日経平均株価が上がっても、必ずしも景気が良いとはいえない理由
景気の良し悪しで指標にされやすい日経平均株価。
「日経平均株価が○○円突破!」なんてニュースになり、同時に「景気が良くなった」というニュースも併せて報道されることも多いです。
しかし実感として景気が良くなっていると感じる人は少ないと思います。
ではその景気の指標になる日経平均株価とは何なのか?
本当に景気に直結する要素なのか?
日経平均株価とは
まずは日経平均株価がどういうものなのか。
日経「平均株価」の名の通り、これは日本の上場企業(株式会社)の株価の平均値。
ただし、株価そのままの平均値というわけではなく、いくつかの工程を経て計算した結果の値となります。
計算方法としては「( 対象の企業群の株価 × 株価換算係数 ) ÷ 除数」で決まります。
株価換算係数は株価同士の額の高低差を少なくするため。
除数は対象とする株の入れ替え時の計算の狂いを無くすために使われます。
日経平均株価はすべての上場企業を対象にしているわけではなく、特に株の取引きが活発な景気の良い企業のみを対象にしたもの。
数も225社のみで、入れ替え時の数日間以外では、それ以上にもそれ以下の数にもならないようになっています。
前述した通り、あくまで株の動きが活発な企業が選ばれるため、必ずしも株価が高い大企業が剪定されるわけではありません。
株価が1000円未満の企業でも銘柄に選ばれることも珍しくないため、中小企業だとしても日経平均株価に影響を与えている場合もあります。
こうしたように、日経平均株価は日本の株取引が盛んな企業に注目して算出されています。
上場企業とは
上場企業とは証券取引所に株式を公開(株の売買)している会社のこと。
ただし非上場企業だからといって株式会社というわけではなく、身内のみで株式を保有する(他者が購入できない)ような株式会社が普通です。
日本国内において上場企業の数は約4000社で、株式会社という分類でなら245万社もあります。
そして「一部上場企業」なんて呼び名があり、勘違いされやすいですが、これは株式の「一部」を公開している…という意味ではありません。
この「一部」というのは証券取引所の「第1部」という区分で株式を公開していることを指します。
第1部では株の株主数・流通数・時価総額などが厳しくチェックされる分信用度などが高くなるため、株の注目度が上がったり、銀行などからの融資が受けやすくなります。
そして第2部という区分もあり、こちらも株式を公開できますが、第1部よりチェックが緩い分、信用度が少し下がるデメリットもあります。
このため「一部上場企業」の他に「二部上場企業」という企業も存在しています。
そして各部の特徴から、第一部では大企業が、第二部では中小企業が上場している場合が多いそうです。
「日経平均株価が高い=景気が良い」とは限らない
先程書いたように、日経平均株価は「株取引の盛んな会社」のみに焦点を当てて決められています。
しかしその数はたった225社のみ。
そして日本における上場企業は4000社なのに対し、企業の全体数は最低でも245万社。
つまり日経平均株価の数値は日本企業の10000分の1以下の企業をもとに決定されていることになります。
要は景気の良い企業だけピックアップして、他の企業の景気は度外視されているのが日経平均株価です。
上場企業だけが景気が良くても、そこに含まれない日本の企業の大半を占める中小企業の景気が悪ければ意味がありません。
そのため、体感として「景気が良い」とは言えない人が多いわけです。
それに極端な話ですが、大企業が下請け企業でのコストを削減すれば大企業は儲かりますが、その下請け企業の儲けは少なくなります。
不景気ではこうした構造も増えるでしょうし、その結果上位の企業の株価が上がっても全体の景気が下がる、という事態も考えられます。
そうなると日経平均株価の見かけの数値は良くなっても、全体で見てみると絶望的な状態、なんてケースの可能性も。
逆に日経平均株価が悪ければそれ以上の景気の企業は少なくなるので、「景気が悪い」という場合の指標にはなります。
こうしたことから経済トップ層で見れば景気は回復してるように見えますが、それが実際のものか、あるいは個人レベルで回復しているかは別問題といえます。