肌が白くなる尋常性白斑の症状。病院・家庭でできる改善方法
ある日突然、肌が白くなったり白い斑(まらだ)が現れる「尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)」。
急に出たことにより「何かの病気?」「どんな症状や後遺症が?」と不安になる人が多いと思います。
私もこの症状が出て、外見的に非常に困ったことになりました。
同じような不安を持つ人のため、これまで調べてきたこの症状の概要や治療法を紹介したいと思います。
「尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)」とは?
症状
この症状は「肌のどこかしらが白くなる・白い斑点が出る」というものです。
別名「白なまず」ともいわれたりします。
写真は直径3cmくらいのものになります。
かの有名なマイケル・ジャクソン氏にもこの症状が出たこともあり、名称は知らなくても症状は知っている、なんて人もいるかと。
「尋常性」とは「普通・ありふれた」という意味で、名称の点ではそこまで大仰な意味を持ちません。
しかしこの「白斑」で厄介なのが、顔や腕・足といった肌のどこでも症状が出る可能性があるという点です。
もし顔に出てしまうと、人前に顔を晒せないといった多大なストレスがかかるようになります。
特に女性の場合は鬱になって引きこもってしまうほどの重症になることも大いに考えられます。
5~10cmといった広範囲で白くなることや、1~2cmといった小さい斑点がいくつも出てくることもあります。
人によってどうなるかは予測が難しいです。
この斑点は少しずつ広がっていき、最初は1cmほどでも1年後には2~3cmくらいになることが多いです。
またどこかしらで少しでもこの症状が出ると、別の場所でも白斑が出てくる可能性が高いことも挙げられます。
場所は日光が当たる顔や手・脚といった部分が多いそうですが、稀に口や鼻の中でも症状が出ることがあるそうです。
原則自然に治癒することは稀、あるいは無いといえるくらいなので、早期に治療することが推奨されています。
ただ直接命にかかわる症状ではないので、その点だけは幸いといえるでしょう。
原因
肌が白くなるのは色の元となる「メラニン色素」の減少が原因です。
尋常性白斑ではこのメラニン色素を作る「メラニン細胞」の働きが悪い、あるいは細胞自体が無くなることが原因です。
尋常性白斑になる原因は今のところはっきりしておらず、最も有力なのが「ストレスによる自律神経・免疫機能の異常」が挙げられます。
自律神経に異常をきたすとメラニン細胞が働く環境が維持できずに、メラニンの生成ができなくなってしまいます。
または人体の免疫が何らかの理由でメラニン細胞を「異物」と認識して攻撃してしまい、それが原因で細胞がメラニン色素が減少するのも要因です。
加齢による細胞の働きの減少も挙げられます。
高齢の方で白斑が肌に出てくるのはこれが理由で、ある意味自然な現象です。
しかし若年の方でこの症状が出ていると、高確率で「尋常性白斑」と診断されます。
人には移らない
この症状は他人に移ることはありません。
尋常性白斑は細菌やウィルスが原因ではなく、単純に細胞の環境や免疫細胞の誤作動が原因とされています。
そのため症状は出た本人で完全に完結しています。
空気・体液・血液といった媒体を通しても、他者に白斑が映ることはないので安心してください。
治療でメインとなる要素
治療方法の前に、尋常性白斑を治すための重要なファクターを紹介します。
これを覚えておくと、それぞれの治療法の内容もわかりやすくなります。
日光(紫外線)
理由はどうあれ、尋常性白斑はメラニン色素の減少が大きな原因です。
そのメラニン色素は日光に含まれる有害な「紫外線」を遮断するための働きがあります。
「日焼け」で肌が黒くなるのは、「肌が焼ける」のと「メラニン色素の増加」が挙げられます。
