株の収益にかかる税金と免除方法・条件…納税回避は難しい

株取引投資,,資産運用

株取引で得た収益でも、そのいくらかは税金として差っ引かれます。

その割合は約20%とかなり高く、株で稼げた金額の5分の1が税金として取られてしまいます。

ただそれだと誰も投資をしなくなるので、税金が免除・減額される方法がいくつかあります。

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税金の対象となる株の収益

まず株で税金がかかる収益とは、株の売却などで発生した純利益の部分となります。

これは「株の売却」「配当金」などから、購入・売却手数料を除いた額です。

株の純利益 = 株の収益 – ( 購入手数料 + 売却手数料 )

例えば株を10万円分購入し、その際の手数料が100円。

さらにその株が12万円で売却でき、その際の手数料が200円。

この場合、株で得られた純利益は手数料を引いた部分の19700円となり、これが課税対象となります。

12万円 -10万円 – ( 100円 + 200円 ) = 19700円

株での税金の確定申告などでは自分で計算する必要があるため、余計な税金を払わないようしっかり把握しておきましょう。

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株で発生する税金の種類と払い方

次に株の収益にかかる税金には「所得税」と「住民税」が、稼いだ額によって一定率課税されます。

これを確定申告して納めたり、あるいは控除されるわけです。

株の納税で結構出てくる「確定申告」というのは、所得税にかかる税金の納税区分です。

「確定申告不要」は所得税の納税が免除されることになります…が、住民税は別に納税義務があるので注意しましょう。

払い方には「確定申告不要」「申告分離課税」「総合課税」の3種類があり、このどれかに該当あるいは選ぶことになります。

確定申告不要

条件を満たせば確定申告が不要(所得税の免除)となります。

ただ再度の注意書きとして、確定申告不要となっても住民税は払わないといけません

確定申告不要になる(選べる)には条件があり、このどれかに該当している必要があります。

・年収2000万円以下で、株での収益が年間20万円以下
・「特定口座」で株取引をしている
・「NISA口座」で株取引をしている

株だけではありませんが、年収が2000万円以下かつ株の収益が年間20万円以下なら、確定申告は不要になります。

この計算なら月平均1万6000円までなら免除となるので指標にしましょう。

また、株取引で選んだ口座の方式によっても不要になります。

株取引ではどこかの証券会社に口座を作ることになりますが、その中で「特定口座(源泉徴収あり)」で取引すれば、確定申告が不要になります。

この口座でなら源泉徴収が自動的に行われるので、税金計算がされた状態で入金がされます。

株でよく聞くであろうNISA口座には「非課税投資枠」という制度があり、一定額までは非課税(免除)となります。

「旧NISA」「新NISA」では免税される期間や額が違うので注意。

NISAに関しては後述するので参考にどうぞ。

申告分離課税

申告分離課税は本業の収益と株の収益を別々に課税する方式となります。

分離課税では一律で所得税で15.315%、住民税で5%の課税率です。

所得税:15.315%
住民税:5%

この課税方式の一番のメリットは、本業含めたすべての収益での税金額を抑えられるようになっていること。

所得税は累進課税方式となっているため、所得額が増えるほど払う税金の税率も増えていきます

しかし申告分離課税は株取引で発生した収益のみに課税され、本業との所得額とは別に扱われるため、最終的な税額は低くなります。

本業かいくつかの副業で別にお金を稼いでいる人におすすめです。

先程、確定申告不要の項目で触れた「特定口座」はこの課税方式をするための口座でもあります。

デメリットとして他の所得との損益計算ができなくなります

あくまで「株での収益」でのみ課税するかを見るので、他の収益で赤字だとしてもトータルでの課税の相殺はできなくなります。

確定申告の手間も増えるため、そのあたりは留意しておきましょう。

総合課税

総合課税は本業と株(副業)での収益を合計した上で課税する方式です。

所得税は累進課税方式が採用されているため、稼ぎが増えるほど税率が高くなっていきます。

ただ住民税は一律10%です。

 総合収益所得税率住民税率
 195万円以下5%10%
330万円以下10%10%
695万円以下20%10%
900万円以下23%10%
1800万円以下33%10%
4000万円以下40%10%
4000万円超45%10%

