腕立てだけで大胸筋の各部位を満遍なく鍛える方法。手の位置を変えるだけ
大胸筋を満遍なく鍛えようと思うと、バーベルなどの専用器具をイメージすると思います。
ただ始めたての人や、そこまで鍛えない・家に置き場がないなんて人もいると思います。
しかし、大胸筋は腕立て伏せだけでも満遍なく鍛えることが可能です。
その方法は「手を置く位置をかえる」だけ。
誰でも簡単にできる方法なので、筋肥大に行き詰まってきたら試してみましょう。
大胸筋は部位別に鍛える
大胸筋は大雑把に分けて5つの部位に分かれてます。
・逆三角形体形の「大胸筋・外側」
・谷間部分になる「大胸筋・内側」
・首回りとのメリハリをつける「大胸筋・上部」
・下から大胸筋を支える「大胸筋・下部」
これらの部位が集まって大胸筋というものを形づくっています。(厳密には中心部は内側に属しますが、それなりに差別化できるので別にカウント)
詳しくはこちらの記事でも書いています。
「逆三角形の身体が欲しい」「筋肉で谷間を作りたい」と思う人は、専用の器具がないと部位別に鍛えるのは難しいです。
しかしバーベルといった、ジムにあるような器具を揃えるとなると大変です。
そこで器具なしですべての部位を鍛える簡単な方法が「腕立ての際の手を置く位置を変える」ことです。
腕立ての際の手の配置
先ほど書いた通り、腕立て伏せは手の配置を変えるだけで上記のすべての大胸筋の部位を鍛えられます。
細かい解説は後述して、まずは腕立ての際に有効になる手の位置を紹介します。
上から見た図ですが、このいずれかの手の位置で腕立てをすることで、大胸筋の各部位を個別に鍛えられるようになります。
片側5カ所ほど手を置ける場所があるため、その分の差異でトレーニングの効果も大きく変わってきます。
「ひたすら腕立てしているのにムキムキにならない!」なんて人は特定の位置のみでしか腕立てしてない可能性があります。
まずは手の位置で鍛えられる大胸筋が違うというのを覚えておきましょう。
手の配置と大胸筋の部位
ではどのように手の配置を変えれば、鍛えられる大胸筋の部位を変えることができるのか詳しく解説していきます。
大胸筋・中心部 = 手をそのまま下に
腕立ての際に手を肩幅に合わせて広げると大胸筋・中心部を鍛えられます。
中心部を鍛えれば大胸筋のピーク(高さ)ができ、真ん中から盛り上がったタイプの大胸筋にすることができます。
この方法だと中心部に次いで「外側」「内側」「上部」「下部」にも負荷がかかるので、比較的バランスよく大胸筋を鍛えられます。
ただし別の部位も鍛えられるといっても集中して負荷がかかる訳ではないので、極端に変化が出ることは少ないです。
どちらかというと「ついで」といった感じが強いので、他の部位にも変化が欲しければ専用の方法で鍛えたほうがいいです。
大胸筋・外側 = 手を開く
手を肩幅より広げて腕立てをすれば大胸筋の外側(肩の付け根周辺)を鍛えられます。
大胸筋の外側の筋肉は逆三角形の身体が欲しいなら是非とも鍛えたい部位になります。
最低でも肩幅より手1~2個分くらい広げて腕立てをすれば、外側に効いてくるのが分かると思います。
広げれば広げるほど外側に効くので、限界まで広げながらするのも手です。
また外側の筋肉はかなり大きく、大抵は他の部位での腕立てよりも多く回数がこなせます。
「少し手を広げたほうが多く腕立てできる」なんて感じている人はこれが理由です。
そのため大胸筋の中でも鍛えれば鍛えるほど顕著に変化が出てくる部位でもあります。
まず見た目の変化が欲しいならこの部位を優先して鍛えてみましょう。
大胸筋・内側 = 手を狭める
手を胸の真下あたりまで狭めて腕立てすると大胸筋・内側を鍛えられます。
内側は筋肉の谷間を作るのに必要な部分で、外側に次いで見た目のインパクトを出せます。
ただし内側の筋肉はかなり少なく「他の部位よりも少ない回数しかできない」なんて人も多いと思います。
