昨今の家庭用ゲームの完全版・不完全版商法をどうにかしてほしい

サブカルチャーゲーム,サブカルチャー

ゲームハードの技術進歩によって、無料アップデートや追加コンテンツが当たり前になった昨今。

同じゲームを長く楽しめるようになった反面、それ(追加コンテンツ)ありきでゲームを販売するようになってきてます。

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昔の完全版商法

まず完全版・不完全版商法の定義として「ゲームソフト発売後に、追加エピソード・システムなどを加えたソフトを再発売する」というもの。

そのため新しく発売したゲームを「完全版」、以前のゲームを「不完全版」と呼ぶように。

以前のソフトを持っている人にしてみれば、「追加要素もプレイしたければもう一本ソフトを買え」と言われるようなもの。

昨今のゲームソフトは1本7000~8000円。

そのため「不完全な」ゲームソフトを購入してしまっていると、1本のゲームを完全にプレイするのに1万5000円払うハメに。

こうした「ほんの少しの要素にゲーム1本分の値段をつける」という商法が批判を浴びたのがきっかけです。

有名な完全版商法の代名詞として「バンナム商法」ともいわれます。

これは現バンダイナムコエンターテインメントがテイルズシリーズにおいて、本ソフトを発売して1年後に追加要素込みのソフトを発売し始めたのが理由です。

1年という期間に感じる長さには個人差があるでしょうが、ゲーム雑誌としては数か月前には情報発信しています。

そのためゲームを買った人にしてみれば、「買ったばかりなのにもう?」「今までのプレイがムダになった」と感じる人も多いでしょう。

他にもコーエーテクモゲームスの三国無双シリーズにおける「猛将伝」なども有名です。

バンダイナムコでは会社の株主総会で「バンナム商法という言葉があるようだが」と、完全版商法に対する批判が出たこともあります。

こうしたことから特定の会社において「どうせ完全版が出るから」と、有名シリーズソフトを買い控える人も出るくらいになってます。

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リメイクとの違い

俗にいう「リメイク」との違いですが、リメイクでは以下の点で違いが出ます。

・グラフィックやシステムが完全新規
・ゲームハードを跨ぐだけで中身に違いは無し

例えばファイナルファンタジー7のリメイクや、バイオハザード2・3のリメイクでは、以前とは完全に別物のゲームといえます。

あるいは「大神」や「ゴッドオブウォー」シリーズのように、追加要素無しで別ハードに移植したものは「そのハードしか持ってない人のため」「今の世代の人に」といった要素が強いです。

