【爬虫類】遠赤外線パネルヒーターの暖房効果とコスパ…面倒な設置方法も紹介

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爬虫類用に様々な暖房器具が販売されていますが、どれも一長一短で特徴が尖っています。

そして誰でも気になるのが「暖房効果」と「光熱費」の両立。

冬場は凍死を防ぐために一日中暖めていないといけませんが、それだと光熱費がどれだけかさむのか気にする人も多いでしょう。

そうして迷っている人におすすめしたいのが「遠赤外線型」のパネルヒーターとなります。

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遠赤外線パネルヒーターとは?

遠赤外線パネルヒーターは、名称通り遠赤外線を出すパネルヒーターのこと。

遠赤外線の特徴として照射されたものを直接暖めるという性質があります。

詳しい原理を省略して説明すれば、照射された物体(原子)を振動させて発熱させます。

「発熱する」というのは「原子が振動する」ことによって起きるので、それを人為的に引き起こします。

これは太陽光などの光に含まれる赤外線・遠赤外線によっても起きることで、光に当たると暖かいと感じるのはこれが理由。

これを再現しているだけなので何か悪影響が出るわけでもありません。

普通のパネルヒーターは電熱で暖めますが、これだと伝っている間に熱が吸収・放散して温度が低下していきます。

例えば爬虫類ケージの下に敷けばケージフレームなどに熱が余分に吸収され、ケージ内に熱が伝わりにくくなったり。

そのため広範囲を暖めるなら消費電力の多い(電熱が多い)保温ランプなどを使うしかありません。

しかし遠赤外線なら照射された場所・物の温度を直接上昇させてくれるため、熱のロスが少なく、しっかり暖まれるようになります。

人間用の電気ヒーターでも「カーボンヒーター」や「グラファイトヒーター」なんてものがあるように、その暖房効果は保障済みです。

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離れても暖められる

遠赤外線型のパネルヒーターの特徴として「低電力で立体的な暖房効果」があります。

遠赤外線型のパネルヒーターと普通のパネルヒーターでは、暖める「面積」でいえばパネルヒーターが上ですが、「空間」では遠赤外線の方が上になります。

普通のパネルヒーターと比べてみると、消費電力あたりの面積では半分ほどとなり、かなり狭く感じます。

しかし遠赤外線型のパネルヒーターは10cm以上離れた場所でも暖房効果を発揮します。

普通のパネルヒーターでは数cmだけでも離れると熱が無くなるため、このあたりが明確な違いとなります。

「サングロー」といった保温ランプでは最低でも50W以上の電気量なため、光熱費がかさむ原因になります。

その点遠赤外線型パネルヒーターなら保温ランプより低電力で離れた場所を暖められます

そのためヘビやカメレオンといった樹上で生活する爬虫類に対して、光熱費を少なくした上で暖めるのに向いています。

ヒーター自体の温度もそこまで高温にならず、最大温度の時でも手で触れても問題なし

保温ランプのようにペットが近づきすぎて、あるいは手で触れてしまって火傷する、なんてことも防げます。

逆にヒーターに乗っかったりして暖を取るレベル。

逆に低地のみで生活する爬虫類だと暖められる面積が少なくなるので、広いケージだと少々心もとない部分もあります。

しかし、これの間接的な効果により爬虫類がシェルターに引き篭もるのを防げるのも何気にポイント。

遠赤外線型パネルヒーターはケージ上部に設置して使用し、シェルターの外側から暖めるようになっています。

そのため自然と暖かいシェルターの外に出てきてくれるため、しっかり日光浴させられるようになっています。

普通のパネルヒーターは大抵シェルターの下に設置することが多いですが、これによる「日中も暖かいシェルターに籠って出てこない」「日光浴に出てきてくれない」なんてことを防ぐことができます。

遠赤外線型のパネルヒーターにしたところ、日中どころか夜中でもシェルター外で過ごす生活スタイルになっているくらいです。

私はSサイズのヒーターを使っていますが、室温10~15℃でも、設置部分は25℃くらいあるので問題無し。

完全にホットスポットに居座った状態になっているため、紫外線ライトもしっかり浴びて日光浴できてます。

製品紹介

遠赤外線パネルヒーターは設置方法に若干の難があったり、意外に場所を取るせいか、製造している会社が少ないです。

逆にパネルヒーターほど製品選びに四苦八苦しないメリット(?)もあります。

代表的な遠赤外線パネルヒーターを紹介していきます。

暖突

遠赤外線パネルヒーターで一番種類(サイズ)が多いのが、みどり商会販売の「暖突」ヒーター。

サイズ(名称)大きさ(cm)消費電力重量
Sサイズ19×14×213W0.28kg
Mサイズ25×20×232W0.4kg
Lサイズ40×25×257W0.66kg
ロング40×14×232W0.49kg

