プランターや植木鉢でも簡単に栽培・収穫できる果物の種類。ベランダ栽培でフルーツ収穫
ホームセンターなどで多くの種類の果物の苗が販売されていますが、「地面に植えないと育たない」なんて思って栽培するのに躊躇している人もいるかと思います。
多くの果物は地面に植えた方が大きく育ちやすいため収穫も見込めますが、中にはプランターや植木鉢といったものでもしっかり収穫できる果物もあります。
今回はベランダでも手軽に育てられる果物の紹介をしていきます。
ブルーベリー
特徴
メジャーな果物のブルーベリーですが、植木鉢でも問題なく育てられます。
ただ一口にブルーベリーといっても、ホームセンターなどで大量の種類が販売されていると思います。
大雑把には「ハイブッシュ」と「ラビットアイ」という種類のブルーベリーがあり、初めてブルーベリーを栽培する人にオススメしたいのが「ラビットアイ」の種類のブルーベリーです。
「ラビットアイ」の種類のブルーベリーは小粒の実なので、土や栄養が少なくなりがちな植木鉢などでも多くの実をつけやすいです。
ブルーベリーの樹も1mくらいの大きさで維持しても問題ないので、初めての人でも育てやすいです。
またラビットアイ系のブルーベリーは栽培可能な酸性度の範囲がハイブッシュ系よりも少し広いので、多少成分がズレても育ってくれやすいです。
逆に「ハイブッシュ」の種類のブルーベリーでは「実が大きい」という特徴がありますが、その分実をつけるのに栄養が必要になります。
そのため土の量が少ない=栄養が少ないと、栽培に慣れていないとまともに実をつけてくれないことがあります。
「ラビットアイ」で慣れてきてもの足りなくなったら「ハイブッシュ」のブルーベリーにも手を出してみましょう。
注意点
専用の土を使う
ブルーベリーは酸性の土でしか育ちません。
大抵の植物は中性に近いpH6~7あたりの酸性度で育ちまが、ブルーベリーはそれよりかなり低いpH5前後でしか育ちません。
pHが1違うだけで濃度は10倍ほど違いが出るので、自然と調整されることはまずないです。
そのためその辺の土を代用してもブルーベリーはまともに育たず、実をつけないどころか最悪枯れてしまいます。
もし土を再利用するなら「ピートモス」で酸性度を高くするか、専用の土「ブルーベリーの土」を使うようにしましょう。
最低2本必要
ブルーベリーの実を多く収穫したいなら同じ品種のブルーベリーの木を最低2本栽培しましょう。
ブルーベリーは一本のみで受粉してもあまり実がならない特徴を持ってます。
そのため同じ系統で品種が違うブルーベリー同士を受粉させる必要があります。
例えばラビットアイ系のブルーベリーなら「ラビットアイ ○○」というブルーベリーと、「ラビットアイ △△」というブルーベリーを栽培するといった具合です。
そしてできるだけ近くで栽培したほうが受粉率も高くなります。
別品種の2本セットで販売されていることも多いので、不安ならそちらを購入してみましょう。
オマケ:種から栽培しても同品質にならない
そんなにいないと思いますが、ブルーベリーの種を採取して種から栽培しても、同じ味のブルーベリーにはなりにくいそうです。
どうも果樹の一部には果実の味などが遺伝しない種類があるそうで、ブルーベリーもその一種になります。
こうした特性のせいで次世代に果実の味や大きさとったものが受け継がれず、同品質のものが期待できません。
劣化する可能性も高いため、親樹のブルーベリーと同じものを育てたいなら「刺し木」するのが一般的です。
逆にいうと良いものが生まれる可能性もあるため、この特性を生かして品種を増やしてもいます。
ホームセンターなどで名前が違うブルーベリーの樹が種多様にあるのはこれが理由です。
まあ自宅で栽培するには不向きなので、もし同品質のブルーベリーの樹を増やしたいなら「挿し木」を使いましょう。
ラズベリー
特徴
苗としては少々馴染みが少ないでしょうが、初めての果樹栽培でもかなり失敗しにくいのがラズベリーだと思います。
理由としては「平均的な土でも育つ」ことと「繁殖力が強い」ことが挙げられます。
ラズベリーはかなり極端な性質の土(酸性度が偏り過ぎてる・栄養が少なすぎるetc)でもなければ、安定して育ってくれます。
そのため放置していてもいつの間にか実をつけてることが多いです。
そしてラズベリーはタケノコのように地下茎から上に新しい苗が生えてくる性質があるため、ある程度育ってくるとどんどん新しい茎が生えてきます。
新しい茎が増えればその分実の量も増えるので、苗を植えてから1~2年目でも数十個の実をつけるようになります。
実自体も小さめ(2cm)くらいなので収穫しやすく、果物栽培が苦手な人でも成功しやすい果物です。
またラズベリーで多く収穫を楽しみたいなら「2季性」のラズベリーを栽培しましょう。
「2季性」のラズベリーなら春・秋の季節で実をつけてくれます。
より多く実を食べたいならこのタイプのラズベリーを選ぶようにしましょう。
