土の性質を整えられる・種まき用の土をつくれる土の調整用土。清潔な土や酸性度などを調整した土のつくり方

園芸や家庭菜園で使う土は、基本用土の「赤玉土」や植物用土の「堆肥」などでつくっていきます。

しかしそれだけだと、育てる植物によっては土の性質で微妙に足りない部分が出てきます。

今回は排水性や保水性・酸性度などを整えられ、種まきに適した土もつくれる「調整用土」の紹介をします。

調整用土とは?

調整用土の役割

記事冒頭で書いた通り、調整用土は土の性質を整えて改善する土壌改良材の役割があります。

基本用土などで土づくりをしていると、植物によっては微妙に合わなかったり、足りなかったりする土ができることもあります。

調整用土は排水性・保肥性・保水性・酸性度などの細かい土の調整ができます。

例えば固くなってしまった土を通気性や排水性を持った土にしたり、酸性に傾いてしまった土を中性に戻したりもできます。

基本用土のように大量に使わなくても土の性質を調整できるので、「もう少し排水性が欲しいなぁ」なんてときに使えます。

種まき用の清潔な土もつくれる

詳しくは後述しますが、調整用土で種まき用の清潔な土をつくれます

種まきで避けたい事態のひとつ、「種が腐ってしまう」ことは主に土が汚くカビが発生しやすいことが挙げられます。

調整用土の中には「バーミキュライト」「パーライト」といった雑菌が繁殖しにくい性質を持つものもあり、種が腐るといったことを防げます。

特に小さい種ほど腐りやすいので、種を腐らせてしまうことが多い人は調整用土を使って、種が安全に発芽できる土をつくってみましょう。

つくるのに人工的に手が加えられている

調整用土の多くは人の手によってつくられています。

別に理科室の実験のようにつくられている訳ではなく、火などを使って加熱して(焼いて)つくられています。

先ほど挙げた「清潔な土をつくれる」というのはここからも来ていて、高温で殺菌されているためカビなどの菌が繁殖しにくいです。

おまけに炭化したものは有害物質を吸着してくれたり、通気性を良くしてくれます

酸性に傾いた土を中性に戻してくれる作用もあるので、土壌改良材としても優れています。

調整用土の特性一覧

まずは市販されている調整用土別の特性についての一覧です。

用土名排水性保肥性保水性備考
バーミキュライト清潔
パーライト清潔
燻炭酸性緩和
ヤシガラ活性炭酸性緩和
草木灰酸性緩和
珪酸塩白土根腐れ防止
ぜオライト根腐れ防止
ココピート酸性促進