そのため内側を優先して鍛えたい人は腕立ての最初に内側のトレーニングから開始しましょう。
他の部位をやった場合でも内側にも疲労が溜まるので、いざやってみると思った以上にできなかったりします。
これでは充分な負荷が内側に与えられないので、まずは内側に充分な負荷を与えてから他の部位を鍛えるのも手です。
他の部位は内側より筋肉量が多いので最初に内側から腕立てしてもまずますの回数をこなせると思います。
ただ注意したいのが内側の腕立てでは上腕三頭筋も使うという部分です。
通常の腕立てでは大胸筋のみを使うことが多いですが、内側に限っては上腕二頭筋(力こぶ)の反対にある「上腕三頭筋」という筋肉も使います。
このため上腕三頭筋が鍛えられていないと内側に充分な負荷を与えられずにダウンしてしまうことも。
内側の腕立てを続ければ自然と同時に鍛えられますが、しっかり内側に効かせたいなら上腕三頭筋専用のトレーニングで別個に鍛えておきましょう。
できるだけ三頭筋を使わず腕立てしたいなら、腕を後ろではなく真横に曲げるよう意識して腕立てしましょう。
こうするとさほど三頭筋に負荷が行かずに腕立てできます。
大胸筋・上部 = 手を上(前方)に
手を肩より上の位置(前方部分)について腕立てすれば大胸筋・上部に負荷がかかるようになります。
イメージとしては身体でアーチを描くようにしてする腕立てになります。
上部を鍛えると鎖骨の下あたりがふっくらしてくるので、首下あたりとのメリハリをつけられます。
上部は普段はあまり使わない筋肉なので、そんなに筋肉がついていない人も多いかと思います。
そのため専用のトレーニングをしないとスムーズに筋肉をつけるのは難しいです。
上部を鍛える他の腕立て方法に、台座に足をかけてする「デクライン・プッシュアップ」がありますが、こちらの方法でも鍛えられます。
手の位置を上(前方)にすればするほど負荷も上がるため、台座などの器具を使わずに鍛えたい人にオススメです。
大胸筋・下部 = 手を下(後方)に
手を胸より後ろにして腕立てすると大胸筋・下部を鍛えられます。
コツとしては「前のめり」になりながら腕立てする感じです。
他の腕立てよりも体勢を崩しやすく、ある程度安定感を保ちながら腕立てすることになります。
ただ体勢を安定させるにはある程度手を広げるといいですが、そうすると下部の外側付近に負荷が集中するようになります。
下部を満遍なく鍛えたいなら手は肩幅に合わせた状態で維持しましょう。
あるいは下部でも内側寄せを鍛えたいなら手を狭め、逆に外側を鍛えたいなら手を広げてトレーニングすると効果があります。
注意点として、この体勢上お腹が下に落ちてエビ反りになってしまいがちです。
が、お腹を下げずに体幹をまっすぐにしてやらないと負荷がかかりにくいです。
同じく上部を鍛える方法で、台座に手を置いて高い位置で腕立てする「インクライン・プッシュアップ」があります。
しかしこの方法では負荷があまりかからず、イマイチに感じる人もいるかと。
こちらのやり方のほうが負荷がかかりやすいため、少ない回数でも筋肉痛になるくらい鍛えられます。
大胸筋を満遍なく鍛えるコツ
手の位置を変えれば鍛えられる大胸筋も変わるのは分かってもらえたと思います。
しかしそれだと、どういった具合に大胸筋を鍛えればいいのかわかりにくい人もいるかと。
そこで、目的別に鍛える手順を書いたので参考にしてください。
1回(1日)のトレーニングでバランスよく鍛えるなら
トレーニングを1日で終わらせたいなら、すべての部位に対応する腕立てをこなすのが効果的です。
そんなときは大胸筋・内側から腕立てを始めるとバランスよく「盛れ」ます。
内側や外側といっても、どれかの位置で腕立てすれば他の部位にも疲れは蓄積されていきます。
「大胸筋・内側」の部分でも書きましたが、内側部分の筋肉量はかなり少なく疲労の影響を受けやすいです。
