アイスネッククーラーは効果ある? 28℃、24℃、19℃…違いは何?
近年冷感グッズとして注目を浴びたネッククーラー、あるいはネックリング。
色々なメーカーから販売されていますが、やはり気になるのは「28℃(19℃)で自然凍結!」なんて謳い文句。
実際どこまで効果があるのか?
そもそもどういう原理なのか?
そこのところを調査してみました。
「凍結」の原理
まずは勘違いしやすい点の訂正。
「~℃で凍結!」なんて書いてありますが実際は凍るわけではありません。
感覚としては「凝固」が一番近いかと。
このネッククーラーに使われている素材は「PCM」という、一定の温度になると液化・固体化を繰り返す物質です。
原材料は「パラフィン」という石油から生成できる物質で、ろうそくやクレヨンなどの素材にもなっています。
元々は宇宙服などに使われており、温度の急激な変化を緩和するために使われていたもの。
PCMは製造工程を変えることで凍結(凝固)する温度を変えられるので、温度が違うからといって素材が違うわけじゃありません。
PCMはこの設定した温度を境にして蓄熱・放熱する性質があり、周辺温度が下がると放熱して凝固、上がると蓄熱(吸熱)して液化を繰り返します。
凝固⇔液化を繰り返しても劣化は少ないので、カバーが破けたりするまでは数年単位で使用可能となっています。
ネッククーラーでは「周辺温度が上がると蓄熱(吸熱)」する性質を利用して、肌の温度を吸熱して冷やす、という使われ方をしています。
…逆にいうと室温などが30℃越えといった状況下だと自然凍結は見込めないので、冷蔵・冷凍して使うのが主になります。
設定温度で何が違う?
このネッククーラーで「28℃」「24℃」「19℃」と表記されている部分。
「温度が低ければおトク」なんて感じるかもしれませんが、実際には劇的な違いはほとんどありません。
先程書いた通り、この温度は自然に凍結(凝固)する温度なので、それより周囲の温度が高いと意味がありません。
そのため冷蔵・冷凍するのが基本なのですが、「設定温度が低いほど冷気が長続きする」というわけでもありませんし。
そして凝固の設定温度が28℃でも19℃でも、冷凍してしまえば結局同じような温度になりますし。
強いて挙げるなら、設定温度が低い方が、熱を吸収する(冷える)のが多少早い、でしょうか。
設定温度が低いということは熱を吸収するタイミングが早くなるため、早めに熱を吸収して冷やしてくれます。
ただその場合熱が溜まるのが早くなるため、早い時間で液化してしまうデメリットがありますが。
それに完全に冷凍庫で凍結させた場合、28℃の温度設定でも2~3時間ほどで完全に液化します。
「じゃあなんで値段が違う製品があるのか?」というと、PCM以外の製品の細かい所ににコストがかかっているから。
高めの値段の製品だと、肌触りが良かったり、中に空気がほとんど入っていなかったりと、製品としての完成度が高いです。
逆に500円といった安物だとカバーが破れやすかったり、中に空気が多く入り込んでいたりと、どこかチープさがあります。
ただPCMの冷感効果としてはさほど変わらないため、自分の好きなタイプのネッククーラーを選べるともいえます。
おすすめはやはり28℃
上記のような背景もあるせいか、ネッククーラーは圧倒的に「28℃」のものが多いです。
ネッククーラーで大事なのが「如何に早く固形化するか」と「長続きするか」という点。
PCMは固体の状態の方が吸熱しやすいため、固まった状態の方がよりひんやり感が出ます。
28℃なら自然凍結もしやすいですし、温度が高くても個体の状態を維持しやすくなります。
熱吸収の速度が速いわけじゃありませんが、その分長続きもします。
例えば「クーラーをつけてるけど、光熱費の関係でこれ以上温度を下げたくない」なんて場合。
こんな時には室温が28℃前後なので、ネッククーラーを固形化した状態で維持・使用し続けられるようになります。
冷蔵庫が無い状況でも、時間は多少かかりますが、28℃なら水に浸けておくだけでも凝固するため、対応できる範囲が広いです。
逆に19℃設定のネッククーラーだと、クーラーが効いた部屋でも熱を吸収し続けるため、早くに液化してしまいます。
「短い時間でも早くに冷やしたい」なんて場合には、19℃といった低い温度設定のネッククーラーを。
「ひんやり感を長続きさせたい」なんて場合には、28℃といった高めの温度設定のネッククーラーを使いましょう。