「化学肥料」「有機質肥料」など肥料の種類と違い。どう植物の生育に効果があるのか
肥料といっても「化学肥料」「化成肥料」「有機質肥料」「液体肥料」などがありますが、それぞれ明確な効果は違います。
肥料によって即効性や長続きする特性を持っています。
どんな状況でどんな肥料を与えればいいのか解説していきます。
化学肥料・化成肥料
化学肥料とは
化学肥料は白い粒状になっている肥料で、文字通り「化学的」に製造されています。
原材料は鉱物といったもので、成分を抽出したりして固めることで粒状にして製品をつくっています。
鉱物の類からつくられているため臭いが少ない・腐りにくいので、保管・管理が簡単にできます。
類似する肥料として「化成肥料」がありますが、成分の種類などに違いがあります。
化学肥料≒化成肥料
化学肥料と化成肥料は「ほぼ同じ」です。
化学肥料はリン酸だけ・チッソだけといった具合にひとつの成分で出来ています。
対して化成肥料は「リン酸+チッソ」などと複数の成分を混ぜ合わせてあるものを指します。
違うのはそれだけで使い方や役割は同じなので、ほぼ化学肥料=化成肥料と覚えても問題ないです。
ただ化学肥料は1種類のみなので、他にも栄養が欲しいときには別の化学肥料と組み合わせる必要があります。
化成肥料では複数の成分が配合されていますが、その分1粒の栄養は少なくなるのでかなりの量が必要になります。
化学肥料の効果と役割
化学肥料は植物に必要な栄養素を凝縮してつくられています。
そのため有機質肥料に比べ速効性があり、少量でも効果があるといった特徴があります。
花が咲く・実をつくるといった、栄養を多く必要とするときに追肥として使用します。
植物を育てるうえで重要な栄養は主に以下のものになります。
リン酸
カリウム
化成肥料・化学肥料はこういった植物の生育で大量に必要になる成分のいくつかを含んでいます。
水で溶けて土に浸透していくため使用した初日から効果があり、適量を使えば1~3週間は栄養が供給され続けます。
そのかわり土を柔らかくするといった土壌改良効果はほぼありません。
純粋に短い時間で多くの栄養を供給したいときに使いましょう。
有機質肥料
有機質肥料とは
有機質肥料は油かす・米ぬか・家畜フンといった動植物由来のものからつくられています。
微生物に分解・発酵させることによって細かく土状にしていくため、発酵しやすいよう温度管理や適時かき混ぜたりしてつくられます。
家庭でつくれる「生ゴミ堆肥」も有機質肥料に分類されます。
微生物の分解に頼るため、化学肥料よりもつくるのに時間がかかります。
動植物由来のものが材料なので臭いがするものが多いです。
特に家畜ふんの肥料は臭いが強くハエといった虫もよく集まってくるので、ブルーシートで覆うなど出来るだけ隔離できる管理の仕方をしましょう。
しかし「発酵~」「完熟~」となっているものはすでに発酵しきっているので、発酵過程でで出る臭いなどが少ないです。
発酵有機肥料は栄養が土に染み込むスピードも速いので、そういったところが気になる人は「発酵」や「完熟」と書かれた肥料を使いましょう。
有機質肥料の効果と役割
有機質肥料は植物を育てるベースになる土をつくるのに使われます。
有機質肥料は微生物に分解されて初めて栄養が出てきます。
そのため速効性はありませんが、長い期間に渡って栄養が供給され続けます。
使う肥料の種類にもよりますが含まれる栄養も多く、
リン酸
カリウム
マグネシウム
マンガン
石灰
炭素
ケイ酸
こういった多くの栄養を含んでいるため、どんな植物でも育つような土にすることができます。
微生物の働きにより土が柔らかくなる・排水性が上がるなどの効果があるため、植物の生育に適した土にする高い土壌改良効果もあります。
ただ微生物の働きに頼るため、化学肥料のような速効性は期待できません。
効果が出るのに2~3週間くらいかかるので、大抵はシーズン前にあらかじめ土に混ぜ込んでおいて栽培を始めます。
追肥としての即効性は無いので、効き始める時間を考慮して使いましょう。
液体肥料
液体肥料とは
液体肥料は通称「液肥」といわれています。
液肥は化学肥料や有機質肥料の栄養を水に溶かしてつくられます。
液体状なので水耕栽培といった土を使えない栽培方法で栄養を補給したいときに便利です。
濃度の濃い原液タイプと、水で100~1000倍に薄めた希釈タイプがあります。
また自作の液肥では油かすを使った液肥がよく知られています。
液体肥料の効果と役割
栄養を水に溶かしてあるため根に吸収されやすく、化学肥料より速効性は高いです。
水耕栽培をするときは土や肥料を使えないので液肥をメインで使うことになります。
ただ注意したいのが原液タイプの液肥はしっかりと薄めて使うということ。
原液のまま使うと濃度が高すぎるため、栄養多寡などで根を痛めてしまうことが多いです。
もし濃いまま使ってしまったら散水して薄めるか、そのまま流してしまいましょう。
土に刺して使うタイプの液肥はあらかじめ薄めてあるため、そのまま問題なく使えます。
中には微生物を含んだものもあり、その働きにより土を柔らかくしたり有機物の分解を早めたりする効果などを持っています。
ただ液体なのですぐ流れてしまうため、持続性は他の肥料と比べてほどんどないので注意しましょう。
肥料を扱った経験が少ない人は
肥料も与えすぎるとかえって植物の生育を邪魔してしまうことがあります。
化成肥料なら栄養多寡で、家畜ふんの肥料は使う量などを間違えると臭いや虫が湧き、土をダメにしかねません。
・追肥は調整がしやすい液肥
あまり経験の無い人は、こうしたものを使えば失敗しにくくなります。
使い方を間違えなければより植物を育ててくれるので、使用法を覚えて使いましょう。