肥料を使う最適なタイミング。化学肥料や家畜フン堆肥などの使い方

2021年4月4日園芸知識園芸,土づくり,堆肥,家庭菜園

野菜を育てる上で肥料は大切ですが、使うのに適したタイミングというものはあります。

タイミングが合わないと肥料のムダになったり、作物の成長が遅くなったりします。

土や土壌改良材として使う堆肥。

追肥として使う化学肥料。

液体状の肥料の液肥。

それぞれの肥料を使う適したタイミングや、うまく使う方法を紹介します。

有機肥料

まずは牛フン堆肥などが代表的な、有機性の肥料の解説から。

土作りで大切な肥料です。

原材料

有機質肥料は動植物に由来するものを原料にした肥料が多いです。

市販されている代表的な有機質肥料としては以下のものがあります。

・油かす
・魚かす
・家畜フン
・草木灰
・骨粉
・米ぬか
・貝殻石灰

一般のホームセンターなどで目にする有機性肥料はこんなところ

しかし同じ動植物由来の肥料といっても成分には違いがあります。

例えば油かすはチッソ分が多いですが、家畜フンはリン酸・石灰分が多いといった具合です。

肥料としてはそれぞれ別で販売しているので、使用用途によって単一・あるいは混ぜ合わせて使います。

必須栄養素が多い

有機質肥料には植物の生育に必須とされる栄養素が多く含まれています

細胞を作るのに必要な「チッソ」。

果実を大きくする「リン酸」。

たんぱく質や炭水化物をつくる「カリウム」。

これら植物が成長する上で欠かせない栄養素が多いです。

これらの他にもマグネシウムやカルシウムといったミネラルも含まれています。

必要な栄誉素全体をカバーしようと思うなら、有機性肥料は必須といっても過言ではありません。

栄養の配合はこんな感じです。

種類性質成分効き方備考
油かす有機栽培のベースになるチッソ肥料チッソ:5~7%
リン酸:1~2%
カリウム:1~2%
緩効性植え付けの2週間前に使用
骨粉緩行性のリン酸チッソ:4%
リン酸:17~24%
緩効性骨なので他の肥料と混ぜ、微生物が繁殖しやすくする
草木灰速効性のリン酸・カリウム・石灰肥料リン酸:3~4%
カリウム:7~8%
石灰分:11%
速効性土の酸性度の中和。多用に注意
魚かす味をよくする動物質の有機質肥料チッソ:7~8%
リン酸:5~6%
カリウム:1%
速効性植え付けの2週間前に使用
米ぬか堆肥・ボカシ肥「の発酵材として優秀チッソ:2%
リン酸:4~6%
カリウム:1%
緩効性植え付けの3週間前に使用。よく混ぜる
鶏フン化学肥料なみにリン酸が多いチッソ:3%
リン酸:5~6%
カリウム:3%
石灰分:9~14%
速効性植え付けの3週間前に使用
牛フン肥料分は少ないが土壌改良材として優秀チッソ:2%
リン酸:3%
カリウム:2~3%
石灰分:17~22%
速効性植え付けの3週間前に使用
貝殻石灰石灰分の補給や酸性土の改善に使用石灰分:30~50%速効性多量の使用(土のアルカリ化)には注意