このように調整用土のほとんどは排水性・保肥性・保水性に優れているものばかりです。

肥料そのものとして使うには適していませんが、それらや生育の補助をしてくれるのが調整用土になります。

土の酸性度の調整をするための用土も多いため、生育に適していない土を元に戻すこともできます。

調整用土の種類

では調整用土にはどんなものがあるのか、それぞれ紹介します。

バーミキュライト

バーミキュライトは「ヒル石」という鉱石を約1000℃の高温で焼成加工したものです。

焼成加工されたあとに砕いて細かくし、土として利用しやすくしています。

高温殺菌されており、元が石なのでカビといったものが発生しにくく、種まき用の土をつくるときに使えます

石という特性上排水性に優れており、焼いた際に無数の小さい穴が空くため保肥性・保水性も持っています。

特性としては非常に軽い土です。

市販の土に散水したあとに水に浮かぶ土があると思いますが、それがバーミキュライトです。

ただその特性上、比重が重い土との併用は避けた方がいいです。

黒土や田土といった土と混ぜても、水を多くまくと浮かび上がってしまい簡単に分離してしまいます。

しかしそれを逆に利用して土の表面を覆うようにしてしまえば、水の蒸発を防ぐような使い方もできます。

パーライト

パーライトはバーミキュライトと似ており、「真珠岩」を約1000℃で焼成加工したものです。

バーミキュライトと同じく焼いた後に砕いて細かくされ、カビなどが発生しない清潔な土として利用できます。

バーミキュライトよりも重いため、大量に水を入れても土と分離しにくいです。

石の特性上排水性は持たせられますが、バーミキュライトのように穴は空いていないため保肥性・保水性は持っていないです。

簡単に土と分離せず通気性を持たせたいときに使いましょう。

燻炭

燻炭はお米のもみ殻を燻製にして炭化させたものです。

元々のもみ殻の形が残っているため、土に混ぜ込めば排水性を良くしてくれます。

炭化しているためアンモニアなどの有害物質を吸着してくれるため、異臭を抑えたりできます。

酸性の土を中和する作用もあります。

黒土や田土のように通気性が悪い土や、酸性に傾いてしまった土に混ぜ込んで使いましょう。

ヤシガラ活性炭

ヤシガラ活性炭は燻炭同様にヤシの実の殻を燻製にして炭化させたものです。

使いやすいよう砕いて細かくしてあります。

燻炭と同じような性質を持っており、排水性の改善・有害物質の吸着・酸性の中和に使えます。

燻炭との違いを挙げるなら、もみ殻の形が残っている燻炭よりも細かいため土に混ぜ込みやすいです。

草木灰

草木灰は落葉や枝を焼いて灰にしたものです。

用途としても燻炭やヤシガラ活性炭と似ており、排水性の改善・有害物質の吸着・酸性の中和になります。

しかしその2つと違ってかなり細かいため土に混ぜ込みやすく、早くに土壌改良ができます

ただ製品ごとに成分の偏りが多く、品質にバラつきが出るので使うときは注意してください。

珪酸塩白土

珪酸塩白土は「軽質多孔性高度珪化珪酸塩白土」という長~い名前の白い粘土を加熱して不純物を取り除いたものです。

秋田県の八沢木という地域でしか産出されていません。

他の調整用土同様に排水性や保肥性・保水性に富んでいます。

また多くのミネラル分を含んでいることも特徴です。

ミネラルである「アルミニウム」「マグネシウム」「鉄」「カリウム」「カルシウム」「ナトリウム」は、植物の生育に欠かせない成分ばかりです。

有害物質の吸着やミネラルを補給できるため、そういったことが原因の根腐れを防止できます。

ぜオライト

ぜオライトは「沸石」といわれる白色の天然鉱石です。

理科の実験などで「入れると沸騰しやすい」なんて石を入れたことがある人はいませんか?

その石がこのぜオライトです。(厳密には沸騰しているように見せているだけのようですが…)