順当にサイズを大きくしたものと、横長にしたものとあるため、飼育ケージに合ったヒーターを選びやすくなっています。

サイズの割にかなり軽く、一番大きいLサイズでも他のヒーターのMサイズヒーターより軽いです。

軽い分設置の仕方のバリエーションが増えるので、設置場所で苦慮している人でも安心です。

ただ、できるだけケージ全体を暖めたいなら、30cmのケージでSサイズ、45cmのケージならMサイズ、60cm以上のケージならL・ロングサイズが効果的です。

ヒーティングトップ

爬虫類専門の器具を多く販売しているエキゾテラも「ヒーティングトップ」というヒーターを販売してます。

こちらはサイズが2種類しかありませんが、小型かつ高出力なものとなっています。

サイズ(名称)大きさ(cm)消費電力重量
Sサイズ15×10×316W0.4kg
Mサイズ25×16×340W0.76kg

こちらも暖突同様に天井にも固定できるタイプですが、同サイズのものと比べると少し小さくなります。

それでも暖房効果は同程度、あるいは上となっているので、場所を取らずにホットスポットを作れます。

ただ60cm以上のケージに対応できるサイズのヒーターが無いのがネック。

高出力にしたことによって遠赤外線が届く距離も長くなっているので、ヒーターの射角を取るなどして広範囲を照射するようにしましょう。

ただ重量が暖突よりも重くなっているので、設置の際には重量制限に気を付けましょう。

ヒュドラヒート

アクアリウム関係の器具を販売している寿工芸でも、3種類のヒーターがあります。

サイズ(名称)大きさ(cm)消費電力重量
Sサイズ20×14×314W0.5kg
Mサイズ30×21×526W0.6kg
Lサイズ40×21×540W0.8kg

暖突と比べると消費電力の割に少し大型化しているのが特徴。

ただ同会社が販売しているヒートコントローラー「ヒュドラサーモ」を使えば、温度調整・消費電力の細かい調整が可能となっています。

これのおかげでLサイズのヒーターで「広範囲を低電力で暖める」なんて使い方ができます。

消費電力を少なくすると暖房効果も下がりますが、そこまで高温じゃなくても良い場合に重宝します。

またフックを使うことで金網のケージでも対応できるようになっています。

こちらも少し重量が増加しているため、設置の際には注意。

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設置方法

遠赤外線パネルヒーターはけっこう大きいですが、見た目よりもかなり軽いです。

Sサイズのヒーターだと300g、Lサイズでも700gくらいとかなり軽く、下手すると陶器製のコップの方が重く感じるくらい。

遠赤外線パネルヒーターの設置方法は少々特殊で、何かにネジ止めして固定して使うのが基本になります。

例えば爬虫類専用のケージや、フタ全体に隙間があるケースだと、その隙間にネジを通してヒーターを固定します。

しかしフタがガラスだったりすると設置できないので、そういった場合の設置方法の紹介をしていきます。

①ケージ上に引っ掛ける方法

 