有機質肥料は成分が突出しているものが多いです。

メリットでもありますが、与え過ぎると成分過剰で生育障害を起こすことがあります

例えば骨粉ならリン酸過剰、貝殻石灰なら土のアルカリ化などです。

そのため重要な栄養素がバランスよく含まれる家畜フンを使うのが一般的です。

しかし前述した通り家畜フンは臭いがあり、使うのを躊躇する人がいるのも確か。

そんな人は複数の有機質肥料を組み合わせて使うのが一般的です。

その作物に特に必要な栄養分を考慮して使う種類を選びましょう。

生育に適した土に

有機質肥料は土を植物が育つのに適した状態にするのに長けています

これは栄養面だけでなく、根が張りやすい・余分な水を排水する・土に空気が入りやすくなるなど植物が育ちやすい土にしてくれるからです。

土を再生させる効果があるため「土壌改良材」と呼ばれることが多いです。

化学肥料と違い即効性はありませんが、長期間に渡ってこれらの効果が持続するのが特徴です。

有機質肥料を土に混ぜ来むと微生物による分解が始まります。

この微生物の活動の過程で栄養分ができたり、団粒を形成して土にすき間をつくり根を貼りやすくしたり、排水性を高くしてくれます。

俗にいう「土をフカフカにする」効果があるので、土づくりに最適といわれています。

長期間効果が続く

有機性の肥料は1か月単位で効果が続くものが多いです。

特に家畜フンなどの堆肥は長続きします。

これは肥料の分解に時間がかかるため。

「時間がかかるなら効果も低いんじゃ」と思うでしょうが、それは違います。

ほとんどの栄養は土に滞留しにくく、大量に雨が降ると栄養が減りやすいです。

そのため大量に土に栄養があったとしても、どうしてもロスが出てしまいます。

しかし必要なときに、必要な分だけ栄養を供給できれば、吸収効率も良くなります。

1年を通して栽培したいのなら、有機性の肥料は非常に優れているといえるでしょう。

使うタイミング

作物の植え付けの2週間くらいは前に使いましょう

有機肥料は微生物の分解によってその役割が充分に発揮されます。

そのため肥料の分解が進んでいないと土に栄養が供給されません。

野菜を植えてすぐに効果を出したいなら、肥料を混ぜ込んでから少し期間を置かなければなりません。

ただ「発酵○○」「完熟○○」と書かれた有機質肥料は1週間ほどで植え付けができます。

これは既にある程度分解が進んでいるため、早くに栄養が染み込んでくれるからです。

他にも「○○の土」と書かれているものは、使ってすぐに植えつけることができます。

…まあこれは「肥料が混ざった土」であって「純粋な肥料」というわけではありませんが…。

有機肥料の使い方

有機肥料は土壌に混ぜるだけで効果を発揮します。

そのためあまり気にすることはありません。

ただ、少しでも効果を上げたいなら以下のことをしてみましょう。

しっかり混ぜ込む

有機肥料は微生物によって栄養が作られます。

そのため土に混ぜ込めば分解も早くに進みます。

一度に大量に混ぜる場合は、土全体に均等になるように混ぜましょう。

また混ぜ込む場所は作物の根元~直下の深い部分までが良いです。

植物の根は下へ下へと成長しやすいです。

そのため根が多く集まる深い場所に栄養があった方が効果的です。

土を被せる

土を被せることで臭いを抑えられます

堆肥で問題になりやすいのが臭いです。

しかし堆肥を混ぜた土の上に数センチほど土を被せれば、臭いがかなり少なくなります。

また微生物の分解も早くなります。

微生物の活動には湿気が必要です。

有機肥料に土を被せれば、その部分の湿気を維持できるため、分解も早くなります。

注意点

何回か書いてますが、有機質肥料を使う際は腐敗と臭いに注意してください。

有機質肥料は動物性由来の原材料が多く使われています。

動物性由来の肥料は分解が進むと強い臭いを発するものが多いため、悪臭の原因になります。

特に家畜フンや魚カス・米ぬか使う時には、臭い・腐敗・虫に注意しなければなりません。

住宅街に住んでいる人は特に気をつけて下さい

先ほども書いた「発酵○○」なら臭いも少なめ。

これらが気になるならこちらを使ってみましょう。

化学肥料

扱いやすい化学肥料ですが、こちらも効果的なタイミングや注意点はあります。

使い方を間違うと肥料のロスが出やすいので注意しましょう。

化学肥料と化成肥料の違い

あまり気にする人はいないでしょうが、「化学肥料」「化成肥料」というものがあります。

どちらとも同じ、粒状になった肥料です。

結論からいえば化学肥料と化成肥料は「ほぼ同じ」です。

化学肥料も化成肥料も、原材料の鉱物などから栄養分を取り出して、それを粒状にしたもの。

ただし含まれている成分の種類の数に違いが出ます。

・化学肥料…リン酸だけ、チッソだけといった風に単一の成分でできている
・化成肥料…リン酸+チッソと複数の成分を混ぜ合わせてある

違うのはこれだけで、用途などには違いはありません。

「野菜をつくる肥料!」といって市場に出回っているものは、ほとんど化成肥料だと思われます。

