花粉でアナフィラキシーショック? 蜂に刺されなくても要注意
スギ花粉などで起きる花粉症。
蜂に刺されることで起きるアナフィラキシーショック。
これらは両方ともアレルギー反応で起きる症状です。
このアナフィラキシーショックは命に関わる症状として知られますが、花粉症が原因で起きることもあるそうです。
本来命に関わることのない花粉症が、どうしてこのような症状につながるのか?
今回は「アナフィラキシーショック」と「花粉症」の関係を解説したいと思います。
花粉症とは?
花粉症の原因
花粉症とは「季節性アレルギー性鼻炎」のことを指し、特定の季節に起こりやすいもののことです。
スギ・ヒノキ・シラカンバといった樹木の花粉。
またはイネ・ブタクサ・カモガヤといったものの花粉が原因です。
スギなどの樹木は2月下旬~6月上旬、遅いと7月上旬まで。
イネは5月~9月、ブタクサなどは9月あたりに花粉を飛ばすため、それぞれこの辺りがシーズンになります。
特に多いのがスギやヒノキといった樹木の花粉による花粉症です。
スギもヒノキも建築材として利用されることが多々あり、人の手によって大量に植林されています。
スギは成長が早いため木材として短期で大量に入手するために。
ヒノキは高級木材になるため植林されています。
関東ではスギの花粉が、九州などではヒノキの花粉による花粉症に分かれているそうです。
花粉症の症状
花粉症の症状で代表的なのは「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」です。
敏感な人だったり花粉の量が多いと「鼻のかゆみ」「目のかゆみ」も起こしたりします。
直接的な原因ではないものの、「鼻づまり」によって他の症状を併発することが多いです。
・のどの乾燥により咳が出やすくなる
・鼻づまりが気になって眠りにくい(不眠症の原因)
こうしたことが起きるため、花粉症の人ならかなりうっとおしい思いをしていると思います。
花粉症のメカニズム
花粉症とは体内に入ってきた花粉に対する免疫反応によって起こります。
花粉が体内に入ると、白血球の一種の「リンパ球」という免疫細胞によって花粉が「異物」か「そうでないか」の判断がされます。
花粉症の人は花粉が「異物」と判断され、リンパ球に攻撃されているために起こる症状です。
免疫細胞は異物に対して、それ専用の「抗体」をつくります。
この抗体は花粉が体内に入ると目や鼻の粘膜の細胞を刺激します。
し涙やくしゃみ・鼻水を利用して花粉を体外へ出そうとします。
これが花粉症の主な症状の原因になっています。
アナフィラキシーショックとは?
アナフィラキシーショックとはひとつ以上のアレルギーに対して、全身に過剰なアレルギー反応を起こしてしまう症状です。
起こりうる症状としては以下のものがあります。
・蕁麻疹(じんましん)などの皮膚症状
・血圧の低下
・不整脈や動悸
・意識不明などの意識障害
・嘔吐や下痢
よくニュースなどで聞くのが「蜂に刺されてアナフィラキシーショック!」という事例。
これは過去に蜂に刺されたことにより免疫ができ、2度目以降に刺されたときに免疫が過剰反応してしまうからです。
蜂に限らず、どんなアレルギーでもアナフィラキシーショックを引き起こす可能性があります。
卵・小麦アレルギーなどでも同様の危険性があります。
特に危険な症状が呼吸困難や不整脈、意識障害です。
これらは症状が重症化したり、幼い子供や高齢者だと少しの症状でも命の危険があります。
花粉症とアナフィラキシーショックの関係
では花粉症とアナフィラキシーショックがどう関係するのか?
花粉症もアレルギー反応の一種の為、いくつかのアレルギーを併発するとアナフィラキシーショックの症状が出る場合があります。
花粉症も規模は小さいとはいえ、過剰なアレルギー反応を起こしている状態です。
花粉症はシーズン中は常に症状が出ている・出やすい人が多いです。
別のアレルギー反応が起きた時点でアナフィラキシーショックのトリガーになりかねません。
そのため複数のアレルギーを持っている人ほど危険性が高いです。
喘息(ぜんそく)持ちの人は要注意!