そのため日光(紫外線)に当たるとメラニン色素を増やすため、メラニン細胞が活性化しやすくなります。
ただ注意したいのが、白斑は「紫外線を防ぐメラニン色素が無い」状態です。
単純に日光浴をすると有害な紫外線をモロに浴びてしまい、最悪皮膚ガンになるリスクがあります。
皮膚ガンのリスクを可能な限り抑えつつ治療するには、特殊な医療器具が必要です。
プラセンタ
プラセンタは「胎盤」から抽出した成分のことです。
美容品として知っている人もいるかと。
胎盤は赤ちゃんが育つ子宮内に形成されるもので、赤ちゃんに対する免疫の支援をしています。
このプラセンタはメラニン細胞の働きを正常にするという効果があるとされています。
美容品での謳い文句では「シミを無くす」「肌を白くする」と、尋常性白斑の治療とは真逆の効果だと思うでしょう。
が、これは厳密には違います。
「メラニン細胞の働きを正常にする」というのは減りすぎたメラニン色素を増やすという役割も含まれます。
つまりプラセンタの効果は以下の2つ。
・メラニン色素が減りすぎた(白斑)→メラニン色素を増やす
このように肌の状態によって、真逆の効果を発揮します。
尋常性白斑の原因は「メラニン細胞の異常」です。
プラセンタの働きでメラニン細胞が正常になれば、元通りの肌に治すことが期待できます。
「人プラセンタ」が一番効果が高いですが入手が難しく、一般化粧水で特に効果が高いとされるのが「馬プラセンタ」という種類です。
大半のプラセンタ化粧品では「豚プラセンタ」が主流。
他に「植物プラセンタ」というのもあります。
その中で一番人に親和性が高いのが馬プラセンタだそうです。
そのため医療関係では「人プラセンタ」や「馬プラセンタ」がよく使用されています。
治療法
では尋常性白斑の治療法について紹介します。
一番推奨されるのは病院で受ける治療ですが、効果は低くなるかわりに家庭でもできる方法も併せて紹介していきます。
院内治療
まず病院での本格的な治療方法の紹介になります。
治療に関する専門家や設備を使うため、後述する家庭でできる治療法より完治する可能性は高くなります。
紫外線(UVB)治療
特定の種類の紫外線を白斑に照射してメラニン細胞を活性化させ、メラニン色素を増やして元通りの肌に治す方法です。
「ナローバンドUVB療法」と呼ばれる治療法です。
日光に含まれる紫外線といっても「UVA」「UVB」「UBC」の3種類の紫外線があります。
この中でもメラニン細胞を活性させるのが「UVB」という紫外線です。
しかしただの日光浴ではUVB以外の紫外線も吸収してしまい、皮膚ガンなどのリスクも増加してしまいます。
しかもUVBが日光に1%以下しかないのに比べ、UVAは5~6%も含まれます。(UVCはほぼ含まれないため除外)
このため尋常性白斑の症状が出てから日光浴をしても、リスクが高くなるばかりで恩恵は少ないです。
そこでガンのリスクが少ないUVBのみを発する医療用ライトを使い、メラニン細胞を活性化させて白斑を治療します。
照射時間は数分程度なので手軽ですが、週に2~3回は通院しないといけません。
時間的・金銭的にここがネックになる人も多いかと。
類似の治療法として「PUVA療法」というのがありますが、こちらは薬剤とUVAを併用した方法です。
しかしUVB療法に比べるとリスクが多いので、通常はUVB療法が優先されているそうです。
ステロイド薬治療
ステロイドというとスポーツなどでのドーピングでのマイナスイメージを持つかと思いますが、一般的には「軟膏」というと馴染みがあるかと。
白斑の治療では軟膏タイプか服用タイプのステロイド治療があります。
通常は肌に合ったタイプの軟膏(ステロイド)を処方してもらいます。
症状の進行が速い場合は服用するタイプのステロイドを使うこともあるそうです。
類似するもので「ビタミンD」や「タクロリムス」という成分を使った軟膏もありますが、こちらは保険適用外なので注意してください。