写真のようにヒーターをアルミ棒に固定し、そのアルミ棒がケージ上に乗るようにします。

ケージのフタを設置できる場所や紫外線ライトの関係上、写真のように少し複雑化していますが、別にアルミ棒に直接ネジ止めしても構いません。

少々醜いですが、アルミ棒2本にプラ板を固定し、そのプラ板にパネルヒーターを固定してます。

アルミ棒は四角形で中が空洞になっているものを使用。

ネジ止めするための穴を空けないといけないので、加工がしやすく、ヒーターが落下しない程度の強度のアルミ材が向いてます。

穴の開け方は少々面倒ですが、このように二重で穴を空け、ネジ頭が中に入るようにしてます。

アルミ棒の上にガラスのフタを置くとき、ネジ頭があるとガラスがガタつく、最悪割れるのを防ぐためです。

ネジ自体は結構小さく、ネジ部分は3mmくらい、ネジ頭は35mmくらいの穴で通ります。

この方法ならLサイズのヒーターであっても問題無く設置できるので、大きいサイズのヒーターを使うときにオススメです。

②ケージの壁に引っ付ける

ケージの天井が高くて暖房効果が低くなったり、そもそも設置できない場合もあると思います。

そんな場合には写真のようにケージ側面の壁にマジックテープで貼り付けてしまうのも手です。

ヒーター裏面にマジックテープを張り付ける場所を増設して、そのまま壁に貼り付けるだけ。

ヒーター本体はかなり軽いので、マジックテープでも問題なく張り付いてくれます。

ただヒーターに直接マジックテープを貼ると熱で粘着力が落ちてくるので、ワンクッション入れる必要があります。

ヒーターを斜めに設置する場合、いくつかの金属板を組み合わせます。

これを組み合わせて…。

こうする。

これをパネルの裏面にネジ止めして固定すれば、根本の金具で角度変更できるようになります。

こうした方法なら、天井が高すぎて熱があまり届かない場合や、より熱を広範囲に広げたい場合に役立ちます。

大きめのヒーターを使うと重量の問題が出てくるので、軽い素材のアルミ板を優先的に使いましょう。

もし壁と平行になるように張り付けるなら、このように裏面に木の板・プラ板を張り付けます。

木の板で熱を和らげて、アクリル板にマジックテープを張り付けます。

こちらは金属板を使わないので重量も軽く、テープもはがれにくくなります。

完全に低地で生活するタイプの爬虫類で使うのがおすすめです。

使用上の注意点

性能面でいえば普通のパネルヒーターの上位互換のような遠赤外線パネルヒーターですが、いくつか欠点もあります。

使っていて暖房効果が低く感じたら、これらの点を改善してみましょう。

30cm以上先は不向き

いくら遠赤外線パネルヒーターが遠距離まで暖められるといっても限度はあります。

大きいヒーターの範囲で見積もっても30cm以上離れると効果がかなり低くなる、と考えましょう。

30cm以上離れた場所だと遠赤外線が届かず、あまり暖房効果を発揮しません。

人間用のヒーターでも200Wほど使ってようやく40cmに届くくらい、といえばわかるでしょうか?

そのため縦長のケージだと下の地面まで遠赤外線が届かず、大した暖房効果は見込めません。

基本的に暖房範囲は消費電力と比例するので、消費電力の多いヒーターほど遠距離まで暖められます。

大体の目安がこちら。

 消費電力暖房距離
1310cm
3020cm
5030cm

小型のパネルヒーターだと遠赤外線を多く出せないのか、ほぼ近距離でしか効果を発揮しません。

平均的な爬虫類ケージの高さが30cmほどと考えると、段差を作って距離を縮めるか、高出力なヒーターを使うしかありません。

あるいはヒーターの設置方法で紹介したように、ケージの壁に貼り付けて距離を縮める等の工夫が必要です。

モノが多い方が暖まる

遠赤外線は「物体に作用して暖める」ため、ヒーターそのものが高温になるわけじゃありません。(通電による発熱はあっても)

そのため何もない空間にヒーターを向けても本来の暖房効果は見込めません

遠赤外線は「照射された物質の分子を振動させて発熱させる」ため、照射されるモノがなければ発熱しません。

そのため照射される範囲に多くモノを置いておくと、それらすべてが発熱して熱源へと変化していきます。

シェルターや岩・木といった部分に遠赤外線がうまく当たるように配置すれば、それらすべてから熱が出て周囲を暖めてくれます。

雑にモノを置きすぎるのも考え物ですが、できるだけ何かに遠赤外線が当たるような配置にしておきましょう。

ちなみに遠赤外線の吸収効率が良い=よく発熱する物質として「有機物」や「高分子体」があります。

高分子とは大量の分子が結合してできている物質で、プラスチックや樹脂・ゴムなどが代表格です。

爬虫類用のシェルターは樹脂でできているものが多いので、遠赤外線でよく発熱します。

逆に金属は遠赤外線を反射しやすいため不向きです。

ケージ内に配置するものは流木や岩といった自然物をメインにしておくと良いでしょう。

オマケ:ウチのフトアゴヒゲトカゲの様子

おまけとして、私が飼っているフトアゴヒゲトカゲが普段どうしているかの様子。

こんな感じでヒーターの前に居座ってます。

日中でもシェルターに引き篭もらず、紫外線ライトにもしっかり照らされてる状態なので、健康面としては良いのではないかと。

普通のパネルヒーターを使っていたときは日中にシェルターから出てこなかったので不安だったので、その辺がかなり改善されています。

ただ使っているのがSサイズの低スペックヒーターなのか、やはり10cmくらいの範囲じゃないと暖かくないのがネック。

中型以上の爬虫類ならMサイズから使った方が良いでしょう。

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