花粉症によるアナフィラキシーショックで起きやすいパターン。
それは花粉症が原因で喘息を併発して、それが悪化することです。
喘息は気管部に炎症が起きて粘膜の表面が膨らみ、それが原因で気道が狭くなることによる呼吸困難が主な症状になります。
そして花粉症で「くしゃみ・咳が出る」原因は、免疫細胞による「のどの粘膜への刺激」です。
花粉の量などが多かったりするとこの「粘膜への刺激」が過剰に行われます。
そのため喘息の原因の「粘膜の炎症」を引き起こしてしまうことも。
このため喘息持ちの人が花粉症を重症化させると、喘息の症状も悪化させてしまう危険性が高いです。
特に喘息は呼吸困難になりやすいため、花粉症を起点としたアナフィラキシーショックを起こしやすいです。
対策
では喘息を悪化させないための対策、総じて花粉症への対策の紹介に移ります。
花粉症の薬はシーズン前から服用
花粉症のシーズン前の2月~3月あたりから薬を服用するようにすればより効果が出ます。
花粉症になるということは、アレルギー反応を既に起こしているということです。
そうなると身体が花粉に反応しやすくなってしまい、花粉症を起こしてから薬を服用しても充分な効果が出ない場合があります。
花粉症シーズン前から対応する薬を服用すれば、初期のアレルギー反応自体を抑える効果が出やすくなります。
毎年花粉症が酷い人は最低でもシーズンの2週間くらい前から薬を服用し始めましょう。
そもそも花粉が多い場所に近づかない
花粉症と喘息によるアナフィラキシーショックですが、よほど花粉の量が多くなければ発症する可能性も少ないです。
ただ、花粉症でない人でも控えた方が良いでしょう。
花粉症はどうも、花粉が身体の許容値を超えると発症するらしいです。
今は花粉症でない人でも花粉が多い所にいると発症する可能性もあります。
花粉種である・なしに関わらず、スギなどの花粉を出す植物の近くに行かないようにしましょう。
マスクをする
花粉症のメジャーな対策ですが、マスクをしてなるべく花粉を吸い込まないようにしましょう。
花粉症によって喘息が起きるのは「のどに刺激が加わること」が原因です。
のどに花粉がつくことによるアレルギー反応を抑えれば、喘息を起こす可能性を減らせます。
これも薬と同じで、花粉症のシーズン前からするようにすればより効果が高くなります。
なるべく密閉性の高いマスクを使って、花粉を吸い込まないようにしましょう。
※マスクは鼻~あごが隠れるようにつけるのが正解です。
正しいつけ方で効果を充分に出しましょう。
「PM2.5」も花粉と同じように対策を!
最近よく耳にする「PM2.5」も花粉と同じようにアレルギー反応を起こします。
「PM2.5」は工場や車から出たチリやガスに空気中の「硫黄酸化物」や「窒素酸化物」といった汚染物質が付着したものです。
そしてPM2.5はスギ花粉などの10分の1以下の大きさです。
これほど小さいと肺にまで届くため、より体内の奥深くでアレルギー反応を起こしやすいです。
そのため「花粉+喘息」と同じようなアナフィラキシーショックを誘発する可能性が高くなります。
対策としてはマスクをするくらいしかありません。
花粉症と同じく機密性の高いマスクでPM2.5を吸い込まないようにしましょう。
人によっては危ない花粉症
これで花粉症が原因のアナフィラキシーショックの解説を終わります。
私は花粉症では(多分)ないですが、子供の頃は喘息持ちだったので、喘息を起こしたときは本当に苦しかったです。
まともに呼吸ができず、病院で吸入器を使ってようやく、といった感じです。
花粉症の人はもちろん、花粉症じゃなくても以前に喘息持ちだった人も、花粉対策をしてこのようなアナフィラキシーショックを起こさないよう予防しましょう。