ひとつの肥料に複数の栄養が含まれているなら、効率やコストパフォーマンスがいいですからね。

含まれる栄養

化学肥料は栄養が満遍なく含まれています

リン酸・チッソ・カリウムと、3大栄養素を中心に配合。

ただ使う対象によって微妙に配合に違いが出ます。

野菜で使う化学肥料なら、それぞれ均等に配合。

ブルーベリーのような果樹なら、リン酸を多めに。

配合率はどれも5%を超えており、多いと8%ほどになります。

「高濃度」と書かれていれば、各成分が15%以上の配合率のものもあります。

特にカリウムの配合量に注目

カリウムは有機肥料では多くて3%と少なく、カリウムを多くするなら化学肥料のほうが優れています。

カリウムは葉や茎を作るのに使われるため、葉物野菜では多く必要になります。

葉物野菜を中心に育てるなら、化学肥料による追肥は重要なものになります。

使うタイミング

化学肥料は追肥として使うのが適しています。

タイミングはトマトのような実が生る野菜なら、花が咲き始めた頃

大根のような根野菜、キャベツのような葉物野菜なら、生育中期あたりから使いましょう。

野菜はこの頃から多量に栄養が必要になります。

種類によっては植え付け直後に使うこともありますが、土作りがしっかりしていれば必要性は薄いです。

栄養が必要な時期に使えばうまく噛み合って、効率よく栄養を吸収させましょう。

化学肥料は水にすぐ溶けるので、即日から効果を発揮してくれます。

化学肥料の使い方

化学肥料は粒状のため、扱いやすさはピカイチです。

しかしそのサイズごとにも、適した使い方があります。

すぐに栄養を与えたい場合や、長期で栄養を与え続けたい場合。

あるいは野菜ごとに適した化学肥料もあります。

即日なら小さい粒

早くに栄養を供給したいなら、小さい粒タイプを使いましょう。

粒が小さいほど水に溶けやすいので、早くに栄養が行き渡ります。

注意点として長続きしないので、何回か追肥する必要があります。

化学肥料の大半はこのサイズになっているものが多いです。

長期なら大粒

長期間栄養を供給したいなら、粒の大きいものを使います。

粒が大きい分溶けきるまでに時間がかかるため、追肥の手間を無くすのに最適です。

必要以上に栄養が溶けないようにするのにも効果があります。

実が生る野菜はリン酸中心

実が生る野菜や果樹なら、リン酸が多めの化学肥料を使いましょう。

リン酸は実を作るのに大量に必要になります。

そのためリン酸中心の配合の肥料のほうが都合が良いです。

後述する特定の栄養の過剰供給を防ぐことにもつながります。

土をほぐす

肥料をまく場所の表面をある程度ほぐすこと、栄養が染み込みやすくなります。

肥料は水に溶けることによって根から吸収されます。

そのため土の表面が乾いて固まっていると土に染み込まず、そのまま別の場所に流れていってしまいます。

土をほぐせば水分が染み込むので、その水分を吸って肥料が水に溶けていきます。

土に混ぜ込んだ場合でも同じです。

夏場だと土が固くなりやすいので注意しましょう。

注意点

栄養を効果的に与えられる化学肥料ですが、使うときに注意することがいくつかあります。

使い方によっては、生育の邪魔をすることもあるので覚えておきましょう。

ひと固まりにまかない

栄養の濃度が高くなりすぎると、生育に悪影響が出る場合があります。

化学」肥料といわれる通り、ある程度の刺激物であるものと考えて下さい。

ひと固まりに撒く濃度が濃くなりすぎて、刺激や栄養多寡などで根が痛む原因になりかねません。

特に粒の小さい肥料ほど溶けるのが早いので、こういった事態になりやすいです。

根下から5~10cmほど離れた場所に、パラパラとふりかける感じでまいて下さい。

全体に満遍なくまくことで、一か所だけ栄養の濃度が濃くなることを防げます。

肥料の与えすぎで起きる花や野菜への影響と、その予防法・解消法

プランターなら回数を多く

プランター栽培での追肥は少量で回数を多くしましょう。

プランターでは栄養が染み込む土が少なく、水と一緒に排出されやすいです。

そのため畑で使っている量では肥料のロスが出てきます。

これは小さいプランターほど顕著です。

一回の量を少なめにし、完全に溶けきったら再度追肥するようにしましょう。

使い方の関係上、大粒の化学肥料だと効率が良いです。

液肥

「植物の活力剤」として販売されてる液肥。

効果や使い方は化学肥料と似ているところが多いです。

ただ、液肥にしかできないことや、少々風変わりなものもあります。

液肥の役割

液肥は化学肥料と同じ、追肥のような形で使います。

しかし液状なので吸収効率も良く、化学肥料より即効性は高め

「活力剤」というのはここから来てます。

水耕栽培だと特に使いやすくなってます。

ただ化学肥料と違い、栄養の種類がかなり豊富です。

化学肥料ではリン酸などの3大栄養素を中心にして配合されています。

その反面、化学肥料ではミネラル分などが足りないものが多いです。

しかし液肥では、カルシウムといったミネラルや、鉄分といった金属性の栄養も配合されているものがあります。

