老後にもらえる年金の受給額の計算方法

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年金は「国民年金」「厚生年金」と別々の制度があり、当然それぞれ保険料や受給額の計算も違います。

そして今支払った保険料で見合った額にならない仕組みなど、面倒な点が多いです。

では年金はどういった計算で受給額が決まるのか?

それそれの計算方法を紹介していきます。

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国民年金

まず国民年金(老齢基礎年金)は原則労働者以外の成人が加入対象になります。

前提として大人になれば強制的に加入させられるのが国民年金。

専業主婦・バイトといった正社員ではない人だと自分で支払い手続きをしないといけないため、かなり面倒な思いをしている人もいるでしょう。

国民年金の月々の受給額の計算方法がこちら。

その年に設定された支給額 × ( 納付月数 ÷ 480か月 ) ÷ 12か月

ちょくちょく知らない人がいますが、国民年金は受給額の上限が設定されています。

それが計算式の「その年に設定された支給額」という項目。

毎年政府は国民年金の受給額の限度額を設定しており、これ以上の額の年金をもらえることはありません。

例えば2022年なら「年間で777,800円」となってます。

そしてついでに「どれだけの額を払ってきたか」も考慮されません

本当に「保険料を支払ってきた年月」でのみ額が決定されてます。

保険料を納付する機関は480か月(40年)分で、10年(120か月)以上支払ってきた人のみが対象になります。

…この辺が地味に腹立たしいと感じる人も多いのでは?

とりあえず以下の条件に設定して受給額を計算してみます。

・納付月数…360か月
・支払い額の年間満額…777,800円(2022年度)

この場合の月々の受給額はこうなります。

777,800円 × ( 360か月 ÷ 480か月 ) ÷ 12か月 = 48,612円

上記の条件の人なら、年間の支給額は583,350円で、月々の額は約48,600円となります。

例え満額保険料を支払ってきたとしても、貰える額は64,800円ほどと「満額」でもかなり低い額となります。

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厚生年金

国民年金は何らかの労働をしている人が加入する年金制度です。

厚生年金でもらえる年金は2種類あります。

・老齢厚生年金
・老齢基礎年金(国民年金)

厚生年金に加入すると、自動的に国民年金の方にも加入することになります。

そのため、厳密には「厚生年金」と「国民年金」のセットと考えていただければと。

厚生年金の受給額はこの2種類の年金の合計で算出されます。

老齢基礎年金は上記の国民年金の計算方法と同じです。

そして老齢厚生年金の月々での受給額の計算方法がこちら。

平均標準報酬月額 × 5.769 ÷ 1000 × 納付月数 ÷ 12か月

「平均標準報酬月額」とは稼いできた収入の、月での平均金額のことです。

例えば、納付期間(保険料を支払った期間)が30年(360か月)で、その間に1億円稼いだとします。

その場合の平均標準報酬月額は1億円 ÷ 360か月で約27万8000円となります。

ではこの条件での老齢厚生年金の金額はどうなるか?

