違法な電動アシスト自転車の見分け方…スピード超過で逮捕されないように
免許なしでも快適にスピードを出せる電動アシスト自転車。
最近はその辺のホームセンターでも目にするくらい一般的になりましたが、その分選ぶのにも苦労する人もいるかと。
そんな中出てきたのが法定速度を超えたスピードを出せるようなアシスト自転車。
ぱっと見では適正か違法かの判別ができないので、その見分け方を紹介していきます。
違法な電動アシスト自転車とは
前提として電動アシスト自転車は時速24キロ以上のスピードは出せないように設計されています。
それ以上のスピードが出そうになると自動的にアシストが切れ、スピードが24キロ未満になるよう制限を受けます。
これは単純にスピードを出し過ぎることによる危険を回避するため。
アシストが切れると当然ペダルも重くなるので、アシスト自転車特有の本体重量も相まって、それ以上のスピードを出すのはかなり難しいです。
しかし中にはスピード制限機能がついていない、とんでもなくスピードが出るアシスト自転車も存在します。
これは国民生活センターがYouTubeに公開した、違法なアシスト自転車を紹介した動画。
アシスト自転車は初速こそそれなりに早く出るものの、継続して運転するならママチャリのギア1~2くらいは漕ぐ必要があります。
しかし動画内ではほとんど漕がずに時速40キロにまで達しており、原付を置き去りにしてしまうほど。
この状態で事故を起こせば自分・相手問わずに大ケガを起こすのが分かるかと思います。
これ以外にも違法、あるいは安全性が保障されていない自転車もあるため、それらを含めて見分け方を紹介します。
見分けるには
アマゾンなどの通販サイトを除けば、様々なアシスト自転車で溢れかえっています。
そんな中から危ないアシスト自転車を見分ける方法がこちら。
・BAAマーク、型式認定がされていない
・停止速度変更可能と書いてある
・スロットル付きから電動への仕様変更可能
これらの、特に後半3つのどれかが当てはまると安全上危険なアシスト自転車になるので、購入の際に判定基準としましょう。
TSマーク
TSマークはその自転車が保険に入っているか否かを見分けるマークとなります。
大体ハンドル下のフレームなど、目につきやすい場所に貼られています。
TSマークは自転車点検整備士による点検済みマークであり、傷害保険・賠償責任保険加入済みの証明マークです。
2020年から自転車保険の加入が義務化となっており、店頭で購入する場合は自転車本体の金額に加えて、加入金も支払うことになります。
ただしネットショップなどの通販だとTSマークがついていない(保険未加入)の場合が多いです。
TSマークが無い状態でもし事故を起こしても保険適応外となり、入院費や賠償金などを実費で支払うことになります。
そうでなくともTSマークは1年で失効となるため、自転車安全整備店で自転車を点検してもらいましょう。
過去に自転車で事故を起こした人の中には9000万円以上の賠償が発生したケースも存在しますが、TSマークを貼って(自転車保険に入って)いればカバーできる場合もあります。
通勤など毎日自転車に乗る人は事故の可能性もそれだけ高まるため、できるだけ加入しておいた方が無難です。
加入金はTSマークの種類にもよりますが1500~2000円の1回限りなのでそこまで高くありません。
TSマークの概要については別記事に詳しくまとめてあるので、興味のある人はどうぞ。
BAAマーク・型式認定
BCAAマークはその自転車が設計上安全であることを証明するマークです。
これは型式認定という、フレーム強度やブレーキ性能など、自転車協会(国)が定めた設計基準の検査をクリアし際に貼られるマークです。
これが無いと自転車の安全が担保されていない場合があります。
検査項目は90項目以上もあり、事細かい部分まで検査されます。
例えば以下の検査項目。
・ブレーキ能力
・ブレーキ機能の耐久性
・車輪の強度
・ライトの光度
・反射板の反射能力
こうした、搭乗者・周囲の人にも配慮した設計がされているかを検査します。
BAAマークや形式認定を受けていない自転車は安全性に難がある自転車ということになります。
これが無い状態で事故を起こしても自己責任となり、製造元から損害賠償を取れない可能性があります。
…まあ別口から製造元へは罰が下りますが…。
BAAマークはハンドル下やサドル下など、目につきやすい場所に貼られることが多いので、貼ってあればすぐに確認できると思います。
ただBAAマークにも期限があり、保証期間は製造から3年間のみ有効となっています。
こちらは食品でいう賞味期限のようなもので、フレームなどの自転車そのものの寿命といった具合になります。
検査してもらっても劣化したフレームはもとに戻らないため、自転車1台1台で再発行などはされていないそうです。
停止速度の変更
この「停止速度」というのは「アシストが停止する速度」のこと。
アシスト自転車は時速24キロ以上になるとアシスト機能が停止するようになっていますが、この停止速度をが変更できるアシスト自転車が出始めています。
これができると動画のように下手なバイク並みの速度が出せるようになってしまい、非常に危険です。
本来この機能はアシスト自転車についていない機能なので、これが付いていると違法なアシスト自転車です。
道路交通法の項目に以下のような項目があります
・二十四キロメートル毎時以上の速度で自転車を走行させることとなる場合において、
原動機を用いて人の力を補う力が加わらないこと
要は「自転車で時速24キロを超える場合は、人力でなければならない」「アシスト・原動機を用いた状態では時速24キロを超えないようにしないといけない」ということです。
ロードバイクなどで凄まじいスピードを出しても取り締まられていないのはこれが理由。
アシストの停止速度の変更でアシストできる上限速度を引き上げられる自転車は違法なので、もし製品紹介にこの一文があったら絶対に買わないようにしましょう。
電動への変更
電動アシスト自転車は文字通り「アシスト」が主となっている自転車。
漕ぐ力の幾分かを補助することで、大した力で漕が無くてもスピードが出せる仕組みです。
しかし稀に「フル電動に変更可能」なんてアシスト自転車もあり、この場合は原付の免許を持っていないと乗ることはできません。
「電動自転車」「フル電動」と表記された自転車は原付の分類となり、運転するにはバイクなどと同じく二輪免許が必要になります。
…ちなみに原付は原動機付き「自転車」の略称なので、フル電動の自転車も当然範疇に入ります。
フル電動に変更可能な自転車に乗っている時点で、いくらアシスト状態で走っていても免許が無いと捕まる可能性があるので、購入の際には機能の確認をしっかり行いましょう。
もちろん歩道へと侵入することもできないので注意。
マークがない=違法?
「フル電動」や「アシスト速度変更」が違法なのは当然として、上記のTSマークやBAAマークは無いから違法(乗ってはいけない)、というわけでもありません。
TSマークは購入者次第ですが、BAAマークが無い自転車はメーカー側が認証手続きを行っていないだけの場合も。
このTSマークやBAAマークはあくまで日本国内での話なので、海外メーカーの自転車は対象外です。
ただこうしたマークがない自転車を運転して事故を起こすと、自身の過失となる判決が下る可能性が非常に高くなります。
特にアシスト自転車といったスピードの出やすい自転車での事故は被害が大きくなりやすく、その賠償の補填や明確に責任がどこにあるのかの判断材料は多いほうが良いです。
もちろん安全運転を遵守するのは当然として、不意の事故ではそういった判断が間に合わないケースも多いでしょう。
事故の原因は自分にあるのか?
それとも自転車にあるのか?
その原因を知っていて放置していたのか?
こういった点で違法性を指摘されないためにも、安全性が保障されたものを購入するようにしましょう。