石・苔付きの自作ろ過器のつくりかた。滝が流れるようなデザインのろ過器の作成に必要なもの
かなり凝ったアクアリウムをつくっている人だと、水のろ過器ですらデザイン性を求める人もいると思います。
市販されているろ過器(浄化装置)では自然に近づけたアクアリウムだと異物感がするため、デザイン性が損なわれるとい感じることもあります。
そこで今回紹介するのが「石や苔を植え付けられる」「滝といった水の流れがある」といった機能のあるろ過器のつくり方です。
ろ過器にデザイン性を求めるならこれから紹介するろ過器を参考にしてみてください。
完成品
これが完成したろ過器になります。
このように容器に石を接着して苔などを植え付けられるようにしています。
接着剤の量の関係上、最低限の箇所にしか石を接着していませんが、気になる人は容器全体に接着しても大丈夫です。
仕組み…というか水の流れはこうなっています。
大きな容器の中にもう一つ底に穴を空けた容器を入れて、水がU字に循環するようにしています。
下にまで来た水は上にまで登っていき、容器から溢れた水が側面に接着した受け皿に流れていくといった仕組みになってます。
受け皿にも赤玉土などをいれておけば多少ながらも水をろ過することもできます。
あとは要所に石などを接着していけばそれらしくもなりますし、苔などを植え付けるときに役に立ちます。
必要な物
上記のろ過器をつくる容器などの大半は百円ショップで揃えられます。
ただ接着する石や接着剤は別途購入するため少々コストがかかりますが、それらを含めた費用は4000円ほどで、ろ過材も含めれば5000円ほどで製作できます。
・内部容器(水受け容器)
・受け皿の容器×2(大・小)
・接着剤(ヘルメチック ミラクル4)
・鉢底石
ろ過器本体を製作するのに使ったものはこれらになります。
本体容器にはゴミ箱、本体容器の中にいれる汲み上げた水を受けるための容器は細長いプラスチック容器、本体容器の側面に接着する受け皿容器は大・小の2枚用意しました。
そして重要なのが容器同士を接着するのに使った「ヘルメチック ミラクル4」という接着剤。
この接着剤は家庭用の水道配管などにも使われるプラスチックでも問題なく接着できる接着剤になります。
環境にも配慮された成分構成になっており、水道配管にも使えることから生体への影響も軽微で済みます。
容器に入れるろ過材はろ過する水の状態にも左右されるので、ろ過材として使える素材やろ過材の入れる順番などをこちらの記事にまとめてあります。
製作手順
①容器を加工
まずは容器に穴を空けたり、受け皿となる容器をカットしたりと加工していきます。
一つ目は中に入れる水受け用の容器の底にいくつか穴を空けますが、四方それぞれに1~2個ほど穴を空ければOKです。
次にかなり面倒ですが、本体容器の側面に受け皿となる容器を接着できるようにこのようにカットします。
上の写真が上段部分の受け皿、下の写真が下段部分の受け皿になります。
やり方としてはまず本体容器に合うように線を引いて、それから線に合うようにカッターなどで切っていきます…が、力を入れて切ると危ないのでまず溝になるように切っていきます。
完全に切らなくても容器の厚さの半分くらいの溝になっていればOKです。
次は容器の要らない部分をこのように縦に挟みなどで溝の部分まで切っていきます。
こうするとあとは手でもぎ取れるようになるので、かなり安全にカット・時間短縮ができます。
あとは容器の側面にピッタリ合うように微調整をしていきます。
ピッタリ合うように切らないと必要になる接着剤が増えたり外れやすくなってしまうので、できるだけ細かく微調整しながら削っていきましょう。
容器に接着できるようカットしたら、今度は本体容器と受け皿容器に水が流れるように排出口をつくります。
水が滴るように落ちるろ過器にしたいなら排出口はつくらなくてもいいです。
こちらは排出口が飛び出るようにプラスチック板(適当なペットボトルなどから拝借)を接着していますが別に無くても構いません。
…まあ水が飛び出すようにすれば滝のような水の流れになり、かつ落ちる場所が安定するので便利にはなりますが。
③受け皿を接着
受け皿となる容器を本体の容器に接着していきます。
このろ過器はちょっと小さめの容器を使っているため2段構成になっていますが、高さに余裕があれば3段構成以上にすることもできます。
隙間なく、しっかりと接着しましょう。
少しでも隙間があるとそこから水漏れしてしまい、接着が甘いと溜まった水などの重さで剥がれてしまいます。
接着剤を少し盛るくらいの量を接着してろ過している最中に外れないようにしましょう。
完全に接着されるまでに剥がれないようにマスキングテープなどで固定しておくと安心できます。
また受け皿の耐荷重量を増やすために受け皿の下に支えになるようなものを接着しましょう。
これは石を接着していますが、このように支えを接着しておけば受け皿の安定性や耐荷重量が増えるため、あとで重みで剥がれにくくなります。
