爬虫類ケージを暖めるのに適した機材。暖房効果と消費電力を比較

2024年1月27日ペット飼育ペット飼育,暖房効果,爬虫類

爬虫類の飼育では暖房器具の導入は必要不可欠。

特に冬場は1日中電源を付けっぱなしにしないといけないので、光熱費もバカになりません。

そしてライトからヒーターまで販売している暖房器具の種類は多岐に渡りますが、どれが一番効果的なのか?

「ホットスポットを作れれば良い」「ケース全体を暖めたい」なんて人もいるでしょうし、爬虫類用の「熱を発する」器具の暖房効果などを比較してみました。

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熱を出す器具一覧

まずは爬虫類用で販売されているライト~パネルヒーターまで、熱を発する器具の一覧。

これは60cmケージで使用した際の暖房効果の目安。

※ライトの場合はケージ内に設置した場合の暖房効果になります。

暖房効果消費電力効果範囲
 UVBライト13~26W
 UVBライト(LED)極小3~15W
ヒートランプ50~100W
ヒートランプ(遠赤外線)50~100W
パネルヒーター小~中5~25W狭~広
パネルヒーター(遠赤外線)小~大13~60W狭~広
ヒートケーブル小~大25~150W中~広

基本的には消費電力=暖房効果と覚えておいたほうが良いです。

しかしホットスポットを作るだけなら少ない消費電力でも可能なので、温める範囲が広範囲か部分的かで適した製品も違います。

大きく分けると「ライト」タイプと「パネル」タイプの暖房器具がほとんどですが、遠赤外線タイプと少々違いがあるものもあります。

効果も微妙に違いが出るので、飼育環境にマッチしたものを選びましょう。

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UVBライト

まずは紫外線を照射するために必須となるUVBライト。

暖房効果範囲は中くらいで、ライトを中心に10cmくらいが適温となります。

消費電力は13~26Wほどと少なめですが、その分暖房効果も低いです。

26Wくらいでようやくケージ内が2~3℃上がるくらいなので、これだけだと冬場は凌げないでしょう。

いっそのことUVBライトは低電力のものを使い、パネルヒーターなどをメインにして保温するのも手です。

UVBライトは低電力になっても効果が激減するわけでもないので、紫外線スポットを作るだけなら問題ありません。

パネルヒーターの上に照射するようにすれば、暖まりたい爬虫類に自然に日光浴させることができます。

LED式UVBライト

近年では低電力でUVBを照射できるLED式のライトも販売されています。

LEDなので普通のUVBライトの半分以下の消費電力となり、耐用年数も加味するとコストをさらに削減できるようになってます。

しかしその反面暖房効果は絶望的で、ライトから数cmほどでようやくほんのり温かい程度。

消費電力が少ないタイプだと3Wほど、多くても12Wほどなのですが、ケージ内温度はほぼ上がりません。

ライト周辺でようやく1~2℃上がるかどうかといったところなので、LED式のライトに暖房効果を期待するのはやめましょう。

ただ紫外線量は「ライトの直下なら」普通のUVBライトよりもかなり多くなっているので、日光浴させるのに不足はありません。

…「ライトの直下なら」と書いたのは、10cmも照射位置からズレると紫外線量が激減するため。

そのためパネルヒーターなどでホットスポットを作って誘導した上で照射するようにしましょう。

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ヒートランプ

ケージ全体を満遍なく暖められるよう設計されているランプがヒートランプ。

「サングロー」「ソーラーグロー」なんて名称で販売されており、太陽光に近い光を出すため、より自然に近い環境を再現できます。

暖房範囲は広く、60cmくらいのケージなら50Wでも全体に熱が伝わるくらいです。

消費電力は多いものの暖房効果はかなり高く、60cmくらいのケージなら冬場でも25~30℃くらいの温度を維持できるほど。

このタイプのランプは消費した電力のほとんどを熱に変換して放出するので、暖房効果はピカイチの性能を持っています。

広いケージでもランプ周辺なら20℃は上昇させられるので、大型の爬虫類を飼っている人でも問題なし。

ランプといっても日中しか使えないわけでもなく、「ナイトグロー」という青いランプなら夜間でも使えます。

日中用の「サングロー」と組み合わせれば一昼夜通して保温し続けることが可能です。

欠点としては光熱費がかかることと、ランプの寿命が短い点。

