世界の国々のトップ・国家元首の呼び方。総理大臣・大統領・王室etc

色々その他

総理大臣・大統領・国王…。

世界中の国には国民の代表となるトップが必ずいます。

しかしその名称・選定方法・役割などには違いが出ます。

では国のトップにはどんな種類があり、どんな違いがあるのか調べてみました。

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トップの役職名

国のトップといえば「大統領」、日本人なら「総理大臣」がなじみ深いでしょう。

しかし世界単位で見るとトップの役職となるとかなりの種類になります。

国連加盟国193ヵ国の各々のトップの名称と、それを採用している国数がこちら。

名称国の数
大統領138
国王18
女王16
総理大臣※1
天皇※1
国家主席3
総書記長1
最高指導者2
首長2
連邦大統領3
オ・レ・アオ・オ・レ・マーロー1
執政1
大統領評議会2
主権評議会議長1
2
大公1
共同公1

※日本には国家元首の規定無し

聞き覚えのある呼び名から、全く馴染みのないものもあるかと思います。

円グラフで世界の国家元首の比率を見てみるとこんな感じ。

最も多い国家元首の呼び方が「大統領」です。

国連加盟国193ヵ国(2022年時点)の内138ヵ国が、国家元首にこの呼び名を採用しています。

次点で「国王」の18ヵ国。

3番目に「女王」の16ヵ国…なのですが、実際はエリザベス女王2世が15ヵ国の国家元首を兼任しているため、実数としては微妙かと。

しかも分類としては国王の女性verなので、本来は国王としてカウントされたりもします。

あとは「天皇」を始めとしたその国特有の呼び名が連なっています。

では次からは各国家元首の種類や、呼び方を採用した国、役割などを紹介していきます。

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大統領

国家元首として採用されている名称で一番多いのが「大統領」になります。

意訳としてスイスの「連邦大統領」や台湾の「総統」といった呼び名に変わることも。

…まあ台湾(中華民国)は国連加盟国ではない、という位置づけですが…。

代表的な国はアメリカ・ロシアなど、大抵の国の国家元首は大統領が務めています。

基本的に大統領は選挙によって選ばれ、選挙ではその国の国籍を持つ人のみが候補者に投票して大統領を決めるシステムです。

例えばアメリカではアメリカ国籍を持つ人のみ選挙権を持ち、「永住権」といった権利者では投票権を持っていません。

大統領というとアメリカのように「軍事」と「政治」のトップというイメージがあるかと思います。

しかし中には日本の天皇のような象徴だったり、内閣(議会)で政治を行う国もあったり。

国王

国王というと中世のような古い時代の呼び名のように思えますが、現在も続いている国家もあります。

オランダ
スペイン
ベルギー
スウェーデン
タイ王国
ノルウェー
エスワティニ
オマーン
カンボジア
サウジアラビア
トンガ
バーレーン
ブータン
ブルネイ
マレーシア
モロッコ
ヨルダン
レソト

国家元首の称号が「国王」の国は現在で18ヵ国あり、それなりの数になります。

国王は基本的に世襲制で決まるため、選挙のようなもので選ばれることはありません。

内閣を持つこともありますが、基本的にそれの上の地位になります。

国王も政治や軍事のトップという位置づけが多くなります。

それに加えてまさに「王族」というイメージを持ち、かなり特権的な立場にもなります。

わかりやすい例で「侮辱罪」「不敬罪」というものがあり、「国王を批判・侮辱したら罪になる」というもの。

こうした「国王=国」という認識になってます。

ただし立憲君主制の国ではそこまでの強権を持ってないこともあります。

立憲君主制というのは国王といった君主も憲法の適応内の制度のこと。

日本の天皇も同じです。

ちなみに日本にも天皇などの皇族を侮辱することで不敬罪になることもありました。

が、戦後にマッカーサー元帥とのツーショットによって「天皇も人」となったためか、1947年に廃止されています。

ちなみにブータンでは「龍王」なんて称号で呼ばれたりも。(竜、ではないので注意)

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女王

女王は国王の女性バージョン。

国王が国家元首の国では、王位継承者が女性しかいない場合には女王になる場合が多いです。

現在女王が国家元首のイギリス・デンマークを含め、タイ・オランダ・スウェーデン・ベルギーなども該当します。

その女王を国家元首としている国は16ヵ国ほどありますが、実際は2人の女王しかいません。

実は特定の国々の国家元首は一人の女王「エリザベス2世」が兼任しているためです。

その国々がこちら。

イギリス
アンティグア・バーブーダ
オーストラリア
カナダ
グレナダ
ジャマイカ
セントクリストファー・ネイビス
セントビンセント・グレナディーン
セントルシア
ソロモン諸島
ツバル
ニュージーランド
バハマ
パプアニューギニア
ベリーズ

