「株式」「有限」「合資」の意味。会社の種類による違いや歴史的背景

2021年5月7日仕事・会社仕事

会社の名前の前につく「株式」や「有限」。

その他にも「合資」や、珍しいと「合同」「合名」なんてつく会社もあります。

もちろんそれぞれ会社の設立条件や構成などには違いがあります。

名前はよく知られている株式でも、その内情まで詳しく知っている人は少ないと思います。

そこで各会社の設立背景・条件・特徴などを解説していきます。

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株式会社

最も聞くであろう形態の「株式会社」。

株式会社の一番の特徴はなんといっても「株」になるため、そこを中心にして会社が作られています。

歴史

株式会社と聞くと最近作られた種類の会社と思う人もいるでしょうが、その歴史は古く16世紀の大航海時代あたりまで遡ります。

某海賊映画でも出てきた「東インド会社」というのをご存じでしょうか?

この会社が今の株式会社の前身となっています。

正式名称は「イギリス東インド会社」といい、当時は航海に基づく利益を求めて活動していました。

厳密には3つの会社「イングランド東インド会社」「ロンドン東インド会社」「合同東インド会社」の合同企業。

インドと銘打っていますがインドだけでなくマレー島やタイ・台湾といったアジア全体を対象として活動していたそうです。

この会社群は航海(仕事)の度に出資してもらい、航海で得た利益を分配するシステムだったそうです。

当時の航海では航海の成功率が高くなく、日数もかかったため、そのリスクを分散する目的もあります。

この概念が根幹となって株式会社へと受け継がれています。

株式会社の形態

起業するにはかなりのお金が必要になります。

そのため株式会社では、自分だけでなく不特定多数の人からも起業資金を出資してもらって資金を集められます

このとき出資した金額に応じた「株」という権利書が出資者に配られます。

この株を持つ人は「株主」として・会社の一員として会社に意見できるようになります。

ある意味社員よりも立場は上ともいえるかも。

これでは借用書を作って貸金しているだけともいえますが、一番の違いは継続的に変動する利益が分配されるところです。

このあたりの仕組みが「東インド会社」から受け継がれています。

貸したお金というのは、一定の利息込みで返されればそれで終わりです。

しかし、株では会社が利益を上げるたびにその利息ともいえるものの金額も上がっていきます。

これは株という権利書を持っている・会社が経営されるかぎり分配され続けるため、不労所得(働かなくてもお金が入る)として一定数の人が手を出し続けています。

投資家が株を買うだけ・持っているだけなのに生活できているのはこういうことです。

この配当は現金だけではなく、その会社の経営している施設(食品・雑貨店・ジム)などを利用できる「優待券」というもので支払われることもあります。

もちろん持っている株を売ることもでき、買った当初よりも株の価値が上がっていれば、差し引いた分が純利益として儲けになります。

…買った当初より株の価値が下がってしまいマイナスになってしまうこともありますが。

「大株主」は会社の重役並み

明確な定義はありませんが、「株主」の中でも市場に出ている株全体の10%ほどを所有している人を「大株主」といいます。

別称「主要株主」とも。

例えば会社を企業するために1万円の株を1000枚発行して1000万の出資を受け、その内100万円分(株100枚分)前後を持っていると大株主になります。

そして大株主の中でも一番株を持っている人は「筆頭株主」といいます。

株主になるには個人から集団(組織)でもOKなので、個人で大株主になっている人も。

この大株主になると会社の経営方針にも口を出せるほどの権力を持つようになります。

株というのは「会社をお金に変換したもの」ともいえるので、大株主にもなると会社の10%以上を所有しているともいえます。

そのため会社が利益を損なうようなことをしているなら、それに対して文句をいったりと経営者支点で意見を出せるようになります。

「株」が食わせ物

「株はギャンブル」といえる原因として、「株の値段が高い」「会社の価値が下がると分配される利益も減る」という点。

株というのは会社によって値段が違い、高い分配が期待できる人気の会社ほど100万円といった値段になったりします。

この分配される金額は会社が儲けた分から算出されるため、会社の景気が悪くなれば当然分配される金額も下がります。

最悪会社が倒産すると株の価値はゼロとなり、例え数百万かけて買った株は紙くず同然になり配当されるお金も無くなります。

こうした部分が「株はギャンブル」といわれる所以です。

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有限会社

株式会社に次いで聞くであろう「有限会社」ですが、株式会社との区別の仕方を書いていきます。

もう有限会社は存在しない

いきなりですが現在において有限会社というものは存在していません

2006年に新しく会社を作る際の法律「会社法」が改定・施工され、以後は新しく有限会社を作ることができなくなりました。

しかしいきなり会社の名前を変えるとネームバリューや書類面で不都合があったりするため、社名に「有限会社」とつけたまま経営されています。

法律上でも変化があり、今もって有限会社のままだと「特例有限会社」という区分になります。

つまり今でも「有限会社」とついている会社は、少なく見積もっても2006年以前から続く会社ということになります。

「旧」有限会社の形態

有限会社と株式会社の大きな違いは「株主が身内」「有限責任社員という人たち(社員)で構成されている」「社員数が少ない」というところです。

株主が身内のみ

有限会社といっても株のシステムは存在します。

しかし会社の外に株を持っている人がいる株式会社と違い、有限会社は会社の経営陣でのみ株を所有しています。

…まあ簡単にいうと「会社の起業資金が経営者陣のポケットマネーから出ている」ということです。