こうしたものは完全版にカウントされない傾向が強いです。

微妙なのが「廉価版」という、値段を安くして販売する商法。

ぶっちゃけ年月が経てばそのゲームの旬は過ぎるので、安くして販売数を稼ぐのは特に問題ありません。

問題なのが「年内に廉価版を販売する」場合。

あまりに安売りまでの期間が短いと、定価で買ったユーザーが馬鹿を見ることになります。

廉価版を後で買う人なら文句はないですが、早期に買った人が損をするようなやり方はやめるべきかと。

現在の完全版商法

昔は特定の会社がやっていた(現在もやってる)完全版商法ですが、今でもどんな会社でもやろうと思えばやれる環境になってます。

それが「ダウンロードコンテンツ」。

家庭・ゲームハード両方にネット環境が完備されてきたため、どの会社でも後付けでコンテンツを追加できるようになりました。

ただ、これだけなら節度さえ守れば特に問題はありません。

モンスターハンターシリーズや、ゴッドイーターシリーズの「アペンド版」のように「本体(前作)を持っている人なら低価格で続編が遊べる」といった措置のように。

ただよく批判を浴びるのが「追加コンテンツ内容と金額が釣り合っていない」場合。

「新規ストーリー追加!!」と銘打って有料ダウンロードを販売して、ほんの1~2時間程度のボリュームしかない等。

個人の感覚にもよりますが、これで許せる値段は精々1000円ちょっとくらいでしょう。

しかしこれを2000円・3000円といった高値で売り出す会社も多いです。

特に元祖完全版商法のバンダイナムコなど。

本体価格が7000円~8000円で10時間以上遊べると仮定しても、1時間ちょっとで数割の値段を取るのはどう見ても暴利でしょう。

特に質の悪いのが「本編ストーリーの続編」のような要素の場合。

ゲームプレイヤーとしては「最低でもそのゲームのストーリー部分は全部プレイしたい」という人が大半でしょう。

しかしゲームの根幹のストーリーの補填を「有料」とするなら、実質「それ(追加コンテンツ)込みでの値段が完全版」といえます。

私がプレイしてきたゲームの中では「アスラズラース」が当てはまりました。

このゲームの場合、ゲーム本編を進めても半端なエンディングになり、有料ダウンロードでしか本来のエンディングまでいけません

個人的には満足できたゲームなので苦ではないですが、満足度が低いゲームなら炎上ものの騒動になるでしょう。

「新衣装」や「便利アイテム」など特に購入しなくても本編ストーリーに関係ないコンテンツなら、購入は個人の自由です。

しかし有料追加コンテンツでしかゲームが完結できないようなシステムなら、ユーザーからの搾取と見られても不思議じゃありません。

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近年稀にみる完全版商法

私がプレイしたゲームの中で特に目に余ったのは、2021年に発売された「スーパーロボット大戦30」。

30周年記念で開発・販売されたスパロボですが、これがかなりヒドイ。

簡単に言うと「追加コンテンツだけでゲームソフト2本買える値段」ということ。

厳密にいうと、

・ゲーム本体:9500円
・追加ストーリー&キャラ1(DLC1):2200円
・追加ストーリー&キャラ2(DLC2):2200円
・追加ストーリー&キャラ3(エキスパンションパック):4400円
・各作品のサウンド&設定資料(プレミアムサウンド&データパック):4400円
・追加ミッション(ボーナスミッションパック):1650円

全て揃えようと思うと総額約24300円

サウンドやミッションは別にしても、「そのゲームが備えたストーリー」を楽しもうと思うと本体併せても最低で18300円かかります。

追加ストーリーの購入だけでもゲームソフト1本買えますが、はっきりいってそこまでの価値があるかは微妙です。

本編そのものもシステムを変えたり、コストカット(?)を目指したのかかなり薄味仕様。

こうしたことから、かなり批判も集まった作品になりました。

・ストーリー性が少ない
・オリジナル要素が薄い
・各作品ごとに独立しぎみ(絡みが少ない)
・作品数は多いが、半分以上はほぼスポット参戦
・ストーリーに関係ない単独ミッションの肥大化
・やりごたえが激減
・前作の方がマシだった
・これで30周年記念作?
真のラスボスが後日配信