一番のメリットは他の収益との損益計算ができるようになること。

これは会社勤めの人ではなく、自営業と株の両方をしている人の選択肢に上がる方法です。

本業や別の副業などで損失が発生した場合、その損失額を含めての課税となるため、間接的に株での課税税率を低くできます。

例えば本業で1000万円の収益が出ても、株でマイナス400万円の損失が出た場合、課税対象となるのは差し引きの600万円となります。

申告分離課税では1000万円に課税されてしまうので、多額の損失が出た場合にメリットが目立つ方式です。

本業+株の収益が695万円未満なら最終的な税金の額はこちらが低くなるため、本業や株などでそこまで稼げていない人におすすめです。

極端な例ですが、本業の稼ぎが1000万円でも、株で400万円の赤字となった場合は「695万円以下」の税率で計算されます。

逆に本業や株での収益のトータルが695万円を超すと一気に税金額が跳ね上がるので注意。

株取引での税金の免除方法は3つ

株で稼げた収益に対する課税方式・払い方は解説しましたが、逆に免税になるケースはあるのか?

現在、株取引で発生する税金を免除するのには以下の方法があります。

・年収2000万円以下で、株の年収20万円以下
・配偶者控除の該当者
・NISAへの加入
・新NISAへの加入

年収2000万円以下かつ、株の年収20万円以下

先程も書きましたが、株以外の収益がある場合の人は、その年収が2000万円以下かつ株の年収20万円以下なら所得税(確定申告)は免除されます。

本当に趣味・おこづかい稼ぎ程度の場合はこうなりやすいです。

ただ何度も書きますが住民税は対象外なので、こちらはしっかり納税する必要があります。

「税金の書類の用意が面倒」なんて思っている人は注意しましょう。

配偶者控除の該当者

専業主婦(主夫)などが株で稼いだ場合、一定額までなら控除として免除の対象となります。

ただこの場合、仕事をしている配偶者側(妻・夫)の年収でも免除額が変わってくるので注意。

こちらが配偶者の年収と株で稼いだ収益における控除額となります。

配偶者の年収
納税者の所得900万円以下900~950万円950~1000万円
48万円以下38万円26万円13万円
95万円以下38万円28万円13万円
100万円以下36万円24万円12万円
105万円以下31万円21万円11万円
110万円以下21万円14万円7万円
115万円以下38万円28万円13万円
120万円以下16万円11万円6万円
125万円以下11万円8万円4万円
130万円以下6万円4万円2万円
133万円以下3万円2万円1万円

基本的には、配偶者の年収が1000万円以下、株で稼いだ人の収益が133万円以下の場合に適応されます。

年収にせよ株の収益にせよ、金額が多くなるにつれて控除額は減っていきます。

まあちょっとした副業程度の稼ぎなら実質免税されるので、有効に活用していきましょう。

ただ、こちらは「納税」→「控除」の流れで結果的に免税されるパターンなので、確定申告はしないといけないので注意。

NISA・新NISAへの加入

NISA・新NISAのどちらかへ加入すれば、一定額までは免税される仕組みになっています。

株取引ではどこかの証券会社で口座を開設することになりますが、その時に「NISA口座」あるいは「新NISA口座」で開設します。

それで株での収益がトータルで一定額になるまでは免税される仕組みとなっています。

こちらは他の免税方法と違い確定申告はしなくても良いので、かなり手間が省けるようになってます。

免税の上限額がこちら。

(旧)NISA新NISA
免税上限額800万円1800万円
免税期間20年無制限
 年間投資上限額40万円120万円240万円
制度期間2042年末期限なし

「年間投資投資額」とは、1月1日~12月31日までの1年間で、その口座で投資できる上限額です。

旧NISAでは他に「一般NISA」という制度がありましたが、こちらは2023年末で終了しています。

これらの制度を利用すれば、旧NISAなら20年、新NISAなら生涯で(上限額になるまで)免税されるようになっています。

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株の税金はかなり面倒

「株で税金を払わなくて済む方法」なんて書いてきましたが、基本的に税金は払うハメになるケースがほとんどです。

いくつかのパターンで「確定申告不要」と、書類仕事が無くなる場合もありますが、それでも完全じゃありません。

大抵が控除といった減額で、納税と書類仕事からは逃げられないと思った方が良いかと。

株…というより自営業のように「自分で稼ぐ」という部類の職業の場合、自分で税金計算などをしないといけないため、かなり面倒です。

普通の社会人なら会社側が諸々を処理してくれますが、自分でイチからやるとなるとある程度税金について勉強しないといけません。

最低でも「確定申告の仕方」「株取引での税金の扱い」くらいは把握しておきましょう。

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