花粉症の予防法一覧。くしゃみ・かゆみ・鼻づまりの対処方法
花粉情報が出始める2月時点で対策を始めても、手遅れなこともあることはご存じですか?
花粉症対策は花粉が舞い始める前でないと効果が薄くなるものがあります。
この時期になると花粉症対策について触れるテレビ番組も多くなってきます。
で、その内容+αの花粉症関連の知識を書こうかと。
中には「もう知ってるよ!」なんてのもあるかと思いますが、復習代わりと思って読んでみてください。
花粉症の薬
薬の服用は2月から
花粉症を防ぐ・緩和するなら、対策は花粉が舞い始める2月前からし始めるのが有効です。
その最たる理由は花粉症の薬です。
花粉症薬は早期に服用し始めるとアレルギー反応が起きる後に服用するよりも効果が高くなります。
アレルギー反応は花粉などのアレルゲンと反応して起きる症状です。
しかし花粉そのものは本来は反応しなくても問題ない物質です。
これは花粉の構造が病原体などと似ているため、抗体が誤認してしまっているからです。
有名なのはかゆみなどのアレルギー反応を起こす「ヒスタミン」でしょう。
ヒスタミンは普段は細胞内にあるだけで安全な状態です。
しかし細胞に花粉成分がつくと細胞外に放出されます。
この放出されたヒスタミンが「H1受容体」というものと結合するとアレルギー反応が出ます。
「抗ヒスタミン剤」はヒスタミンの代わりに受容体と結合してアレルギーが起きないようにします。
アレルギーは「受容体+ヒスタミン」の組み合わせのみ起きます。
そのため、あらかじめ受容体と別の成分を組み合わせればアレルギー反応は無くなります。
問題はアレルギー反応が起きた後に薬を服用しても効果が薄くなるという点です。
一度アレルギー反応が起きると体内ではアレルゲンの生成・放出が活発になります。
しかし、その後に薬を飲んでもアレルゲンの生成などを抑えることはできません。
アレルギー反応が起きる前に花粉症薬を飲んでおけば、受容体とアレルゲンが結合しなくなります。
これでアレルゲンそのものの生成・放出なども抑えることが可能という訳です。
こうなれば花粉が体内に入ってもアレルギーが起きないため、「アレルゲンをつくらなくても大丈夫」と誤認してくれます。
一度アレルギーが起きるとアレルゲンの生成などを抑制するのは困難になるため、早期に花粉症薬を服用してアレルギーとアレルゲンの生成が起きないようにしましょう。
期待される新薬
市販品より花粉症によく効く薬があります。
それが「オマリズマブ」という薬。
正式名称で「抗IgE抗体オマリズマブ」あるいは「ゾレア」ともいいます。
注射型です。
この薬はアレルギーを出す抗体の働きを抑制してくれます。
記事冒頭の薬の部分で「アレルゲンと抗体が接触してヒスタミンなどを出す」と書きました。
これにはもう一つ前段階があり、アレルゲンを判別する抗体「IgE抗体」がつくられています。
この抗体はアレルゲンに反応してつくられ、再度アレルゲンに反応することでヒスタミンなどを出す切っ掛けになります。
「オマリズマブ」はIgE抗体の生成を抑えてくれるため、そもそもアレルゲンに反応するということが無くなります。
かなりのアレルゲンに有効だそうで、花粉症がヒドイ人でも効果が見込めます。
ただし使用するには以下の条件があります。
・既存の薬が効かない
こうした「重症クラス」と判定された人でしか使えません。
おまけに値段も3万5000円とかなりの値段。
ついてに何回も注射する必要があります。
保険は利くようですが、まだ一般の人では少々使いにくい薬です。
それでも効果は高いとのことなので、花粉症がヒドすぎるという人はまず使えるか確かめてみましょう。
コンタクトよりメガネ
コンタクトレンズをしている人は、花粉症シーズンはメガネを着用するようにしましょう。
コンタクトレンズだと眼に入った花粉がレンズに付着してしまい、涙などで洗い流すことが難しくなります。
そのため眼のかゆみなどが長続きする原因にも。
花粉を除去するには一度レンズを外して洗浄しなければならないため、非常に手間です。
しかしメガネなら直接吹き付けられた花粉をメガネのレンズでガードできます。
仮に眼に入っても涙や水で洗い流しやすいため、花粉の除去が簡単になります。
当然ながら大きいレンズのメガネの方が花粉のガードもしやすいです。
花粉症対策としてメガネを購入するなら大きめのメガネを選びましょう。
鼻づまりにはタマネギ
鼻づまりで困っている人はタマネギを使うと治るそうです。
花粉症や鼻炎などで起きる鼻づまりは、鼻腔内の炎症で気道が狭くなってしまうことが原因です。
タマネギに含まれる「硫化アリル(アリシン)」という成分は炎症を抑える効果があります。
これで鼻づまりで狭くなった気道を元に戻せます。
鼻づまりで寝付けない人は枕元に刻んだタマネギを置いておきましょう。
