになってます。

しかし筋肉のリミッターを外して限界を超えた収縮を起こせても、当然それによって抑えられていた痛みも比例して増します。

これが大雑把なこむら返りの痛みの仕組みです。

この腱紡錘の機能の低下はマグネシウムなどのミネラル分の不足で起きるとされています。

カルシウム・カリウム・マグネシウムなどのミネラルは神経の伝達にも関わってくるため、これが不足すると神経系に異常が出ることがあるそうです。

筋肉も神経からの指示で動いているわけで、腱紡錘なども一見動いていないように見えても、常に働いている筋肉です。

ミネラルは汗とともに体外へ排出されてしまうので、大量の汗をかくとこむら返りが起きる可能性も高くなります。

運動後はもちろん入浴中も汗をかくため、就寝前後にこむら返りが起きるのはこういった理由です。

ただこむら返りは神経(腱紡錘)にミネラルが届かないことが原因です。

冷え性や糖尿病などが原因で血液がしっかり神経に届かない場合でもこむら返りは起こり得ます。

「やたらと足がつる」なんて人は、ミネラル不足以外にこういった傾向もあることも覚えておきましょう。

予防方法

こむら返りを防止するにはミネラルを補給するのが一番。

運動や入浴といった、汗をかきやすい状況の前後にスポーツドリンクや経口補水液を飲んでおけばOK。

ただミネラルウォーターには名前程ミネラルが含まれていないので注意。

血液…というか体内の水分量が不足しても問題なので、飲料系でミネラルを補給するのが効率が良いです。

後は身体を冷やさないようにして、血液が体内を巡るようにしましょう。

筋肉をほぐすことでも血行が良くなります。

やたらとこむら返りが起きやすい箇所があるなら、定期的にそこの筋肉をマッサージしてみましょう。

治し方

もしこむら返りが起きてしまったら、患部の筋肉を伸ばしてみましょう

こむら返りは筋肉の収縮のし過ぎが原因なので、無理やりにでも伸ばして通常の筋肉の状態に戻します。

痛みを和らげようと力を入れるのは逆効果なので注意。

例えば足(ふくらはぎ)でこむら返りが起きたら、足のカカト(アキレス腱)が伸びるようにします。

ただ一気に伸ばそうとすると後述する「肉離れ」になる可能性もあるので、ゆっくり・徐々に伸ばすように。

激痛の中でするにはキツイでしょうが、これを覚えて症状を緩和しましょう。

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肉離れとは

肉離れもこむら返りと同じく筋肉に起きる症状です。

別名として「挫傷」とも呼びます。

症状はこむら返りよりも重症なので、もし起きたら病院へ行きましょう。

主な症状

肉離れは「筋肉が骨などから離れる」という意味ではなく「筋肉の断裂」です。

そのため、こむら返りと違って物理的にケガをした状態といえます。

肉離れが起きるとこむら返り同様に激痛が走り、それに加えてかなりの内出血が起きます

筋肉の断裂が肉離れなので、理屈としてはこむら返りと同じで全身のどの部位でも起こり得ます。

一番起きる可能性があるのがこれも同じふくらはぎなので、場合によってはこむら返りと勘違いしてしまうことも。

分かりやすい症状が激痛のみで、内出血の方は外見上すぐに分からないのも拍車をかけます。

ただ肉離れは激痛がいつまでたっても収まりません

足に起きた場合には歩くことも、腕などに起きた時は動かすことも困難になります。

一過性のこむら返りとの判別はこれでできます。

原因

肉離れの原因は先ほども書いた通り筋肉の断裂です。

その断裂ですが、普段使わない・硬直化した・鈍った筋肉を急に使うと起きやすいそうです。

あまり使っていない筋肉だと伸縮がうまくいかず、負荷に耐えられずに裂けてしまいます。

筋トレなどで起きる微細な筋肉の細かい断裂とは段違いで、筋肉の大半が真っ二つになります。

さながら伸び切ったゴムが裂けるが如く。

慣れない激しい運動やトレーニングなどをすると筋肉が耐えられないため、肉離れが起きる可能性も高くなりやすいです。

トレーニング前のストレッチやマッサージの主な理由には、肉離れを防ぐ意味合いも強いです。

ほぐされていない筋肉で急な伸縮を起こすと起きやすいので、そういった行動は控えましょう。

また過度の負荷がかかって筋肉疲労が溜まってきても起きやすいので、筋トレを良くする人でも注意しましょう。

予防方法

肉離れを防ぐには筋肉をほぐしておく・唐突な運動を控えることです。

筋肉の伸縮が正常に行われているならば、よほどの想定外の負荷がかからない限りは肉離れの心配はありません。

定期的に運動をして、筋肉がまったく働いていない期間を無くしましょう。

もちろん運動前のストレッチは欠かさないように。

筋トレの際にも、精々が「限界より少し先」程度にを酷使するようにしましょう。

過度の筋トレは肉離れだけでなく「横紋筋融解症」という症状も起こす可能性があります。

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治し方

肉離れが起きてしまったら、まずは起きた部分を自然な状態で維持します。

ふくらはぎで起きたら、少しゆったり気味に脚をまっすぐに。

上腕二頭筋で起きても同じです。

こうして筋肉の伸縮を通常の状態に戻すことで、裂けた筋肉同士をくっつけます。

こうして内出血を押さえます。

後は病院で診察してもらい、重症度の度合いによって治療法を決めます。

肉離れの治療は外科の範疇なので、外科医院・接骨院などで診察・治療してもらいましょう。

基本的には手術などは行わず、安静と患部の固定化を重視しているようです。

…だからといって自分で判断しないように。

「筋肉」という見えない部分のケガだと危機感が湧かない可能性もありますが、「脚や腕の皮膚の大部分が裂けて千切れた」といった感じの危機感は持ちましょう。

こむら返りと肉離れの比較

ではまとめとして、これまで書いてきたこむら返りと肉離れの特徴を比較してみましょう。

 こむら返り肉離れ
起きる場所ふくらはぎ中心ふくらはぎ中心
起きるタイミング運動後・就寝前後激しい運動の前後
症状筋肉部の激痛
硬化
筋肉部の激痛
内出血
痛みの持続時間数分数日
該当部位を動かすたび
原因ミネラル不足
血行不良
筋肉の断裂
予防方法ミネラルの補給
筋肉のマッサージ
筋肉のマッサージ
治し方患部を伸ばす患部を自然体に
病院で治療・固定化

こうして比べてみると、症状や起きる場所など共通している部分が多いです。

特に起きやすい場所・タイミング・症状がほぼ一致しているため、症状が出た直後だとどちらが原因かわからないことも。

「こむら返りかと思ったら肉離れだった」なんて人も。

まあ、ただ寝転がっている状態だったら大抵はこむら返りなので、(激痛の中でですが)落ち着いて対処します。

逆に痛みがいつまで経っても引かない場合は肉離れの可能性が高いので、すぐに病院で診てもらいましょう。

とにかく運動前にストレッチをすれば予防になります。

肉離れと脱水症状の予防としても、ミネラルを含んだ飲料を飲むのは有効です。

やたらとこむら返りが起こる人はこうした対策をして、序でに肉離れも防いでおきましょう。

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