ろ過ついでに水耕栽培。池や水槽の水で野菜を育てる
私は亀をデカい桶で飼ってますが、水の汚れがハンパないです。
1週間で桶の底が見えなくなるほど。
そのためろ過器を自作して、汚れが溜らないように工夫してました。
しかし、こうも考えました。
水のろ過ついでに、野菜を栽培できないか? と。
試した結果
結論としてはかなりうまくいったかと。
毎週1回は掃除しないといけないくらい濁った水が、はっきりとキレイなままで何週間も維持できています。
これがろ過装置を設置してから3週間ほど放置しっぱなしの水槽。
少々沈殿している汚れが気になりますが、水槽の底まで見えるほど透明な水を保ててます。
夏場の最中でこの結果なのでろ過能力はかなりのものかと。
ついでにイチゴ(小)や葉物野菜もかなりの量を収穫できました。
収穫期には毎日1~2個は収穫でき、小松菜なども問題なく食べられるくらい育ちました。
何より毎週の水槽掃除から解放されたのはうれしいです。
休日に炎天下で30分以上水槽掃除する必要があったのが、ろ過器を設置してからはほぼナシに。
精々ろ過装置がうまく機能しているかどうか確かめるくらいです。
結構な数のろ過装置を試作してきて、特に効果があった点と、作りやすさの点で良かったものを紹介します。
とりあえずの完成形
何回か試行錯誤して作成していますが、今のところ一番安定してろ過・栽培ができるのがこれ。
内約としては
・野菜を植えたろ過材中心の過器
となっています。
真上から見るとこうなります。
最初に汲み上げた汚水をイチゴのプランターに注ぎ、そこからある程度ろ過された水をろ過材中心のろ過器に注ぎ、最後に水槽に戻しています。
高さの関係で3段にできなかったので、上段にイチゴを置いて、下段のネギ・小松菜に並列して水を流してます。
イチゴを植えた大きなプランターですが、こちらはろ過材・赤玉土・園芸用土を入れています。
中身の順番はこんな感じ。
園芸用土を上に敷くことで大きい汚れを取り除き、小さい汚れを赤玉土・ろ過材で吸着しています。
それでも吸着できなかった汚れを、次のろ過材中心のろ過器でキレイにしています。
ろ過材には麦飯石やゼオライトといった専用の物を使ってます。
ぶっちゃけイチゴプランターだけでもかなり効果がありますが、スペースに余裕があったのと収穫する野菜を増やしたかったのでろ過器を増やしてます。
水の汚れがひどかったり、収穫する野菜などの種類や量を増やしたい時に有効です。
ろ過器を複数使う場合は水を下に流すためにどうしても高さが必要ですが、ポンプの性能的に70cmくらいまでしか水を汲み上げられません。
容器の高さにもよりますが、精々2~3段が限度でしょう。
今回は丈が高いろ過器を使っているので、下段には低めのろ過器しか置けてません。
イチゴの多段型プランターも試しましたが、ギリギリ2段が限界でした。
用意するもの
池の水をろ過ついでに野菜を栽培するには、いくつか必要なものがあります。
それが以下のもの。
・ろ過材等
・ポットやプランター(自作も可)
最低限これらは必要です。
私の亀池は屋外なため、ソーラー式の散水ポンプで水を汲み上げます。
ろ過する容器は市販のポットやプランターでも構いませんが、よりろ過機能を強くしたいなら自作するのも手です。
自作するにしても、よほど凝ったものでもなければ専用の工具などを必要とせずに作成できます。
精々百円ショップでも売っているグルーガンくらいでしょう。
あとはハサミやカッターを使えれば問題ないです。
ソーラー式散水ポンプ
自作ろ過装置の紹介でも書いてますが、とりあえずこちらにも書いておきます。
使うポンプはソーラー発電で水を散水する、庭用のものを転用。
ろ過器の性能としては、安いものでも十分水を汲み上げられます。
こんな感じです。
説明書では、1時間で100リットル以上の水を汲み上げられるとのこと。
ただ水を流すチューブは無いため、水槽用のものを使ってます。
チューブの先にビニールテープを巻き、無理やりポンプ穴にはめ込んでます。
あとはチューブをろ過装置に置いて完了です。
ろ過容器
ろ過する容器ですが、一つだけなら水槽の上に置くだけなので何でも構いません。