注意点
植木鉢より長いプランターのほうがいい
ラズベリーを多く収穫したいなら、植木鉢より長めのプランターで栽培するようにしましょう。
理由は上記の「繁殖力が強い」の部分で触れた通り、地下茎を通して新しい茎が生えてくる点です。
新しい茎は地下茎が広がっているほどよく生えてくるので、面積が広めになるプランターの方が繁殖しやすいです。
収穫は早めに
ラズべりーは熟すのが早いので、赤くなったら早めに収穫しましょう。
ラズベリーが熟すと鮮やかな赤色になりますが、2~3日放置するだけで熟しすぎて紫がかった色になっていきます。
熟しすぎると柔らかくなりすぎるので収穫の際に潰れやすくなってしまいます。
収穫できる時期も梅雨といった雨季と重なることが多いため、放っておくと落ちたりすることが多くなります。
食べられるくらいに熟したと思ったら、早めに収穫してしまいましょう。
ただ一個一個チマチマ採って食べるのだと色々アレなので、私の場合は少数しか取れなかったら冷凍保存してます。
冷凍しても問題なく食べられ、むしろ味が増したりするので結構多用してます。
ストロベリー(イチゴ)
特徴
イチゴも代表的な果物になり、食べたい人も多いと思います。
地植えにしなくても充分根が張れる量の土があればプランターなどでもしっかり実をつけてくれます。
ただ一株だけだと10個取れるか取れないかくらいの量しか実が生らないので、もっと量が欲しい人は数株同時に栽培するようにしましょう。
イチゴ栽培専用の積み上げ式のプランターもあるので、あまり場所を取らずに大量のイチゴを栽培してみたい人は使ってみましょう。
注意点
追肥
イチゴの実は数cmとかなり大粒なためかなりの栄養が必要になります。
そのため栄養が足りないとほとんど実がならないため、実が生る時期にはしっかり追肥する必要があります。
使い古した土ではまともに実をつけてくれないため、再利用するなら土壌改良をしっかりやってから使用しましょう。
実が地面につかないようにする
イチゴを栽培しているときに一番注意したいのが、育った実を地面(土)につけないように管理することです。
イチゴの実が地面につくとそこから虫が登ってきて実を食べてしまいます。
1日放置しただけで実が虫食いだらけになる、なんてのも珍しくありません。
そうでなくてもカビの原因になったりと腐ってしまう原因になります。
イチゴは甘くずっしりした実になりやすい分、こういった被害にあうことが多いので特に気をつけましょう。
こうしたことを防ぐにはワラなど敷いて直接地面に触れるのを防ぐ、あるいはイチゴの実がプランターの外にぶら下がるように苗を植えるといった工夫が必要になります。
毎年苗を新調する
毎年良質のイチゴを収穫したいなら、新しい苗に変えましょう。
イチゴの苗をある程度育てると新しい苗となる「ランナー」が伸びてきます。
このランナーを大きく育てて翌年用の新しい苗になるため、翌年はこの苗をメインに栽培していくことになります。
元となった苗からもイチゴは採れなくもないですが、何年も栽培していても劣化していき収穫量も減っていきます。
ランナーはひとつの苗から数本出てくるので新しい苗候補には困らないと思います。
何本か新しい苗をキープしておいて、翌年に改めて栽培するようにしましょう。
ワイルドストロベリー
特徴
ワイルドストロベリーもイチゴの一種で、「野イチゴ」のことです。
ホームセンターなどでは果物コーナーではなく、ハーブ系といったコーナーに置かれていることが多いです。
普通のイチゴに比べて遥かに小さいですが、その分イチゴより育てやすいです。
普通のイチゴより小さいプランターでも実をつけてくれますし、実が軽いため地面につくといったこともありません。
そのためさほど虫食いの心配をしなくても収穫しやすいです。
おまけに「野」イチゴとつく通り、繁殖力がかなり強いです。
庭先に一株植えておくと、翌年には10株以上に増えていたりします。
普通のイチゴより管理がしやすいのがワイルドストロベリーの長所といえます。
注意点
実が小さい
収穫できる実はかなり小さくなります。
普通のイチゴが3~4cmくらいの大きさに比べ、ワイルドストロベリーは1cmくらいしかありません。
そのため普通のイチゴ1個分の量を食べようと思うと、ワイルドストロベリー5~6個は必要になります。
「採れればいいな~」なんて趣味レベルで育てるならともかく、本格的に食べたいなら一度に10株くらい栽培したほうがいいです。
サクランボ
特徴
サクランボというと大きな木になりそうな果物ですが、鉢植えでもしっかりと実をつけてくれます。
サクランボひとつひとつは2cmくらいと小さめなので、そこまで土の量がなくても実をつけてくれやすいです。
我が家のサクランボは鉢植えで1mくらいの樹高ですが、植えてから1年経った年で10個以上サクランボが採れました。