消費電力が最低でも50Wからなので、1日中点けっぱなしだとかなり光熱費がかさむようになります。

仮に100Wランプを1日中使ったとすると、「100W×24時間×30日」で消費電力は72000W(72kW)。

1kW30円ほどとすると1か月あたり2160円もの光熱費となるため、冬場の数か月だとかなりの出費となります。

そしてかなりの電気を通して熱を出すためか、ランプの寿命も500~800時間とかなり短め

最悪30日ほどでランプ1個分が使えなくなることを考えると、ランプそのもののコストもかかります。

暖房効果が高い分コストもかかるようになるため、特段寒い時期のみ使ってみましょう。

注意点としてUVBを出す仕組みにはなっていないので、紫外線目的では意味がないので注意。

逆に光っていれば機能している証拠なので、UVBライトの紫外線の減衰や、目に見えて故障がわかりにくい他の暖房器具よりは判断しやすいです。

いつのまにか故障して放置されるような致命的な問題をすぐに察知できるので、そういった利点もあったりします。

遠赤外線型ヒートランプ

ヒートランプには遠赤外線を出して暖めるタイプのものもあり「ヒートグロー」なんて名前で販売されています。

熱はライトの照射範囲が中心で、あとはライトから出る熱が主。

このヒートランプの特徴として普通のヒートランプより超寿命な点と、光を出さないタイプが多い点。

1500~2000時間ほど連続稼働させられるので、ランプそのもののコストがかかりにくく、取り換えの手間も省けます。

出る光は赤色をしているので、サングローほど眩しくもなく、夜でも問題なく点け続けられます。

…まあ人にとってはうっとおしい人もいるでしょうが。

寝室で飼育していないのであれば問題ないので、夜用の保温ランプと使い分ける必要がなくなります。

注意点としてケージ全体の温度を上げる能力は少し下がる、という点。

照射地点の温度は30℃近くにまで上がるものの、横に距離が離れるほど温度が低下していくので、ケージ内の温度を満遍なく上げる能力は低めです。

ただ遠赤外線の特徴として遠赤外線(光)が当たっていれば温度が上がるため、少しライトの射角を取って広範囲を照らすようにしてみましょう。

パネルヒーター

爬虫類用暖房グッズとして一番メジャーなのがパネルヒーター。

パネルサイズも多種多様で、消費電力が5~50Wと幅広く選べるので、ケージ全体の暖房から狭いホットスポット作成まで問題なし。

範囲はパネルの直上のみで、もっぱらケージの下に敷いて使うのが普通。

どんなサイズのパネルヒーターでも冬場でも30℃近くまで上げられるので、小さいから性能が低い、ということもありません。

ロングサイズなら40cmほどの範囲で30Wほどと省エネなので、一番使いやすい暖房器具でしょう。

最近ではUSBでも稼働できる、5~10Wくらいの超低電力のパネルヒーターも販売されています。

小型になるほど暖房範囲や温度などは低くなりますが、10cmくらいのかなり小型の爬虫類用としてなら使い道は多いです。

注意点として一番高い設定温度(50℃)じゃないとほとんど暖まらない点と、ケージ全体を立体的に温めるのは不向きな点。

基本的にパネルをケージの下に敷いて使うので、フルで活用しないとケージ内部まで熱が届きません。

ですので「30~50℃で設定変更可能!」なんて機能が付いていても、大抵は50℃設定で使うのがほとんどかと。

また温かい場所はパネル直上だけのため、5cmほどの高さであってもほとんど熱を感じなくなります。

接地していてようやく、といった具合。

このため樹上で生活するようなヘビやカメレオンなどの飼育では不向き。

しかし小型のパネルヒーターは表面温度が高くなりにくいかわりに防水加工になっているものも多く、ケージ内に直接設置することも可能です。

これなら爬虫類にとっては最適な温度といえるので、低電力でホットスポットを作りたいときに役立ちます。

最期に欠点というか、シェルター直下にパネルを設置しておくとペットが日中出てこなくなります。

寒い時期だと少しでも暖かい場所にいたいのは当然なため、シェルター外の温度が低いと中に引き篭もります。

これだと日光浴できなくなる問題が出てくるため、日中は敢えてパネルヒーターを使わず、ライトを主体とした暖房スタイルにしておきましょう。

遠赤外線型パネルヒーター

パネルヒーターにも遠赤外線を使ったものがあり、みどり商会販売の「暖突」がメジャーかと。

これらのパネルヒーターにはいくつか特徴があります。

・空間を暖められる
・消費電力が少ない
・夜間でも使用可能

感覚としては赤外線ライトの広範囲・省エネバージョン

パネルを天井から吊るして使用する仕組みで、熱が下全体に波及していきます。

ライトほど高温にはならないもののじんわりと直下に熱が広がるため、消費電力の割に効果的に暖められます。