底に網上に排水口があるプランターや植木鉢でも、底の側面に穴が一つ空いているものでもOKです。
注意点として容器は20センチ四方くらいの面積を持っているものを選びましょう。
これ以上広くないと汲み上げた水が溢れてしまいます。
複数のろ過器を使いたい場合は、底の側面に穴が一つ空いているものが好ましいです。
水の流れる箇所を一か所にして、そこから別のろ過容器に水が流れるようにします。
まず、容器に水が流れる排水口を作ります。
容器を自作する際の注意点としては排水口は容器のかなり下に作りましょう。
あまり高い場所に作ると水が溜まりすぎてしまい、根腐れを起こしやすくなってしまいます。
ろ過するという点ではろ過材と汚水が接触している時間が多い方が良いですが、野菜の栽培と両立するなら不向きです。
排出口の数にも寄りますが、かなり下に穴を作ってもろ過材などで水の排出が邪魔されるので、穴の少し上あたりまで水が溜まります。
散水式ポンプの水量だとストロー2本分の穴を作ってギリギリ排出が間に合うくらいです。
なので、水が溢れない・溜まらないように低めの場所に排出口を作りましょう。
チューブなどで水路を作りたいなら、この穴にストローを接着します。
ストローを4センチくらいに切って、グルーガンで3本接着しています。
水槽などで使うチューブがピッタリはまってくれるので、後で取り外しが簡単になります。
接着の際には穴にマスキングテープなどを貼った上でストローを貼り付け、グルーガンなどで接着すると隙間なく、簡単に接着できます。
こんな風に穴を塞ぐようにテープを接着し。
テープにストローを貼って、できた隙間にグルーガンを詰め込んでいきます。
こうすると水漏れする隙間が無くなりますし、ケースの内側がまっすぐ垂直になります。
ストローが内側に入り込んでいると、ストローのまわりに汚れが溜まりやすくなり、それで詰まりやすくなります。
詰まりをその都度直すのは結構面倒なので、こうして水の流れを少しでも良くしましょう。
ただ接着には普通の接着剤は厳禁です。
瞬間接着剤では生体に有害な成分が水に溶け出してしまいまい、溶けた分接着力が弱くなるのでおすすめしません。
グルーガンなら安上りで水質汚染も無いので手軽に使えます。
容器に入れるろ過材など
写真:麦飯石
ろ過容器に入れるろ過材ですが、ゼオライトや麦飯石を中心に使いましょう。
これらのろ過材は汚れの吸着ができ、かつ含んでいるミネラルで酸性になった水を中和してくれるため、長期間水をキレイにしてくれます。
ミネラルや吸着した汚れは植物の栄養になるため、植物の生育も助けてくれます。
次点で赤玉土も使えますが、こちらは酸性を中和してくれないため注意。
ただ汚れの吸着力は他のろ過材と同じくらいあるので、ゼオライトなどと併用して使うと効果的です。
小松菜やネギといった野菜を植えていますが、問題なく食べれています。
個人的には麦飯石のほうが効果が高い気がします。
ゼオライトは人工的に製造されたものも多く、そういったものほど石の表面が麦飯石ほど凹凸が無いです。
凹凸が多いほど表面積が広がるため、吸着能力も高くなります。
どちらを使うか迷うなら、麦飯石を使った方が良いかも。
栽培する植物
写真:ワイルとストロベリー
栽培できる野菜ですが、容器の大きさの関係であまり大きな野菜は植えられません。
栽培に向いているのは背丈が30cm以下の野菜になってきます。
そのためトマトやキュウリといった野菜は、かなり大きなろ過器でもないと難しいです。
今回メインで植えたのはこちら。
・小松菜
・ワイルドストロベリー
できれば広く根を張る植物のほうが向いています。
根を張る分だけ分解された汚れを吸収してくれるため、ろ過能力も高くなります。
それも踏まえて植え替える手間などを考えると、根を張ったまま何度でも収穫できる野菜だと効果的です。
小ネギは栽培難易度がかなり低いため。
ワイルドストロベリーは果実が小さく、成長しやすいと思い採用。
どちらも継続して収穫できるため、一度植え付ければ手間が無いです。
今回は種があったので小松菜も植えてますが。サニーレタスのように葉を一枚一枚収穫できるものでも良いかと。
ただしっかり根が張ってからでないと、野菜によるろ過機能は期待できません。