プラセンタ注射
メラニン細胞の働きを正常にするプラセンタを直接皮膚の下に注射する治療法です。
プラセンタは日用品では化粧品として販売されていますが、皮膚に塗っても内部まで浸透しにくいです。
直接メラニン細胞にプラセンタを注入することで、充分な効果を発揮させようということです。
ここでは馬プラセンタよりも効果のある「人プラセンタ」が使われることも多いです。(当然ですが…)
プラセンタは身体の不調にかかわること、それこそ病気や肩こりといった幅広い範囲で効果があるそうです。
白斑以外に肌の不調を抱える人ならついでに治療する、という方法も取れます。
皮膚移植
白斑における最終手段で白斑のある部位の皮膚を取り除き正常な皮膚を移植するという方法です。
この方法は「もう完全にメラニン細胞が死滅してしまい、治癒の見込みがない」と判断されたときに提案される治療法です。
よほど深刻化しなければこうした事態は少ないのですが、他の方法よりも確実性のある治療法でもあります。
皮膚移植では「正常なメラニン細胞と取り換える」ということなので、治療が成功すれば一発で根治できます。
しかし完全な外科手術なので治療費や治療時間がかかり、生活で不便なことやリスクも増えます。
よほどの事情が無い限りは、まず他の治療法を試してからでいいかと思います。
家庭療法
ここからは病院ではなく、自宅でする民間療法レベルの治療法の紹介です。
ただはっきりといっておきますが、自己責任となる部分が多いので注意してください。
個人差もかなり激しく最適な結果が出るとは限りません。
どうしても通院の時間が取れないといった事情の人が試せる方法になります。
プラセンタ化粧水
化粧品のプラセンタ化粧水を皮膚に塗るという方法です。
ただこの方法ではメラニン細胞のある皮膚の下に充分に浸透させるには不十分なのでご注意を。
肌の厚さ・角質といったプラセンタの吸収を邪魔する要素が多いため、医療用のプラセンタ注射よりも効果は落ちます。
少しでも効果を高くするなら
・深層水で水に含まれる塩素といった余計な成分を流す
と、徹底してプラセンタ液が染み込みやすい環境にする必要があります。
このとき選びたいのは「馬プラセンタ」を使ったプラセンタ化粧水です。
上記のプラセンタの紹介でも書きましたが、市販のプラセンタで一番効果が高いとされるのが馬から採れるプラセンタです。
次点ではよく使われるタイプの「豚プラセンタ」です。
植物由来のプラセンタもありますがこちらは白斑に対しては効果はないと思ってください。
購入する際はしっかり何のプラセンタが使われているか確かめましょう。
写真のプラセンタ美容液は「ハニプラ美容液」といい、ロイヤルゼリーなどが配合されているかなり高価なものです。
大抵はネットショップや通販で購入でき、安価でも5000円越えするのも特徴なので見分けの目安にどうぞ。
薬用プラセンタ石鹸
プラセンタ成分を配合した特殊な石鹸を使う方法です。
プラセンタ化粧水と違い、石鹸を使うと「角質や汚れを落とす」「同時にプラセンタ成分を浸透させる」と余計な手間をかけずに行えるのがメリットです。
しかし通常のプラセンタ石鹸では白斑を治療する目的で作られていません。
本格的な治療をしたいなら医院が販売している石鹸を購入しましょう。
ただ個人経営の医院で独自に作られているケースが多く、効果のほどはマチマチだったりします。
最低限「馬プラセンタ」を配合している石鹸を選び、かつ効果がありそうな石鹸を購入しましょう。
※ちなみに私は「漢方薬」も配合しているタイプの石鹸を使っています。
家庭用ナローバンド ※注意
「ナローバンドUVB療法」で使われるナローバンドの家庭用のものを購入して使う方法です。
特殊な携行ライトみたいな形状なので、個人でも使うことができます。
使い方は
②数分白斑にナローバンドで照射する
③これを週数回、数か月間続ける