ゲームシステムからストーリーなどの内容まで言及したものがかなり多いです。

個人的な感想として、ストーリーの薄さがかなり気になります。

ガンダム(アムロ)・ゲッターロボ(流竜馬)といった有名どころですらほぼ「いるだけ参戦」状態。

マジンガーZでギリギリといったところ。

一番ヒドイのが「ストーリーが完結するのが発売から半年後」という点。

本編でのラスボスはいわば前座で、半年後のアップデートでようやくラスボスと戦えるというシステムになってます。

アップデートそのものは無料なのはまだマシかもしれませんが、半年という期間はかなり長いです。

とっくにクリアして放置して、真のラスボスどころかアップデートのことも知らないプレーヤーもいかねない有様。

そうでなくても、最終アップデートまでにいくつもの有料コンテンツを配信。

しかもゲーム内で「追加コンテンツのさわりだけはやらせてあげるよ」と言わんばかりに、しょぼいミッションだけはあります。

明らかに追加コンテンツの購入に誘導して、できるだけ金を絞りとろうとする魂胆が透けて見えます。

結構な作品をプレイしてきましたが、この一件でスパロボには失望しました。

「未完成品を発売して、後付けて作品を完成させてる」と見られても仕方ないでしょう。

本編のみを見たとしても微妙な出来で、プレイ回数としても今までは周回4~5回は普通だったのが、今作は2周でギブアップ。

まあ普通にプレイはできるのでクソゲー判定はありませんが、他者にはとても薦められません。

そんな作品でボリューム不足な追加コンテンツでゲームソフト1本分のお金を使うなら、別のゲームを買った方が有意義でした。

次回作(予定)の作品の切り売り」なんて批判もあったり。

流石にここまでの値段で「そこまで価値はない」と断言できるようなら、搾取目的と言う人が出ても不思議じゃありません。

こうした値段と価値が釣り合わない追加コンテンツでゲームを補填するのが現在の完全版商法といえます。

「課金ゲーム」が拍車をかけた?

多くのゲーム会社が完全版商法をし始めたのは、先ほども挙げたネット環境の配備だけではないでしょう。

一番の要因はスマホゲームなどの課金ゲームが原因だと思ってます。

要は課金ゲームの台頭で「追加で課金コンテンツを配信する」という行為の敷居が下がり、「他社がやってるならウチもやろう」という考えが普及してしまったため。

スマホゲームが世に出始めたのは2008年頃ですが、課金ゲームというジャンルではもう少し先です。

「パズル&ドラゴンズ」「モンスターストライク」といった課金システムを本格的に導入し始めたのは2012~2013年頃からになります。

課金ゲームの批判はここでは触れませんが、PS3などのコンシューマ(家庭用)ゲームでも課金が出始めたのもこの頃。

この頃でも既に追加ストーリーを有料ダウンロードする手法が出始めています。

2015年頃にもなればそんなのは当たり前になり、短時間でクリアできる追加ストーリーを2000~3000円でダウンロードするように。

それから現在に至るまでに「それが当たり前」と言わんばかりに、どんなゲームでも課金システムを導入されています。

スマホゲームのような運任せのガチャではないだけマシですが、実質的なゲーム単品の値段が1万円以上なのは当たり前になります。

価格と釣り合わないから批判が出る

長々と書いてきましたが、結局は「追加コンテンツの値段と満足度が釣り合っていない」のが全ての発端。

追加ストーリーなどのコンテンツを有料にするのはともかく、ほんの小一時間でクリアできるのに2000円は搾取と言われるのは不思議じゃありません。

余程単純なゲームでもない限り、普通にプレイしてクリアするには最低でも10時間。

RPGといった長めになるゲームなら20~30時間以上。

追加ストーリーはRPG系のゲームで出やすいので、1本のゲーム価格が8000円だとしても、1~2時間の価値は単純計算で800円ほど。

そんな単純なものではないでしょうが、これで2000円の値段になるならぼったくりと思うのも当然。

こんな有様じゃ「ストーリーを切り売りして高額で売り付けてる」「間に合わなかった部分を有料販売してる」なんて批判だって出るでしょう。

ゲーム会社も営利目的なので仕方ないところもありますが、最低限プレーヤーが満足できるようなものにしてほしいのが本音。

個人としても、長年プレイしてきた愛着のあるゲームに失望するのはキツイです。

ゲームの出来が売り上げに直結するのは当然のこと。

モンスターハンターシリーズは完全版商法としてはグレーですが、各作品は世界的な売り上げを見せています。

おまけに追加ストーリー(クエスト)を無料で配信するという太っ腹な点も。

逆に露骨な搾取と見られれば、即日でブックオフ行き・すぐにワゴンセールなんてのもザラです。

ゲーム会社の利益の面で見ても、面白いゲームを・批判が出ないやり方で販売し続けてくれるのを願っています。

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