筋トレ・ダイエットのしすぎで筋肉が溶ける「横紋筋融解症」とは? 過剰なオーバーワークには注意

筋トレやダイエットは限界までやれば多くの効果がありますが、やりすぎると「筋肉が溶ける」ことがあります。

せっかく鍛えた筋肉が溶けるだけでも恐ろしいですが、副次的に多くの厄介な病気・症状を併発することがあります。

そんな恐ろしい症状、「横紋筋融解症」について調べたので紹介します。




横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)とは?

横紋筋融解症を一言でいってしまえば、壊死した筋肉の細胞の成分が血液中に流れ出す症状のことです。

この過程で筋肉が溶け出ているように例えられるため「筋肉が溶ける」なんて例えられたりもします。

横紋筋は黄色のストライプ(縦模様)が入っているように見える筋肉全般のことで、骨格筋皮筋心筋などが代表されます。

骨格筋…骨にくっついている大胸筋・腕・脚など身体のメインとなる筋肉

皮筋…皮膚を動かす表情筋など

心筋…心臓を動かす筋肉

この中で主に骨格筋が横紋筋融解症を発症しやすい筋肉になります。

筋トレでは骨格筋を鍛えることになるため、身体のほとんどの筋肉で横紋筋融解症が起きる可能性があります。

どうして筋肉が溶ける?