できればメインで使うろ過器には植えっぱなしでOKな野菜を植え、2番目・3番目のろ過器に別の野菜を植えてみましょう。
別に野菜でなくとも、観葉植物のような景観メインの植物でも構いません。
植える植物は個人の自由になります。
難点
やってみて分かりましたが、やはり大きな汚れの塊だと取り切れません。
食べ残しだったり、壁に張り付いた汚れだとポンプで吸い取り切れずに水槽に残ってしまいます。
カメのような大きい水棲ペットだと起こりやすいです。
…まあ吸い取ったら吸い取ったで詰まりの原因にもなるので悩みますが。
ただそれでも一か所にまとまっている(主にポンプ周り)ことが多いので、灯油ポンプなどを使ってまとめて吸い出してます。
しっかりろ過出来ていれば水槽の底まで見えるほど水はキレイなままなので、除去するのはラクだと思います。
魚だとそこまでまとまった汚れも出にくいので、塊になった汚れが残ることは少ないです。
汚れの性質やポンプの性能的にしょうがない部分もあるので、わざわざ水槽全体を掃除するよりは大分マシかと。
水耕栽培用のポット
今回は使っていませんが、水耕栽培用の容器を自作したりもしました。
せっかく作ったので作り方を書いておきます。
まず最低限の機能として、水をろ過しつつ、よく通るものが好ましいです。
材料はこちら。
・釣り糸
網をカットして、釣り糸を穴に通して縫って固定しています。
これで中に土を入れても、水だけは素通りしてろ過できるようにしました。
景観としては微妙ですが、水槽の底にろ過材を敷き詰めずに水草を植えるのにも使えるかと。
水耕栽培用として使う際の注意点としては、ポットの高さを水の表面より少し高くすること。
(水草はともかく)水に水没してしまうと根っこが呼吸できませんし、汚れが上を素通りしてしまいます。
ろ過機能を考えると、水をある程度せき止めるような感じがベストです。
作り方はいくつかありますが、さほど面倒がないものを紹介します。
ただ網の長さは網目の数で測ったほうが良いです。
側面と底の部分で網目の数が合わないと、編んだときに網目が余って長さが合わなくなります。
①2パーツ型
このようにポットの側面部分と底部分を切る方法。
網のロスが一番少ない方法で、釣り糸1本で編みきれるのも特徴。
形もかなり整ってます。
できる限り使えない網が出ないようにするなら、この方法が良いでしょう。
②十字型
ポットの底部分を中心として、側面を十字型に切る方法。
一番構造がわかりやすく、初心者でもやりやすいです。
ただ網のロスが一番多い方法にもなります。
編む箇所も4カ所に増えるため、面倒が増えます。
③L字型
①のパーツをくっつけたまま切る方法です。
牛乳パックを解体したときの構造になります。
こちらもパーツが繋がっているため、初心者でも作りやすい構造になってます。
こちらも釣り糸1本で編みきることができます。
ただ②の十字型同様に、網のロスが出ます。
④4パーツ型
ポットの各側面と底の計5つのパーツにしたもの。
網のロスが一番少ない方法ですが、あまりオススメはしません。
網のつなぎ目が無いため強度に不安があり、編むのも面倒でした。
釣り糸での編み方
編み方ですが、釣り糸をつなぎ目に沿って通していくだけ。
赤は側面の網、青は底部分の網、黒は糸です。
一番端っこの網目を縫い合わせていきます。
順序としては、てっぺん部分から下に向かって編んで一周させましょう。
これは2パーツ型の縫い方の順序ですが、要領はどれも同じです。
順序の関係上、側面の継ぎ目は行きと帰りで二重に縫われることになります。
十字型の場合は、4カ所を上下に計4回縫うことになります。
針の孔よりは大きいので、まだ作業はしやすいかと。
スタート地点に戻ってきたら、きつく結んで固定します。
ただ余った糸は少し長めにカット。
短すぎると、あとでほどけてしまうことがあります。
少し残して内側に通しておけばほどけにくいです。
ただポットの大きさにもよりますが、作るのに慣れても1個30分ほどかかります。
今回の工作で一番時間を使ってます。
あとは自作網ポットを隙間なく置いていき、水耕栽培とろ過ができるようにしてます。
メダカの水槽といった汚れが少ない水なら、これだけでも十分にろ過できます。