宝くじに当選したら税金はかかるのか? 意外な落とし穴

その他・雑学その他

一攫千金の代名詞のひとつの宝くじですが、時々上がる「もし当選したら税金なんかを払わないといけないのか?」という疑問。

結論からいうと「税金は発生しない」ですが、特定の条件で税金を支払うハメになる場合も。

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問題なのは宝くじの当選金の使い方

先程も書いた通り、宝くじに当選しても税金で差っ引かれることはありません。

しかしその当選金をどう使うかによっては税金を支払う可能性が発生します。

高級品を買いあさったり、家や土地を買ったり、あるいはリフォームしたり。

はたまた投資をしてみたり、逆に堅実に貯金したり、と人によって千差万別でしょう。

そして「親孝行代わりに何かプレゼントしよう」なんて考える人もいるでしょう。

しかし例え家族同士であっても何かプレゼント(贈与)すると税金を支払うことになる場合もあります。

それが「贈与税」という税金。

特に大金を扱うことに慣れていない人だとこれに引っ掛かる可能性があります。

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贈与税(相続税法)とは

相続税法の一種

贈与税とは一定額以上の贈与を受けた場合、その受けた人側が払う税金のこと。

原則として年間110万円以上の金品を他者に渡すと贈与税の対象になります。

この金品というのは現金だけでなく「価値あるもの全般」という認識の方が良いです。

・現金
・物品(ブランド品等)
・建築費(リフォーム等)

厳密には「贈与税」という税区分は存在せず、「相続税法」の項目に贈与に関する税金が定められています。

相続税は亡くなった人の財産を受け取る際に発生する税です。

が、それだけだと「じゃあ死ぬ前に財産を分ければ税金払わなくていいじゃん」と考える人が当然出てきます。

それを防ぐために「生前に財産を受け取っても税金を払う」ということでこの項目があります。

これは現金・物品問わず、一定額以上の価値のあるものを他者に贈与(プレゼント)すると発生しうる税金になります。

基準となるのはその年の1月1日~12月31日のきっかり1年間の間に110万円を超えた場合

相続税は110万円までは控除されますが、それ以上の金額分に応じた税率がかかるようになっています。

ただここでも区分が分けられ、誰が誰に財産を贈与するかでかかる税率に違いが出ます

これには「一般贈与財産用」と「特例贈与財産用」の2種類あります。

一般贈与財産用の税率

まずは「兄弟間」「夫婦間」「親から子(未成年)」で贈与したい場合にかかる税率は「一般贈与財産用」の税率になります。

控除後の金額税率控除額
200万円以下10%0円
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1000万円以下40%125万円
1500万円以下45%175万円
3000万円以下50%250万円
3000万円超55%400万円

実際の計算ではこうなります。

贈与額:300万円の場合

例えば贈与額が300万円の場合に徴収される税額の計算方法がこちら。

(300万円 – 110万円) × 10% = 29万円

300万円を受け取った場合、そこから基礎控除として110万円が引かれ、残りの190万円が課税対象となります。

190万円なら200万以下の区分になり、その10%の19万円が贈与税となります。

贈与額:1000万円の場合

他の一例として贈与額が1000万円の場合はこうなります。

(1000万円 – 110万円) × 40% – 125万円 = 231万円

1000万円から基礎控除110万円を引くと、890万円で「600万円超・1000万円以下」の税率の40%に該当。

そこからさらに40%区分の控除額125万円が引かれ、トータルで231万円が贈与税となります。

特例贈与財産用

「祖父母から孫」「親から子(成人)」の場合には特例贈与財産用の税率計算が行われます。

※令和4年3月31日以前は20歳、以降は18歳で成人となります。

控除後の金額税率控除額
200万円以下10%
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1000万円以下30%90万円
1500万円以下40%190万円
3000万円以下45%265万円
4500万円以下50%415万円
4500万円超55%640万円