消費電力も少ないと10Wほど、多くても50Wほどと保温ライトよりも光熱費がかかりません

遠赤外線効果のおかげで10~20cmほど離れても熱が伝わるので、よほど距離が離れないかぎりは問題無し。

光を出さないので夜間でもそのまま使用可能で、ライトよりも耐用年数ははるかに長いです。

「ペットがシェルターから出てこない」なんてことも防げるので、日中は自然と外に出てきてくれます。

表面は不織布で特殊な構造になっているので、直接触れても問題無しの安全設計。

注意点としては熱はヒーター直下にしかほぼ波及しないので、サイズが大きくないとケージ全体を暖めるのは無理があります。

Sサイズだと10cmほどの近さでようやく暖かさを感じるレベル。

60cm以上のケージを暖めたいならLサイズ以上が推奨。

それでも保温ランプ(50W)よりも総合的なコストは低くなるので、光熱費が気になるなら是非使ってみたいところ。

ただ設置するのがちょっと面倒です。

パネルを天井にネジ止めするのですが、網目などネジ止めできる場所がないケージだと少し工夫しないと設置できません。

そんな場合は長い板か何かにパネルをネジ止めして、その板をケージ上に被せる、なんて方法で設置しましょう。

変則的な使い方ですが、遠赤外線型パネルヒーターは幅があるので、立て掛けながら使うことも可能です。

ヒートケーブル

ヘビやカメレオンなど樹上で生活する爬虫類用の暖房器具がヒートケーブルで、発熱するケーブルを樹などに巻き付けて使用します。

暖房効果はケーブルの至近距離のみですが、ケーブルの長さを活かした設置をしていきます。

樹などに巻き付ける他に、岩等に巻けばホットスポットにもなり、底に敷き詰めるようにすればパネルヒーターのようにも使えます。

このように他の暖房器具よりもホットスポットを高い自由度・立体的に設置できるようになっています。

90cmケージなどケージがパネルヒーターよりも広い場合に、床全体を広く暖めたい場合にも役立ちます。

ただ1本のケーブルのみで満足いく発熱をしなければならないので、ケーブルが長くなるほど消費電力は高くなりがちです。

短いものなら3mほどで15W、長いものだと15m以上で150Wのケーブルもあるので暖めたい範囲によって選びましょう。

よく勘違いされやすい最大の注意点としてコンセント部分から2mほどは発熱しません

例えば10mのケーブルなら、実際の発熱するケーブルの長さは8mほど。

そのため製品紹介のケーブルの長さマイナス2mくらいで発熱範囲を把握しておきましょう。

おすすめはパネルヒーター系

いろいろと爬虫類用の暖房器具を解説しましたが、個人的にコスパ・手軽さを考えるとパネルヒーター系が一番かと。

特に多角的に使える遠赤外線型のパネルヒーターがおすすめ。

・昼でも夜でもそのまま使える
・光熱費がかからない
・高所で生活する爬虫類でもOK

設置するのが少し手間ですが、どんな状況でも対応できるのが遠赤外線型のパネルヒーターの強みかと。

光が出ないので一昼夜使用可能。

10~20℃くらいは温度を上げられつつ消費電力は多くても50Wと、保温ライトなどよりも省エネで耐用年数も長いです。

また立体的に暖めるのにも向いているので、低地・高地に爬虫類がいても対応可能。

どんな種類の爬虫類を飼っていても問題なく使用可能な便利さがあるので、暖房器具で迷っているならおすすめです。

できれば保険をつける

暖房器具にも耐用年数があるため、唐突に保温できなくなることは充分考えられます。

そのため暖房器具の故障によるペットの凍死を防ぐため、2つ以上の暖房器具を使う方が安全です。

パネルヒーターといった一目で熱を発しているかわからない器具だと、もし故障しても気が付かずペットが凍死する可能性が高くなります。

日中なら温度の上昇があるのでまだマシですが、夜間に故障すると致命的です。

こうした事態を防ぐには、冬場の寒くなる夜間には2種類の暖房器具が動くようにして、故障した場合の保険にしましょう。

日中にはライト+他の暖房器具、夜間にはパネルヒーター+遠赤外線型パネルヒーターなど、こうすればどちらかが故障しても大丈夫です。

ある程度の範囲を暖められれば良いので、保温効果の高い暖房器具1つ使うより、それなりに保温できる暖房器具2つ使えば、コスパ的には変わりません。

私の場合は日中はUVBライトとパネルヒーター、夜間には下のパネルヒーターと上の遠赤外線型パネルヒーターの2段構えで飼育してます。

どんなに頑丈な爬虫類でも15℃を下回ると凍死しやすくなるので、保温システムにセーフティを設けておくのをおすすめします。

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