そのため先に他の部位で腕立てすると、内側部分で「負荷は与えられてないのに、疲労は溜まってる」なんて状態になりやすいです。
全部位に満遍なく負荷を与えたいなら「最初に内側」で腕立てし、「最後に外側」の腕立てをしてみましょう。
順番の一例はこんな感じです。
2番目:大胸筋・上側(手を前に)
3番目:大胸筋・下側(手を後ろに)
4番目:大胸筋・外側(手を開く)
5番目:大胸筋・中心部(手を肩幅の位置に)
内側・上側・下側の筋肉は量が少なく、疲労の蓄積がされやすいです。
そのため最初の頃にトレーニングをして、充分な負荷を与えておきます。
外側の筋肉は対応している部分が広く、少しの疲労くらいなら問題なく腕立てできるため、キチンと負荷を与えやすいです。
ただこの方法で注意したいのが、トレーニング後半に腕立てする箇所ほど負荷が本来より少なくなっていきます。
この方法の目的は、後回しにした箇所が疲労のせいでトレーニングできないことを回避するためのものです。
充分な負荷を内側に与えるために最初に持ってきてますが、あとにする部位の腕立てほど疲労が溜まっていき、本来の回数も腕立てできなくなっていきます。
全体にキッチリ負荷を与えたいなら
大胸筋全体を満遍なく鍛えて筋肉量を増やしたいなら、別の日に別の部位を鍛えるようにしましょう。
例えば大胸筋・外側の腕立てを1日目にしたら、大胸筋・上側の腕立てを2日目にする、といった具合です。
こうして別の日ごとに鍛えるようにすれば別の部位に疲労を溜めにくいため、鍛えたい部位にしっかりと限界まで負荷を与えて鍛えられます。
ただこれだと時間がかかるため、それが嫌な人は1日に「セット」になっている部位同士で腕立てしましょう。
セットになっている部位というのは、「大胸筋・外側&内側」と「大胸筋・上部&下部」といったように正反対に位置している部位同士になります。
反対部分にあるので片方の腕立てをしても、もう一方に疲労が溜まりにくいです。
続けて腕立てしてもあまり疲労を気にせず負荷を与えられます。
刺激を与えるため順番を変える
一日にすべての箇所で腕立てしたい人は、新しい刺激を与えたりマンネリ化を防ぐため毎回別の箇所から腕立てしてみましょう。
毎回同じ部位や順番でトレーニングしていると、そこの部分だけが優先的に鍛えられて、他の部分は微妙になっていきます。
そこで毎回筋肉に刺激を与えるため次のトレーニングでは別の部位の腕立てから始めましょう。
こうすることで他の部位も鍛えられますし、筋肉の維持もしやすくなります。
トレーニングがルーチンワークと化して刺激が無くなってくると、筋肉の働きや成長も鈍くなっていきます。
筋肥大を目指すならそのあたりのことも気を付けて腕立てしてみましょう。
ローラー式プッシュアップバーを使ってみる
「器具なしで」というタイトルに反しますが、有用なので一応書いておきます。
腕立ての効率を良くできるプッシュアップバーですが、ローラーがついている「胸筋ローラー」というものもあります。
ローラー式なら腕を広げながら・狭めながら腕立てができるので、より鍛え方に幅が出ます。
ローラーで限界以上に広げたりすればかなりの負荷がかかるため、ただのプッシュアップバーではできないこともできます。
向きを変えれば大胸筋の上下・左右の全ての向きで使うことができるので、思うように腕が広がらない人は使ってみましょう。
腹筋ローラーとしても使えるので腹筋も鍛えている人にもオススメです。
値段もプッシュアップバー+腹筋ローラーくらいなので、両方揃えようとしている人はこれ一つでまとめてトレーニングできます。
トレーニングのマンネリを防ぐ
腕立てで手の位置を変えるだけでも、かなり鍛えられる部分が変化するようになります。
中心部はともかく、他の部位は胸の中心部から遠ざかるほど負荷が高まり、筋トレ効果も高くなります。
「器具を使わずに大胸筋を鍛えたい」「自分の体重のみの負荷で腕立てしたい」なんて思っている人は、是非この方法を試してみてください。