鼻に装着して鼻穴を広げるアイテムでは炎症で狭くなった部分を広げきれません。
これはそうしたアイテムでは効果が無い人でも有効な対策になります。
料理で要らない部分を少し刻めば良いだけなので、捨ててしまうゴミの有効活用もできます。
この硫化アリルはタマネギだけに含まれる成分ではなく、催涙効果があるようなものに含まれます。
・ワサビ
・ニンニク
・ネギ
・ニラ
・らっきょう
硫化アリルはこのように切ったりすると涙が出たり、刺激があるような食べ物に多いです。
特にタマネギ・ワサビ・ネギ・ニンニクは硫化アリルが多く含まれます。
ただ硫化アリルはかなり刺激が強い成分です。
鼻先に押し付けたり、鼻腔内に直接入れないようにしましょう。
刻んで容器に入れて置いておけば空気中に成分が散布されるため、少しの量でも効果が出てきます。
野菜をまるまる一個使う必要はありません。
鼻詰まりで寝付けない人はこういった食品を使って呼吸をしやすくしましょう。
オメガ3系の油
「オメガ3」と呼ばれる食用油も花粉症で起きる目のかゆみに効果があるそうです。
オメガ3の油に含まれる「オメガ3脂肪酸」は、アレルギーの緩和に役立つという研究結果が出ています。
オメガ3脂肪酸は、眼のかゆみを起こす炎症性脂質メディエーター(ロスタグランジン・トロンボキサン等)の生成を抑えます。
これで体内でアレルギーを起こす成分自体が少なくなります。
そのためアレルギー反応が起きにくくなったり、起きたとしても症状が緩和されます。
特に多いのは「亜麻仁(アマニ)油」だそうですが、「エゴマ油」「魚油」にも多く含まれています。
ただ注意したいのがオメガ3脂肪酸は熱に弱いという点。
加熱してしまうと性質を失ってしまうため、できるだけそのまま摂取することが好まれます。
スプーン1杯分で充分な量なので、ドレッシングに混ぜたり、卵かけご飯に混ぜたりと、油を生のままでも使える方法で料理に混ぜて摂取するようにしましょう。
マスク対策
花粉を防げるマスク
昨今はコロナの影響で多種多様なマスクが販売されています。
しかし花粉を防げるマスクと、防ぎにくいマスクがあるのは知っているでしょうか?
ウレタンや布製のマスクだと花粉を通にくいものが多いです。
こうした素材だとフィルター部分がぶ厚く、肌との密着率が高いです。
そのため花粉を通しにくくなります。
ウレタンや布製のマスクだと通気性も良いので、息苦しさも軽減できます。
ただマスク全般は花粉といった大きい粒子は大体防げます。
マスクをしても花粉が入ってくるなら、肌とマスク間に隙間ができているのが原因です。
不織布マスクといった固めのマスクではこうしたことが起きやすいです。
今使っているマスクが効かないと感じるなら、マスクの種類を変えてみましょう。
ただし薄いマスクはやめましょう。
ウレタンや布などの網目は花粉を通すほど大きいです。
そのため厚めのマスクでないとうまく吸着できません。
最低でも2ミリ以上の厚さのマスクを選びましょう。
マスクの捨て方
マスクを捨てる際には袋に入れて捨てるのが効果的です。
こうすればマスクに付いた花粉の飛散を無くせます。
ただこの方法では、袋がもったいないと感じる人も多いでしょう。
そんな人は「フタつきのゴミ箱を使う」。
あるいは「マスクを下側にして捨てる」といった方法を取りましょう。
フタがあれば捨てた後に花粉の飛散は起きにくくなります。
マスクの花粉が付いた側を下にしても、ある程度は花粉の飛散を抑えられます。
これはウィルスなどでも同様なので、ウィルスの飛散も抑えたいならこの方法を取りましょう。
ゴミ袋の処理は屋外で
ゴミ袋を縛るときは外でするようにしましょう。
袋の入り口を縛ると、中の空気と一緒に花粉が噴き出してきます。
室内でこれをやると部屋中に花粉が飛び散ります。
ゴミ袋の空気を抜こうと押さえつけたりするとさらに飛び散ります。
花粉だけでなく、ゴミ袋内の雑菌・ウィルスなども飛び散るためかなり不潔です。
ゴミ袋を縛るなら外に出してからにしましょう。
鼻うがいで徹底除去
花粉を落とすなら手洗い・うがいだけでなく、鼻うがいもするとより効果的です。
鼻の内部は口内に劣らないほどの広さを持ちます。
おまけに鼻毛があるため、かなりの数の花粉が鼻腔内に付着しやすいです。
これは鼻をかんでも取れにくいため、鼻うがいでいっぺんに洗い流す必要があります。
花粉などは鼻毛部分でせき止められているため、鼻の入り口あたりを洗うだけでも効果はあるそうです。
ただ普段から鼻毛をカットして短くしている人は奥まで入り込んでいる可能性があります。
そういう人は奥まですすぐようにしましょう。
鼻うがいには生理食塩水を使いましょう。
水道水ではプールで鼻に水が入ったときのようにツーンとなったり痛みを感じたりします。