大きめの鉢植えに植えればその分採れる量も増えていくので、たくさん採りたいなら可能な限り大きめの鉢植えを選んで植えましょう。
注意点
スズメ(鳥)に注意
サクランボだけに限りませんが、スズメなどに食べられないよう木に網などをかけて鳥がサクランボに近づけないようにしましょう。
スズメは小柄なので、少し頑丈な枝があるとそこに乗ってサクランボをついばむことができます
サクランボの実が生り始めたら早めに防鳥対策をするようにしましょう。
追肥
サクランボの実を多くつけてほしいなら、追肥をしっかりするようにしましょう。
サクランボは「木の幹本体を大きくする」栄養と「実をつける」栄養が多く必要になります。
そのため実をつけ始める時期になったら追肥をしないとなかなか実をつけてくれないので注意しましょう。
ミニキウイ
特徴
ミニキウイは名前の通りキウイを小さく品種改良した果物で、「ベビーキウイ」と呼ばれることも。
本来のキウイは本格的に収穫しようと思うと、地面に植えてツタを絡ませる支柱を用意したりと、栽培の手間が結構あります。
しかしミニキウイはキウイより小さい実を付けるため、鉢植えでもしっかりと実をつけてくれますし、そこまで大規模な準備も必要ありません。
おまけに皮ごと食べられるため、皮を剥かずにキウイを丸ごと味わうことができます。
「キウイを栽培したいけど、準備がメンドウ」なんて人は、このミニキウイの栽培にチャレンジしてみましょう。
注意点
キウイ同様「オス」と「メス」が必要
普通のキウイ同様、ミニキウイも「オス」と「メス」の苗が必要になります。
キウイは単体では実をつけることができないため、実をつける「雌花の苗」と、受粉用の「雄花の苗」が必要になります。
実をしっかりつけるかどうか一番大事なことなので、忘れないようしっかり覚えておきましょう。
なお力を入れて栽培したいのは「メス」のキウイになります。
実を付けるための栄養や、ツタを絡ませる支柱の設置など、しっかり実をつけてくれるよう準備しましょう。
「オス」の苗は、はっきりいうとあまり注力しなくても大丈夫だったりします。
花をつけるだけならそこまで栄養は必要じゃありませんし、最悪数個の花でも受粉さえできればOKなわけですし。(もちろん多いに越したことはないですが…)
苗をそこまで大きく育てる必要もないですし、邪魔にならない程度に育てればいいと思います。
中には1本でしっかり受粉してくれるミニキウイもあります。
購入の際には1本でも受粉できる品種かどうか確かめてみましょう。
またオス・メスセットで販売されている場合2本が一緒の鉢に植えられていることがありますが、しっかり別々の鉢に植え変えるようにしましょう。
そうしないと栄養の取り合いで、両方まともに育たなくなってしまいます。
やっぱり小さい
ワイルドストロベリー同様に本来より実が小さくなるため、量も少なくなります。
皮ごと食べられたりと手間は減りますが、やはり本格的に味わいたいなら多くの実をつけてもらう必要があります。
そのため鉢植えで育てられるとはいえ、しっかりと追肥をして栄養不足にならないようにしましょう。
ミニリンゴ
特徴
ミニリンゴは5cmくらいの小さなリンゴで「アルプス乙女」が有名な品種になります。
普通のリンゴに比べかなり小さいのでプランター栽培でも実をつけてくれます。
かなりの土と栄養は必要になりますが、数十個のミニリンゴが鈴なりになることもあります。
実が小さい分熟すのも早いので、実が生ってからできるだけ早く食べてみたいという人にもおすすめです。
注意点
摘果は必要
ミニリンゴはミニとついている果物の中でもかなり大きい部類に入るため、安定して収穫したいなら摘果(実を選定して減らす)は必要になります。
地植えならさほど問題ありませんが、プランター栽培だと20号とかなり大きいサイズでないと収穫量は増えません。
そのためプランター栽培では摘果しないと1個1個が中途半場に成長してしまい、イマイチな出来になることが多いです。
枝の1カ所から複数の花が出てきますが、しっかりした実にしたいなら各箇所ごとに1~2個ほど残すようにして栽培しましょう。
防風対策
ミニリンゴはサクランボやイチゴ以上に重いので、強風に晒されると実が落ちやすいです。
そのためあまり風が無い場所で栽培するか、実が落ちないように枝と実を固定する工夫が必要になってきます。
せっかく生った実が落ちるのは避けたいので、実が大きくなり始めたらしっかり対策しましょう。
まとめ
いくつか植木鉢やプランターで育てられる果物を紹介しましたが、総じて実が小さい果物ほど栽培・収穫が容易になります。
ここでは紹介していないですが、「ビルベリー」など名前が「~ベリー」となっている果物のほとんどは鉢植えなどで栽培することが可能です。
もちろん地面に直接植えても問題なく、大きな実をつけるものより低く小さい果樹になるので、場所もあまり取りません。
自分の好みや収穫量などを考えて、好きな方法で栽培してみましょう!