保肥性が高いため、園芸では根腐れ防止で鉢の下に敷き詰めて使って余分に栄養が流れ出ないようにできます。

有害物質をよく吸着してくれるため、アクアリウムの石にも使われたりします。

ココピート

ココピートはヤシガラ(ヤシの実の繊維)を発酵させてつくられた土壌改良材です。

使いやすいよう細かく砕いてあります。

用途は植物用土の「ピートモス」と同じく、土壌を酸性にする効果があります。

ブルーベリーなど酸性の土で育つ植物の土づくりに使えます。

同じく土壌を酸性にするピートモスですが、こちらは特定の場所から採掘される土のため採掘されすぎれば無くなってしまいます

そんな中で代用と量産ができるものとしてココピートがつくられました。

ピートモス同様に軽くて使いやすく、排水性や保水性に優れています。

石灰をまき過ぎてアルカリ性になってしまった土を戻したり、ブルーベリーが育つ酸性用土をつくるのに適しています。

調整用土の使い方

では調整用土をどういった場面で使っていくのかの一例を紹介します。

特に頻繁に直面する場面を挙げていきます。

種まき用土は「バーミキュライト」と「パーライト」

種まき用土として優れているのは「バーミキュライト」と「パーライト」になります。

この2つは高熱殺菌されており、原料が石のため雑菌が繁殖しにくいです。

そのためカビなどで種が腐ってしまうことを防げます。

「栄養が足りなくなるんじゃ?」と思うでしょうが、種が芽を出すのに土に含まれる栄養の量はあまり関係ありません。

種そのものが持っている栄養分を使って発芽し、根を張っていきます。

本格的に肥料などの栄養が必要になるのは茎が伸びて葉が3つ・4つと増え始めたころです。

水だけでも発芽して根が出るので、バーミキュライトとパーライトのみでも大丈夫です。

強いていうなら水を与えすぎて種が呼吸できなくなることは避けましょう。

発芽さえしてしまえば通常の土に植え変えても大丈夫です。

それまでは種まき用の用土で発芽を待ちましょう。

燻炭なども高温殺菌されていますが、成分がアルカリ寄りなので単品では植物の生育に適していません。

あくまで植物を育てる土の土壌改良材として使いましょう。

酸性度の調整は「灰」か「ココピート」

土の酸性度を調整するなら「炭」「灰」となっているものか、「ココピート」を使います。

酸性を中和して中性にしたいなら「草木灰」を、逆に酸性に近づけたいなら「ココピート」を使います。

雨が多い日本では土の中のアルカリ分であるマグネシウムやカルシウムが流れ出てしまうため、放っておくと酸性に傾きやすいです。

ほとんどの植物は酸性の土では育たないので、草木灰といったアルカリ性の調整用土で中性に近づける必要があります。

ただし逆に撒き過ぎてしまうと今度はアルカリ性に傾いてしまうこともあるため、そういった場合か酸性にしたいときにココピートといった調整用土を使います。

ブルーベリーなどの一部の植物は酸性の土じゃないと育たないため、敢えて酸性の土を用意する必要があります。

…まあこの場合はココピートよりブルーベリー専用の土やピートモスを使うことが多いでしょうが…。

肥料を長持ちさせたいなら「珪酸塩白土」か「ゼオライト」

撒いた肥料を長持ちさせたいなら「珪酸塩白土」か「ゼオライト」を使いましょう。

基本作物の栽培では追肥をするのが当たり前になっています。

しかし良い土の条件となっている「排水性の高さ」のせいで、せっかく撒いた肥料が流れてしまうことがあります。

プランター栽培などではこの傾向が高いです。

ポットやプランターは余った水をそのまま外に排出してしまうため、肥料分も一緒に流れ出てしまいやすいです。

化学肥料などの水に溶けやすい肥料なら尚更です。

こういったことを防ぐために肥料を土に溜め込んで置ける保肥性の高い土を使うことが大切になります。

粒が細かい珪酸塩白土は土に混ぜ込み、石のゼオライトは排出口近くに敷き詰めて肥料が流れ出てしまうのを防ぎましょう。

調整用土はしっかり混ぜ込む

炭類やココピートといった調整用土を使う際にはしっかり土に混ぜ込むようにしましょう。

石灰のような化学成分は水に良く溶けるため、土の表面に撒いただけでも水に溶けて土の下まで染み込んでいきやすいです。(もちろん混ぜたほうがいいですが…)

しかし調整用土の場合は良くも悪くも水に溶けるスピードが比較的遅いです。

そのためただ土の上に撒いただけだと土の下まで染み込んでいかなかったり、土の表面だけが用土の影響を受けてしまいます。

特に炭類やココピートといった用土は土壌の酸性度を傾けるため、その部分だけ酸性度が強い・低い状態になって植物が育ちにくくなってしまいます。

そして排水性や保水性といった特性は土にしっかり混ぜ込んだ状態じゃないと効果を発揮しません。

調整用土、特に酸性度を調整する用土を使う場合はしっかり土の奥まで混ぜ込むようにして使いましょう。

最後に

以上で用土の細かい調整ができる調整用土の紹介を終わります。

大抵の調整用土は土づくりの初期に使いますが、草木灰やココピートのように栽培の最中にも使える用土もあります。

栽培している最中に「土が適していない」なんて思ったら、早期に土を調整して植物が育ちやすいようにしましょう。