これは鼻の粘膜と水道水の浸透圧が違うためです。
鼻水が痛くないのは、浸透圧が粘膜と同じだからです。
浸透圧は塩分で調整ができるため、粘膜と同じ浸透圧を持つ生理食塩水を使いましょう。
生理食塩水は「水100ミリリットルあたり塩0.9グラムを混ぜる」ことでつくれます。
中にはこれに加えて重曹を0.05グラム混ぜることもあるそうです。
・塩0.9グラム
・(重曹0.5グラム)
鼻うがいには大体200~300ミリリットルほど使うため、大きめのコップ一杯分ほどの量になります。
鼻うがいは専用のキットが販売されているので用意しておきましょう。
毛髪量で注意
髪が多い人、特にパーマのようにモジャモジャした髪質の人は花粉が付着しやすいです。
パーマ質の人だと髪の内部が空洞になりやすいです。
そのため花粉が髪の内部にも入り込みやすいです。
こうした人ほど外出後は髪に付いた花粉を落とすようにしましょう。
髪が短い人や立っている人でも中に入り込みやすいです。
逆に髪が長くストレートの人だと外側の表面くらいにしか付着しません。
ただし家に入ってからではなく玄関前で落とすように。
玄関の中では花粉の逃げ場が無いため、花粉を払っても自分の周囲に落ちてきます。
屋外なら風によって払った花粉が流れるため、家に入る前に髪に付着した花粉を落としてしまいましょう。
レースカーテンで換気
室内の換気をするなら、レース状のカーテンを使えば花粉の侵入を防げます。
要はマスクと同じ原理で、カーテンの網目に花粉を引っかけて空気のみを室内に入れるわけです。
窓全域を覆い、かつ床につくくらいの長さのカーテンなら花粉の侵入を防げます。
ただ網目の大きさは小さいほど良いですが、逆に小さすぎると空気も入ってこなくなります。
逆に網目が大きすぎると花粉が入りやすくります。
手で仰いだりして風を送って、丁度良く空気が通っているか確認しましょう。
注意点としては換気後のカーテンの扱い。
カーテンに衝撃を与えると付着した花粉が舞ってしまいます。
できれば掃除機などで表面に付いた花粉を除去するようにしましょう。
花粉症は許容量オーバーで発症
花粉症じゃない人でも注意が必要です。
花粉症は体内での花粉の許容量がオーバーすると発症します。
大抵のアレルギーはこうして発症するため、まだ花粉症になっていない人でも発症する可能性は残ります。
特に花粉が多かったり、いっぺんに大量の花粉が体内に入り込むと発症する可能性が高いです。
一度発症すると以前よりも少ない花粉で発症しやすくなります。
「花粉症じゃないからいーや」と楽観視せずに、マスクなどである程度の対策は取るようにしましょう。
花粉症は遺伝する
糖尿病などと同じで、花粉症も遺伝している可能性があるらしいです。
親の両方が花粉症だと子供が花粉症になる可能性も高くなり、片親だけでも数割は可能性があるそうです。
上記で説明した「花粉の許容量」も遺伝している可能性もあります。
そのため花粉に弱い体質の人の子供だとより発症の可能性も高まります。
花粉症というのは発症「する」か「しない」かが重要なボーダーラインです。
お子さんがいるなら、自分の花粉症具合で対策を取らせるようにしましょう。
布団は掃除機でゆっくり
布団やカーテンなどについた花粉は除去は、掃除機をゆっくりかけましょう。
手で叩いたり払ったりしても花粉が舞い散るだけです。
これでは室内でやっても無意味どころか逆効果です。
掃除機を行ったり来たりさせるような従来のやり方でも、同じように飛散しやすいです。
飛散させないよう、広範囲を吸収できるノズルを押し当ててゆっくり・じっくりと吸い込ませましょう。
また布団の端は花粉が残りやすいです。
特に胸~頭部分が接触する場所は布団の下の部分まで掃除しましょう。
花粉量は前年度の夏に決まる
花粉の量は前の年の夏場前の気温で決まります。
花粉は気温が高くなるとつくられやすくなるため、暑い日が多かった年の翌年は花粉の量が多くなります。
スギ花粉などは7月~8月につくられるそうで、その期間の気温が高いとつくられる花粉の量が増えていきます。
花粉は気温が30℃以上になると花粉がつくられやすくなります。
この時期に夏日越えの日が多いようなら翌年には注意が必要です。
…まあ近年は温暖化のせいでそういった日になるのは当たり前になってます。
住んでいる地域によっては意味が無いかもしれませんが…。
花粉症患者が増えているのは、夏日が多くなってつくられる花粉の量が増えているのも一因かと思われます。
花粉対策は万全に
花粉症患者は毎年一定数以上は存在しています。
かなりの量の花粉が毎年散布されるため、絶対に花粉を体内に取り込まない、というのは難しいです。
生活環境だとか、体質だとか、改善できる部分はいろいろあります。
適切な対処をして、少しでも症状を軽くしましょう。