これらの国々は、国を治める政治的トップの上にエリザベス女王が国家元首として存在しています。

実はこれらの国々は「イギリス連邦王国」という一つの共同体で、イギリスのトップが各国の国家元首も兼任しています。

残るエリザベス女王以外の女王の1国はデンマークのマルグレーテ女王。

女王は国王の女性バージョンなので、当然変わった特権を持っていることがあります。

例えばエリザベス女王(イギリス国家元首)なら政治・軍事・イギリス内の宗教のトップという位置づけです。

他にも「逮捕されない」「車を免許なしで運転できる」「パスポート無しで出国できる」などの特権があります。

総理大臣・天皇

日本人なら誰でも知っている「総理大臣」と「天皇」。

どちらも国家のトップというイメージですが、どちらが国家元首なのか。

実は日本では誰が国家元首なのかという規定はありません

しかし体外的には総理大臣が国のトップというイメージが強いと思われます。

実際に有する権限なども雲泥の差で、総理大臣にはできても天皇にはできない、なんてことが多いです。

総理大臣

総理大臣はご存じの通り、日本の政治のトップです。

数ある国家元首の中でも民主的に決定される役職ですが、大統領選挙に比べると一歩劣る、という感じかと。

国民ではなく議員を投票者として選ばれるため、国民の意見がダイレクトに反映されているとはいえません。

ここが国民から直接選ばれる大統領とは違います。

持っている権限は他の国家元首と違いはありません。

・内閣の代表
・国会の主宰(司会)
・大臣の任命と罷免
・行政の監督
・自衛隊の指揮権
・労働法関係の命令や調整権
etc

このように大統領や国王といった他の国家元首と概ね同じ権限を持っているのが総理大臣です。

ただトップといえど民主制ということもあり、内閣不信任案など総理大臣を辞めることはかなり多く感じます。

大統領や国王では余程の事、それこそクーデターレベルのことが起きない限りは辞めることはありません。

しかし世界屈指の平和国の日本でも、総理大臣の数人に一人は任期中に辞めています。

それに権限を持っているといっても、結局は国会などの議決を得ないと実行できないため、強権ともいえません。

こうしたことから、地位の盤石さで考えれば大統領や国王には一歩劣る、といった感じです。

天皇

昔(戦前)ならいざしらず、現在の天皇はあくまで「象徴」という位置づけで、日本の政治にはいっさい関わることができなくなってます。

できることといえば、総理大臣などを任命する権利など。

・総理大臣の任命
・解散総選挙
・最高裁判長の任命
・憲法の改正や公布
・国事
etc

こうした「国にとって重要な要素」の決定権は有しています。

毎度「解散総選挙」「総理大臣の誕生」の裏では、天皇がその許可をしていることに。

ただここでも少し立場の低さが見え隠れします。

それはこうしたことの決定は「内閣から要請された際のみ」ということ。

天皇自ら何かを発案して実行することはできません

あくまで内閣から提示されたものに許可を出すかどうか、といった状態です。

こういった微妙に立場が弱いところが見え隠れするため、国家元首という意味では総理大臣のほうになるかと。

実際他国の国家元首と対面しているのは総理大臣ですし。

国家主席

中国(中華人民共和国)のトップで有名な国家主席という称号ですが、他にもこれを使っている国はあります。

・中華人民共和国
・ベトナム社会主義共和国
・ラオス人民民主共和国

どれもアジア圏の国です。

面白いことにどの国も「共和国」とついており、社会主義の国となっています。

共和国というと有名映画「スターウォーズ」に出てくる共和国をイメージでは、議会制の民主主義かと思うでしょう。

しかし実態は逆でどの国も一党独裁制の政治体制になります。

ただ一党独裁とはいえ、本来はそこまでの強権は持っていません。

政治・軍事などの最高責任者なのは他の国も同様ですし、大臣などの役職の指名権も持ってます。

国にもよりますが選出には議員の過半集の承認が必要、任期も5年と定められています。

しかし例外が中国(中華人民共和国)で、2018年月に任期を撤廃して以降、いつまでも最高権力者で居続けられるようになってしまいました。

「中国の国家主席は憲法の上」と表現されるように、強権具合も群を抜いて高いです。

中国における国家主席は、いわば「自分から王になった人物」といえるでしょう。

総書記