筋肉が溶ける(壊死)するのは、過剰な筋トレによる栄養不足が原因になります。

通常の筋トレによる筋肉の損傷は一部の菌繊維が断裂することで起きますが、横紋筋融解症では筋肉そのものが無くなってしまいます。

筋肉は筋トレをしていると緊張して張り詰めてきます。

通常の筋トレはこうして筋肉に負荷を与えることで筋繊維を傷つけ、身体がそれを強くなるよう治すことで大きくなっていきます。

しかし過剰な筋トレをして筋肉を酷使し続けると筋肉中で血管が圧迫され、その結果筋肉に栄養が回らなくなり壊死してしまいます

筋トレしている最中も筋肉には栄養が供給され続けており、特に大事なのが酸素です。

過剰な筋トレで筋肉が張り詰めすぎることになると血行が悪くなり筋肉が酸欠などの状態になります

酸欠を起こした細胞は簡単に死滅してしまいます。

こうなってしまうと筋肉が「傷ついている」どころではなく、「無くなっている」といっても過言じゃない状態になります。

横紋筋融解症の判断基準

激しい筋肉痛

一番軽い症状でも筋トレをした翌日には激しい筋肉痛に襲われます

それこそベッドから起き上がるのも大変になるレベルの筋肉痛になるようです。

ただし筋肉痛で「痛い」と感じられているのであれば、細胞が死滅した訳じゃないのでまだ大丈夫です。

筋肉痛自体は筋トレでは普通に起こることなので、これだけならあまり心配はいりません。

ストレッチやマッサージで血行を良くして酸素を送ったり、しっかりした食事をして筋肉に栄養を送ってやれば、ちゃんと治ってくれます。

横紋筋融解症で重要なのは「激しい筋肉痛」と同時にいくつかの症状が出てくることになります。

激しい筋肉痛を判断の目安として、以下の症状が出てきたら注意しましょう。

筋肉に力が入らない

本格的に横紋筋融解症になると異様な脱力感や痺れなどの症状が出てきます。

特にわかりやすいのが筋肉を動かそうとしても、まるでそこに筋肉が無いかのような脱力感が出ることです。

普通の筋肉痛と同じように、筋トレの翌日の朝の起床時に良く起きやすいため、筋トレ慣れしている人だと異常に気付きやすいそうです。

ただの筋肉痛なら大部分の筋繊維は残っているので、痛みはあれど筋肉を動かすことはできます。

しかし筋肉自体が壊死して機能しなくなっていると、そもそも動かすこと自体ができなくなります。

これらの症状が出たら横紋筋融解症の目安にしましょう。

茶色い尿が出る

朝トイレに行って用を足すと茶色い尿が出てくるようになります

そのため視覚的に横紋筋融解症を判断しやすい一番わかりやすい症状です。

筋細胞が壊死するとその細胞を構成していた成分が血液中に流れ出ます。

しかし大量の細胞の成分が血液に混ざってしまうと、体内で再吸収されるは難しくなります。

そのため尿をつくる腎臓などでもろ過しきれず、血液中にある成分そのものが尿に混ざり変色してしまいます

「尿の変色」だけでも注意が必要ですが、上記の症状とセットで起きたら横紋筋融解症の可能性が高くなります。

横紋筋融解症で起きる症状

横紋筋融解症を発症すると、いくつかの内蔵疾患を併発しやすくなります。

主だった症状を書いていくのでよく読んでください。

腎不全

横紋筋融解症を発症すると腎不全の可能性が高くなります

先ほど説明した茶色い尿の原因は血液中に流れ出た成分が腎臓でろ過しきれていないことです。

ろ過しきれていないということは腎臓が壊死した細胞でいっぱいになっているということです。

腎不全の原因のひとつでもある糖尿病は、血液中に過剰にある糖分やタンパク質などが腎臓で詰まってしまうことで起きます。

腎臓に成分が詰まるほど酷使し続けると、当然腎臓の機能は低下します。

こうして機能が低下し続け、処理能力の限界を超えると「腎不全」と判断されます。

特に横紋筋融解症で筋細胞が壊死すると「ミオグロビン」というタンパク質が血液中に流れ出します。

このミオグロビンが腎臓に大きな負担になるため、腎機能の低下を招きやすくなります。

不整脈

筋細胞の成分が多く血液中に流れ出ると不整脈が起きやすくなります

筋肉を構成する成分には電解質であるカリウムやリンといったものが多く含まれています。

電解質とは「電気を通しやすい物質」のことです。

この電解質が血液中に多いと、心臓を動かす筋肉に伝わる電気信号に異常を起こしやすくなります。

その結果「心室細動」といった命にかかわるような症状が出る可能性が増えます。

心室細動とは、心室という血液を送り出すポンプ部分が正常に動かなくなり、「心停止」を起こす症状のことです。

不整脈の中でも特に致死性の高い症状で、これを起こすと身体に血液が送られなくなります。

その結果脳を始めとした重要な内蔵だけでなく、手足の細胞も壊死してしまうことになりかねません。

筋トレ以外でも横紋筋融解症になる

今回は筋レをメインにした横紋筋融解症の説明でしたが、筋トレ以外でも横紋筋融解症になるケースがあります。

外傷性

交通事故やてんかんなど直接細胞が壊れることでも横紋筋融解症になります。

横紋筋融解症のキモは「細胞が壊れて成分が流れ出る」ことです。

これと同じように大量の細胞が壊死すると筋トレの有無に関係なく症状が出ます。

事故などで直接細胞に強い負荷や衝撃を与えても細胞は壊死してしまいます。

あとは前述の通り細胞の成分が腎臓でろ過されず、同じように茶色く変色した尿が出てきます。

非外傷性

一部の薬を飲用すると横紋筋融解症の症状が出る場合があります。

スタチンやフィブラートといった高脂血症の際にコレステロール値を下げる薬

ニューキノロン系といった抗生物質

ハロペリドールといった神経に作用する薬抗うつ薬

バルプロ酸などの抗てんかん薬

あるいは筋肉を弛緩させる麻酔薬

これら以外の多岐にわたる種類の薬でも、薬の副作用で筋細胞が破壊され横紋筋融解症の症状が出る場合があります。

薬が原因の横紋筋融解症では、筋肉の所々が筋肉痛になったかのような痛みがあるそうです。

上記の薬を飲用していて、何もしていないのに筋肉痛のような痛みがあったら、一度薬を処方してもらった医師に相談して原因をはっきりさせましょう。

横紋筋融解症の治療法

横紋筋融解症でおきる症状は腎不全が主だったものになるため、基本は腎不全の対処法と同じになります。

点滴による水分・栄養補給

尿に使われた分の水分補給と、腎臓に対する影響を少なくするために点滴をします。

横紋筋融解症によって血液中に余分な成分が多くなると、その分腎臓が働き「尿」が多くつくられ続けるため、体内の水分が不足しやすくなります。

その不足した水分を効率よく補給するためにも、点滴が使われることが多いです。

ついでに栄養も直接血液中に補給されるため、壊れてしまった細胞を新しくつくるための材料として使用されやすくなります。

食事で栄養補給すると腎臓に負担をかける成分も同時に体内に入ってしまいます

腎臓に影響がないよう厳選された栄養を補給するためには、点滴のほうか確実で効率もいいです。

透析で血液をろ過

血液をサラサラの正常な状態にするため透析を使って血液をろ過します。

透析とは機械を通して血液をろ過して腎臓の役割を軽減・代行することをいいます。

透析は以下のような工程で行われます。

採血の要領で血液を抜く

そのまま管を通して機械でろ過する

ろ過した血液を体内に戻す

横紋筋融解症では大量の筋細胞の成分が血液中に混ざるため、腎臓だけではろ過しきれません。

おまけに腎機能に負担をかけるため、その負担を少なくするには透析が一番です。

糖尿病治療と違い薬物による横紋筋融解症でもなければ腎臓にかかる負担は一過性のものが多いです。

腎機能が損なわれていなければ、糖尿病治療のように1週間に何度も病院に通う必要性はなくなります。

ただし初期治療が遅れるとその分腎臓に負担がかかり続けるため、腎不全になる可能性も高くなっていきます。

これから一生2日ごとに病院に通うはめになりたくなければ、症状が出たら一刻も早く病院で診断・治療を受けましょう

最後に

少々怖い話になりましたが、以上で筋肉が溶ける症状「横紋筋融解症」の解説を終わります。

筋トレを続ければその分筋肉を大きくしたり、ダイエット効果も高まります。

しかしだからといって、度を超えた過剰なトレーニングはこのような予期せぬ結果を起こしかねません。

限界を超え「すぎた」オーバーワークは控え、自分に合った適切なトレーニング量で筋トレやダイエットをしましょう!