古い土を使うと野菜が枯れる? 前年に使った・放置してある土を再利用できるようにする方法
何年も園芸をしている人で2年目以降に同じ場所で野菜や花を育てていると育ちが悪かったりしませんか?
「土がもったいない」からといって、同じ土を使っても「実や花のつきが悪い」「なんか元気がない」とった状態になりやすいです。
しかし大量の土が出てもその処理に困るのも事実です。
そこで古い土を使うことによるデメリットと、また使える土にする方法を紹介します。
なぜ同じ(古い)土を使ってはダメなのか
想像しやすい「栄養が足りない」といった原因もありますが、それ以外にも古い土をそのまま使ってはいけない理由があります。
もし堆肥などを混ぜ込んでいても改善されない場合、それ以外の理由の可能性が高いです。
古い土には栄養がない
当然ですが以前にその土で作物や花を育てていると、その際に栄養を殆ど使われてしまい痩せた土になってしまっています。
これでは植物は充分に育つことができません。
小さな花などはなんとか育つかもしれませんが、作物などを育てる場合は致命的に栄養が足りない状態です。
畑や花壇などは土が多いので少しは栄養が残っている場合がありますが、プランターなどは殆ど栄養を持っていかれてます。
広大な面積と大量の土を使っている農家でさえ、毎年初めに牛フンといった栄養分を大量に含んでいる堆肥を土に混ぜ込んでいます。
農家でさえこれなのですから、家庭菜園でも同じように栄養が足りなくなるのは当然といえます。
土の酸性度が偏ってる
長い間放置された土は酸性に偏ってしまっていることが多いです。
別の記事でも紹介しましたが、土には酸性度(pH値)があります。
これが育てる植物に適切な値でないと、根つきが悪くなったりと生育に悪影響が出ます。
特に日本は酸性の土壌になりやすいです。
これは日本は雨が多いため、土壌のアルカリ分を押し流してしまうため酸性に傾きやすいためです。
何年も雨にさらしている土だと酸性に偏っている場合があります。
特にプランターでは土の量が少なく、流れ出る水の量も多いため気が付かない間に酸性になっていることが多いです。
pH5.0前後と、かなりの酸性に偏っていたプランターの土もありました。
ほどんどの植物はpH6.0~7.0の中性に近い酸性度が生育に適しているので、それに近いpH値の土に戻す必要があります。
土で病原菌が繁殖している
同じ土で以前と同じ作物などを育てると病気にかかりやすくなります。
どんな作物でも栽培している間にその作物に寄生して繁殖する病原菌などが増えていきます。
これは同じ作物を同じ土で育てる「連作」をした場合に起こりやすいです。
植物につく病原菌は「その植物でしか繁殖できない」といった特徴を持っていることが多いです。
そのため同じ植物を続けて育てようとすると、前に繁殖した病原菌がまたその植物で繁殖してしまいます。
同じ畑などで特定の作物が枯れやすい場合、その作物専用の病原菌が繁殖している可能性があります。
面倒なのが病原菌は何らかの対処をしない限り翌年も生存していることが多いという点です。
肥料の量やpH値は適正なのに、育てている作物・花の葉や茎が変色したりすると病原菌にやられていることも視野に入れてください。
これは畑・プランターに関係なく起きるので注意しましょう。
対処法
土を全部変えてしまう
土そのものを入れ替えてしまえば栄養不足・酸性度・病原菌のほとんどは解決できます。
これはどのパターンでも対応できる方法です。
もちろん新しく入れ替える土は、新しく購入した土や対策をした土でないといけませんが。
原因別にいちいち対応したくない・不安要素を残したくないならこの方法が一番確実です。
あまり大きくないプランターで育てているならこの方法が一番手間がかからないです。
土壌改良材・追肥をする
古い土をある程度再利用したいなら土に栄養を補給できる土壌改良材を使いましょう。
こうすれば育ててる最中に栄養がなくなる、なんて事態はある程度防げます。
肥料を多く含んだ土や土壌改良材を使う場合には作物を植える2週間前には土に混ぜ込むようにしましょう。
土の栄養というのは土に含まれる有機物が微生物に分解されて初めてつくられるものが多いです。
そのため土に栄養が染み込むように微生物に分解してもらう期間をつくりましょう。
しかし土の総量が少ないプランター栽培では、土の量に比例して栄養も少なくなります。
それに対応するために、実や花ができる1~2週間前には追肥をして栄養を補充しましょう。
石灰質の資材を使う
土が酸性になっている場合にはアルカリ性の石灰資材などで中和する必要があります。
「酸性雨で枯れた森に石灰を撒いた」のと同じ原理です。
これで土を中性に近づけられます。
しかし石灰というと効果は高い反面、手がかぶれたりと扱いが面倒な特性があります。
石灰というのに抵抗があるなら「草木灰」を使いましょう。
草木灰は草木を焼いてできた灰のことで、灰もアルカリ性なので酸性を中和できます。
石灰よりは身近なものが原料なので扱う不安は少なくなるでしょう。
ただ使いすぎに注意してください。
植物は土がアルカリ性に偏り過ぎても育たなくなります。
「石灰などを使い過ぎて、中性を通り越してアルカリ性になった」ということも起こります。
特に草木灰は焼いた材料によってアルカリ性分に違いが出るので、土にまく適量も違ってきたりします。
土壌酸度計を使って、今どれくらいの酸性度なのか常に把握しておきましょう。
日干しで殺菌
土の中にいる病原菌を取り除く方法で一番簡単なの方法は「日光」と「野ざらし」です。
これは季節別で方法が違うので、簡単に説明します。
夏場は日光
夏場の熱い時期は日光を使って消毒・殺菌しましょう。
大抵の病原菌は40~50℃の温度で死滅するため、そういった環境にするための一工夫をします。
畑の場合は
②20~30日ほど放置
プランターの場合は
②袋の口を縛って密閉する
③20~30日ほど放置
あらかじめ土に米ぬかを混ぜて行うと、微生物の働きで病原菌のエサが少なくなり、より殺菌しやすくなります。
冬場は野ざらし
冬場の寒い時期は土を冷やして殺菌しましょう。
病原菌は寒くなっても死滅、あるいは繁殖しなくなります。
そのため冬場の寒い時期は、土を掘り起こして冷えやすい状態にして放置すれば殺菌してくれます。
プランターなら土を入れたままでも中まで冷えやすいので、日陰に置くなどしてより冷えるようにしましょう。
冬場は日が出ても高温になりずらいので、寒さを利用した殺菌方法を取りましょう。
最後に
残った土をそのまま使うと思わぬ弊害が出たりすることが多いです。
しかし捨ててしまうのももったいないし、処理するのも手間です。
毎年たくさん作物や花を育てていると土代も馬鹿にならないものです。
これらの方法で土を再利用できるようにすれば土の処理の手間やコストも減るため、毎年作物を栽培している人は積極的に土を再生させましょう。