北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)のみ使っているのが「総書記」という役職。

厳密には「朝鮮労働党総書記」になります。

総書記は中国やベトナムといった共産党のトップの書記長の別の呼び名です。

中国などでは書記長は国家主席が兼任しているため、書記長という役職がトップなのは北朝鮮のみです。

ただ他の書記長とは違い、北朝鮮では完全に世襲制で地位が継承されています。

このあたりは国王といった国家元首と同じです。

「共和国」の例に漏れず北朝鮮も一党独裁制で、政党・政治・軍事とあらゆる権力のトップになります。

任期もないため、国王などと同じく継承すれば生涯その地位に居続けられます。

最高指導者

最高指導者は「イスラム教」の宗教色が強い国のトップの役職名になります。

「国のトップ」という意味で使われることもありますが、ここでは正式に役職名となっている国として言及します。

該当する国は「アフガニスタン」と「イラン」。

正式名称は「アフガニスタン・イスラム首長国」「イラン・イスラム共和国」。

名前の通り双方の国はイスラム教を国教としており、特にアフガニスタンでは憲法・法律にもイスラム教が影響しています。

特に女性蔑視が目立ち、服装やトイレといった生活習慣レベルで自由が無いのは有名でしょう。

一方イランでは欧州の影響が浸透しているのか、そこまでイスラム教色が強くありません。

国の機関としては大統領・議会・裁判所のそれぞれが確立された権力を持つ三権分立となっています。

…まあ大統領がいても最高指導者がその上にいるわけですが…。

最高指導者に任期は無く、イランでは2022年時点で33年間現職です。

アフガニスタンは政情不安のため何度かとトップが入れ替わっていますが、同じく任期は無いと思われます。

現タリバンのトップは、前任者が死亡したため受け継いでいる状態です。

首長

首長は一般的に組織のトップを指す単語。

これの呼び名が各国や各機関ごとに「大統領」「総理大臣」などと変わります。

「首長(しゅちょう)」では「首相」「主張」などと間違って聞こえる場合があるため、あえて「くびちょう」といわれることが多いです。

首長が国家元首の国は「カタール」と「クウェート」の2国。

ただこの2国での首長は君主制としての意味を持つため、国王などの1人の最高権力者と同じです。

両国とも世襲制となっており、特定の名家からのみ首長が輩出されています。

退位する場合は、自ら退くか、クーデターなどで引き摺り下ろされているそうです。

オ・レ・アオ・オ・レ・マーロー

「オ・レ・アオ・オレ・マーロー」はサモア独立国で使われている国家元首の役職名です。

少々変わった名前ですが、これはサモア語で「国家元首」を意味します。

もっとかみ砕くと「政府あるいは国を治める長」となるようです。

元々サモアはドイツ・アメリカ・ニュージーランドなどの植民地となっていた歴史があり、1962年の独立の際にオ・レ・アオ・オ・レ・マーローの称号が使われ始めました。

サモアは日本のように複数の党で構成される議会を持っており、オ・レ・アオ・オレ・マーローは選挙によって任命されます。

ただ現在は特定の党が40年以上与党で居続けている「一党優位政党制」となっているようです。

おまけに大首長と呼ばれる有力者の中からしか選ばれないため、完全な民主制とはいえないかと。

その大首長は世襲制なため、実質特定の家からしかオ・レ・アオ・オレ・マーローは輩出されません。

任期は5年ですが再選もできるため、中には連続で10年や45年務めてきた人もいます。

執政

執政は文字通り「政を執る」と、国政に携わる人のことを指します。

この役職名を採用しているのはサンマリノという国。

サンマリノはかなり国土が狭く、僅か61.2㎢の面積で世界191位。

国民数も3万4000人と世界192位の順位です。

日本の市の半分以下の国土・人口しかないため、実質市長・村長が国のトップをしてるようなものです。

しかし歴史は古く、1600年代には独立した国家として存在しています。

議会制を採用しており、60名の議員のトップが執政となります。

ただ変わったことに執政は2名います。

独裁制を防ぐために2名で運用し、任期もわずか6か月しかありません。

片方が国家元首、もう片方が政府の代表という立ち位置だそうです。

しかも再選は3年間許可されていないとい徹底ぶり。

普通ならこうした制度はなかなか採用されませんが、国土が狭く人口も少ないため運用できる制度だそうです。