受け皿の面積が狭いほど剥がれにくくなるので最低限の大きさの容器を使いましょう。(上記の写真ではけっこうギリギリです)
④石を接着
アクアリウムなどでもなじむようなデザインにしたいなら、石などを容器に接着していきます。
注意点としては使う石はできるだけ軽いものを使いましょう。
軽石のように中がスカスカな石なら見た目の割に軽いので、自重で剥がれにくくなったり容器に負荷をかけなくなります。
特に受け皿にも接着する際は軽く小さいものを使った方が石の重さで受け皿そのものが剥がれてしまうリスクを減らせます。
苔などを植え付けたいなら写真のように最低でも2~3列は石を並べるように接着しましょう。
⑤完成
これでろ過容器の加工は終了になります。
あとは本体容器の中にいれる水受け容器にろ過材を入れ、それを入れた後に本体容器の中にろ過材を入れていきます。
上記の完成品では、水受け容器と本体容器の底に鉢底石・中段に赤玉土・上部に鉢底石、受け皿には赤玉土を使っています。
入れるろ過材に関しては水質や用途によって素材も変わってくるため、こちらの記事を参考にしてみてください。
苔や植物を植え付ける
より自然なデザインに近づけたいなら、これに苔といった植物を植え付けていきます。
苔などはろ過能力も持っているため水の流れに沿った部分に植え付ければ細かい汚れを吸着してくれます。
水に溶けた成分も栄養源として吸収してくれるため、植え付ければ植え付けるほどろ過機能が向上していきます。
容器全体を覆うほど苔を植え付ければ「苔の生えた岩」のようにしか見えないため、よりアクアリウムに合ったデザインのろ過器になっていきます。
ただ難点なのが容器全体を覆うとなると大量の苔が必要になるため、かなりの長い時間が必要になります。
まず当然ながら苔の成長には水分が必要なので、最初は水回りにしか植え付けられず、水の流れてこない容器の側面に植え付けることはできません。
となると自然に苔が増えて広がっていくのを待つしかないのですが、これが本当に時間がかかります。
苔は成長がかなり遅く1か月ほど経っても僅かしか成長・拡大しないため、容器全体を苔で覆うためには数年単位の時間が必要になってきます。
効率よく苔を植え付けたいなら水が流れている部分だけでも苔で覆うくらいの量が必要になってきます。
また苔を植え付ける際にはしっかり水を吸い取っているか確認するようにしましょう。
苔は空気中の水分だけでは成長できず枯れてしまいますが、苔の一部分でも水に触れているとそこから水分を吸収していきます。
そのため苔のどこかが水面に触れるような置き方にして成長するようにしましょう。
育った苔に接触するようまた苔を配置すれば、横にある苔から水分を吸い取って成長してくれるため、そうやって苔の生息域を増やしていくこともできます。
容器全体を覆うほどの苔を用意するとなると数万円単位の出費になるので、自分でも栽培してみましょう。
苔の栽培は水分の多い土の上に置いておけば勝手に増えていくため、時間さえあれば誰でも簡単に栽培できます。
赤玉土といった清潔な土の上に置いておけば容器に植え付ける際に汚れが付きにくく、水分不足も起きにくいのでおすすめです。
また使う苔ですが、道路脇に生えている苔だと有害物質を含んでいる場合があったり、公園などに生えている苔を勝手に採取すると犯罪になることがあるためおすすめしません。
素直に購入するか栽培して繁殖させた方が無難です。
接着剤は生体に無害なものを
使う接着剤は絶対に生体に悪影響の無いものを使いましょう。
一般的な瞬間接着剤などでは水に溶けて剥がれてしまい、溶けた成分は生体に害があるものばかりなためろ過器の作成には適していません。
そのためろ過器作成にはアクアリウム専用といった接着剤を使う必要があります。
しかし今回はプラスチックを接着しているため、プラスチックでも接着でき、かつ生体に悪影響のない「ヘルメチック ミラクル4」を使っています。
これは量も多いため大量の石を接着したとしても大丈夫な製品になります。
他のアクアリウム用接着剤では量が5g前後と少ないため、コスパを考えるならこれを使った方が安上がりになってます。
最後に
容器自体はそれなりに手間をかけてつくればどうにかなりましたが、容器全体に苔を植え付けるとなるとどうしても時間がかかります。
ろ過器に苔を植え付けようと思っているなら早めに苔の栽培などを視野に入れておいたほうが良いです。
苔はホームセンターや盆栽を扱っている店で販売していることが多いので、興味があるなら一度覗いてみましょう。
再度書きますが道路に生えている苔や公園などに生えている苔を使うのはやめましょう。
洗車した際の洗剤などが染み込んでいる場合もありますし、私有地のものを勝手に採取するのは犯罪になります。
採取するなら自宅の庭の絶対に有害成分が無いといえる苔か、販売されているものを使いましょう。