「鉄」と「ヘム鉄」サプリメント、どちらが貧血に効果があるのか

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薬局などで健康サプリメントを見ていると、名称が似通ったサプリメントが時々あります。

そんな中「貧血には鉄分」というように、当然鉄分のサプリメントもあります。

しかしただ単純に「鉄」というサプリメントと、「ヘム鉄」というサプリメントがあるのを発見。

どちらも「鉄」とついていて「貧血に効く」なんて書かれていますが、どう違いがあるのか?

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鉄分の使われ方

まず前提として「鉄分は体内で何に使われているか?」という点。

実は鉄分の使われ方は少なく、大雑把に2つのパターンしかありません。

・赤血球のヘモグロビン
・筋肉のミオグロビン

赤血球のヘモグロビンに鉄分が使われているのはよく知られていますが、他にも筋肉組織にも使われています。

筋肉内のミオグロビンは赤血球から酸素を効率よく受け取る役割があります。

運動すると酸素を急激に消費するため、その主要な消費器官である筋肉は大量の酸素を必要とします。

そのため筋肉側にも酸素を受け取る役割を持つ物が必要で、それがミオグロビンとなります。

ちなみにミオグロビンの「効率よく受け取る」という機能上、赤血球のヘモグロビンよりも酸素の吸着能力は上だったりします。

基本的に鉄分はこの「ヘモグロビン」「ミオグロビン」の2つの成分に使われています。

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2種類の鉄分

一概に鉄分といっても、実際には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類に区分されます。

…といっても特殊なのは「ヘム鉄」の方で、「非ヘム鉄」は「ただの鉄分」となります。

要は鉄分という枠の中の一部に「ヘム鉄」があり、それ以外が「非ヘム鉄」に分けられています。

ヘム鉄とは

ヘム鉄は「吸収効率の良い鉄分」と紹介されることが多いですが、少し調べると「赤血球を作りやすい鉄」という一面もあります。

ヘム鉄は普通の鉄とは違って、鉄に「ポルフィリン」という化合物が結合した状態です。

この鉄とポルフィリンが赤血球(ヘモグロビン)を作るのに適した成分。

ヘモグロビンを作るには鉄分の他にもこのポルフィリンが必要で、体内で鉄分とポルフィリンを合成して作られます。

ヘム鉄はその「鉄とポルフィリンを合成する」という工程を省いているため、早くにヘモグロビンを合成できるようになってます。

それが「貧血に効く」なんて書かれる理由になります。

ただの鉄サプリより値段が少し高めなのは、赤血球を生成する効率の良さも一因でしょう。

ちなみにヘム鉄は動物性の食品に含まれる鉄分です。

貧血を治す目的ならレバーといった赤身肉や、あさりや赤身魚といった魚介類を食べましょう。

ただの「鉄」サプリは効かない?

ヘム鉄でない鉄分は「非ヘム鉄」と呼ばれ、ヘム鉄よりも吸収効率が低い鉄分に分類されます。

ただ、ヘム鉄の方が貧血に効くのは上記の通りですが、だからといって普通の鉄サプリが劣っているというわけではありません。

ヘモグロビンとミオグロビンの両方を満遍なく補うなら、普通の鉄サプリの方が効率が良いです。

最初に書いた通り、人体において鉄分は筋肉にあるミオグロビンにも使われています。

そのためヘモグロビンの生成に比重が偏っているヘム鉄だけだと、ミオグロビンの生成効率が悪くなります。

ただの鉄分なら両方に分割されて利用されるので、どちらかが過剰でどちらかが不足する、なんてことも少ないです。

鉄サプリの方がヘム鉄よりも値段が安く、鉄分の配合量も上なのでコスパも良いです。

こうしたことからトレーニングが趣味の人だと「体内に酸素を供給する(ヘモグロビン)」「筋肉に酸素を吸収させる(ミオグロビン)」ために、ただの鉄サプリの方が有効な場面も多いです。

ただ非ヘム鉄はそのまま摂取しても吸収効率が低いので、ビタミンCやクエン酸を同時に摂取することで吸収効率が良くなります

鉄サプリを飲んで効果が実感できない人は、これらの栄養素も摂るよう意識してみましょう。

非ヘム鉄はヘム鉄とは逆に野菜類の鉄分が該当します。

ほうれん草や小松菜といった、いわるゆ「鉄分が多い野菜」の鉄分は非ヘム鉄なので、ビタミンCなどは忘れないように摂取しましょう。

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鉄の摂り過ぎは要注意!

どんな鉄分であれ、摂取した全てがすぐに利用されるわけではありません。

余った鉄分は肝臓や骨髄に貯蔵され、体内の鉄が不足するとそこから補給するようになっています。

鉄分はビタミンなどと違って尿などで排出もされにくいので、摂取した分だけ体内に溜まり続けます。

鉄分に限りませんが、こういったサプリメントで摂取できる栄養素だと摂取しすぎで悪影響が出ることも。

鉄分の場合なら、軽いものなら胃や腸の調子が悪くなったり、便秘になったり。

しかし過剰摂取しすぎると肝臓に悪影響が出始めます。

最悪「慢性肝炎」を始めとした「肝硬変」「肝臓がん」の引き金になる場合も。

肝臓には痛みを感じる神経が通っていないので、気が付いたらかなり悪化してるケースもあります。

1日の鉄分の摂取量の目安は、男性が8.0mg、女性が7.0mgとなっています。

しかし生理中の女性だと鉄分が余計に消費されるため、10.0mgあたりが基準値となります。

サプリ1粒で補えてしまいますが、日々の食事からも当然鉄分は摂取されています。

例えばごはん1杯で1.2mgと、毎日三食の主食だけで基準の半分近い摂取量になります。

そのため、自覚症状のある貧血でもない限りはサプリを毎日飲むのは控えた方が良いでしょう。

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