連邦大統領

連邦大統領は「オーストリア共和国」「スイス連邦」「ドイツ連邦共和国」の国家元首です。

連邦とは複数の独立した国家あるいは州が、それぞれの体裁を維持したまま統合した場合に用いられる用語です。

オーストリアだけ連邦が入っていませんが、かつてはドイツと一緒に「ドイツ=オーストリア共和国」を名乗っていたため、その名残かと。

連邦大統領の選出も選挙によって行われますが、各国で方法や過程に違いが出ます。

オーストリアでは16歳以上の自国民が選挙権を持ち、なれるのは35歳以上の議員で、任期は6年。

ドイツでは連邦議会と、州議会の代表からなる連邦議会で決定され、なれるのは40歳以上で、任期は5年。

スイスでは連邦大統領というよりも連邦議会が権力を持っており、大統領はそのまとめ役、といった感じ。

任期も1年の持ち回り制となっており、例え大統領になってもその権限は各閣僚が同等のままです。

大統領評議会議長

大統領評議会という名称を採用している国は「ボスニア・ヘルツェゴビナ」と「リビア」の2国です。

この議会の議長が国家元首となりますが、両国で意味合いに違いが出ます。

ボスニア・ヘルツェゴビナでは各民族から代表を1名づつ議会のメンバーに選出し、その3名が8か月ごとに議長を持ち回りしています。

評議会議員としての任期が4年になり、任期中は計2回議長を務めることになります。

リビアでは政情不安が続いているため、評議会議長が採用されたのは2016年からとごく最近です。

それまでは国王や指導者といった別の国家元首でした。

主権評議会議長

主権評議会議長が国家元首の国はスーダン共和国が採用しています。

ただしこれは2021年時点の話。

スーダンはクーデターが多発しているため、国のトップの入れ替わりが激しいです。

その回数実に17回(1958~2021)。

4年に1回はなんらかの形で政権が入れ替わっていることに。

スーダンでは長年に渡って議会といった集団指導体制と軍事政権が衝突し続けており、その度に国家のトップが議長・大統領・指導者・司令官などに入れ替わってます。

ただ基本的にクーデター政権ばかりなので、選挙といった民主的な方法でトップが任命されたことは少ないそう。

評議会の人数は11名ですが、2021年10月25日にクーデターが起こり、議会は機能を停止しています。

公・大公・共同公

公・大公というのは貴族階級の呼び名です。

中世ヨーロッパの貴族などで用いられた称号で、国王>大公>公爵>侯爵>伯爵…という順で地位が高くなっていきます。

公を採用しているのが「モナコ公国」と「リヒテンシュタイン公国」、大公が「ルクセンブルグ公国」、共同公が「アンドラ公国」になります。

公国というのは始まりがどこかの国の領土で、その国の王から公爵が自分の領土として認められた土地になります。

ただし国といっても所詮(?)は個人の私有地、そこまで広くありません。

一番広いルクセンブルグでも世界168位の2586㎢、東京都(2191㎢)といった狭い県より少し広いくらいの面積しかありません。

どの国も立憲君主制なのですが、国王のように強い権力を持つ場合も多いです。

軍の最高位だったり、政府や議会の上に位置していたり。

ただ共同公だけが特殊で、アンドラ公国はフランスと共同して統治体制が取られています。

アンドラ公国の初代の国家元首はカトリック司教で、フランスの統治者が共同で管理しています。

そのため現在はアンドラに聖職者の国家元首を、共同管理者としてフランス大統領がいる共同管理体制となっています。

大抵は「大統領」

基本的には大統領が国家元首の国が多く、次点で昔ながらの国王という称号。

あとは特殊な呼び名のものがチラホラ。

しかしながら持っている権力は同じものが多いです。

政治・軍事のトップなのは当たり前。

違いが出るのは独裁かどうか。

独裁制が強い国家元首では長年に渡りトップに居続けている場合が多く、逆に民主制を少しでも採用していれば任期が存在します。

それでも独裁制なのは中国・北朝鮮・ベトナム等と数か国のみ。

国王も世襲制の最高権力者で民主的ではありませんが、法律に縛られている部分があったりもします。

国のトップの国家元首とはいえ、一人の人間として扱われている国が大半になります。

以上、世界中の国家元首の紹介でした。

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