・月収平均…278,000円
・加入期間…360か月

実際の計算がこちら。

278,000円 × 5.769 ÷ 1000 × 360か月 ÷ 12か月 = 48,113円

上記の条件での老齢厚生年金の金額は48,113円

これに老齢基礎年金の金額を合わせた金額が、最終的な厚生年金の受給額になります。

同時に国民年金も受給対象になるので、加入期間360か月での老齢基礎年金は2022年度だと48,612円

48113円 + 48612円 = 96725円

つまり、上記の条件の人の厚生年金の受給額は月々約96,700円になります。

ただ老齢基礎年金の方は受給額が年々変動しているので、この額より少し増減します。

繰り上げ・繰り下げ受給

各年金の計算方法は上記の通りですが、これに加えて受給額を増やしたり受給期間を早める方法があります。

それが「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」になります。

国民年金・厚生年金の両方で利用できる制度となってます。

最大の注意点として、両制度とも一度決めてしまうとキャンセルできません

それ以降の年金額が、申請した時点での減額率・増額率に沿った金額になるので要注意です。

繰り上げ受給

繰り上げ受給は受給額を減らす代わりに受給時期を早められる制度となってます。

年金の受給ができるのは65歳になってからですが、最大で60歳から受給できるようになります。

ただし1か月受給を早めるごとに一定の割合で受給額が減っていきます

厚生年金の場合「老齢厚生年金」と「老齢基礎年金」の2種類ありますが、この合計を基準として割合減額されます。

減少する割合は以下の通り。

1か月早めるごとの減少率

・1962年4月1日以前生まれの人…0.5%
・1962年4月2日以降生まれの人…0.4%

いつ生まれたかによって減少する割合は固定され、変更されることはありません。

何歳と何か月時点での減額率の早見表がこちら。

例:「60歳・3か月」なら「60歳になって3か月後から受給」の場合の減額率

0.5%(1962年4月1日以前生まれ)の場合

60歳61歳62歳63歳64歳
0か月30.024.018.012.06.0
1か月29.523.517.511.55.5
2か月29.023.017.011.05.0
3か月28.522.516.510.54.5
4か月28.022.016.010.04.0
5か月27.521.515.59.53.5
6か月27.021.015.09.03.0
7か月26.520.514.58.52.5
8か月26.020.014.08.02.0
9か月25.519.513.57.51.5
10か月25.019.013.07.01.0
11か月24.518.512.56.50.5

0.4%(1962年4月2日以降生まれ)の場合

60歳61歳62歳63歳64歳
0か月24.019.214.49.64.8
1か月23.618.814.09.24.4
2か月23.218.413.68.84.0
3か月22.818.013.28.43.6
4か月22.417.612.88.03.2
5か月22.017.212.47.62.8
6か月21.616.812.07.22.4
7か月21.216.411.66.82.0
8か月20.816.011.26.41.6
9か月20.415.610.86.01.2
10か月20.015.210.45.60.8
11か月19.614.810.05.20.4

1962年4月1日以前生まれの人の場合は最大30パーセント、4月2日以降生まれの人なら最大24パーセントの減額率となってます。

以上の減額率で元の年金額を計算して算出されます。

繰り下げ受給

繰り下げ受給は受給する時期を遅くする代わりに受給額を増やせる制度になります。

1か月遅らせるごとに受給額が0.7パーセントずつ割り増しされていきます。

現在は75歳まで受給時期を遅らせられるので、75歳時点で最大84パーセントの割り増し金額となっています。

ただし、1952年4月1日以前の生まれの人は70歳までとなっているので、70歳時点の42パーセントとなります。

注意点として繰り下げ受給は66歳以降からが対象です。

繰り上げ受給のように「65歳と3か月」といった65歳の間で繰り下げ受給はできません。

しかし65~66歳の間の分はしっかり増額されるので、繰り下げ受給のスタート時点での増額率は8.4パーセントになります。

繰り下げ受給の増額率の早見表がこちら。

66~70歳

66歳67歳68歳69歳70歳
0か月8.416.825.233.642.0
1か月9.117.525.934.342.7
2か月9.818.226.635.043.4
3か月10.518.927.335.744.1
4か月11.219.628.036.444.8
5か月11.920.328.737.145.5
6か月12.621.029.437.846.2
7か月13.321.730.138.546.9
8か月14.022.430.839.247.6
9か月14.723.131.539.948.3
10か月15.423.832.240.649.0
11か月16.124.532.941.349.7

71~75歳

71歳72歳73歳74歳75歳
0か月50.458.867.275.684.0
1か月51.159.567.976.3
2か月51.860.268.677.0
3か月52.560.969.377.7
4か月53.261.670.078.4
5か月53.962.370.779.1
6か月54.663.071.479.8
7か月55.363.772.180.5
8か月56.064.472.881.2
9か月56.765.173.581.9
10か月57.465.874.282.6
11か月58.166.574.983.3

繰り下げ受給は繰り上げ受給と違って、老齢厚生年金・老齢国民年金のどちらかだけ、といった利用もできます

例えば、老齢厚生年金は2年繰り下げ(67歳から受給)して、老齢国民年金は通常通り(65歳から受給)といったこともできます。

もちろん両方の年金を繰り下げることも可能です。

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今後変更されることも

以上で厚生年金・国民年金の受給額の計算の仕方は終わりですが、今後に変更される可能性は十分あります。

実際に何回も調整が入っており、基本的に金額が減る方向性で計算方法が変更されています。

国民年金なら1年に一回の受給額の上限の再設定。

厚生年金なら計算式の「5.769」の数値が、以前は「7.125」と高い数値でした。

しかし今の「5.769」になると2割も金額が減る計算になってます。

それ以外にも繰り上げ・繰り下げ受給の増減割合の調整などもです。

老齢厚生年金の方は生まれ年での設定で額が計算される傾向にあるため、そこまで急激に金額が変わることはありません。

しかし老齢基礎年金は毎年変更されているので要注意です。

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