ミネラルなどは通常の追肥では補充されにくいので、液肥はそういった面で助かります。

液肥の種類

液肥にも種類があり、それぞれ使い方も違います。

・原液タイプ
・希釈タイプ
・粉末タイプ
・微生物タイプ

一概に液肥といっても4種類はあり、それぞれ使い方が違います。

間違った使い方だと生育に悪影響が出る場合があるので注意。

原液タイプ

栄養を高濃度の液体にしてまとめてある液肥。

薄めて使うのが基本で、そのままでは使えないので注意しましょう。

もし薄めず原液のまま使うと、根が枯れたりする恐れがあります。

薄めて使いますが、適量なら大型プランターでも100回分くらいの量にはなります。

化学肥料と同じく肥料置き場をすっきりさせることも可能です。

希釈タイプ

原液の液肥を使いやすいように、元から薄めたもの。

薄める作業が必要なくそのまま使用できます

土に刺して使うタイプが多く、10本単位で纏め売りされてます。

100円ショップなどで見るのはこのタイプでしょう。

粉末タイプ

原液を乾燥させて粉末状にしたもの。

…というよりは化学肥料を粉末状にしたものともいえます。

こちらも原液同様に、水で薄めて使います。

土に混ぜて使うこともできますが、一か所の濃度が高くなりやすいので注意。

粉末のまま使うならよくかき混ぜましょう。

微生物タイプ

風変わりなものとして微生物を含んた液肥もあります。

こちらは土壌の微生物を増やすために使います。

有機肥料は微生物に分解されないと栄養が出ないため、その補助として使います。

あるいは土の殺菌などで微生物がいなくなったときにも使えます。

注意点として、このタイプの液肥にはリン酸などの栄養は含まれていません

あくまで微生物を入れることで、間接的に栄養を増やすために使います。

液肥の中では唯一土壌改良効果があるものでもあります。

使うタイミング

液肥は化学肥料と同じく、成長期の直前あたりで使うと効果が高いです。

しかも即効性が高いため野菜の成長も早くなります。

苗が土に定着した頃。

花が出て実が生る直前。

こうしたタイミングで使いましょう。

液肥の使い方

液肥も化学肥料と同じ用途で使いますが、液体のため使い方も増えます。

化学肥料ではできないこともあり、差別化もできてきます。

ミネラル分などの補給

液肥は化学肥料と違い、ミネラルなどを配合したものも多いです。

そのため他の栄養が足りないときに使います。

ミネラルや金属があれば栄養の吸収効率を高めたり、病気に強くすることもできます。

特に花のように植え替えない植物だとミネラルなどが不足してきます

植えっぱなしの果樹や花などは液肥で足りない栄養素を補給しましょう。

元気が無いとき

液肥は即効性があるため、栄養不足で元気が無くなった植物に効果的です。

水と一緒に吸収してくれるため、栄養の吸収効率は肥料の中でもトップです。

いわば人間でいうところの「活力剤」や「ビタミン剤」といったもの。

急に元気が無くなった植物には優先して与えてみましょう。

水耕栽培

土を使わない栽培方法を取っているなら、化学肥料より液肥の方が使いやすいです。

特に水耕栽培に適しています

なんせ、そのまま水に混ぜるだけですから。

化学肥料では水に沈めるだけだと、けっこう長い間溶け切らないことがあります。

しかし液肥なら勝手に混ざってくれるので、手軽に使えます。

最近は水耕栽培で家庭菜園する人も増えているそうなので、液肥の活躍の場も増えたでしょう。

注意点

液肥も化学肥料同様に、間違った使い方では生育に悪影響が出やすいです。

しかも即効性があるため、悪影響が出るのも早いです。

取り扱いには注意しましょう。

絶対に原液で使わない

原液タイプ・粉末タイプでは、絶対に薄めてから使いましょう

原液では栄養の濃度がかなり高く、そのまま使うと根にダメージを与えやすいです。

他にも栄養過剰による生育不良を起こす原因にも。

原液タイプは100~1000倍に薄めてから使います。

その液肥の説明部分に適量が書いてあるので従うように。

これらの作業が面倒なら希釈タイプをおすすめします。

栄養が薄い

「水で薄めて使う」のが基本な以上、どうしても栄養価は少なめになります。

液体として使うため、持続性もイマイチ。

そのため化学肥料のように1回使えば1か月持つ、という風にはなりません。

栄養の補給できる期間は使ってから数日といったところです。

長期に渡って栄養を供給するなら、何回も使う必要があります。

使い方は千差万別

有機肥料・化学肥料・液肥。

同じ栄養を補充するために使いますが、使い方にはかなり違いが出ます。

適した使い方でないと、しっかりとした効果を出さないこともあります。

しかしその分、それぞれが他の肥料ではできない部分を補填するようにできてます。

土作りできる有機肥料は、追肥には向かないように。

追肥ができる化学肥料・液肥では、土作りに向かないように。

適した使い方なら、より一層植物の生育を助けてくれます。

野菜や果樹を万全の状態で育てたいなら、複数の肥料を使い分けましょう。