株式会社では起業資金を投資家などに出してもらうのに対し、有限会社では個人あるいは身内のみの資金から出されています。

そのため株主 = 経営陣といった状態になりやすく、株式会社のように外部から経営方針に口出しされることは少くなります。

「身内経営」といわれることもあります。

そもそも、大量の起業資金が必要とされない場合は有限会社で起業したほうが面倒が少ない場合もあります。

有限責任社員とは

有限責任社員とは「出資した分だけ責任を負う社員」のことです。

ここで勘違いされやすいのが「責任を負う社員」とは従業員のことではなく、出資した人のことを指します。

イマイチわかりづらいと思いますが、これの反対に「無限責任社員」というのがあるので、それと比べるとわかりやすいです。

株を買った人は会社が倒産しても株を買ったときの金額分以上に損をすることはありません。

普通の株主なら買った株が紙クズになって終わる話です。

しかし反対の無限責任社員だと、倒産の際に残った借金も負担しなければならなくなります。

有限会社はそういったリスクを少なくするため、責任を「有限」にすることで出資した人に必要以上のリスクを負わせないようなシステムになっています。

社員数50人以内

有限会社では「社員数が50人以内」という決まりがあります。

正確にいえば会社の規模が大きくなるに伴って「産業医」と「衛生管理者」を雇用する必要が出てくるためです。

産業医…社員の健康管理をするための会社専属の医者
衛生管理者…災害時や事故などの際の安全対策をする役職

主に社員の健康・安全管理のための役職です。

あまり会社が大きくないのに余分に雇用するのを防ぐ場合にも有限会社が選択されていました。

会社が大きくなりにくい

有限会社は「身内経営」になりやすいことから、会社の規模が大きくなりにくいです。

経営陣が身内のみという形態なので 、「重要な役職を増やす = 人員を増やす」ことも難しいためです。

起業資金と初期投資額も少ないことが多いため会社の規模も大きくしにくいです

ただデメリットだけではなく「会社の意思統一がしやすい」「規模が今より小さくもなりにくい」というメリットもあります。

元々経営陣が身内・あるいは個人なので意思の決定や経営方針の変更もしやすいです。

会社の規模を大きくしない分リスクも最小限に抑えられます。

持分会社

・合名会社
・合資会社
・合同会社

これらをひとまとめにした総称が持分会社です。

性質的にかなり似通っている部分が多く、間違えやすい企業形態といえます。

「有限」と「無限」責任社員

持分会社で重要になるのが「有限責任社員」と「無限責任社員」があります。

簡単におさらい。

有限責任社員…出資額以上の責任・負債を抱えない出資者
無限責任社員…出資額以上でも責任・負債を抱える出資者

重要な2点が「出資者である」と「出資額以上の負債の有無」です。

出資者とは従業員ではなく株主など実際に資金を出した人のこと。

持分会社の場合は有限社員・無限責任社員ともに会社の経営に近しい人なことが多いです。

例えば会社が倒産したりした場合、有限責任社員では出資した金額(株など)以上の負債を抱えることはありません。

が、無限責任社員ではその負債を超えた借金なども抱える責任が発生します。

…まあ会社の社長などが責任を取るのが当たり前といわれればそれまでですが。

合名会社

合名会社は

・無限責任者が1名以上

で起業できるため、最もシンプルかつ古い会社形態といえます。

いってしまえば個人事業者のようなもの。

ただ「芸能人」「スポーツ選手」「ユーチューバー」「アフィリエイター」というのも個人事業者のくくり入ります。

そのため、正式に事業所(会社)を構えているかどうかが違いになります。

そして持分会社の中でも最も個人にかかるリスクが多い会社形態です。

完全に個人で起業できる利点がありますが、同時に会社が負った負債を全負担する責任が生まれます。

会社が倒産したら全ての借金を個人レベルで返済する義務が生じるため、合名会社を進んで企業する人は少ないです。

合資会社

合資会社の特徴として

・無限責任社員が1名以上
・有限責任社員が1名以上
・これらの社員は負債に対し直接責任を負う

というものがあります。

ただ少々古い形態ということもあり、リスクとして「有限責任社員でも直接責任を負う」というもの。

株式会社などでも有限責任社員はいますが、こちらは間接責任として全ての責任を負う必要はありません。

しかし合資会社の有限責任社員は「借金の保証人」の直接責任を負うことになります。

通常は出資した分の負債を抱えればいいですが、無限責任社員(おそらく社長など)が負債を払いきれない場合、その余った負債を連帯責任で支払う必要が出てきます。

そのため現在ではあまり合資会社として企業する人は以前に比べ少ないんだとか。

合同会社

合名会社は他の持分会社と違い

・有限責任社員が1名以上

で起業できるため、3つの内最もリスクが少ない形態といえます。

他と違い有限責任でも間接責任に留まるのもリスクを少なくするのに一役買っています。

またこのような形態から旧有限会社と似通っており、現在では新規で企業できなくなった有限会社の代わりに選択される会社形態にもなります。

このため起業する人でこの会社形態を選択する人も多く、有名どころでは「Amazon」「Google」といった大手ともいえる企業が合同会社として企業しています。

個人で起業したいと考えている人なら、優先的に調べたい会社形態といるでしょう。

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責任の有無が重要

これが現在存在している会社の形態になります。

基本従業員として入社する際にはどれも大差ないでしょうが、投資家や起業したい人にとっては重要になります。

企業する側の人から見ても、会社の倒産時などのリスクでもかなり違いが出てきます。

自分が選んだ会社形態をしっかりと理解した上で投資・起業しましょう。

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