特例贈与財産用の税率では、より高額の贈与が発生しやすい場合のために設定されています。

そのため「一般贈与財産用」にはない「4500万円」の項目が追加されています。

「祖父母から孫」のように、特に財産を持っている人の場合はより高額になりやすいためです。

ただこちらは「子に財産を残す」というパターンのため、税率は「一般贈与財産用」と同額でも低く設定されています。

贈与額:1000万円の場合

「特例贈与財産用」での贈与額が1000万円の場合、税額の計算はこうなります。

(1000万円 – 110万円) × 30% – 90万円 = 177万円

1000万円から基礎控除110万円を引くと、890万円で「600万円超・1000万円以下」の税率の30%に該当。

そこからさらに30%区分の控除額90万円が引かれ、トータルで177万円が贈与税となります。

同額の贈与で「一般贈与財産用」が231万円だったのに対し、54万円ほど安くなります。

贈与と見なされないお金

他者に渡す金品にすべて贈与税がかかると管理が大変になり、また仕送りなどもできなくなってしまいます。

そのため贈与税には該当しないパターンもいくつかあります。

ただ、条件次第では課税対象になる場合もあるので油断は禁物です。

仕送り・生活費

親から子へ・子から親へと、生活に必要なお金を渡すだけなら課税の対象にはなりません

ただ一概に生活費といっても、個人の認識や、住んでいる場所の家賃や物価などによっても仕送りの額は変わります。

そのため明確に「これ以上の仕送りは課税対象」とはいえないようです。

安全な金額のラインは月々に10~15万円ほど。

明確に「仕送り全額使っても足りない」という場合なら、これ以上の額でも問題ありません。

このくらいの額なら使わなかった余剰金が出ても、課税対象となる年間110万円を超えにくくなります。

注意点としては仕送りのお金をそのまま保管や貯金してしまうと課税対象になりやすいです。

この場合は仕送りが本来は必要ないお金と見なされるため、純粋な「贈与」としてカウントされてしまいます。

仕送り額から月々10万円以上余る場合でも、年間では120万円で控除額(110万円)を超えるため、この場合でも注意が必要です。

逆に仕送りを生活費にあて、自分のバイト代や賃金を貯金に回すのは問題ありません

自分で生活費を工面できている状態で仕送りを受けている人は、仕送りを減らすか優先して使うようにしましょう。

養育費

子供の養育費も生活費と見なされるため贈与税はかかりません。

ただ、これは後述する学費などが該当する「教育費」とは別物なので注意。

離婚などで離れた子供に養育費を送る場合でも、生活費の仕送りとほぼ変わりません。

注意点として養育費の一括払いで年間110万円を超えると課税の対象になる可能性があります。

例えば養育費が年間200万円かかるとして、それを「1年間分の養育費を1か月でまとめて払う」といった場合。

この場合税務署からは「1月分の養育費」として見られます。

「これは1年間分の養育費だ」といっても「じゃあ2月以降は1円も払わないのか?」「養育費の名目で大金を贈与したのか?」と疑われるわけです。

こうしたイザコザを避けるためにも、養育費は月々で支払うようにしましょう。

学費・教育費

入学金といった学費や、塾などの教育費も非課税となります。

ただ無制限というわけではなく、学校関連の学費なら1500万円まで塾やピアノといった習い事なら500万円までが非課税になります。

注意としては送ったお金をすぐに使わず保管してしまうと課税対象になりえます。

要は「すぐに使わない=本当は使わない」なんて邪推されてしまうことに。

税の支払いは大抵1か月単位で計算されるので、学費などで高額なお金を送るなら、1か月以内に支払うようにしましょう。

学費として支払ってしまえば「これは必要なお金(経費)」として計算されます。

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当選金はよく考えて使おう

宝くじで高額当選してしまうと、突然の大金で金銭感覚がマヒするというのはよく聞く話です。

特に数億・数千万といった大金だと100万円単位でも少なく感じてきます。

しかし安易に大金や物品をプレゼントしてしまうと、その何割かが税金として取られてしまう可能性は高いです。

親孝行や感謝の気持ちとして多額の金品をプレゼントしたい気持ちが出るのは珍しくありませんが、せっかくの当選金を税金で取られないよう、使い方には充分に気を付けましょう。

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