こんな感じです。
ただナローバンド自体の購入も難しく、値段が高い(数万円)・輸入するパターンがあると、かなり敷居が高い方法です。
しかも。化粧水や石鹸といったものと違い明確に医療行為になります。
自分で自分に医療行為をするということは完全に自己責任の域に入り、症状が悪化したり別の症状が出る可能性もあります。
簡単に手を出さず、他の方法も吟味した上で判断してください。
少しでも効果を上げる方法
どの治療法を選ぶにしろ、少しでも治りやすくする方法があるので紹介します。
肌・毛穴をキレイにする
上記でも少し触れましたが、「肌や毛穴の汚れ・角質を落とす」ことは重要です。
日光(UVB)にせよ塗り薬にせよ、肌に汚れや角質がついたままだと効果がかなり減少します。
そのためUVB治療などの紫外線療法では、まず肌をキレイにしてから光を照射します。
プラセンタなどの塗るタイプの治療法でも、汚れや角質があると肌の内部に浸透していきません。
毛穴に汚れが溜まっていても同じです。
これらのことがあるため、毎回の治療はまずは「肌をキレイにして」から開始します。
角質や汚れを落とすには専用の洗顔用品を使うのが効果的です。
また徹底的にキレイにしたいなら、肌を洗った後に「精製水」を使ったりしましょう。
精製水とは蒸留・ろ過などで不純物を取り除いた、極めて少ない純水のことです。
普通に水道水で洗うと、含まれている「塩素」などの小さな成分が毛穴などに残ったりします。
このままでは邪魔になるので、含有成分が少ない精製水で塩素を溶かしこんで流せます。
余計な成分に邪魔されず治療の効果を出すことができます。
※ちなみにこれらのことをまとめてしているのが「石鹸タイプ」の治療法です。
色々面倒ならこの方法を試してみてもいいかと。
血行を良くする
血行を良くすれば細胞の代謝が良くなるので、治療の効果も出やすくなります。
代謝が良くなれば細胞内の老廃物を排出したり、新しい細胞が作られやすくなります。
そうなればメラニン細胞自体の回復や、メラニン色素を作る働きも強くなります。
お風呂から上がったあとなどは血行も良くなっています。
自宅でできる治療をするならこのタイミングでやってみましょう。
その他の方法
他にも根本的な治療とはいえませんが、短期的に白斑を誤魔化す方法や、逆転の発想的な方法もあるので紹介します。
白斑を誤魔化すメイク
白斑部分にメイクをして、普通の肌に見えるようにします。
根本的な解決法ではありませんが、治療中に他人に見られたくない場合には有効な手です。
メイク初心者だと難しいかもしれませんが、慣れれば自然な肌に見せられるので推奨されています。
ただメイクすると肌や毛穴に汚れが溜まります。
治療の前には専用のメイク落とし・洗顔用品などを使って肌をキレイにするようにしましょう。
周りの肌も漂白する
推奨される方法ではありませんが、逆転の発想で白斑のまわりの肌も白くしてしまうことです。
記事冒頭にも書きましたが、マイケル・ジャクソン氏も尋常性白斑の症状が出たことがあります。
若い頃のマイケル氏の肌は褐色でしたが、晩年では真っ白な肌だったのは印象に残っている人も多いかと。
このように全体を白くしてしまうことで、白斑を目立たなくする方法になります。
しかし肌が白い人が多い国ならいざ知らず、日本という国では肌が白いのはかなり目立ちます。
一応こんな方法もある、と覚えたおいてもらえればいいかと。
尋常性白斑は治せる症状
突然肌に白い斑点が出ると、普通の人なら精神的にもツライと思います。
しかし白斑は治療の見込みが充分ある症状なので、焦って間違った認識や治療法を試したりするのは逆効果になります。
ある程度白斑の治療の可能性を上げるには、どこかしら医師のお墨付きがあることをする・使うことが大事です。(病院での治療・専用の治療用品etc)
まずは病院などで診てもらい、しっかりとした認識や知識を持った上で治療に臨むようにしましょう。